何かを隠すように降る雨、霧の立ち込める森を抜けると湖がある。その畔に鎮座する、主人の趣味なのであろう火のように……いや、血のように真っ赤に染ったレンガをベースに建てられた屋敷、ここは日本のどこかにある元イギリスNO.1ヒーロー レミィの事務所兼自宅である紅魔館。そこに草陰から紅魔館を観察する男がいた。
彼はヴィランネーム カゲネズミ、裏社会でその名は広く知れ渡っており、なんでも依頼をすれば一週間以内にターゲットの家の間取りから貴重品、果てには対象の首まで持ってくる潜入・窃盗・暗殺のプロである。
今回彼はとある男に依頼された《紅魔館の内部構造の調査》を実行するべくわざわざ雨に濡れながらここまで来たのである。
(塀の外から見た感じ縦約七十五メートル、横二百二十一メートルの三階建てとこれまで調べた屋敷の中で一番デケェ……今後これだけでかい屋敷はねぇに決まってる……やりがいがあるぜ!)
(真正面の門には誰も居……アレ!?居る!?いつの間に……洋風な屋敷に中華風の服着た門番か、統一しろよ……まぁこれで正面は無くなったから唯一窓って言っていいのか分からないステンドグラスの所から入るか)
彼は雨の中立たされている門番を気の毒に思いながら裏の方へと回って行った。
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「へっくちゅん!!!う〜酷いです!雨が降っているのに門番やっとけって……こういう時は素数を数えて無心に心頭滅却すれば雨もまた心地よしです!えーっと…2、3、5、7、11、13、んー…17、19、2…3!アレ?27は素数だっけ?……ま、いっか!27、29……んぐー……ぐー……」
お休みめーりん、風邪ひくなよ
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ところ変わって紅魔館内部。何とか侵入に成功した彼だったが、ここである違和感を覚える。
(三階建てと思っていたが俺の見当違いか?それとも実は中は全部こうなってるってことか?)
彼が不思議に思うのも無理はない。何故なら彼の目の前には天井が見えないほどの広さを持ち、壁一面の本棚にビッシリ埋まった本が見えるのだから。
(な、なんだよこれ!?これじゃ詳しい間取りが分からねぇじゃねーか!マズイ!依頼に失敗するのは俺がこれまで築き上げてきた"カゲネズミ”の名前に傷がつく……だが俺は依頼を遂行する!元イギリスNO.1ヒーローの自宅だぞ!このカゲネズミに盗って来れないものは無い!)
なんて素晴らしい仕事に対する熱意だろうやってる事は不法侵入だが、
「どちら様ですか?」
「ッッ!」
彼が振り返ったそこには綺麗な赤い髪をした女性がいた。よく見ると背中にある小さな羽で浮遊しているそういう個性だろうか……
「今日はお客様がいらっしゃると聞いてないのですが……」
「あ、あぁ私は富田と申します。今日は元イギリスNO.1ヒーロー レミィへの取材で訪れていまして、屋敷に入ったところ道に迷ってしまいまして」
(苦しいか?この言い訳は苦しいか?)
「へ?そうでしたか!主人は少し抜けてるところがありまして取材の事も連絡し忘れたのでしょう……」
(セーフ!)
「では、私はこれで」
「はーい!ごゆっくりどうぞ〜」
(チッ!あまり調査できなかった……まぁ仕方ない大まかな情報だけでも手に入れられただけマシだろう)
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「パチュリー様、侵入者です」
「えーなんで入られんのよ〜全く美鈴は何してるんだか……レミィには?」
「既に連絡済みです」
「そ、じゃあ紅魔館の出入口全部封鎖しとくわね。今日の撃退当番は?」
「咲夜さんですね」
「あーあ、そいつ死ぬわね精神的に」
「確かにあの人侵入者にイタズラをしかけて驚かすの好きですもんね……」
「徹底的に恐怖を与えるもの、私も前見た時同情しちゃった」
「では安心ですね」
パチュリーは小悪魔の言葉に微笑みながら頷くのだった。
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部屋で仕事をしていた咲夜に連絡係のメイドが侵入者のことを伝えると、
「そうですか……分かりました。もう下がっていいですよ」
メイドが去ると部屋で咲夜は、
「ふふふ、どうしてやろうかしら」
口は笑っていても目が冷たく光るのだった。
続きます