今回はほぼ台本形式……大丈夫かな。本編部分けっこう持ってきてしまった。
タイヤが土埃を巻き上げ、エンジンが駆動音を鳴らす。周囲の廃墟はその振動を虚しく引き受ける。
ケイオスは完全な未知の世界に子供の様に目を輝かせ、貪欲なまでの探究心と共に、行く先までの道すがらを楽しんでいた。
勿論のこと目的は忘れていない。近づきつつある墜落地点からは爆煙が上がり続けているし、音につられそこに近寄る鋼鉄生命体達の姿も見える。
「ン〜。でも助っ人キャラが出るのは早いかなぁ」
物語序盤にしてはちょっと過激な始まりだ。
でもこんなことは、この世界じゃありふれた悲しい事故に過ぎない。
それに抗うのが主人公である目に見えない君の美点だ。
「果たして、この世界の君はどうかな?」
鈍く光る琥珀色の双眸はずっと期待に満ちていた。
オーディションは既に始まっている。
姓名:フレデリック=エイダン
出生:アーク
生年月日:20xx,8.26
体重:72kg(最終健康診断時)
身長:180cm(最終健康診断時)
認識番号 S0325648
履歴:NIKKE指揮官養成訓練所 卒
データを何度照合してみても、これ以上の情報は出ない。不思議なことに指揮官養成訓練所以前の記録は無く、懐疑心を募らせるが今はそんな事を気にしている場合でも無い。
それに、目の前にいるこの男が昨日任官されたばかりの指揮官には変わりない。
頭では理解しても疑問を口に出さざる終えなかった。
「本当に昨日、任官されましたか?」
「あぁ。そうだが何か問題でもあるのか?」
「…作戦中に死亡した指揮官の代わりに来たという、新人の指揮官…何を考えているのやら」
「フン。確かに、わざわざ三途の川ツアーチケットを進んで購入する奴はいないな」
NIKKE指揮官養成訓練所とは名ばかりなもので、卒業生らは100年程前の指揮系統に携わる者たちよりもその質は悪い。昔の方が良かったとはこの事だろう。軍事的運用に必要な兵士の最低知識と技術は短略化され、メインは徹底的なまでの精神教育。実戦経験も十分に積まぬままに地上へ送られ、夢破れる事など酒場に行ったら浴びるように聞けるだろう。まあ、そもそも酒場まで行き着く者の方が少ないが…。
「とにかく、貴方は今から本分隊の指揮官になります。現在進めている作戦の引き継ぎが必要ですが、よろしいでしょうか?」
「構わねぇ」
「作戦について簡単に説明します。46時間前、この区域を捜索していたニケ1分隊との通信が切断されました。通信履歴が何も残っておらず、捜索が必要との判断から私たちが投入されましたが、指揮官が死亡するという事故がありました」
「問題は、その指揮官だけが作戦区域の座標を知ってたってこと」
「何だと?」
「指揮官様は座標について何か聞いてない?」
「いや全く」
「…まあ、その反応からそうよね…」
「私が知っています」
「うんうん。そうだよね、うん……うん?」
アニスの目が不意に点となる。
「作戦前に入力されました」
「え?まじ?」
ここ最近聴いた中での唯一の吉報だったが……指揮官である自分にもその情報を共有していなかったのはどうしてか?
エイダンは今まで全幅の信頼を置いてきたマリアンに初めて疑心を抱いたが、すぐにそれは捨てた。だが、聞かなければならない事は確かなので、実際に声に出し聞く。
「…何故、今まで言わなかった?」
「すみません。先にランデブーポイントに到着し、指揮官の安全を確保することが最優先だと考えました」
「…そうか。すまなかった」
非常にマリアンらしい回答だった。すぐに謝り、己の非礼を詫びる。
「いえ、お気になさらないで下さい。私が先頭に立ちますから、皆ついてきてください」
「あっ、OK」
「ですがその前に、ラピでしたっけ?」
「…?」
「自分の指揮官も守れなかったくせに、新米だの何だの、難癖つけないで下さい。この方も私たちと同じく、命をかけて人類の為に戦われるのです。ですので、また今度この様な事を口にした時は、私も黙ってはいません」
「おお、何これ。もうギクシャクしてる?」
「みたいだな」
「…そうね、私の失言だった。謝る」
「謝るのなら私にではなく、指揮官へお願いします」
「申し訳ありません」
「気にするな。俺は元々悪口なら言われ慣れてる方だ。それに、俺自身も今回の作戦についての文句なら山程ある。お前らも不安だろう?新米指揮官に命をそう安安と託す馬鹿も居ないからな」
「……」
「ええ、怒らないの?」
「どこに怒る必要があるんだよ」
「今回の指揮官様はちょっと変わってるね」
「はっ、そうかもな。それとマリアン。重々承知だろうが、先頭を歩く際はラプチャーからの奇襲に注意しておけ」
「はい、指揮官!」
エイダンは自嘲的に笑うと、マリアンへ注意を促し、目標地点へと進むよう命令した。マリアンもそれに了解の意を示すと警戒しながら歩を進め始めた。
それを遠くより傍観する者が一人。
「んふふ。想像以上に面白いものが見れた。まさか君の子孫がこの時代で生き残っていたなんてね。まあ、それもそっか。ここは誰も予想し得ない知らない世界の一つだからね。こういうのは嫌いじゃないよ」
時空を超えての共闘だ…存分に楽しもうよ。
「そうだなぁ…どんな
彼の周りにいる彼女達の事も気になるなぁ。
でもまさか、法力無しで人造人間を作れるとはね、100年分の科学力は魔法とも遜色ないらしい。
「ギュリィィイ!!!」
「おわっと」
Bang!Bang!
「ギィィ……」
「びっくりしたぁ。…君たちは人間を捕獲する事に注力してるみたいだ。人が君たちの皮になったりしてるのかな?純粋な機械で出来ている筈の君たちの一部は、肉や皮を纏ってる個体が居るからね。それが人肉かどうか判断はつかないけど、人間が君たちに何か力を与えるデバイスになっていたりするのかな?ん?」
動かなくなった機械生命体に反応はない。
「そう言えば、彼らは君たちの事をラプチャーって言ってたね。思い当たるのはキリスト教終末論の『
もっと神秘的な存在かと思っていたよ。君たちが本当に人類を消すのか救うのか…滅亡させるにしても一体誰を人類は信仰すれば成功だったのかな?まあ、この世界について無知に等しい僕が言うべきじゃないけどね。
はぁ〜。でもそろそろ、ラプチャーの相手も一人で相手するのに飽きてきた…。
何度も敵として現れると安っぽくなって華が無いんだよなぁ~…。
合流…しちゃおうかな。
「彼の子孫っていうブランドも気に入ったし。
パチパチパチと、渇いた拍手が響く。
彼らの認識出来る範囲からは外れている様で、こちらに気づいた様子はない。
「どうせだったら、派手な登場にしたいなぁ……んー。そうだ。飛鳥くんみたいな事してみようかな?…いいね。それにしよう」
名案が浮かんだのか、ケイオスはまた車に乗り込み、思いっきりアクセルペダルを踏んだ。
「シノプシスは見えたな」
実は、時系列分かりにくいですが、ケイオスはランデブーポイントに落ち合ってから指揮官がラピとアニスに出会うまでずっと車でつけていました。なのでちゃんと戦闘シーンも見てて指揮官の主人公としての力を認めています。
もしもギルギア主人公のソルがここでも主人公だったら、相手がロード級だろうがタイラント級だらろうが全部殴り潰している光景がすぐ浮かびます。きっと、チリ一つ残らないでしょう…。力が強すぎて(+不死身の肉体故に)技が無いという彼の美徳。GGSTソル専用BGMも激しく衝動的なロック調でありながら歌詞は啓蒙的というのが魅力です。