荒廃世界のジャンクメサイア   作:ツーと言えばカーな私

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前回、殆ど遠目でしか指揮官たちを見ていなかったケイオス…出番の仕方が主人公だと思えない。後方腕組み彼氏ヅラとはこの事。

もしも、ケイオスがNIKKEにプレイアブルしたら…多分ソリンちゃんみたいな撃ち方になるのかな。リボルバー式の拳銃なんだけど。
誰が見たいねん。

とある事実を思い出して筆が止まってました。
ケイオスの便利性というか…「狂気に染まってない時のケイオスって一人で文明退化した人類を救ったんだよなぁ」って思い出しただけです。まあ、だからジャンクメサイアなんて命題があるんでしょうが…。




壊れた神の一石(ちょっかい)

 

 彼らが目的地に移動してからというもの1時間弱。

 マリアンというニケがメンテナンスの為に服を脱ぐイベントがあったくらいで特に変わりは無し。彼女達の構造理解を深めようと遠視を行なっていたけど、違う分野に素人が首を突っ込むものじゃない。理解したのは精々、血擬きを媒介にして情報伝達して身体を動かしてる…って事くらいかな

 

 本当によく人類に似せて作られてる。一体誰がこんな事を始めたんだろうね?そもそもなぜ彼女達は女性体しか存在していない?まあ、まだ3人しか見かけていないから結論は早いか。

 彼女達の故郷…いや現存する人類の最後の砦、それが今どんな場所に成り果ててるのか…あ〜やっぱり気になるなぁ。

 

 

 おっ、動きが変わった?

 前を警戒してるみたいだ。ん〜でもここからじゃ見えないな。

 何らかの通信方法が復旧してから、彼らはラプチャーの位置を掴めてる…。

 でも一体どこからだろう?僕の予想だと現在進行形で人類は地下に逃げて生き延びてる筈なんだけど…どうやって視認もできない位置からラプチャーを?あ、衛星かな?

 ん〜、でもそれだとラプチャーが宇宙からの来訪者っていう仮説がなくなっちゃうなぁ。人類に有利になる探査機なんて残しておく筈もないだろうし…。

 

 まあ、いっか。

 良いタイミングだ。

 

 「モノローグ(1人語り)はそろそろ終わりにしよう」

 

 

 

 

 エイダン率いるカウンターズはロード級ラプチャー相手に善戦していた。

 事前情報というものはやはり大事なもので、インカムより伝えられたシフティーの情報は戦闘に置いて優位に位置立つ配置が出来た。

 だが、その優位さえも上回るものがある。

 

 「チッ。思ったりより数が多いな…」

 

 「ほんと、嫌になっちゃうわね!」

 

 「あぁ、そうだな。!?アニス、ネオン!左翼に火力集中!マリアンはラピのフォローを頼む!」

 

 「「ラジャー!」」

 

 うんざりしてくるな。蟻のようにどこかの巣から湧き出てくるというのに、奴らはその所在を漏らしもしなければ吐きもしない。加えてリーダー格の奴すら現れない。

 先人方は()()、どうやってこの化け物共を殺したと言うのか…。

 

 「俺も戦えれば相応に楽になれるんだがな…」

 

 ニケ専用の武器を作れるなら、人間専用のラプチャー相手に通用する銃火器でも作ってくれれば万歳だが…俺の爺さんなら出来そうだな。

 

 激しい銃撃音とけたたましい金属駆動音。

 こんな状況を何度も経験するから精神教育を最優先とするのか…成る程と今更ながら納得して来た。それにしても、軍事的技術をもう少し覚えさせてもらいたかったが。

 

 「指揮官!ロード級のラプチャーを確認!」

 

 「やっと、出て来やがったか…全隊ロード級のみに火力を集中させろ!頭が潰れれば、それで終いだ!」

 

  本来であれば、雑魚処理を優先する。しかし、今回の場合はあまりにも数が多い。先に頭であるロード級を撃破すれば被害は少ないと言う判断だった。ある意味、一種の賭けでもある。だが、その賭けでもしないとロード級は倒せないんだろう。新米指揮官が相手するような代物じゃないと、アニスからも通信越しのシフティーの奴からも言われた。

 

 

 ブロロロロロロロ!

 

 (あ?なんだ…この音は?)

 

 あり得ない音がする。今は任務中、自分たち以外にこの任務に派遣された言う情報はシフティーから無いし、そもそも地上でマフラーを鳴らしてる奴はどこの馬鹿だ?

 

 「指揮官!5時の方向より未確認車がこちらに近づいて来ます!」

 

 「シフティー!増援でも寄越したか!?」

 

 『いえ!そのような報告は受けていません!』

 

 「アレは…人?」

 

 ラピが疑問符を浮かべるのも仕方ない。

 車の上に()()()()()のだ。その人間は、ハンドル操作もせずに。しかも、頭に()使()()()の様なものまである。人かどうか遠視確認では到底出来ない。それに、乗っている車の車種も軍用車ではなく、全くの別物。この場に似つかわしくしくない、随分と派手なオープンカーだ。

 

 『こんにちは。この世界の主人公くん。いや、エイダンくんと言った方が良いかな?…ふふ、助けに来たよ』

 

 「なに!?おいてめぇ、一体何…っ!?」

 

 (インカムの傍受!?いや違う!インカムからの音じゃ…なんだコレは!?)

 

 いつの間に出来ていたのか、耳元には幾何学的な紋様をした円が回転していた。

 奴の音声はそこから聞こているので、間違いなくこれが原因だろう。

 

 『あ〜、喋らなくて良いよ。魔法の扱えない君たちじゃ、そっちの声は聞こえないから。なーに、正義の味方が現れたとさえ思ってくれれば良い』

 

 「はぁ!?」

 

 『まずは、この戦闘を終わらせよう。あ、伏せといてね。それじゃいくよ……デウス・エクス・マキナァ!』

 

 「チッ。総員退避!!」

 

 低く、嘲る様な声音で、奴から発せられた音を聞いた途端、どういう理屈か前方で相手にしていたラプチャーの四方八方から()()()()()()と、()()()()が出現し、やたらめったら撃ち始めた。

 

 遮蔽物に隠れ、流れ弾から身を守る。彼女たちも咄嗟の指示に従ってくれた様で今のところ目立った被害はない。

 乱雑に撃ちまくる拳銃からの凶弾…しかもラプチャーの装甲を貫通する威力、それを…奴は子供が玩具で遊ぶ様にやる。これが本当に正義の味方か?

 

 拳銃からの発砲音はそれほど長くない。時間にして10秒程で終了した。

 音が完全に鳴り止んだ頃を見計らって遮蔽物から周囲を覗き込むと、見事なラプチャー達の骸が出来上がっていた。

 

 「ン〜…助っ人キャラの登場って所かな」

 

 奴はその中央で、車に立ちながらそんな言葉を吐いた。

 

 「お前…本当に何者なんだ?」

 

 鬼の様な角に、✖︎字のオレンジサングラス、ボサッとした濁った灰色の髪に、気味の悪い緑がかった青肌、上裸から見える六つに分けられた筋肉、ネックレスの様に連続して浮かび上がっている十字の紋様と胸元の攻撃的な牙のペイント。そして何より目立つのは漆黒の天使の輪。一見して…人間じゃない。ニケでもない。そもそも、男性体のニケは製造不可能と聞いたことがある。

 

 「僕は何者でもないよ。でも、そうだな、今は正義の味方、いや君たちの味方って言ったら正しいよ。んふふ♪それとも、もっと抽象的に人類の味方とか?」

 

 「指揮官!今すぐ其奴から離れてください!」

 

 マリアンを筆頭に、人間は撃てないと分かりながらも標準を合わせる。実際問題、目の前にいる人物が人間かどうかも怪しいが…。

 

 「良い統率だね。まぁ、今のは僕も悪かったよ。ちょっと、君たちの事を刺激し過ぎた」

 

 ちょっと…と表現するには些か足りない冗談だ。

 識別IDカードが首元から吊るされていないので無所属と言うことが分かる。

 もしくは、彼のズボンに入っているかもしれないが…その可能性は限りなく低いだろう。

 

 何より存在自体が異質過ぎる。

 気味の悪い青肌もそうだが、もっとも異質なのは、明らかに人間的部分が欠落している天使の輪とジャパニーズで古来より伝わっていた妖魔の鬼を想起させる角だろう。そもそも、何故地上にいる?

 ラプチャー蔓延る地上に人間がニケ無しで1時間生存できる確率は10%未満。幾ら車を運用していると言っても限度がある。そもそも、アークが地上にあのような車を移送する事を許さないだろう。

 そして、さっき使用していたこの世の法則を全て超越した魔法と認めざる終えない何か…。

 

 最も可能性として考えられるのは…アウターリム出身のアウトローの脱走者だが…。

 果たして、それだけだろうか?

 

 「挨拶をやり直そう」

 

 …少し思考に耽り過ぎていた。

 

 「ハッピーケイオス」

 

 仰々しくお辞儀をした後、何かの固有名詞を彼は言った。

 突然言われた事で、アニスが反応する。

 

 「ハッピー?」

 

 「僕の名前だよ。この世界の正義の味方の名前でもあるかな」

 

 「確かにお前は俺たちを助けた…だが、それが正義の味方という証拠にはならねぇだろ?」

 

 「ま、そうだね。この世界じゃ僕もまだ生まれたばかりだ。赤ん坊のヒーローなんて認められるフィクションも数少ない」

 

 「おい、待てなんの話だ?」

 

 疑問が増殖しやがる。

 それに、こいつと話してると妙にイラつくのはなんだ?

 

 「僕は本当になんでもないし、何者でもない。ただ今は正義の味方っていう存在を存在させる為に存在してるだけ」

 

 「はぁ?何訳分からないこと言ってるの?」

 

 「そんな反応になっちゃう?まあー今は理解しなくても良いよ。僕は正直に答えただけだからね。他に分からない事があったら聞いてよ。今は君たちの味方だ。何でも答えてあげよう」

 

 「だから、それを信用するっていう根拠が貴方のどこにあるの?」

 

 「おいおい、最近の若い奴は話を聞かないな。僕は君たちの質問に誠実に答えているし、危機を救って、ニケ捜索の任務を助けようとしてるんだけど?」

 

 また嘲るような声音で話され、アニスの眉間に皺が寄る。友好的な風を纏って話しているが…やはりどこか掴めきれず、いけ好かない。それに何より胡散臭いという印象が強い。

 いや、今は奴の雰囲気云々よりも奴がどうして俺たちの任務を知っているのか言及した方がいいか。

 

 「なんでテメェがそんな事知ってやがる」

 

 「さっき君と話したのと同じ要領さ。僕は視界内であれば遠くの音が聞くことができる」

 

 「盗聴が趣味か?」

 

 「う〜ん。必要であればするくらいにはね」

 

 「随分マイノリティな趣味をしてるな」

 

 「それは人類が犯罪と断定したからでしょ?でも、必要に応じれば国はそれを正当化して行使する。僕の意思から生まれた行動とそれのどこが違うのかな?」

 

 「哲学者擬きと話してる暇はねぇ」

 

 「それもそうだね。僕も君たちと一緒に行動したい。該当作戦地区の座標を知ってるのは彼女だけなんだろう?頭が吹き飛ばされない内に早く行こうよ」

 

 マリアンの方に目を向けて、ケイオスは問い詰める。確信を得た風に言うので、最初から最後まで盗聴されていたらしい。

 嫌悪感を含めてアニスが苦言を呈す。

 

 「何から何まで監視済みって訳ね」

 

 「監視なんて人聞き悪いな。まぁ、否定しないけどね。僕はまだこの世界で生まれたばかりだから、君たちの今持ってる知識よりも無いに等しい…普通のコミュニケーションをするには一定の知識と常識が必要でしょ?だから初めに目をつけた君たちの事を暫く監視して情報を集めるしかなかった」

 

 「他にも質問したいことがあるが…その生まれたばかりってのはなんだ?お前は無垢な赤ん坊だとでもいうのか?」

 

 「そうだな…エイダン君は平行世界って知ってる?」

 

 「ああ…」

 

 「この世界はね、僕が触れて掠めてきた中でも最も特別な世界。僕が存在しなかった世界線。そして、イレギュラー……君たちが言うラプチャーが介入し人類がまた新たな進化を辿っている奇跡の世界なんだよ。僕は、僕が存在している世界線からやってきた。ついさっきね。まあ所謂、異世界人って奴さ」

 

 「…急にファンタジーになったな」

 

 「指揮官様。こんな奴構ってる場合じゃないと思うんだけど…」

 

 アニスの言ってることに全面賛成したい欲に駆られる。正直頭が痛い。ただでさえ初任務で精神面も肉体面も疲労してるというのに。

 ハッピーケイオスと名乗った男は、魔法を扱える異世界人で正義の味方だと?子供の嘘の方がよっぽどマシだ…。

 だが、一部事実、こいつは魔法だと言わざる終えない現象を起こした。

 

 「だけど、背中を向けられる相手でもないわ…」

 

 ラピが言った事は事実だ。ホルスターに納めているケイオスの二丁の拳銃は形状は独特ながらもラプチャーを容易く貫通させるほどの威力がある…それをさっきの様な玩具を使ってはしゃぐ子供の様に扱われたら被害は甚大だろう。全滅という言葉もチラつく。

 

 「どうしますか指揮官?」

 

 ラピの双眸が俺を射抜く。

 無駄話をかなりしてしまったが本来の任務は前小隊の生存確認及び救助活動…こうしている間にも生存率は下がるばかり。

 はっきり言って、信用できないが…手元に居るだけまだ安全という賭けに出ることにした。

 

 「同行を許可する」

 

 「イイね♪話がやっと通じてくれた」

 

 「ラジャー」

 

 「え?まじ!?こんな奴信用するの!?」

 

 「指揮官の意思であれば…従います」

 

 『本当に…いいんですか?』

 

 「後ろから鉛をぶつけられるよりはまだマシだろ。後で報告書なら幾らでも書く」

 

 『了解しました。引き続き皆さんのサポートを行います』

 

 「へぇ。彼女か、ラプチャーっていうあの生命体の位置を教えていたのは」

 

 「……」

 

 あまり、情報を与えない様にしないといけないが…もう手遅れか。

 おそらく、極秘という言葉はこいつにとってない探究心を唆らせる嗜好品なんだろう。

 こいつをアークに持ち帰った先の事が思いやられる。

 





元々、私の筆が遅いのもそうなんですが、ケイオスの考え方で行動させるって本当に難しいことなんだなって書いてて思います。

あと軍事的な事に関して幼稚園児な私は、ケイオス以外の戦闘描写が苦手である。

おまけ 《デウス・エクス・マキナ》とは

古代ギリシャの演劇において、とある解決が難しい、又は解決不可能な事態が発生した際、絶対的な神が現れ、事態の収拾を図る手法。当時から批判的な手法。
今風に言えば御都合主義や、異世界神様チート転生の転生者を指す。

機械仕掛けの神の意。

ケイオスの必殺技としては、前方に二丁の銃を掃射し、魔法陣により四方八方から無数の銃弾を浴びせる覚醒必殺技。

殺傷能力が高い…けどその前にムービーで軽々と使ってた『指パッチン』だけで、高級ホテル(かなりデカイ建造物)を爆撃して完全破壊したアレの方が威力高そう。世界一の魔法使いは伊達じゃない。


次回…運命の時です。
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