金の笛を奏でて   作:frio

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私はすべてのユニットが好きですが、特別に好きなのはニーゴです。


暁の日
第一話「私の平凡な日常」


 朝食。それは、朝の始まりを告げる素敵な一時。

 

 ゆで卵を作った後、殻を簡単に向くため冷水に着けている間に、ブロッコリーをゆでる。チン、とパンが焼けた合図を聞きながら、ゆで卵を潰しつつブロッコリーとマヨネーズを混ぜ合わせ、パンの上に乗せる。

 ゆで卵はいい。高濃度のたんぱく質、いくらでもアレンジが効くポテンシャル、一つ食べた時の満足感…。同じく野菜の中でもトップランクに食べただけで満足感を与える、ブロッコリーと合わせれば、お昼を食いそびれても小食の人であれば一日満足に活動ができるほどの、ボリューミーなご飯となるだろう。

 

 できたご飯を、私の分はさっさと食べ終わらせ、寝坊助な同居人のためにすぐに食べれるようにしている朝食を、ラップしながら冷蔵庫にしまう。ご飯できていると知らせるための張り紙を冷蔵庫に張り付け、カバンと鉄の塊が入ったケースを抱え、学校へと向かう。

 

 春先の太陽に目をやられながら、今日も一日自由気ままな学校生活が始まった。

 

 

 

 いっけなーい登校登校。

 私は【暁 燈】。どこにでもいる16歳の高校二“年”生“‼

 

 脳内で昨日見ていたアニメのセリフを全力て呟きながら、トランペットが入ったケースを片手に全力疾走をする。ちなみに歩いていても全然間に合うが、屋上でトランペット練習が待っているんだ時間がもったいない。

 アニメの某セリフを脳内で唱えると、同居人とアニメ鑑賞をしていた時のことを思いだす。せっかく一緒にいるから、作曲活動の邪魔にならない程度にアニメや音楽の鑑賞会をするのだが、昨日のアニメ鑑賞の時、無表情でおもろって言っていた私に若干引いていたことも一緒に思い出してしまった。全人類見ろ、これが若さだ。

 

 ちょうど校門が開いたタイミングで到着する。元気に挨拶をすると、もうちょっと笑顔でもいいのではと先生から苦言をもらった。仕方ないのでアルカイックスマイルを見せつけもう一度挨拶。もういいと言われてしまった。

 

 屋上で『悲しみの果て』を吹き鳴らす。ミュート付きのため私のイヤホン越しでしか響かないが、いい感じに感情が乗って音を奏でることができた。高い金を払って買った機材だ、大切にしなければ。

 …奏でる。同居人の名前は【宵崎 奏】で、奏でるという文字を使うだけでその子を思うくらいには、心配と執着を生んでしまっているのだなぁと他人事のように思う。いろいろあって、曲を作り人々を救うため、自分をささげるという呪いにかかってしまっている子だ。

 

 同い年ではあるが、昔の可愛いころと比べ、さらに儚さを纏った禊の子に、捧げると気持ちを込めてミュートを外しドビュッシーの『月の光』を奏でる。一度、ミュートなしで屋上練習していた時、先生から怒られつつ「もし音を出すのであれば、一曲だけならしてもいい」と許されるようになってから、奏に捧げる曲ばかり吹くようになった。

 

 叔父さんのことはとても残念だと思う。自分のせいだと、贖罪をするかのように言われたときは、自責に駆られても仕方がないとは思った。

でも、それでも、きっと…これはただの希望でしかないのかもだけど、叔父さんは今でもあなたのことを愛しているはずだし、元気になったらきっと後悔するはずだ。叔父さんが公開することがいいことか悪いことかはさて置いて、それぐらい奏のことが大切なはずなんだ。

 

 だって、とっても素敵な夫婦だったから。

 

 つい、悲しくなりすぎて悲壮感が漂う曲となってしまった。うむ、朝から陰鬱なのは良くない。ここはひとつ約束を破り、全力でボカロの『サラマンダー』でも踊り狂いながら吹くべきか…。

 よし、と構えた瞬間、屋上の扉が開かれる。…そっか、もうお客さんが来る時間か。

 

「おはよう、暁さん。」

 

「おはよう、朝比奈さん。」

 

 笑顔で挨拶をする、中学のころからの友人【朝比奈 まふゆ】さんが、今日も今日とて私の演奏を聴きに来た。実はちょっとした因縁があるため、どう接したらいいのかわからないのだが、なんでか因縁ができた以降学校内で練習しているときに見に来るようになった。うーん居たたまれない。

 

 お客さんがいることはいいことである。音は感情が乗ることでさらに良い音楽になるとも言われているのだ、聴かせる人がいるだけで得難い成長につなげることができる。居心地の悪さを振り払い、朝比奈さんへミュートにつなげてあるイアホンの片方を渡す。

 

 朝比奈さんには、決まって奏が作った曲を演奏している。うちの同居人はこんなにも天才なのだと親ばかを多分に含めながら、奏の曲を演奏すると朝比奈さんの反応が少し違うことに気づいてから、奏の曲のメインメロディーだけを聴かせるようになった。

 朝比奈さんがいる時の演奏は、決まって目を閉じて行う。ある日の朝比奈さんへの演奏会で、自分の音に集中しきっていた時ちらっと反応を伺った際、いつもの朝比奈さんとは思えないほど無表情なときがあった。それは決まって奏の曲の時だけで、もしかしたらこの表情の時が一番リラックスできているのかもと思い、それ以降朝比奈さんへの演奏は奏の曲オンリーとなった。

 

 気持ちはわかる。表情や感情を動かすのは疲れやすいから、リラックスしているときはまどろむものだ。まあ、朝比奈さんの表情は、それとはまた違う気もするが。

 

 今日もまた演奏会は始まり、終わりを迎える。朝比奈さんは一言感謝を述べ、自分のクラスへと戻る。私もトイレの水道でマウスピースを洗うために、楽器を片付け屋上を後にした。

 

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