愛衣→メイと表記してます。
「さてと・・・今から初めて、出来上がるのは7時頃かな?」
家に着いたタダクニは早速カレーを作る準備を始めた。
(それにしても今日は良い日だ・・・羽原さんから連絡先を教えてくれたし、恋人・・・とは流石にいかなかったけど、
友達になれた・・・でも何時かは・・・)
おい・・・妄想するのは勝手だが、気を付けないと手を切るぞ。
さく・・・
「痛っ!」
ほら見ろ・・・言わんこっちゃない。
「・・・ただいま」
「(あれ?メイが帰って来た?今日は早いな・・・)おかえりー」
メイが帰って来て返事を返すタダクニ。
メイはその返事に反応する・・・と言うよりタダクニの声に反応して台所にやって来た。
「・・・あのさ・・・兄貴」
「・・・何だ?」
何時もと明らかに様子の違うメイ。
それにタダクニは気付いたが、そんな時に変に如何したと聞けば怒らせてしまうと、仲が悪かった時に経験していたので、
あえてそこは聞かずに質問を待つ。
「その・・・き・・・今日の晩御飯何?」
「明日バイトで居ないからカレーだよ」
「そっか・・・じゃあ私勉強しているから、出来たら教えてね」
「おう・・・」
そう言って自分の部屋に行くメイを少し心配げに見つめるタダクニ。
「学校で何かあったのかな?それか俺に何か言いたかったか・・・でも変に深追いすると怒らせるだけだしな・・・」
女心は踏み込み方を間違えたら怒らせるだけなのは、4年近く仲が悪かった間でよく理解していた。
それでも怒らせてきたのは、単にタダクニがバカだからと、ヒデノリとヨシタケのバカに乗せられたからだろう・・・がっ、
乗せられてしまうあたり、やはりバカなのであろう。
「何にしても俺にできる事なんてあるのかね?」
カレーを作りながらもメイの事を気にかけるタダクニ。
そんな中、ふとある事を思い出す・・・。
「そう言えば・・・俺が作った料理で、アイツが初めて美味しいって言ってくれたのって、カレーだったな」
当時小学校高学年のメイが、タダクニに気を使わないで、正直に美味しいと言ってくれたのがカレーだった。
『お兄ちゃんのカレー、美味しい!』
(あの時の言葉が、笑顔が嬉しくて、料理をもっと上手く出来る様に頑張ったんだよな)
懐かしい思い出に自然と表情が緩む。
「・・・何があったかは分からないけど、美味いカレーを食わせて、その間だけ忘れさせてやるか」
タダクニは今できる限り、最高に美味いカレーを作り始めた。
それから予想通り7時頃にカレーは出来上がり、タダクニはメイを呼んだ。
「メイ!カレー出来たぞ!」
「・・・今行く・・・」
メイが来るまでの間に、テーブルにカレーとサラダ、食器を置いていくタダクニ。
メイが台所に着いた時には丁度食べられる準備が終った。
「じゃあ・・・」
「「いただきます」」
メイはカレーを口に運び、タダクニはメイの反応を待った。
「・・・美味しい」
「そうか、何時もと味付け変えたけど如何だ?」
「うん・・・今までで一番美味しい・・・今までも美味しかったけど」
「そうか、ありがとうメイ」
「ん・・・・・・」
タダクニは微笑んで礼を言った。
メイは咄嗟にタダクニから視線を外した・・・タダクニの微笑みに思わず顔を赤らめ、それを気付かれまいとした。
「・・・兄貴・・・」
「何だ?」
「・・・バイトってどうなの?」
「どうってなあ・・・大変だけどそれなりに楽しいかな?」
「ピザの配達だよね?」
「あぁ、興味あるのか?」
「・・・まあね」
タダクニは察した、本当は違う事を聞きたいが、それが何故か出来ないでいると。
「そうか・・・でも女の子は調理の方に回されるしな」
「別にやってみたいって訳じゃ・・・部活もあるし」
「そうだよな・・・部活どうなんだよ?ラクロス」
「楽しいよ・・・部長もこのままいったらレギュラーになれるかもって言ってくれてるし」
「凄いじゃないか、まだ1年で」
「でも流石に今年の試合はね・・・先輩の顔もあるし」
「そこは何処も変わらないな」
「兄貴は部活してないよね?」
「何を言う、手芸部と言う名の帰宅部に所属してるぞ」
「それはしてるとは言わない」
「あっやっぱり?」
「そうだよ」
メイとこんなに言葉を交わして、楽しいと思った食事は久し振りだろうか?タダクニはそう思っていた。
出来ればメイから本当は如何したのか聞きたいが、今はそのタイミングではないと、聞こうとはしないでいた。
そしてそのまま食事は終った。
明日から泊りの用事で出かけるので、一日一回投稿が途切れるかもしれません。
昼の12時に閑話を投稿します。