光と殻   作:すからぁ

51 / 53
第十三話 光と殻 その4

人間の心の柔さは幾ら人生経験を積んでも時に剥き出しになる事がある。巧みな話術や事実、自身のコンプレックス等を伝えられた時や弱みを握られた時、そして過去のトラウマ、フラッシュバック。それらは成長し、大人となって社会生活を送る事になったとしても影響する。心に残された大きな傷は塞がっているようで、塞がらない。こじ開けられ、抉られ、鷲掴みにされ、そして砕かれる。

 彼は彼女の心を敢えて壊した。それは今までのレイでは考えられない事だった。

 他者に優しく、穏和なレイの姿はそこにない。言葉で人を壊したレイの姿がそこにある。

 だがそれは相手に対する憎しみではない。シィナ・ソンブルを愛するが故の行動。彼女は好きだ。だが、彼女の矛盾に満ちた行動は彼女を不幸にしていく。そして彼女は自ら怪我をする事に繋がったが、それだけでシィナはショックを受けなかった。

 だが心の支えとなるものが崩れればシィナは脆い。レイはそれを理解していた。自分にも共通する人間であるが故に、レイは彼女の心を壊す事が出来たのだ。

「嫌……嫌……嫌……嫌……嫌……イヤ……イヤ……イヤ……イヤ……イヤ……私から大切なものを奪わないで……私はもう……壊れたくない……イヤ……イヤ……イヤ……イヤ……イヤ……私から大切なものを奪わないで……私はもう……壊れたくない……」

言葉が繰り返されている。まるでコンピュータゲームに出てくるNPCの如くシィナは同じ言葉を繰り返す。

 恐らく彼女の母親が死んだ時もこの状態だったのかも知れない。精神的なショックは彼女を大きく狂わせる。シィナ・ソンブルという殻の中の闇は光によって混乱している。光の言葉が強すぎたのだ。

「シィナは僕を好きでいてくれる。それは嬉しい事だよ。だけど、僕はどうしてもシィナの受け入れられない部分がある。それが、矛盾している行動なんだ。エファンさんはそれを肯定しつつもどこか、悩んでいるように見えた。だけどシィナはそれを誇りに思っている。それはシィナの良心を台無しにしてしまう。それはあってはならないんだ……。」

次に、レイはどこか優しい言葉を彼女に掛けた。その時のレイは、いつもの優しげな印象を持つ。

その言葉がシィナに伝わっているのかは分からない。だが、レイは語る。彼女の事について、とにかく語る。もう、過ちを犯して欲しくないから。

「矛盾は誰だってすると思う。実際、世の中の偉い人達がそれをしてるから、その下にいる人達が混乱してしまう。本当はあってはならない事でも、人間はやってしまうかも知れない。だけどそれを正当化して犯罪行為をするのは間違ってる!幾ら善の行動をしていたとしても、人間は負の行動を咎めるんだ……だから、そんな事をしたゃダメなんだ!子供達を想えるシィナがそんな事、もうやめるべきなんだ!」

光は殻に言葉を掛ける。精神論のようなものだが、今はこの言葉を掛け続ける。心が砕けている状態でも、レイは懸命に掛け続ける。自分の想いを伝える。それは今まで彼女にリードされ続けた事に対して反旗を翻すかの如く。

「国とか政府のトップの人間が都合の良いように世の中を導くなんて難しいのは分かる。シィナはそれに巻き込まれてしまった……僕も過去の戦争でそのような事情に巻き込まれたりした事もあった……だけど、だからってそれを繰り返して何になるの!?された事を人にしても良いの!?その人は何の罪もない人なのに!?自分がされて、それを正当化して犯罪行為を行なって、それが許されるって勝手に思い込むなんて間違ってる!」

「やめて……」

「世の中の事象はケースバイケースなのは分かる!だけどそれをどこかで止めないと全く関係のない人にまで影響が及ぶ!それを関係ないって見捨てるのは大間違いだよ!」

「やめて……!」

「その人達から不当な利益を得て使い捨てて自分は善人を振る舞っているのなんて!善人で有りたいのならその方向に努力していくべきなんだ!!!」

「やめてッ!!!」

シィナが叫んだ。この大声は個室内に響き、反響する。今まで聞かなかった彼女の悲鳴にも似た声。レイはそれを初めて聞いた。それは、シィナに寄り添った瞬間だった。

 レイは今まで他者に対して遠慮をしてきた。それは幼馴染であるリルムにも言えた。彼等は一度交際した過去があったがその先に行く事は無かった。それは、レイもリルムも譲歩し合う関係だったから。強い言葉を出せない関係だったから。

 今のレイは様々な経験をしてきている。壮大な体験。一言で言い表せない体験。その体験が彼に教えてくれたものは多くある。

 レイは成長した。人を見る事を改めて覚えた。シィナとの交際は当初こそ彼女に支配されるような生活が続いたが、今は違う。レイは自らを奮い立たせ、彼女を説得する。

 シィナが好き。シィナを愛したい。その愛の形はどのような形状をしているのかは不明だが、彼がここまで声を荒げるのには当然ながら理由がある。

 純粋な愛情。それがあるが故の、強い言葉。一度彼女の言葉を砕き、そこから叩き込む。

 以前のレイは自らの選択の過ちで相手に否定された事はあった。だが今のレイは自らの意思で相手から、普段聴く事のない言葉を引き出した。

先程のシィナの悲鳴は作り物ではない。紛れもない、彼女の本心なのだ。

「レイは……レイは私から支えを奪った……私は……私は……!」

エファンの死は彼女を動揺させる。だがこの言葉は、レイを怒らせるのに十分な言葉と言えた。

 

「違う!僕はシィナの新しい支えになる為に言ってるんだ!!!」

 

新しい“支え”。聞き慣れない言葉にシィナの悲鳴に似た言葉が閉じられていく。

「シィナは僕を支えてくれるって言ったよね。正直、嬉しかった。僕はシィナを理解して、寄り添って行って……それで、もっと理解しないといけないって思った!だからシィナに強い言葉を言うんだ。支えになりたいから!」

「レイが……支え……」

思えばシィナから見たレイはどのような存在だったのだろう。

 年齢も一つ上であり、大人びた印象を持つ彼女。美少女と呼べる妖艶な容姿。それでいて自由奔放な印象を持ち、他者を弄ぶ印象のある少女。

 その中でレイを好きになったのは、彼の魅力的な容姿も去る事ながら、自身と同じ力を持つ存在という事実も大きく関係しているのかも知れない。

「シィナは解釈を間違っているんだ!あの人は矛盾した行動を取りながらも人を愛そうとしていた!その結果が人を滅ぼしかねない事に繋がったから、止めなきゃならなかった!あの人の言葉は別に全てが悪い訳じゃない!だけど、シィナはそれを違う方向に勝手に解釈して、それを正当化している!それじゃあ不幸を生み出すだけなんだ!そんなの、間違ってる!だから僕は言い続ける!シィナの為を想うから!」

懸命な言葉がレイの口から響く。シィナはこれに対し――

 

「結局レイだってあの人と価値観が合わなかったから殺したじゃない。殺す必要なんて無かったのに……私はあの人が居てくれれば良かった……」

小さな、シィナの声が聞こえた。弱々しい声だ。

「レイは好きよ……だけどこんなのは余りに酷いよ……あの人は人生の指標だった……レイに抱く愛情とは違う、憧れの存在だった……だけどその人をレイが殺したなんて!それも、結局価値観が合わなかったが故じゃない!」

価値観の衝突は人間関係を構築していく上で確実に起こり得る事態だ。それが重なり合っていき、やがては戦争になり得る事もある。

 個人同士でもそれは当然あり得ており、本来ならばそれらの譲歩が大切とされるのだ。特例を除いては。

「シィナは地球に人が住めなくなっても良かったって言うの!?あの人は最後、地球の人に対して兵器を向けるように差し向けて人間の数を減らそうとしていたのに!?」

「仮にそうだとしても!レイがそれをする必要なんてないのよ!!!あの人とレイは戦ったかも知れないケド、あの人は私の支えだったの!どうしてこんな事に……!」

シィナの発言はエゴである。価値観が衝突し合う者同士、避けては通れない。何せ地球に住む人々が戦争で生み出された兵器によって多くの命が奪われようとしていた、一刻を争う状況。それを止めなければこの世界はどうなっていたかも分からない。

 それでも彼女はエファンを擁護する。その上で、レイを好きでいる。これをどう、浄化すべきなのだろうか。

「答えなんて、ないとは……思う……だから作っていくしかないよ。これからは。だけどシィナのその価値観はもう、これから生きる上では必要とは思えない……」

シィナは好きだ。だが彼女の憧れの人間を殺してしまったレイ。しかしその人間を殺さなければ今頃地球自体がどうなっていたか分からない。

 この迷宮のような思考に答えは見出せるのか?両者の意見は衝突し合う。恋人同士ではあるが、価値観がぶつかっている。

「レイは私の意見をおかしいって言うつもりなんだよね。だからそうやって言葉を出すんだ。」

「違う、おかしいって言うつもりはない……僕はただ、シィナにそれ以上の行動を止めて欲しいだけなんだ……!」

「じゃあ、私の意見って「悪」の意見なの?」

思想は自由の筈だ。それは間違っていない。そう言われ、レイはどう答えるべきなのか再び分からなくなる。

 それぞれの正義があって世界は回っている。しかしそれらが衝突した時に人は互いの意見をぶつける。それが平行線になる時もあれば、更に過激な行為に及ぶ事もある。

 その最も足る例が戦争だ。価値観の相違が繰り返された結果が大勢の人間を巻き込む戦争行為となり、多くの人間を犠牲にしてきた。

 今、彼等は武力を用いている訳ではない。言葉で話をしている。レイは過去の戦争で兵器を用いてエファンと戦った。今、彼はエファンを支持しているシィナと言葉でやり取りをしている。

 それはあの時は戦う手段でしか語り合えなかった状況とは全く異なる状態だ。彼女と武力を用いない対話を、彼はしているのだ。

「悪って決め付ける気はないよ!だけど、結果的にそれがシィナを不幸に追い遣ってるだけなんだ……」

「だけどね……私はあの人を支えとしていた!それっておかしい事なの!?あの人の事、レイは認めているんだよね!?」

「人間性を見るのと行動は違う!どんな人間でも変わってしまう事はある!僕だって迂闊に殺したくはなかった!けど、ああしなければ地球がどうなっていたのかも分からない!」

「だからってあの人を殺す必要なんてなかったじゃない!!」

シィナが感情を吐露している。レイも同じ。

 交際してから彼等が互いの意見を言い合った事はなかった。今回、彼等は話をしている。それも、それぞれの価値観に対して。対等な立場で。そのテーマは、彼等に影響を与えた共通の人間の行動についてだ。

「あの人の行動は地球に対するテロ行為そのものだった!それを止めなかったら大勢の人が死んでいた!そんなの、絶対にあってはならなかったんだ!」

「その結果、レイは私の支えを奪ったんだ!あの人を悪人として捉えて、正義を振り翳した!私はそれで心が乱れた!」

「シィナの住む地球だってなくなってたかも知れないんだ!いい加減にしてよ!人柄と行動は違うんだ……どんな人でも変わってしまうかも知れないなら、それを止めないと行けないんだ!それを放置なんてしたら多くの人がいなくなる!シィナは子供達を大切に思っているのに、それっておかしいと思わないの!?」

「私は直接人を殺していない!人を動かして利益を得ていただけ!必要とする人が生きていればそれで良いの!レイ、キミを含めて!」

「そんなのエゴの極みだ!」

「じゃあそれを裁くのは誰なの!?神様は世界にいないのに!?公平な存在なんて所詮人間が作り出したエゴなのに!?」

言葉の平行線は続いていく。だがこの時のシィナは、レイに対する感情を剥き出している。心は一度壊れたが、今はレイに対する反論を続けているのだ。

 ある意味これは彼女の心境の変化だ。レイが願った通りに、現実が起きつつあるのだ。

「シィナはもう、受け入れないとダメだよ……その行為が間違っているという事を……僕はあの人を倒さなきゃならなかった……あの人の矛盾を解放しないと、今に至らなかったから!僕だって人を殺すなんて、したくないよ!だけど……」

「そんなの、簡単に受け入れろって価値観を押し付けないで……」

シィナが表情を変える。今度は悲しみだ。朱色の眼から涙が溢れている。

 演技を見せていたシィナだが、今の彼女の表情の全てが本物だ。偽り、嘘を見せ、自らを作っていたシィナは今、レイの前で本音を晒している。

 彼に伝えた「真実」は、あくまでも彼女の立場の事。彼女自身の感情等ではない。今の彼女は紛れもなく、本物の感情だ。今までレイに見せていた嘘、演技の感情ではない。

「レイだって価値観を押し付けてるだけじゃない……あの人が死んだ現実を受け入れろって!価値観を押し付けておいて私に価値観を捨てろなんて!矛盾してるよ!」

「それなんだ!人間は絶対に矛盾するんだ!だからどこかで理解していかないと行けないんだ!全か無かで物事は語れないんだ!!!」

そう、全ての事象は極端な思考では語れない。矛盾している中にも詳細はある。人によって様々な意見があるように、それらの意見が入り混じり、やがて統合される。

 その極端な意見が反映され、それらに対して人は再び意見をする。だがその意見には正論に見える場面もある。しかし、許されない一面もある。

「あの人は、それに苦悩していたんだと思う……だから自分で考え続けた。その結果があの形だったんだ……だけど、それは止めなきゃならなかった!一人の思考で大勢の人が殺されるなんて間違ってるから!」

「理解した上で人を殺すって発想があり得ない!」

「シィナの行動だって人を不幸にしている!それを正当化して何になるの!?自分が経験した理不尽を人に押し付けて、自分に回ってきて!それでもシィナは続けるの!?こんな、犯罪行為を!」

レイは懸命に説得する。それはあの時の戦いの果てで、エファンに対して説得するように。

 あの時と違うのは、今がレイもシィナも兵器を用いていないという事だ。純粋な言葉だけで話を進めている。紛れもない、対話。彼等はそれを行なっている。

 それは、この両者の距離を縮めるのに大きく貢献している。シィナの独占的な愛情。少し前まではレイはそれを感じていた。だが彼女の詳細を知り、エファンが絡んでいると知った以上は彼も強気でいる。

 互いに知っている人物を交えての対話はより、両者の距離を縮める。それは恋愛という意味ではなく、人間と言う意味で。でなければ人は会話をしない。これ程に感情を吐露しない。

 感情が溢れ、そして互いに話をすると言うのは両者が理解を深めようとしている何よりの証。それが、レイが倒した最大の敵であるエファン・ドゥーリアが関与していると言うのは何とも言えない皮肉である。

「私はそれが貧困に喘いでいる人々を助ける手段と考えてる!腐った政府が人々を混乱させているからこんな世界になる!それが犯罪行為であれ、関係ない!それに乗っかっている人達を「私」は助けてるつもりだから!」

「助けてないよ!結果的に治安が悪化する要因になってる!」

「そうしたのは狂った政府のせいじゃない!戦争が終わったと思ったら武力増強とかしだして戦争被害に遭った人々を助けないで利権まみれの世界を作って、そればっかりに資金投入して戦争被害を全く顧みないで!だから氷河族が生まれた!そして私はそれに便乗出来る立場!ボスであるお父さんの娘だから!」

感情が出た結果、シィナは他責思考を露わにした。

「それじゃ負の連鎖を作り続けるだけだよ!永遠に終わらない!世の中がおかしいって分かっていて更におかしくなる事をして何になるの!?」

「その価値観がレイにあるから、レイはあの人を殺したんでしょう!?結局は自分の正義を押し付けてるだけじゃない!」

「あの人の行為は大勢の人を殺す!それがどれだけ危険な事か分かってないんだ!その思想は危険過ぎるんだ!あの人の行き着いた結論は全てを滅ぼす事に繋がるから、僕は止めざるを得なかった!」

「そういう価値観によって苦しむ人だっているって、分かってない!」

「だから理解をしていかないと行けないと僕は思うんだ!」

価値観を理解するのは並ならぬ努力が必要だ。自身の事のみを考えるのは楽だ。そう生きれば少なくとも大勢の人間に迷惑を掛けなければ比較的穏やかに生きられるから。

 しかし他者の思想を理解して生きるのは常人以上の努力を要する。レイは今、それをしている。シィナを理解しなければならないと思っているからこそ言葉が出る。

 シィナも同じ。レイに言葉をぶつけているが耳を貸し、確実に彼と討論をしている。

 しかしこの場での会話は最早平行線。互いに譲らない状態。このままでは話が落ち着かない。

「僕は、シィナを好きでいたい!シィナが僕を好きでいてくれたように!だから言葉を発する!僕はシィナに言い続けるから!」

この中でレイは想いを伝えた。自分を好きでいてくれた事に対する感謝の気持ち、そして彼女と同じ人種であり、彼女の事情を知ったが故の改めて感じる気持ち。それらをシィナにぶつける。

「だからだ!だから僕はシィナと分かり合いたい!これだって価値観の押し付けかも知れない!だけど、その為にはこんな話し合いは必要なんだ!独善的な愛情じゃなくて、互いの意見を伝え合う事が一番大切だから!シィナの事情を知った上で、僕はシィナを好きだと言うから!」

純粋で強い言葉。今までのレイからは考えられないような台詞。

 この強い言葉にシィナは次第に言葉を失っていく。彼は理性的でない。感情論で話を進める。だが今はそれも有効かも知れない。好きでいる彼女の行動を止めたい、ただ、その一心がレイを突き動かすのだ。

「……私、分からない……」

シィナの言葉が少しばかり、小さな口から出た。

「感情が滅茶苦茶に渦巻いてしまってる……レイの事は好きなのに、だけどあの人を殺したのもレイ……許せない筈なのに、でもレイは受け入れたい……訳が分からない……私はどうすれば良いの……?」

混乱するのも当然だ。矛盾している状態を受け入れるのは普通、難しい。無理と言っても過言ではない。

「シィナの全てを受け入れるから!僕はそう決めてる!だからもう、犯罪行為なんてやめるんだ!優しいシィナで居れば良いから!」

再び放った、強い言葉。それにシィナは更に揺れ動く。

「私は氷河族のボスの娘……今更それを受け入れるって言うの?レイも知ってるように、氷河族は反社会組織なんだよ……もう、私は後戻りが出来ない存在なの……レイが求めたとしても、所詮私はもう汚れてる存在だから……腐った政府によって生み出された組織の娘だから……」

この台詞からして、彼女は他責思想そのものだ。未だにそれが抜けていないのだ。レイはこれを聴き、立腹した。

「政府の怠慢や腐敗が多くの犠牲者を出したのかも知れない!だけどこの先を決めるのはシィナだ!氷河族を断ち切れば良いだけなんだよ!それをまだ人のせいにしてるなんて!」

氷河族を断ち切れば良い。それはそうかも知れない。だが、彼女は既に組織に染まっている。汚れたボスの娘として存在している。

 故に彼女は襲われた。ボスの娘。それは彼女を狙う存在からすれば十分に価値のある肩書だ。

「今更断ち切るなんて出来ない!既に私は狙われてる身!多分永遠に狙わられる!だけどそれは私は覚悟している!レイが本気で私を愛するのなら、それも受け入れてよ!氷河族という組織を!私を!私と一緒に汚れて行ってよ!!!」

彼女は組織を肯定している。それが間違いの筈なのに、それでも……

だが、次にレイが言った言葉は彼女を驚嘆させるのだった――

 

 

 

「じゃあ、僕はシィナと一緒に組織を作る」

 

 

 

朱色の眼が大きく開かれる。それを見るのは、青色の眼だ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。