この度、ヒーローのお目付け役を任されることとなりました   作:@蛇足

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始めに!まずは自己紹介!

 

 

 

「岳さん。沙恵さん。本日は誠におめでとうございます。ロワイヤルフルールで式を挙げると決められてから、たくさんのお話合いの時間があったと思います。今こうしてお二人の門出の瞬間に立ち合うことが出来るのは、おふたりの強い思い入れがあったからこそだと思います」

 

「そんなやめてよ畠中さん。それはこちらのセリフですよ。私のこんな夢みたいな理想の結婚式をここまで形にしてくれるなんて。こんな嬉しいことはないです」

 

「僕としても妻の希望にはできるだけ応えてあげたいと思ってました。僕らふたりだけじゃ絶対ここまで出来なかった。畠中さんのおかげです」

 

 

そんなこと言われると…やばい涙が。

私の名前は畠中麻里。県内でもトップクラスに大きいこの結婚式場でウエディングプランナーをしています。今はまさに永遠の愛を誓った二人が披露宴会場に入場する寸前。ドキドキしながらその瞬間を待つように扉の前で進行の確認をしているところです。こうしてプランナーになったのは、思えば小学生の時に親戚の結婚式で見たあのウエディングドレス…

 

 

 

『実に!実にめでたい!運命がこの2人を引き合わせた。そして契りを交わし夫婦(めおと)となる。これほど喜ばしいことがあるだろうか!』

 

『一家の主人となるんだぞ。それなのにこの男は。あんなひょろっちい身体をしてちゃあ家族に何かあったときどうすんだ』

 

『ああ。なんともったいない。ここのドレスではこの姫君の麗しさを引き出しきれていませんわ。ここが私の城なら彼女に相応しいドレスのひとつやふたつ、用意できたというのに』

 

『ニーヒッヒッヒ!間も無く宴の時間が訪れる!この俺様が!王として直々に民の門出を祝う台詞を捧げてやろう!』

 

『お前は王ではないだろ』

 

 

 

 

「ゔゔん!(咳払いの音)」

 

 

 

 

「畠中さん?大丈夫?」

 

「あ、いえ!大丈夫ですよ!それより、そんなありがたいお言葉。とても光栄です。思わず涙が出そうになりましたが、それは最後まで取っておきますね。入場まであと5分です。まもなくですよ!準備はよろしいですか?」

 

 

全く、こんな大事な場面に。…あ。

大変失礼いたしました!話の途中でしたね。

小学生の時に親戚の結婚式でウェンディングドレス姿を見たあの日。『こんな素敵なお手伝いができる仕事があるんだ』と感激してこの業界を目指しました。それからはや10年。私は念願のウェディングプランナーとなり、あの時に受けた感動をまたこうして味わうことが出来ています。これまで何度も失敗もあり、気持ちが折れそうになることもあったけど、やっぱりこの瞬間は何事にも変え難い…

 

 

 

『何度も言わすなトーナ!俺様はニッヒ・ノーマンテスト!フリード王国次期当主となる男だぞ!』

 

『それはお前のバカな兄が退いたらの話だ。私たちはお前と違いそれぞれ王の継承が約束されている身。そうなれば五大国一大国と言われているフリード国も衰退するのは時間の問題だろうな』

 

『そう気を荒だててはいけませんぞトーナ殿。それは父上たちが向こうで解決してくれる問題。我々は約束通り、帰りの遣いを待って居れば良いのです。それに今はせっかくの祝いの場だ。もっと喜びに満ちた気持ちで迎えようではありませんか!』

 

『お前は毎回毎回大袈裟なんだよ。何度も同じもの見せられてみろ。流石の俺でも飽きてくる。俺からしたらお前のリアクションの方が理解できねえ』

 

『トワンペタルの琥珀にシャピルの羽毛をふんだんに使ったドレス。いや、敢えてドワノールのかけらをまぶしたレドラテロンをベースにペユモラの蜜を練り込んだドレスの方が。ふふっ…。この姫君、私の創作意欲をここまで刺激してくれるなんて。気に入ったわ』

 

 

 

 

「ちょっとあんたたち黙ってて!(囁き声)」

 

 

 

 

 

「え?」

 

「ごめんなさい。私ったら。少しはしゃぎ過ぎちゃいました…?」

 

「あーいや!何をおっしゃいますか!開宴前ですもの。ソワソワしてしまうのは無理ないです。なんかさっきからやたら大きな声が聞こえてきてて思わず…。はは。ははははははっ」

 

 

もう。なんで私が取り繕わなきゃいけないのよ。せっかく私が話をしていたのに!

わざとらしく左耳に付けてあるインカムを抑えるもそこからは何も聞こえて来てない。そりゃそうだ。誰もスタッフは話してないんだもん。そんなもんだから私のそばに立つスタッフから奇怪な視線が向けられてくる始末だ。ああ視線が痛い。あいつらのせいでまた変なやつだと思われたよ。

 

本当に聞こえていたこの5人の声の方だけど、新郎新婦スタッフ含めこの場にいる私以外誰にも聞こえていない。なんでこんな声が聞こえるようになったのかっていうのは色々訳があるんだけどね…。でも決して幽霊や幻聴といったオカルトちっくなものじゃない。正真正銘の人の声。けれどただの人じゃない。この声の子たち、本物の王子様やお姫様たちなの。正確に言うなら別の世界の、らしいけど。

あ。

今度は本当にインカムが作動した。中にいるスタッフから連絡が入る。入場の合図が間も無く出される内容だった。

 

 

「では間も無く入場になります!お二人共最高の笑顔で参りましょう」

 

 

遂に披露宴が開演する。ふぅ。こっちまで緊張してきた。やっぱまだ慣れないね。とりあえず話の続きはまた今度ね。終始話の腰を折られっぱなしだったけど、また時間ある時にちゃんと話すから。それじゃあ行ってきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

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