原初の竜でも友達が欲しい   作:伊つき

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ヴィヴィアンとグウィネヴィア

 

オラリオを代表する神々が、声明に反応した。

 

「ちょい待て待てぇ!ヴィヴィアンやてぇ!?あの声忘れへんわ。マジであのヴィヴィアンかいな!」

「ロキ。知ってるのかい?今の声明の神は一体……」

「嫌や嫌や!興味持つんやめ、フィン!あんなん関わりたくない神ブッチギリ1位やわ」

 

都市の中心でロキは嘆く。

続いて。

 

「ヴィヴィアン……そう。厄介な神が現れたわね。けど、どうして」

 

椅子に座し、怪訝にするフレイヤ。

彼女が引っかかるのはヴィヴィアンの声明の内容ではない。

 

「ヴィヴィアン……どうして下界に降りてきた?人間を嫌い、天界を好む。娯楽に飢えていない希少で高潔な神。穢れた下界に降りることを毛嫌いしていたはずだろう?君は」

 

フレイヤの言葉の続きを紡ぐように疑問を提示するのはヘルメス。

帽子のつばを掴み、少し下げてギルドの管制室を見上げる。

彼ら神々が知る女神ヴィヴィアンとは、真逆の行動を今目撃している。

 

そんな噂話をされているとは露知らず、当の本人はグウィネヴィアの元に現れる。

 

「おい、無能。リョーカはどうした?」

「そ、それが都市の冒険者に連れていかれまして」

「はぁ~~……ったくてめぇはよ」

「ひっ!?も、申し訳ありませんわ!?でも、どうしようもなくて!」

「あぁ、いいいい。てめぇが無能なのは知ってっから。要らねえよ、金にもならねえ謝罪なんざ」

 

ヴィヴィアンは呆れてため息をつく。

グウィネヴィアが使えないのは今に始まったことではないが、無能ってのはやらかしに際限なく、毎度期待を裏切らない。

ため息くらいはつきたくなる。

 

「で?ゼウスとヘラのガキにリョーカは当てられたのか?」

「ぼ、【暴食】とは……」

「どっちだよ、それ。ガキの成り上がりに興味ねえから神の名前しかわかんねえよ。まあいい。もう一方は今どこにいる」

「向こうから接触すると思われますわ」

「だろうな。こっちはリョーカ見せてんだ。それくらいの見返りがねえとな」

 

ヴィヴィアンの言う通り。

リョーカは彼らの同盟にとって"とっておき"。

それを開示してるのだから相応の収穫がないと釣り合わない。

彼女たちが話し合っている途中。

その場に忍者が現れる。

 

「ヴィヴィアン様。この後どうするでごじゃるか?」

「オラリオの神々でも9割方私の名前を聞けば萎縮する。しねえのは多分ロキとかフレイヤだな。まあそっちはおいおい対処するとして……まずはリョーカの回収だな」

「そ、それはワタクシの仕事ですわ!」

「テメェに何ができんだよ。もう何も期待しねえよ。全部私がやる。どっかで茶でも飲んでろ」

「そんなぁ……」

 

グウィネヴィアがへこむ。

ヴィヴィアンは無視。

そもそもヴィヴィアンはオラリオにくるつもりはなかった。

なのにオラリオに現れた。

理由はグウィネヴィアに手紙で助けを求められたからだ。

その手紙が届いた時にも呆れた。

そして、見切りをつけた。

 

"あぁ、こいつは何もできねえんだな"、と。

 

「テメェに期待すんのはやめた。元からしてなかったが、これからは一切しねえ」

「こ、これでもワタクシ必死にやってますのよ!?」

「必死にやってるやつは手焼かせねえんだよ」

 

ヴィヴィアンはイライラする。

この期に及んでこの無能は自己評価が高いらしい。

百歩譲って高潔な自認なのはいい。

自分は仕事が出来ていると思い込んでるのが腹が立つ。

んなわけねえだろうが。

この際、ハッキリ言っておいた方がいいか。

 

「大体な。テメェが嬉々として連れてきたリョーカも大英雄ってやらの血筋に掠ってるだけじゃねえか」

「そ、それは……」

 

言い淀む。

その時点で本当は自覚しているのに認めたくないだけだ。

そういう態度がさらにイラつかせる。

 

「その程度しか連れてこれねえ時点でこっちは失望してんだ。それでも仕事任せてやったことを感謝される謂れはあれども、反論される余地はねえだろうが!」

「ひっ……!」

 

グウィネヴィアが怯える。

はぁ、とヴィヴィアンがため息をつく。

これ以上この無能を恫喝してもエネルギーの無駄だと考えた。

とにかくこの無能にしてはリョーカを見つけただけでも儲けものだったと思うしかない。

 

……その肝心のリョーカも今は敵の手にあるわけだが。

 

「御門。テメェの方でリョーカの居場所の手掛かりあったか?」

「拙者はそれどころじゃなかったでござる~!」

「あ?」

「だって、子供の冒険者に目をつけられて追い回されたでござるよ?しかもハイエルフと一緒。【ロキ・ファミリア】の紋章つけててゾッとしたでごじゃる」

「ロキのガキか。よくまけたな。まあつけられる時点でカスだが」

「えー!評価される流れじゃなかったでごじゃるか~!?今!」

「うるせえ」

 

御門の嘆きに唾を吐くヴィヴィアン。

とりあえずリョーカを早急に回収したい。

話はそれからだ。

 

「っあ~~。めんどくせえ。勿体ねぇが、アルキュオラ使うか。確かゼウスとヘラのガキはアルキュオラじゃねえと相手にもならねえんだろ?」

「Lv.7でごじゃるからな~」

「チッ。ガキが神の恩恵なんて受けやがってめんどくせぇ」

「それ拙者たちを抱えるヴィヴィアン様が言うでごじゃるか?」

「ばーか。私はいいんだよ。テメェで育ててねえからな。馬鹿な神が遊び半分で人間に餌を与えてっから、それを横取りして利用する分には賢いだろうが。自前じゃ絶対ぇやらねえからな。上手く生きてっだろ?」

「おっしゃる通りでごじゃる!さすがヴィヴィアン様!立派なクズでごじゃる!!」

「あ?」

 

ヴィヴィアンは眷属に指示し、御門は拘束。

大勢の眷属が集まり、集団リンチ。

つまり半殺しにされた。

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