シィナ・ソンブルはアドバンスドタイプと呼ばれる人種であり、氷河族のボスの娘という秘密を持っていた。それは、レイしか知らない秘密。誰かに知られては行けない秘密。
それらを知ってしまったレイは、シィナの家に閉じ込められた。彼女と接吻を交わした際に体内に入れられた軽度の筋弛緩剤は彼の身動きを封じる効果を持つ。レイを愛するが故の行動は明らかに常軌を逸しているようにしか見えない。
レイが弛緩剤を飲まされてから1週間が経過した。その頃には弛緩剤の効果も薄れてはいるものの、やはりシィナに支配さられている状態である。
レイに好意を抱くが余りに暴走した彼女の感情は、留まる事を知らないのだ。
彼女の家の浴室にて、レイは浴槽の中で視線を落としている。清潔感のある、大人が2人入れそうな広さのある特別な印象を持つ浴室。その背後には、シィナの姿もあった。彼女が少し動けば、張っている湯の弾ける音が響くのだ。
「レイが私の家のお風呂に居てくれるなんて私、とても幸せだよ」
笑顔のシィナ。しかしレイは明らかに表情が対照的だ。
「シィナ……もう、こんな事やめようよ……良くないよ……」
「どうして?」
「これは恋愛じゃない!独占だよ!恋愛は対等じゃないと行けないと思うんだ!一方の愛情だけじゃ、ダメだと思う!」
彼なりの考えを述べる。しかしシィナは聞く耳を持たない。
「可愛い顔でそんな事言っても私には通用しないからね」
と、言いながらシィナはレイを背後から抱擁し、更に耳垂を口唇で触れる。その感触はレイを更に困惑させ、戸惑わせる。
「ふぁぁッ!」
「そんな声を上げるのに嫌がるなんて、矛盾してるね」
シィナの行動は更に過激さを増す。耳の中に入っていく舌の感触のこそばゆさと違和感はレイの身体を震わせていく。
「どんなに建前の言葉を言っても、結局レイは私と交わる事を望んでる。腰を動かしたくて堪らないんだよね?既に私達の関係は“その先”を行っているのだから。」
あの時シィナの誘惑に乗ってしまった事はレイにとってはしては行けなかった事と言えるだろう。彼女と一線を越える関係を作ってしまうのは、彼女にとって都合が良い事と言えたからである。
一度知ってしまえば抗えない快楽はレイを貪り、言葉では困惑しつつも身体はシィナを求めるようになってしまっているのだ。
「あぁッ……!」
シィナの官能的な手付きがレイを誘惑していく。優しく、その上で迫る刺激がレイを包み、彼に嬌声を上げさせる。
「レイは本能のままに居て良いんだよ。その為に私がいるんだから。ね。レイ。私と交わろう、ね?」
何故、これ程抗えないのだろう。シィナが魅せる闇はレイを取り込んでいる。
彼女の言葉に何故か引き込まれ、そして堕ちていく感覚。それを誰も止めない。従者のミリナも見守っているだけなのだ。
シィナは本能のままに従順だ。特に家という空間の中では躊躇いなく行動する。
浴室という、本来ならば身体を温めて癒す空間の中ですら異性を入れ、そのまま受け入れる。
後背位で行われる交わりはまるでヒト以外の哺乳類の交尾のようであり、レイは彼女の綺麗な肢体や声、そして秘部に感じる快感に押されて行こうとしているのだ。
「ンあっ……ああッ……んんんッ!」
「シィナ……ふぁぅッ……!」
「素敵だよ……レイぃ……!スゴっ……激しッ……もっと……もっとぉ!」
「あふっ……ん……あァッ……!」
「良いの……!この格好……動物が交尾してるみたいッ……!んああぅ!」
「ふぁぁッ……ぅ……気持ち……良い……!」
「嬉し……私で感じて……くれてる……んううっ!」
「あぅッ……!」
「ね、レイ……私の事……好き……?」
「んああ!好き……だよ……」
「どれ……ぐらい……?」
「とてもぉ……!ふぁッ……」
「んふっ……すてき……んぁッ!」
「あぁっ……んうッ……うぁッ……」
最早見境がない。シィナに魅入られたレイは浴室にて彼女との行為を勤しんでしまう。互いに乱れ、欲情している。
彼女との関係は交際相手ではあるがシィナはレイを支配しようとしている。その美貌、口調、身体。そして独占欲。その中に秘める脅迫。いつの間にかレイはシィナを求めてしまう。彼女には抗えないのだ。この矛盾した感情を払拭せんとばかりに、レイは動き続ける。それに呼応するようにシィナも声を荒げる。レイは彼女の腕を掴み、ただ、全てを忘れるかの如く無我夢中に腰を動かし続け……
「ダメ………シィナ、僕……もう……!」
「んぅぅぅ!レイッ!良いよォ!イク時の声を聞かせてぇ!!」
「んあッ……ふあぁッ!」
レイは果ててしまった。同時に嬌声を上げ、姿勢を崩す。欲望の象徴はそのまま湯と共に流れ落ち、彼は放心状態となっていた。
「はぁッ……はぁッ……はぁッ……はぁッ……」
「ふぅ……ん……」
欲を解消し合った両者。それによって放心状態のレイ。シィナはその状態のレイに対し、静かに耳元で囁く。
「素敵な声だったよ、レイ。」
果てる時の嬌声を聞かれる事は恥以外の何者でもない。彼はただ、顔を赤めて戸惑うだけ。言葉すら出せない状態だ。
「お互いの事情を知ったならこそ、より気持ち良くコンタクトが取れたんじゃないかな。それって、とても幸せな事じゃない?」
確かに彼は悦楽を感じた。だが、その傍で戸惑いが隠せない。
「だからって、こんなの……」
「私とシておいて拒否なんておかしな話だよ。私はキミを離したくない。ずっとここにいてよ。大好きなレイ」
独占欲は次第に強くなる。人の欲は果てないとは言うが、シィナの欲はそれらを上回っている。
彼女は闇。氷河族と言う組織を率いたボスと呼ばれる人間の娘。その存在という立場や、巧みな話術は話す者を虜にする。レイはその虜になっていきつつあった……
※しばらくは3日に一度の更新となります。次回、23日21時更新です。