トネリコの冒険 ~ハイ・ラガード冒険譚~ 作:頭世界樹の冒険者
初投稿です。
偉大なる先駆者様…はほとんどいないので私が先駆者になります。(傲慢)
皆、鬼畜なRPGは好きだよな!!
初投稿です。(大事なことなので(ry
大陸の遙か北方に広がる高地。そこには巨大な樹を街の神木と崇める【ハイ・ラガード公国】があった。その公国の神木は【世界樹】と呼ばれ、その天高く伸びる樹は【空飛ぶ城】へと繋がっているという伝説があった。
そんな伝説の木の中にあるとき謎の遺跡群と未知の動植物を内包した巨大な自然の迷宮が見つかったのだ。
その地を治める大公は、その迷宮を調べ空飛ぶ城の伝説の真偽を確かめるために大陸全土に触れを出した。
空飛ぶ城の伝説と広大な迷宮……。この触れは冒険者たちの心を捕らえ多くの者たちが公国に訪れた。
……しかし、どんなに多くの冒険者が集まろうと、その迷宮を踏破し伝説を解明する者は現れなかった。
故に今も尚、世界樹はその堂々たる姿をハイ・ラガード公国の中心にて構えているのであった。
これは、そんな迷宮に挑むとある冒険者達の物語である。
◇
ーハイ・ラガード公国 公国中央市街ー
大公の触れが出てから今まで以上の活気を見せているハイ・ラガード公国。
その中でも特に人が多く賑わっている公国中央市街では、皇帝ノ月の1日……年始めということもあってかいつも以上に冒険者達、そして新たに冒険者になろうとする者達で溢れかえっていた。
ある者は自らの武勇を示す為に迷宮を目指し、ある者は地位と名誉の為に迷宮を目指す。中には一攫千金の宝を求めて、という者もいるのかもしれない。
迷宮を目指す理由は千差万別であり、共通しているのは皆、その胸に大いなる夢と希望を抱いているということだろう。
「ここがハイ・ラガード公国……そしてあれがその象徴たる世界樹……!!」
……その中心にある大理石で造られた広場にて、一人の少女がその金糸を編んだかのような美しい金髪を翻しながら呟く。
年の頃は17程であろうか。パッチリとした大粒の瞳、スッと通っている鼻筋、つるりとしたシミ一つない肌の端整な顔立ちには、見る者を引きつけるような可憐な魅力があった。
そしてその傍らには少女の華奢な体の軽く2倍程度はある大きな縞模様の毛皮を持った虎が忠実な従者のように
その虎がまるで何かを問うように金髪の少女に対して視線を向けた。
「ええ、大丈夫よ'アキレア,……!! ようやくここまで来たんだものっ!! きっとすぐに仲間も集まるわ……!!
そう言うと金髪の少女は大虎の(本当に大丈夫なのだろうか……)とでも言いたげな視線などまるで意に介さず、その宝石のような碧眼を輝かせながら今にも歌い出しそうな程に弾んだ声で続ける。
「それにもしも仲間が集まらなくてもアキレア、貴方がいてくれるじゃない? ならきっと大丈夫よ!! ……きっと、ね?」
「……グルゥ……」
最後の最後で自信なさげに声を落とす己が主に対して溜息をつくような所作を見せると大虎は──アキレアは立ち上がる。
その大きさに周りの人々は皆一様にギョッとした顔をするが、注目を浴びるのに慣れているのか当の本人が気にしている様子はない。
「さてと、じゃあ一先ずは……」
そこで言葉を区切ると金髪の少女──トネリコは笑顔で振り返りながら言う。
「冒険者ギルドに向かいましょうか!!」
◇
「やっぱり大通りは人が多くて賑わっているわね!!」
「ガゥ!!」
◇
「ん…いい匂いが………あっ!!あんなところに美味しそうなお店があるわ!!除いてみましょう?」
「…ガゥ!!」
◇
「さっき親切な店主さんに聞いたのだけど、どうやらこの道を進むと近道のようね!!…行きましょう!!」
「………」
◇
「…………」
「………」
◇
「……迷ったわ……!!」
あれほどまでに冒険の始まりを予期させることを言っておきながら現在、トネリコは冒険者ギルドではなく市街地を大きく逸れた路地裏に佇んでいた。
辺りを見渡しても石造りの壁が無機質に並んでいるだけで、どう見ても冒険者ギルドが近くにあるとは思えない静けさだった。
その傍では(またか……)という具合の顔をした大虎が冷たい大理石の道に伏せている。
そう、トネリコは致命的なまでに方向音痴だった。地図を逆さに読むのは当たり前、目的地とは真逆の方向に行くことすら一度や二度ではなかった。
『地図? よくわからないけれどコッチの方向に進めばいいのね!!』
この一言に一体どれだけアキレアが振り回されてきたのかは、今の彼の顔を見れば想像に難くないだろう。
トネリコが
そしてそれらがない今、どうなるのかは火を見るよりも明らかであった。
「それにしても、う~ん……どうしたものかしら……」
トネリコが形のいい眉をしかめながら唸っていると不意にアキレアがその巨大な体躯を持ち上げて起き上がる。
「……? 、どうかしたのアキレア? ひょっとしてお腹が空いたのかしら?」
しかし、アキレアはその問いに答えることなくノソリ……と路地裏の奥へと歩いて行ってしまう。
「アキレア……? 一体どうし……ハッ!! もしかして道がわかったのかしら!! 流石はアキレアね!!」
トネリコは一人納得すると、急いでその縞模様の体躯を追って路地裏の奥に駆けていくのだった。
◇
「ハァ……ハァ……ッち、ちょっとアキレア……。い……一度止まってくれない……かしら……」
あれから暫くして、頭の上を太陽が越えてもトネリコとアキレアは路地裏を抜けることが出来ていなかった。
と、いうのもアキレアの歩幅にトネリコが合わせると自然、体格差によって体力を大幅に消費することになるからだ。
しかも歩いている最中も事あるごとに話し続けていたのである意味で、この結果は起こるべくして起こった必然と言えるのかもしれない。
「……」
「うぐっ……!! し……仕方ないでしょう……初めての他国……それも憧れの冒険者の集う国とあって気分が高揚していたのよ…………」
アキレアのまるで呆れた者を見るような冷ややかな視線に晒されたトネリコはバツが悪そうにそう言葉を漏らした。
やがて息を整えることができたトネリコはそれでもまだ幾分か頬を上気させながら言葉を紡ぎだす。
「でも、どうしたものかしら……。アキレア? 近くに何か近道のようなものはないの……?」
主人からの僅かばかりの期待の込もった問いに、しかし、アキレアは首を横に振ることで応える。
そしてまるで急かすように鼻でトネリコの背を押──そうとして不意に顔を前方に向ける。
「……? 、アキレア? 一体何を見て──あら?」
アキレアに釣られて顔を前方に向けるとそこには一人の男が立っていた。
身長はトネリコよりも頭一つ分程大きく、茶色い髪をカーキ色の防寒帽子に収め、同色のコートを纏い、肩には一挺の銃が掛けられている。
何処となく草臥れたような、そんな印象を与える男だった。
(見た目からして《ガンナー》職の冒険者……?)
そう思いながら見ていると向こうもこちらに気づいた様子で灰色の目を向けながらゆっくりと近づき、抑揚の薄い無機質な声で話し掛けてきた。
「……何か、用か?」
「…………えっ? あ、あぁ……実は──」
突然話し掛けられて少し驚いたものの、トネリコが冒険者ギルドに向かう筈が迷ってしまったこと、この辺りに近道や抜け道のようなものはないか探していること──を告げると男は何処か呆れた様子で答えた。
「……成る程……この国に訪れた冒険者志望か……? しかし、多少迷うことはあれどこんな路地裏にまで迷い込んだのはお前が初めてだろうな……」
「うぅ~……!!」
トネリコが先程とは別の意味で頬を上気させていると男はスッ……とトネリコ達が歩いてきた方向を指差すと呟くように答えた。
「……この路地裏を出る近道はコッチの……、いや、話を聞くにまた迷うかもしれん……付いてくるといい……」
そう告げると男はスタスタと歩いて行ってしまう。慌ててトネリコが(後ろからはのっそりとアキレアが)追いかけると男は一度チラリと振り向き一人と一匹を確認するとそのまま歩き出すのだった。
◇
暫くの間、二人の靴の音と一匹の足音だけが路地裏に響いた。
辺りには他に生物の気配はなく、物音もしない、死んだような静けさだけがこの路地裏を支配しているようだった。
そうして歩いているとふと、トネリコは先程抱いた疑問を思い出し、それを解消するために無言で前を歩く男に話し掛ける。
「ねぇ、その装備からして貴方は冒険者だったりするのかしら?」
「……」
初対面にもかかわらず物怖じせずに話し掛けるトネリコに対し、男は一つ溜息をついてから答えた。
「……そうだ、と言ってもそんなご大層な者じゃあないが、ね……」
しかし、その答えを聞くとトネリコは目を輝かせながら質問を続ける。
「!! やっぱり思った通りね!! ということは貴方も何かを求めてあの世界樹の迷宮に挑んでいるのかしら!?」
やや興奮気味に放たれたその問いに対して男は、その薄い唇を自嘲的に歪め嘲笑うかのように答えた。
「……だったら良かったんだがねぇ……」
「……? それはどういう」
「ことなの?」と続けようとしたトネリコの前で男はピタリと歩を止めると振り返りながら言葉を発した。
「……さて、自分の案内はここまでだ、後はこの道を真っ直ぐに抜ければ大通りに出るだろう」
そう答えると男は役目は終わったとばかりに壁に背を付け、口を閉ざす。
近づいてみるとうっすらだが太陽の光が見え、活気のある喧噪が聞こえてきた。
「!! 本当だわ!! ありがとう、冒険者の──ってあら?」
トネリコが案内の礼を言おうと後ろを振り返るとそこには見慣れた縞模様の大虎……アキレアが立っているだけでコートの男など見る影もなかった。
辺りを軽く見渡すもそれらしい人影は何処にも見当たらない。アキレアにも目で問い掛けてみるがまるで'わからない,とでも言うように首を横に振るだけである。
唐突に現れたかと思えば、唐突に姿を消した謎のコートの冒険者……。
そのことに何処か釈然としないものを覚えつつも気を取り直して大通りに出るトネリコ。
そこは数時間前までいたハイ・ラガード公国中央市街に違いなかった。
そのことを確認すると大きく息を吸い、まるで何かを宣言するように声を発した。
「さあ……いよいよね!! この一歩から私の……私達の冒険は始まるのよ!! 行きましょう、アキレア!!」
「……ガルウゥ……!!」
そう言うとトネリコは堅い石畳の道を踏みしめ、〝