トネリコの冒険 ~ハイ・ラガード冒険譚~   作:頭世界樹の冒険者

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 ぬぉぉぉ!!文章書くの難しいスギィ!!

 え?これって自分だけか?違うよな、違うって言ってくれ頼むから(懇願)

 ゲーム内で防具を買う金が尽きたので初投稿です。



第二話 鋼の刺魚亭

 

 

 

【酒場】──そう聞くと一般的に想起されるのは、皆で飲み食いしながら騒ぐ……そういった店のことだろう。

 

 

 しかし、冒険者達にとっての酒場とは、それだけではなく──勿論そういった部分もあるにはあるが──もう一つ、ある重要な側面を持っている。

 

 

 それは【クエスト】と呼称される仕事を受けるための窓口としての役割であり、また、冒険者ギルドに次ぐ情報交換の場でもあるという点だ。

 

 

 よく、こ公国に来て日の浅い者達は勘違いしがちなのだが、冒険者ギルドとはあくまで「ギルドを管理している組織」であって、「冒険者達に仕事を卸す役割」を果たしているわけではないのである。

 

 

 そしてその役割を冒険者ギルドに代わって遂行しているのが酒場……皆の憩いの場でありながら同時に、冒険者達に仕事を卸す仲介人なのだ。

 

 

 

 

 つまるところ酒場とは、冒険者達にとって切っても切れない重要なものであり、ある意味では冒険者ギルドよりも遙かに密接な関係であると言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 ー公国中央市街 鋼の刺魚亭ー

 

 

 現在時刻午後11時、日中は活気と喧噪に満ちていた中央市街も、この時間になると包み込むような静寂と、遠くから聞こえる野犬の遠吠えの他に聞こえるものもない程に静かだ。

 

 辺りに人影は全くと言っていい程見当たらず、あれだけ人通りが多かった大通りも今は、死んだような冷たさだけを残して静まり返っていた。

 

 ここハイ・ラガード公国では余程の事情がない限り、皆、午後9時を回る頃には就寝の準備に入っていることが多い。

 

 というのも、日中には精力的に活動している分、夜はしっかりと睡眠を取るべきだ──と、他ならぬこの地を治める大公自身がそうしている為に、皆それに倣って夜は十分な休息を取るようにしているのだ。

 

 稀に、未だ灯りのついている家々もあるようだが、それもやがて暫くするとポツリポツリと消えていく。

 

 商人達は明日の商売に備えて考えを巡らしながら、一般公国民達は明日もまた、いつも通りの平穏であることを願いながら……一人、また一人と夢の世界へ旅立っていくのだった。

 

 そうして人々がすっかり寝静まる頃、冒険者達の様子はと言うと、明日の樹海の探索に備えて早々に就寝する者、こんな時間でも営業している数少ない場所である酒場にて、酔い潰れている者、極めて少数ではあるものの、この時間から樹海の迷宮探索に赴く者……等々に分かれ、それぞれが銘々に夜明けまでの長い時間を過ごしているようだ。

 

 どうやら余程の事情がなければ……という定石に冒険者を生業とする者は当て嵌まらないらしい。

 

 

 ──そして、それはここ、鋼の刺魚亭においても変わらないようだった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「……嬢ちゃん()……」

 

 

 何処となくエキゾチックな雰囲気漂う店内で、この鋼の刺魚亭の店主──アントニオが口を開き、その低い声を響かせる。

 

 彼の立つカウンターの前には二人(・・)の冒険者が座っているようで、床には一匹の大虎がまるでリラックスでもするかのように、泰然自若とした態度で伏せっていた。

 

 店内には三人……二人と一匹の他に客の姿はなく、昼間人の声に満ち溢れているこの店にとっては珍しい、静謐とした空気が流れていた。

 

 そんな中、アントニオは言葉を続ける。

 

 

「やっぱりもう寝たほうがいいんじゃねぇのか? 俺も今日はもう店仕舞いするからよぉ……」

 

「…………んに?」

 

 

 アントニオの言葉にカウンターに座る冒険者──トネリコは気の抜けたような、声ですらない音で返答すると、うつら……うつら……と船を漕ぎ出してしまった。

 

 そしてもう一人の方の冒険者──見た所《ダークハンター》職業の冒険者だろうか──は返事すらせずに涎を垂らしながら熟睡しているようだった。

 

 そんな彼女達(・・・)の様子を見てアントニオは、その体格に見合った大きな溜息をつくと、呆れを隠さずに声を出す。

 

 

「おいおい、ここは酒場のカウンターであって眠る場所じゃねぇんだぜ? 眠るんなら二階にあるベッドで眠りな」

 

 

 それに……とアントニオは一呼吸入れると、

 

 

「そもそも嬢ちゃん達が起きてたいっつうからこっちも店閉めずに付き合ってんだろうがよぉ」

 

 

 と呆れと疲れを綯い交ぜにした声でポツリと零した。

 

 どうしてこうなったんだ……と、アントニオは疲労した頭に鞭打ちながら記憶を引っ張り出す。そう、確かあれ(・・)はトネリコを店に迎え入れた直後のことだ──

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「改めてありがとう!! 酒場のおじ……アントニオさん!! 正直、断られたらどうしようもなかったから本当に助かるわ!!」

 

「グルゥ……」

 

「へいへい……感謝の言葉なんざいらねぇからよぉ、是非とも俺の店で金を落としていってくれや」

 

 

 何とか泊めてもらうこととなったトネリコとアキレアは店に入るなり、アントニオの顔を見ながら感謝の念を示すが、アントニオは禄に顔も見ずぞんざいにそう返した。

 

 それに対してトネリコはほんのりと赤く、まるで林檎のような頬を膨らませると

 

 

「それは駄目よ!! 感謝の言葉は伝えて……声に出すことで初めて"感謝"として人に届くのよ!! ……それにいらないとは言うけれど、言われて悪い気もしないでしょう?」

 

 

 と、少し怒ったように……しかし最後のほうは悪戯っぽく笑いながらそう言った。その言葉についてアントニオは

 

 

「……まぁ、何だ……そりゃそうだがよぉ……はぁ……あー、はいはいそうだな俺が悪かったよ」

 

 

 そう返すと、この話は終わりだとでも言うように一つ手を打って、「……何か酒精のねぇ飲みモンはなかったっけか……」とぼやきながらわざとらしく探し始めた。

 

 その後ろ姿を見たトネリコとアキレアは顔を見合わせて少し笑い合うと──もっともアキレアの場合一般的な'笑う,よりも遙かに威圧的ではあるが──その背に向けて、トネリコが声を掛ける。

 

 

「ねぇ、そういえばアントニオさん、この時間はもう他のお客さんは誰もいないのかしら? もっとこう、騒がしい所を想像していたのだけれど……」

 

「あーん? そういや嬢ちゃんハイ・ラガード(こ の 国)は初めてか? だったら知らねぇだろうが今日は皇帝の月の1日……一年の始まりだからなぁ……大抵の奴はいつも以上に早く家に帰って家族と過ごしてんだろ……ケッ、ごくろうなこった…………っと、出来たぞ」

 

 

 アントニオはそう返しながら手に持っていたジョッキに飲み物を注ぐと、トネリコの前にあるカウンターにドン、と置いた。見ればそこには大ジョッキになみなみと注がれた、綺麗な琥珀色の液体があった。

 

 それにを見たトネリコは慌てたように言葉を発する。

 

 

「えぇ!? ちょっ……ちょっと私頼んでないわ!! も……持ち合わせあったかしら!?」

 

 

 そう言って財布代わりの皮袋を探り出すと漁りだすトネリコ、そんなトネリコを見てアントニオはニヤリと笑うと、

 

 

「なぁに、これから嬢ちゃん達が名を上げてからの出世払いってことにしてやるよ……目先の儲けよりも後を見据えるってのが経営のコツなんだぜ」

 

 

 と答え、飲めよと促すようなジェスチャーをする。

 

 トネリコはペコリと頭を下げて「いただきます……」と言いながら、恐る恐る飲み物に口を付けた。

 

 そして今まで飲んだことのない爽やかなその味に目を丸くすると、その透明感のある液体を夢中で渇いた体に流し込んだ。

 

 すぐ傍の床では、皿に注いで出された同じ飲み物をアキレアが飲み出すが彼も気に入ったのか、ものの数秒で完飲してしまい、満足気に舌舐めずりをしている。

 

 暫く余韻に浸るトネリコはハッと我に返ると、この飲み物の正体を知るためにアントニオに質問を投げ掛けた。

 

 

「……アントニオさん……これは!? この素晴らしい飲み物は一体何という飲み物なの!?」

 

「おっ気になるか? そりゃあ勿論企業秘密って奴で……あー嘘、嘘だからそんな捨てられた犬みてぇな目で見んでくれ」

 

 

 そこでアントニオは一つ咳払いをして仕切り直すともっともらしく答えた。

 

 

「そいつは樹海……こっからでも見える世界樹にある迷宮で取れる'すっぱい実,を使った果実水(ジュース)だな、嬢ちゃん達も冒険者を目指して来たんだろう? だったら覚えときな……樹海の恩恵ってのはこういう形でも俺達の暮らしに溶け込んでんだよ」

 

 

 そうして自分の知識を伝授して何処か得意気なアントニオ、そんな彼にトネリコが言葉を掛けようと──口を開こうとしたその時、静な店内にカラン……カラン……というベルの音が反響する。

 

 急なことに驚くトネリコが後ろにあった扉を見ると、そこには一人の女冒険者が立っていた。

 

 背丈はトネリコよりも僅かに高い程度だったが、しかし、その肢体は殆ど同じ身長のはずのトネリコには決して出せない、色気があった。そして男性は勿論のこと女性すらも思わず振り返るその体は、黒いレザー生地で出来た扇情的な衣装に包まれている。

 

 艶のある髪はピンク色で、その黒い服装との組み合わせも相まって全体的に派手な印象を与えている。

 

 そんな彼女は、突然色彩の濃い人物が目の前に現れて目を白黒させるトネリコとアントニオ、それから興味なさげに目を逸らすアキレアを順番に見ると、口角をつり上げながらそのよく通るハスキーな声を店内に響かせた。

 

 

「ちょっとそこの貴女……仲間を探してるんですってねぇ……」

 

 

 そう言いながらトネリコへと体を向ける女冒険者……「何故そのことを知っているのか」と問う暇もなく、彼女は畳み掛けるように言葉を続け、

 

 

「なら貴女はとても幸運よ……何しろこのワタシ……'カトレア,様が仲間になってあげるのだから!!」

 

 

 と、呆気にとられるトネリコに対して、そう宣言するのだった──

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 ────ガタン!! 

 

 

「おっと!! ……あー……そうだった……んであの後意気投合したこいつらがさらに盛り上がって……ピンクの方が朝まで飲むとか言い出して……嬢ちゃんも場酔いして乗っかって……今に至る、と」

 

 

 手からジョッキが落ちる音で回想から戻ったアントニオ。ふと、壁に掛かっている時計に目を向けると、時刻を示す短針は三の数字を指していた。

 

 どうやら、回想に浸っている内に随分と時間が経っていたらしい──何とか考えが纏まった頭を振って、疲労に支配された意識を幾分かハッキリさせる。

 

 正直、明日の開店準備もあるのでさっさと眠りたい気持ちで胸がいっぱいだった彼だが、あいにくまだやるべき使命(こと)が残っていた。彼女達(この荷物)を二階の部屋まで運ぶという使命(こと)が。

 

 一瞬、このまま放置してやろうかとも考えたがやはり、生来もっての面倒見の良さからその選択が取れないアントニオ。彼はカトレア(ピンク髪)トネリコ(金髪)をそれぞれ見てから、一人ごちた。

 

 

「これ、こいつら明日になっても今日の狂宴(こと)覚えてんのか……?」

 

 

 とりあえず「まあ、それはこいつらで何とかするだろう……」と考えることにして、現実からそっと目を逸らすアントニオ。そして一先ず目先の問題を解決するべく、今も床に寝そべっているアキレアに声を掛けた。

 

 

「おい、そこのデケェ虎……じゃねぇ、アキレアだったか。悪ぃがピンクのは俺が運ぶから、お前のご主人サマはお前で運んでくれや」

 

 

 そう言うと彼はピンク髪の冒険者──カトレアを雑に担ぐと階段をゆっくりと上っていった。

 

 

 

 ……そうして一匹残されたアキレアは、カウンターに突っ伏して、元一国の姫とは思えない程だらしない寝顔を晒す自らの主人を軽く足ではたくと、そのまま器用に口でくわえて引き倒すと、ずるずると引きずりながら階段を上るのだった。

 

 

 






 書いてて思ったんやが、アントニオ、頼まれてないのに飲み物押しつけて実質断れなくして買わせるって割と強かやな…

 topic 職業

 現在出ている職業を軽く解説
・ガンナー……後方支援に長けた職業、その名の通り銃を使う。弓は使えない。育成次第ではあるが、火力にも妨害にもなる優秀な(個人の感想)職業。余談だが一作前の《新世界樹の迷宮 ミレニアムの少女》
ではストーリーのヒロインがこの職業だったので優遇されていた。

・ダークハンター……前衛での火力職、火力職の宿命なのか装甲は障子の和紙より脆い。かなりクセのある職業で相手の頭、腕、脚を縛って妨害しながらエクスタシーという技でロマン砲が出来たりする。今作ではとある事情からかなりの優遇職業である。あと技とか見た目がSMっぽ…(ry

 カトレアのイメージ図 
【挿絵表示】


文章力が欲しい…欲しい…。
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