光と殻   作:すからぁ

22 / 53
※一部性描写注意


第七話 ホーム・コンタクト その3

シィナの誘惑はレイを翻弄し、彼の怒りは完全になくなっていた。レイを想う彼女は彼の為に身体を使い、レイの上で腰を振っている。それは、彼にしか見せない筈の姿。揺れる乳房は視覚的な刺激としてレイに見せるのだ。

 

「はぁ……はぁぁッ……!」

「イイの……イイ……!レイ……気持ち良いよ……」

「シィナ……さん……!んあッ……あぅぅ……!」

 

騎乗の如く動くシィナ。彼女の姿に翻弄され、秘部に感じる刺激は一枚の膜を隔てていても感じるものであり、ある種の麻薬のような快楽を生み出している。

 人間は快楽に勝てない。その状態を求める為に何らかの依存をする。これが人間の中に存在している本来の麻薬のようなものならば、人がこうした行為を報酬として動くのも納得が出来る事だ。

 それからレイはシィナを、犯し続けた。対面座位では彼女と接吻をしながら腰を振り、後背位では彼女が身体を伸展させているところに秘部を当て、腰を振り続ける。それから得られる快楽は最早言い表す事が出来ない……

 

「あっ……ああッ……!ンあッ……!」

「レイ……イク……?イクの……?」

「イク……!イクぅ……!あッ……ああッ!」

 

レイは果てる。白濁液はゴムの膜内で包まれ、欲望の象徴としてベッドに落ちていく。

 何度もシィナを犯したレイはベッドの上でぐったりとしてしまった。完全に、勢いではあったが2人は再び交わった。性交渉を目的とした関係は2人をいつしか興奮状態にさせ、快楽に導いたのだろう。

「セックスフレンドの関係なのにキスして、何回もするなんて。本当にレイは私を求めてくれてる。私、それが嬉しいんだ」

朱色の眼がレイを見る。レイは彼女の視線を直視出来ない。見るのが恥ずかしくて堪らないのだ。

「嫌だよ……僕はあんな情けない声を上げたくなかった……」

無我夢中で上げた嬌声はレイを辱める。

「情けなくない。とても可愛くて魅力的な声だよ。」

何故シィナはレイをここまで肯定するのか。褒められる事自体は嫌いではないが彼女の場合は事前にしている事が余りに残酷すぎる。

「レイは相手を理解しようとして、必死に腰を振ってくれてるなら気持ちよくなって、あんな声が出せるんだよ。これだけレイは女の子みたいな顔をしているのに、私に腰を振る姿は本当に男の子なんだ。だけど、それが素敵。」

「やめて……言わないで欲しい……」

彼女のアプローチは一方的。レイの事を考えているようで考えていない。

 本当に好きならば連絡先を何故消すような真似をするのか。そこまで考えられなかったのか。レイの頭の中は混乱している。もう、何が何か分からない状態。何故シィナは彼に拘るのか。何故これ程に求めてくるのか。何の見返りがあるのかも分からない。

 肉体関係を結ぶのは両者の合意があれば誰でも結べる。だがその先に行くにはまだ、互いに理解し合えていない。

「僕の何が魅力なの?僕は別にお金持ちとかそんなのじゃないし、交友関係も多い訳じゃない。そもそも交友関係はシィナさんに消されたし……」

やや恨み節を抱えてレイは言った。

「自分で気付かないんだね。レイはとても魅力ある存在なのに」

また、はぐらかされる。やはり理解出来ない。

「さっきまで怒ってたのに、セックスをしたらレイから怒りを感じなくなった。

私とシて気持ち良かったんでしょ?お口でも感じてたし、ナカでも感じてたじゃない――」

「それ以上言わないでよ!」

レイが言葉を挟み、言った。これ以上の言葉を聴きたくないと思っていたからだ。

「いやらしい!そんな言葉を言われても嫌なだけだ!僕はそんな言葉を聞きたくない!」

痴女の如くシィナはレイを翻弄していく。口唇から出る言葉は明らかにレイを誘っている。淫語というやつか。

「シィナさんはデリカシーがないよ!もうそんな事言わないで!」

レイは、シィナと目を合わせるのを止めた。彼女を直視する事が出来ないでいたのだ。卑猥な言葉を発し、レイを挑発する様子はレイには刺激が強すぎる。だがその様子すら、シィナは笑って対応する。所謂小悪魔的な様子のシィナ。その容姿も相まって彼女はレイを虜にしようとするのだ。

「恥ずかしがっている姿、凄く可愛いよ。ね、レイ。今晩はずっと愛し合おうよ。明日は一緒に過ごせば良いよ。」

「勝手に決めないでよ!」

「どうして?私の事、嫌なの?そっか。データ消しちゃったもんね。そりゃ嫌か。」

嫌に決まっている。彼女の言葉は余りに身勝手だ。彼の関心を引く為に酷い行為をし、その上で一方的に迫ってきてレイと交わった。

 家に行きたいと言うのも彼女の一方的な依頼だ。それを受けたのはレイではあるが。

「だけどレイ。私はキミの家に来たってコトはね、キミが居る空間に招き入れられたってコトになる。つまり、これってどう言う事か分かる?」

「それって……?」

「フフ、世間の捉え方って幾らでも変えられるってコトだよ。つまり、私はレイの被害者にも成り得るってコト。男の人が女の子を連れ込んでイカがわしい事をするって話はよく聞くじゃない。もしレイが私を連れ込んでるって知られたら学校で居場所なくなっちゃうカモ。」

この瞬間、レイは更に憤る。やはりシィナは悪魔的だ。

「この事をバラすって事!?そんなの!シィナさんが僕にお願いしたのに!?そっちが僕のみんなとの繋がりを消したのに!?」

レイは視線を合わせた。再び両者の眼が合う。青色と朱色。金髪の銀髪。互いに対極であるかのような印象を持つ2人。

「そんな事は言ってないよ。だけど私は女で、レイは可愛くても男の子。私達は既に交わってる関係。」

シィナの笑みが、再び。示指を口元に運ぶ。

 

「だから、レイの秘密を教えてよ」

 

彼の秘密。それは二つある。かつての戦争を生き残った人間である事、そして、アドバンスドタイプという事。

 これらは他者に知られる訳には行かない。力を持つ存在という事実は争いの源となる可能性が高い。相手が例えシィナであれ、言う訳には行かないのだ。

「そんな風にしてまで聞く理由が分からない……」

「好きな人の事を知りたいと思うのは当然じゃないかな」

と、言いながらスキンシップの如くシィナは彼の肩に触れ、指を這わせる。そっと首筋に触れ、レイの吐息がシィナに伝わっていく。

「僕に秘密なんてない……シィナさんが僕の事を好きなら脅すような真似はやめて欲しい……」

 

「ウソツキ」

 

シィナの言葉が、再び。

「じゃあ、どうしてレイはそんなに大きな“魅力”を持っているの?私はそれに引き寄せられたようなものなのに。」

「魅力の意味が分からない!そんなもの、僕にはない!」

「あるよ。レイは明らかに普通の人と違う。容姿だけじゃない、“魅力”が」

何故、シィナはこれ程にはぐらかすのだろう。その言葉が何を示すのかを彼女は語らない。何かを隠しているのか?それも謎だ。彼女が言い続けるレイの“魅力”の正体。それが分からない以上は会話を広げようがない。

「それを言わないって事はずっと平行線のままだね。露骨にジャンヌ・アステルと知り合いって言ったり、さっき“みんな”って事を言ってたのに」

秘密を知られて不快になるのは当然だ。その秘密を知って、彼女は何を得る?いっそ、喋る方が良いのか?喋れば彼女は納得するのか?

 なら、もう喋ってしまおう。仮にシィナが口が軽い人間だったとして、これは2人だけの話。与太話で終わるだけだろう。

「分かったよ。言う。僕の事を……」

レイは覚悟を決めた。自分の話をする事にした。語りたくない過去を、話す時が来たのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。