リコリスinタルコフ   作:奥の手

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二週連続幕間で申し訳ない……。
大きな病院の世話になるほどの腹痛をプレゼントされたんだけど送り主が不明ときた。
原因不明のハライタを沈痛キメながらしばらく抑え込む生活になりそう。まともに執筆時間が取れなくてこのザマだ。許しておくれ。入院生活は回避した。

てなわけで、久しぶりのイレーネ回。
短いけど寄ってってくれるとうれしいねぇ。


幕間:ある女の非日常②

 当たり前の話だけど、情報には信用できるものとできないものがある。

 何をもって信用できると判断するのか? そんなのいくらでも変わる。きっと状況や場面、場所、戦闘中か否か、利益があるかないか。どこから出てきた情報なのか。誰がもたらした情報なのか。ね、考えだしたらキリがない。

 

 ただもっとも信用できるのは自分で確かめたことだろうし、もっとも信用できないのは道端で聞いた立ち話になるか。

 

 その意味では、これからハチと一緒に向かう〝情報屋〟との取引は、どちらかというと信用できない部類に入ると思う。

 アタシは座った姿勢のまま手元のAKS74-Uに一度視線を向けて、左右からその姿をまじまじと観察した。

 

 ここは廃工場。いや、この街に稼働している工場なんてもうないからどこも廃工場だけど、たぶんここは契約戦争前から事業を停止していたと思う。

 錆びついた機械や苔むした壁がそれを裏付けている。ハチとアタシは小休止のつもりで、かつてベルトコンベアだったであろう製造ラインに並んで腰かけていた。

 

「使い始めて三日目か? どうだ」

 

 すぐ隣でアタシの様子が目に入ったらしい。ハチはタバコの灰を地面に落としながら、静かに尋ねた。

 

「反動がちょっときついけど、扱えないほどじゃない。重さもさほど変わらないし、何より弾が強い。ベクターは頭をちゃんと狙わないとダメだったけど、こっちは相手次第で胸でもいい。そこら辺のスカブが喜んで胸で受けてくれるよ」

「だろう。45口径は優秀な弾だがアーマーを着た奴には分が悪い。それにその銃の弾は手に入りやすい。経戦能力ってやつに優れている」

「その点はハチの銃(MCX)にも勝っちゃうね」

「俺は無駄撃ちはしない」

「まるでアタシが無駄撃ちするみたいに言うじゃん」

 

 隣に座るハチの脇腹を小突いてやって、アタシはAKS74-Uから右手を離して、地面に置いた缶コーラの中身を煽った。ぬるいコーラは甘さが余計に増してくる。お情け程度の炭酸を喉に感じながら、さしておいしくも思わずに胃の中に押し込んだ。つまるところこんなものはただの水分と糖分の補給にしかならない。

 

「あとどれくらい?」

「この先北に五キロってところか」

 

 タバコの煙を満足げに燻らせながらハチがつぶやく。

 五キロ? んなわけ。

 

「直線距離でしょ」

「バレたか」

「迂回路含めたら十キロくらい移動しなきゃでしょ」

「だろうな。めんどくさいのが縄張りにしてるって()()だ」

「兄貴とアッキーもいれば掃除がてら突っ切れたろうにね」

 

 ハチは含み笑いを浮かべて肩を揺らしながら「まぁしゃあないだろ」とタバコに口を付けて先端を赤く灯らせた。

 

「割のいい仕事の期限が迫ってんだ。ジャックとアッキーが進めた仕事に俺らが口出しするのは違うだろうよ」

「それはそう」

「たかがお使いにわざわざ四人そろっていくこともないしな」

「お使いねぇ」

 

 アタシはコーラを地面に置いて、腰のホルスターからサイドアームを抜いた。手の中のM1911A1に廃工場の天井窓から差し込んだ光が鈍く反射する。

 ハチから渡されたカスタムパーツを組み込んだ、ずいぶんモダンな仕上がりのガバメント。握りやすく扱いやすい。そしてベクターの頃から()()()()()45口径がこれには詰まっている。

 

「こいつを使わなきゃいけないようなことにはなってほしくないけど」

「お前は知らんだろうが、俺らが長く取引をしている人物からの紹介だ。お互いにトラブルは避けたいだろうし、血が流れるのも嫌うはずだ」

「どうだか」

 

 腰のホルスターに拳銃を戻す。

 コーラの缶に残った最後の一口を飲み込んで、甘ったるくぬるい炭酸の余韻を感じながら缶をつぶして地面に置いた。

 立ち上がる。ハチもちょうどよくタバコを吸い終わり満足した様子だった。

 

 自分の銃をもう一度軽く確認して、いつでも引き金を引けば弾が出る状態にしておく。ハチも軽く装備の点検を済ませた。

 

「なんであんたとアッキーの取引してた連中が、千束ちゃんとたきなちゃんの名前を出してきたのかがわからない。そこが一番引っかかる」

「俺とアッキーもあの二人のことを知っているし、たまたま先方にも名前が知れていた……って偶然かね」

「本気で言ってんの?」

「んなわけないだろ。俺だって警戒はしている。ただ、こういう閉鎖的な街だ。情報なんてのはそれを商品にしようとしてる連中にしてみれば、手のひらの上で転がせるもんだろうよ」

 

 ハチが歩きだしたので、アタシもその後ろをついていく。これから廃工場を出て、北へ抜けるルートをしばらく進み、どこかで迂回する。

 外に出ると、先ほどより雲が多くなっていた。昼下がりのこの時間。おそらく日没までに取引現場まで向かうのは無理だろう。

 余裕を持った移動スケジュールを組んで正解だった。近く雨が降る。

 

「俺らは、その商品を買ってあのおかしな女子高生二人組と再会するわけだ」

「偽情報だったら殺していい?」

「誰を」

「あんたの取引先とその情報屋」

「俺の話聞いてたか……?」

 

 あきれ顔で肩を落としたハチに、とりあえず「冗談よ」と言っておいた。

 全然冗談のつもりではないし千束ちゃんとたきなちゃんをダシに使うようなクズは殺すつもりだけど、今それは言わなくてもいいかな。




そういえばワイプが来たんだよね。
奥の手はワイプダッシュどうなったかって?
ベットの上でタルコフから脱出できるなら神様とニキータにハグしたいよ(意訳:アプデすらしてないよ)
当分はPvEで遊ぶだろうし、そもそもリアルボディの沈痛が切れたら余暇どころじゃないからね。

……おれ、元気になったら遊ぶんだ。UZIを買うつもりでさ、軽い装備で極力接敵を避けたりして。やむを得ない時には9mmをぶっ放したりしちゃってさ。そんでリワークされたファクトリーを楽しむんだ。いいよな、雰囲気あってよあそこ。おれも(以下略
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