次にダンジョンに潜る時、ベルはLv.2の【リトル・ルーキー】となり、新たな仲間、ヴェルフを連れてきた。
「よろしくな、スズ坊」
「……おう」
「なんだ、やけに暗いな」
適当に返すスズにヴェルフは顔を顰める。
とにかく今日はこの4人で潜ることになった。
その道中、リリルカはヴェルフのフルネームを聞いて驚く。
「クロッゾ!?あの呪われた鍛治貴族の!?没落した!?」
「なにそれ?」
「知らないんですか!?かつて呪われた魔剣の鍛冶師を!」
「……っ!魔剣……」
スズネリアがヴェルフを見る。
その視線にヴェルフは嫌な顔をして、スズもハッとして目を逸らした。
結局その後はモンスターが現れ戦闘になり、話は有耶無耶になったが。
「例の鍛冶師くんの家名だねぇ。かつて魔剣を沢山作った一族ってことは知ってるけど……その程度かな」
「そうですか……」
「……魔剣」
【ヘスティア・ファミリア】の本拠に帰ってきたスズは、ベルとヘスティアの話を聞いて呟く。
そして、翌日。
リリルカが休み、ベルとリリとヴェルフの3人が集まる。
「今日リリ助は休みかぁ」
「はい。下宿先の親父さんが病気で倒れたとかで。なので今日はスズの伝でキリエさんに来てもらいました」
「やあ。よろしく頼むよ」
「……マジか。いや、さすがに俺でも知ってるぞ。【グウィネヴィア・ファミリア】の【
「……さぁな」
スズはまだ素っ気ないまま。
彼は……ヴェルフの腕を見る。
そして、呟いてしまった。
「……俺にも、魔剣があれば。少しは母上に……」
「……っ!!」
隣のキリエが呟きを拾い、瞠目する。
そして、彼を2度見した。
その視線にスズも気付いた。
「やべっ!違うんだ、キリエ―――かはっ!?」
『……!?』
突如、スズネリアの腹を殴って気絶させたキリエさんに2人が驚く。
「何するんですか!?キリエさん!」
「おい……!」
「……すまない。今の彼は君達の知るスズネリアではない。今日は連れ帰って我々は失礼するよ。ごめんね、約束したのに探索手伝えなくて」
「いや、それはいいですけど……それよりも!」
ベルは食いかかるが、キリエはスズネリアを抱えて背を向けてしまう。
そして、一言だけ言い残す。
「彼に、冒険者の資格はない。連れ帰り、円卓の裁定にかける。もう君たちの前に現れることはないかもしれないが……許してくれないか」
「説明になってませんよ!?」
「……すまない。今はそれしか言えない。このままでは、彼は君達を破滅させる。未熟なまま、君達の傍には置けないのさ」
納得できないベルに、キリエは説明する。
ヴェルフはどこか納得した。
スズの視線は魔剣を求めていた。
それくらいその欲望に晒されてきたヴェルフにはわかる。
冒険者として相応しくないというキリエの言葉も納得できる。
「それでは、失礼するよ」
「待ってください……!」
「待て、ベル。行かせておけ」
「ヴェルフ!?なんで!」
ヴェルフに止められて目を丸くするベル。
振り返ると、ヴェルフは首を横に振るう。
「この女の言ってることは一理ある。中途半端な気持ちの奴がパーティにいちゃ、仲間である俺達にも危険が及ぶ」
「……っ。そ、それは」
「それに、これはファミリアの問題だ。スズ坊は元々向こうの人間なんだろう?なら俺達が首を突っ込むべきじゃない」
ヴェルフの言葉と鋭い視線に、キリエは申し訳なさそうに俯く。
「……すまない。彼の言う通り、我々のやり方に理解していただけると助かる。我々は君達のパーティにスズネリアを提供している立場だ。派遣することで君達に損失を生むなら、それを看過はできない」
「……っ。わ、わかり……ました。すみません、ファミリアの事情に口出しして」
「いや、こちらの説明不足だ。ごめんね」
キリエは謝ってそのまま立ち去った。
スズネリアは連れて行かれた。
一応納得はしたが、ベルはやはりスズネリアが消えた先を見つめる。
その後、ベルの不安げな顔を見て顔を顰めるヴェルフが、気を効かせて工房へ誘った。
元から誘う予定ではあったが、気晴らしになればという思いも加えられたのだ。
そして、彼らはスズネリアを抜いて、中層へと向かう計画を立てる。
彼らはまだ、知らない。
中層と
聖なる騎士達との激戦が、十番控えているということを。