「上がったよ」
背後からシィナの声が聞こえた。バスタオルを胸、鼠径部に巻いている。ロングヘアーは括られており、魅惑的な姿を見せている。
しかし今のレイに彼女を見惚れている余裕はない。自身の連絡先を消された事は、レイを感情的に追い遣る。
「どうして消したの?」
レイの抑揚のない声が部屋に響いた。
「何の事?」
シィナが惚けた。
「ふざけないで!どうして連絡先を消したの!?「みんな」との連絡先を!」
感情的になるレイ。すると、シィナは静かに笑った。
「それはね、レイに振り向いて欲しいと思ったからだよ」
彼女も、抑揚のない声を出す。その言葉は彼女がレイの連絡先を削除した事を認めた事になる。レイにとっては余りに予想外の出来事に、困惑せざるを得ない。
「いつの間に、消したの……?」
「レイがシャワーを浴びている間。疲れてたんだね。ロックも掛けないでシャワー浴びちゃうから。連絡先、消しちゃった。」
人の繋がりを彼女が消す権利はない。レイは憤る。シィナという美少女に対し、怒りを剥き出しにするのだ。
「訳が分からないよ!そんな事をして何になるの!?僕を困らせてどうしたいの!?」
すると、シィナは――
「その顔が見たかったの。レイの怒る顔。それも魅力だから」
と、彼女はレイを褒め始めた。だがこのタイミングで褒められても何も感じない。怒りのみが溢れるだけだ。
「ふざけないでよ!何がしたいのか分からない!僕の事が好きだって言うなら、困らせる事をしないでよ!」
シィナは何故レイにそのような事をするのだろう。彼のプライベートルームの筈のこの空間で、レイはこれまでにない程に怒っている。しかしシィナは彼の言葉に対して笑みを浮かべるばかり。
「レイ。人間関係って何月が経てば変わっていくんだよ。いつまでも同じ人間関係に囚われるのは合理的じゃないんだよ。ステージが進めば、新しい人間関係を構築していくんだ。今のレイは私との人間関係を構築していけば良いんだから」
彼女のエゴだ。何を言っているのかが理解出来ない。
「シィナさんに僕の人間関係を介入される覚えはない!出て行って!こんな事をする為に家に来たのなら、出て行ってよ!」
「嫌……!」
「何で!?ここは僕の家だ!」
「嫌なの!レイとが良いの!お願いだからぁ!」
と、言った時、シィナはレイを抱擁し始めた。唐突の行動ではあるが、レイは今、怒っている。彼女の余りに身勝手な行動を非難している。
その筈なのに、何故、レイは怒りつつも躊躇うのだろうか。
「抱き締められても、嫌なものは嫌なんだ……!」
こうした行動を取る人間に対しては様々な対応をする人間がある。ある時は暴力を。ある時は罵詈雑言を。とにかく当人を否定する言葉を言う。だが、心優しいレイはシィナに対してこれらを行う事が出来ない。
「ウソツキ」
「え……!?」
シィナは朱色の眼でレイの青い眼を捉えた。
「どれだけ感情を吐露しても、結局は私を求めようとしてくれてるんだね。レイのが大きくなってる。私の裸を見て、欲情してくれてる……」
「そんな訳、ない!」
レイはシィナを突き放そうとする。だが、シィナの眼が彼を離さない。何故?彼女は非道な事をした。なのにレイは動けないでいる。
「やっぱりレイは人間なんだ。こう言う事をされたら怒るし、困惑もする。でも、「極限の怒り」じゃないんだよね。だって、私をどこかで許そうとしてるから」
彼女の誘惑はさらに加速する。レイはシィナにいつしか翻弄されそうになっている。
「それにレイは怒っても説得力がないよ。だって、女の子みたいだもの。ホントに、その全てが可愛いの……」
すると、シィナは彼をベッドに押し倒し始めた。彼女の色香に負けてしまったのか?それは分からない。ただ、レイは困惑してばかり。混乱と動揺が同時に迫ってくる。
「レイ、ね?シようよ。怒りなんて全て忘れられるよ?私がレイを満たしてあげたい。そして、私も満ちたいのぉ……!」
正直、否定したいと思っていた。だが彼女の行動はレイを困惑させ、思うように身体を動かさせない。レイに迫るシィナの色香は彼に抵抗させる意欲を失わせるのだ。
「何かやらかしてしまった事に対して、身体でお詫びするのはいつの時代もある事だよ?それに、私はレイと交わる事を望んでいるもの。」
完全に、シィナのペースに飲まれている。駄目だ、このままでは……
「こんなの……こんなのって……!」
「こんなのとかじゃ、ないよ。レイの匂いのするこの空間で私、レイと交われるんだ。幸せだよ。とっても、とっても……ね?」
シィナが、レイの鎖骨部に触れる。そこから指を伝わせ、首筋、頬に触れていく。
彼女の誘惑がレイを飲み込んだ。直後に再び2人は接吻を交わした。レイの中の怒りの感情が収まっていく。絡み合う舌はレイを興奮させる。同時に、シィナも更に欲情させていく。
「む……んぅ……」
「はぁ……んぅ……!」
一方的と思われたシィナからの舌使いはレイを巻き込んでいく。両者の唾液が糸を引き、接吻は一度中断する。
「レイの唇はホントに柔らかくて気持ち良い……」
「は……ぁぁ……」
官能的なシィナの動きに惑わされる。そのまま彼女はレイの乳頭部を指で触れ、更には口唇で触れる。柔い感触はレイの吐息を掻き出していく。
「んぅ……ああッ……!」
やがて、シィナはレイの秘部に指を絡め、纏う下着を指で下ろし、レイの象徴を出現させる。
そこから行われる口唇での行為はレイを快楽に追い遣っていく。自分しか知らない筈のベッドの上で、銀髪の美少女が彼を翻弄し、彼に嬌声を上げさせる。
「んあッ……!ふぁぅ!」
官能的で情けない声。だがシィナはこの声を聞き、更に行動をエスカレートさせる。
魅惑的な肢体はレイを包む。美少女同士の交わりに見える光景。1人の少年が眠っていたベッドの上で、2人の美しい人間達は身体を預け合っていく。
「レイの味だね。けど、不思議な味。ほんのり甘い感じ」
彼女の感想なのだろう。しかし今のレイにそれを聞く余裕は、全くない。
「ふぁっ……ああッ!」
口唇による行為はエスカレートする。柔らかくこそばゆい感覚はレイを更に追い込んでいくのだ。