戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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以前から少し気になっていたので、今更ですが技名と歌詞には色を付けようと思います。既に投稿した話も、時間がある時に少しずつ変更する予定です。


第103話

拒絶反応でふらつくキャロルの目の前に、ようやく追いついたクリス達が駆けつけた。

 

「ここまでよ!キャロル、ドクター!」

 

「さっきみたいにはいくもんかデス!」

 

強気で宣言する切歌達に対して、キャロルは不調を悟られないように余裕の笑みを浮かべてみせる。

 

「だが既に、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している」

 

キャロルが水晶をばら撒き、地面に赤い陣が展開する。

 

「子供に好かれる英雄ってのも悪くないが、生憎僕はケツカッティンでね!!」

 

「誰がお前なんか!!」

 

ウェル博士の煽るようなセリフと動きに、切歌が苛立ちながら声を上げる。そんなやり取りの間に、赤い陣からアルカノイズの群れが召喚され、装者達はそれを迎え撃つべく聖詠を奏でた。

 

Zeios igalima raizen tron

 

シンフォギアを纏った三人がアルカノイズに攻撃を仕掛ける。切歌は大鎌の一振りで数体のアルカノイズを纏めて真っ二つに切り裂いた。

 

α式 百輪廻

 

透かさず調が無数の丸鋸を飛ばして更に多くのアルカノイズを赤い粒子へと変えていく。それによって出来た空白地帯にクリスが飛び込んで、両手に持った二丁のピストルでアルカノイズを確実に仕留めていく。大火力が使えない中で、三人は上手く連携してアルカノイズを殲滅していった。

 

だがそこへ、これまで傍観していたレイアがコインをトンファーのような形状に連結してクリスに接近戦を仕掛けてきた。クリスはレイアの攻撃を躱しながら距離を取ってピストルで反撃を繰り出すが、レイアの素早い動きを捉えることが出来ず、レイアがコインを媒介とした錬金術を使って地面から勢いよく鉱物を生成してクリスの体を吹き飛ばした。

 

「がはっ!?」

 

その隙に一度キャロルの前まで下がったレイアは、背を向けたままキャロルに語り掛ける。

 

「後は私と、まもなく到着する妹で対処します」

 

「オートスコアラーの務めを…」

 

「派手に果たしてみせましょう」

 

笑みを浮かべてそう断言するレイアを見届け、キャロルはテレポートジェムを地面に放って転送陣を展開する。

 

「バッハハ~イ」

 

「待ちやがれ!!」

 

転移陣の上にいるキャロルと陽気に手を振るウェル博士を見て、クリスが慌てて二人を止めようと駆け出すが、隙だらけのクリスの顔にレイアがトンファーで打撃を加えてクリスの体を吹き飛ばす。そうしている間に、キャロルとウェル博士は転移を終えて深淵の竜宮からの脱出を果たしてしまった。

 

「まずいデス!!大火力が使えないからって飛び出すのは!!」

 

「ダメ!流れが淀む!」

 

クリスが吹き飛ばされたのを見た調と切歌の動きが止まった隙に、レイアが散弾のようにコインを無数に射出する。二人は咄嗟に“血晶”を使って“障壁”を展開するが、少しすると有効回数が切れたのか“障壁”が消えて二人はそれぞれのアームドギアでコインを防ぎ出した。それを見計らったかのように、レイアは巨大なコインを二枚展開して放ち、二人を巨大コインで挟み込んでしまった。ゆっくりと巨大コインが開くと、二人は膝をついて地面に倒れ込んでしまった。

 

「うぅ…っ!!?」

 

倒れていたクリスが視線を上げると、その瞳に地面に横たわる調と切歌の姿が写る。その光景は、以前ダインスレイフの呪いが見せた幻影と酷似していて、クリスはその光景を前に呆然と立ち尽くした。

 

「一人ぼっちが、仲間とか友達とか、先輩とか後輩なんて求めちゃいけないんだ…でないと…でないと…残酷な世界が皆を殺しちまって、本当の一人ぼっちになってしまう!」

 

目の前の残酷な現実に、クリスは耐え切れないで涙を流して座り込んでしまった。

 

「何で、世界はこんなにも残酷なのに…パパとママは歌で救おうとしたんだ…」

 

そう言って嘆くクリスに、レイアはトンファーを手に飛び掛かった。

 

「滂沱の暇があれば、歌え!!」

 

「っ!!?」

 

クリスはレイアに気づくが、咄嗟に動くことが出来ない。レイアがクリスにトンファーを振り下ろして…

 

ガキン!!

 

…レイアの一撃を、無傷(・・)の調と切歌が受け止めて、クリスを守った。

 

「何!!?」

 

「やあ!!」

 

「喰らうデス!!」

 

二人はレイアを押し返して反撃を繰り出すが、レイアは冷静に距離を取って二人の攻撃を躱してしまった。

 

「お前ら…!」

 

「ニシシ、悪戯大成功デス!敵を騙すには、まず味方からデスよ!」

 

「でも攻めきれなかった。やっぱり、まだまだ先生みたいには上手く出来ないね、切ちゃん?」

 

二人の手首から、何かが崩れて落ちる。それは“血晶”の残骸。そう、実は二人は、レイアの攻撃を防ぎながら“念話”で連絡を取り、“血晶”の有効回数が切れたフリをしてレイアの大技を誘ったのだ。そして、巨大コインの攻撃を“障壁”で防いでやり過ごし、やられたフリをしてレイアの隙を窺っていた。

 

二人はアームドギアを構えてレイアを警戒しながら、背を向けたままクリスに話しかけた。

 

「一人じゃないデスよ!」

 

「未熟者で、半人前の私達だけど…傍にいれば、誰かを一人ぼっちにさせないくらいは出来ます!」

 

「お前ら…」

 

クリスを守るように立つ二人の背を、クリスが呆然と眺めていると、二人はクスリと笑って更に話し出した。

 

「フフッ…実はここに来る直前に、先生から頼まれていたんです。クリス先輩のことを、よろしくお願いしますって」

 

「なあっ!!?」

 

「まだまだ幸せ初心者で、先輩初心者のクリス先輩を、同じく後輩初心者として精一杯支えて欲しいって、頼まれたデス!…そんな後輩の姿を見れば、クリス先輩は絶対に、先輩として頼りになる姿を見せてくれるから、マリアが嫉妬するくらい甘えれば良いって!」

 

「っ!!?」

 

驚くクリスに調と切歌はニッコリと微笑んで、自分達の想いを伝える。

 

「後輩を求めちゃいけないとか言われたら、ちょっとショックデスよ!」

 

「私達は、先輩が先輩でいてくれること、頼りにしています!だから…その…甘えてみても、良いですか?」

 

「っ!!?…ぷっ…あっはははは!!」

 

少し顔を赤くしながら想いを伝える二人の顔を見て、クリスは思わず笑ってしまった。

 

「ああ、そっか…あたしみたいなのでも先輩やれるとするならば…お前達みたいな後輩がいてくれるからなんだな!」

 

まるで憑き物が落ちたようにその顔に力強い笑みを浮かべて、クリスは立ち上がる。

 

「もう怖くない…イグナイトモジュール、抜剣!」

 

クリスがイグナイトモジュールを起動し、呪いの刃をその身に受ける。クリスの口から苦悶の声が漏れるが、クリスは確固たる意志の力で魔剣の呪いに抗う。

 

 

『大丈夫だよ、クリス!焦らなくたって、お前なら出来る!』

 

 

クリスの脳裏に、自分の頭を撫でながら笑うナナシの言葉が過った。

 

(くそっ…あのご都合主義はいつも、人が悩んでることを簡単に言いやがって…こんだけお膳立てされて、出来ないなんて言えるかよ!!)

 

そんな想いから、クリスは魔剣の呪いに抗いながらもその顔に笑みを浮かべてみせる。そんなクリスの姿を、調と切歌もまた笑みを浮かべて、真っ直ぐに見つめていた。

 

(あいつらが…あたしをギリギリ先輩にしてくれる!そいつに応えられないなんて、他の誰かが許しても、あたし様が許せねぇってんだ!)

 

クリスが魔剣の呪いに打ち勝ち、漆黒のギアを身に纏う。クリスはその口から力強い歌声を響かせながら、レイアに立ち向かった。

 

近距離も遠距離もねぇ! こんなもんはバチンと当たりゃ 満塁ホームランさあ祈れ! カッコ付けさせろBaby!

 

歌声と共に、クリスがボウガンでエネルギーの矢を放つ。だが、レイアはトンファーを回転させてクリスの放った矢を全て叩き落し、素早い動きでクリスに接近する。クリスはボウガンをピストルへと変形させて、レイア相手に近距離戦で応じた。レイアのトンファーによる攻撃をクリスが避け、或いはピストルで受け止めながらレイアに至近距離で発砲する。レイアもまたクリスの攻撃を避け、トンファーで弾丸を弾く。何度も立ち位置を変えながら、二人は互角の攻防を繰り広げていた。

 

(失うことの怖さから、せっかく掴んだ強さも暖かさも全部、手放そうとしていたあたしを止めてくれたのは…)

 

クリスが一瞬だけ視線を背後にいる調と切歌に向けて、バックステップでレイアから僅かに距離を取りながら、両手のピストルを繋ぎ合わせるように変形させて…何故か、遠距離武器のロングライフルを形成した。

 

「ライフルで!?」

 

ゴスッ!!

 

「殴るんだよ!!」

 

RED HOT BLAZE

 

近距離戦でライフルを展開したクリスに虚を突かれたレイアは、クリスが鈍器として振り下ろしたライフルの一撃を頭に受けた。

 

(先輩と後輩。この絆は、世界がくれたもの…世界は大切なモノを奪うけれど、大切なモノをくれたりもする!…そうか!パパとママは、少しでももらえるものを多くするため、歌で平和を…!)

 

これまで大切なモノを奪われ続けていたクリスは、暖かな居場所を、かけがえのない仲間を得たことで、ようやく大切な両親の想いを理解することが出来た気がした。

 

クリスは背部から巨大ミサイルを二つ展開し、これまで控えていたはずの大火力による攻撃を躊躇うことなくレイアへと放った。

 

MEGA DETH FUGA

 

レイアがミサイルの一つをトンファーで叩き落す。ミサイルが爆発して、爆炎と煙がレイアの周囲を覆った。

 

「諸共に巻き込むつもりで!?」

 

驚くレイアに、爆炎に紛れてもう一つのミサイルに乗ったクリスが迫っていた。レイアが気付いた時にはもうミサイルは不可避なほど接近していて、そのままレイアにミサイルが直撃すれば、クリス自身も被害を免れない。

 

だが、そんな未来は訪れない。何故ならば…クリスはもう、一人ではないからだ。

 

「うりゃー!!」

 

掛け声と共に、切歌がクリスの体に巻き付けた鎖を引き寄せる。目前のミサイルと、離れていくクリスを目にしたレイアは自身の敗北を確信して…その顔に笑みを浮かべて、ミサイルの直撃を受けてその体を爆散させた。

 

クリスが全力で放ったミサイルの一撃は、レイアの身を砕くだけには留まらず、未だ退避中のクリスと後方に控えている切歌達にも爆炎が迫る。だが、二人が慌てる様子はなく、調が一歩前に出て行動を開始した。

 

「スイッチの位置は覚えてる!!」

 

調がギアから丸鋸を放ち、狙った施設の壁面を正確に打ち抜く。それによって施設の防壁を起動するスイッチがオンとなり、クリスが爆炎に巻き込まれるギリギリのタイミングで防壁が閉まって三人は無事に難を逃れた。

 

「やったデス!」

 

「即興のコンビネーションで、まったくもって無茶苦茶…」

 

「その無茶は、頼もしい後輩がいてくれてこそだ」

 

そう言って、クリスは切歌と調の手を取って微笑んだ。

 

「ありがとな」

 

そんなクリスを見た二人は、笑顔で互いを見た後、何故か一度頷き合って…

 

「「クリス先輩―!!」」

 

…クリスの体に抱き着いた。

 

「ちょっ!!?お前ら、突然なんだ!!?」

 

「以前、先生の問題集のご褒美で貰った『目指せ!理想の仲良し先輩後輩!!~雪音クリス編~』に載っていたことを実践してみました」

 

「『クリス先輩に感謝や大好きって気持ちを伝えたかったら、遠慮せずに抱きしめてみよう!きっと顔を赤くして戸惑うと思いますが、絶対に喜ぶのでお互いに幸せな気持ちになれます』って書いてあったデス!ん~!暖かくて、本当に幸せな気持ちになったデス!良い香りがする気も…」

 

「あ、あのバカ野郎、そんなものまで作ってやがったのか!!?そ、そんなの間に受けてないで離れろ!!」

 

クリスが顔を真っ赤にして慌てて二人を引き離そうとすると、二人は悲しそうな顔でクリスの顔を覗き込んだ。

 

「私達、マリア以外にこうやって誰かに甘えたことがあんまり無くて…ちょっとだけ勇気を出してみたんですけど…」

 

「や、やっぱり、迷惑だったデスか?」

 

「っ!!?!?」

 

まるで小動物のような瞳で不安そうに見つめられ、クリスはそれ以上無理に二人を引き離すことが出来ず…非常にぎこちない仕草で、二人の頭を優しく撫でた。

 

「め、迷惑なんかじゃねえよ!…ただ、あたしも先輩初心者なんだ…だから、これぐらいで勘弁してくれ…」

 

耳の端まで顔を真っ赤に染めながら、顔を横に向けてそう言うクリスの言葉を聞いて、切歌と調の二人は安堵の表情を浮かべてそっとクリスから体を離した。

 

「やっぱり、先生の言うことは正しかったね!切ちゃん!」

 

「この調子で、あの本の最終目標、クリス先輩に「切歌と調は可愛いな~!」って言われながら抱きしめて頭を撫でてもらうのが挨拶になるくらい仲良しな先輩後輩を目指すデス!!」

 

「調子に乗るな!!」

 

ビシッ!!

 

「「あうっ!?」」

 

二人の額にクリスがデコピンを入れて、二人が情けない声を漏らす。そんな風に三人がすっかり気を抜いていると…施設内が大きく揺れ動き始めた。

 

 

 

 

 

同時刻、S.O.N.G.本部は深淵の竜宮の現状を正確に把握していた。

 

「深淵の竜宮、被害拡大!クリスちゃん達の位置付近より、圧壊しつつあります!」

 

クリス達とレイアの戦闘に、施設が耐えきることが出来ず、水圧によって徐々に施設が崩壊しようとしていた。

 

そんな緊急事態の中で、藤尭がレーダーに新たな反応が現れたことに気が付いた。

 

「この海域に急速接近する巨大な物体を確認!これは…!」

 

モニターを表示させると、そこには先日S.O.N.G.本部を襲撃した巨大人形の姿があった。

 

「いつかの人型兵器か!装者達の脱出状況は!?」

 

相次ぐ緊急事態に、弦十郎は急いでこの場から離脱すべくクリス達の現状確認を指示した。

 

 

 

 

 

崩壊する施設内を、クリスが調と切歌を抱えて進む。二人は途中でLiNKERの効き目が切れてしまい、ギアが解除されてしまっていた。

 

「ダメ…間に合わない!」

 

「さっきの連携は、無駄だったデスか!?」

 

「まだだ!諦めるな!!」

 

弱気になる切歌達に、クリスが激励を入れて小型潜水艦へと駆け込む。三人は飛び込むように潜水艦へ乗り込み、深淵の竜宮から離脱。その後、何とか無事にS.O.N.G.本部の潜水艦までたどり着いた。

 

「潜航艇の着艦を確認!」

 

「緊急浮上!油圧を気にせず、振り切るんだ!!」

 

三人が本部に辿り着いたのを確認した弦十郎が、早急に本部を海面へと移動させる。その本部を、巨大人形…レイアの妹が追いかけてくる。

 

「総員をブリッジに集め、衝撃に備えろ!急げ、友里!!」

 

最悪の事態に備えて、弦十郎が総員を集めるように急かす。友里は慌てず、凄まじいスピードで端末を操作して弦十郎の指示を遂行する。

 

S.O.N.G.本部が飛び上がるように海面へと浮上して…その直後に、レイアの妹も海面に姿を現す。レイアの妹はその巨大な腕を真上に振り上げると、そのまま眼前の潜水艦に勢い良く振り下ろし…

 

ズガァァァァァァン!!!

 

…本部を真っ二つに叩き割ってしまった。

 

 

 

 

 

衝撃が本部全体を襲う。まともに立つことすらままならない振動に、全員が何かに捕まって耐えていると…頭上の照明の一部が外れて、その真下にいる友里へと落下してきた。

 

「危ない!!」

 

偶然そのことに気が付いたエルフナインは、友里を庇うために落下する照明の前に飛び出して…

 

 

 

 

 

レイアの妹の一撃で、中央からへし折れて炎が噴き出すS.O.N.G.本部。しかし、総員が集まるブリッジが切り離されて、その直後にもぬけの殻となった潜水艦が大爆発を起こす。切り離されたブリッジからミサイルが発射され、ミサイルの装甲が分離して中からイグナイトモジュールを纏ったクリスが飛び出した。

 

クリスは空中でレイアの妹の姿を捉えると、巨大な弓を展開して矢のようなミサイルを番え、放った。

 

ARTHEMIS SPIRAL

 

ミサイルは真っ直ぐにレイアの妹の体に迫り、その脇腹を大きく抉り取った。一瞬の間の後、レイアの妹の体は大爆発し、衝撃で発生した津波がブリッジを揺らした。そのブリッジの上に、クリスが降り立つ。

 

「本部が…連中は、何もかもをまとめてぶっ飛ばすつもりで…!」

 

人形の破片が雪のように降り落ちる空を見ながらクリスはポツリと呟き、すぐさまブリッジの中へと向かった。

 

 

 

 

 

立て続けに衝撃に襲われたことで、ブリッジ内部の人間の意識は混濁していた。それが徐々に治まり、友里が目を覚まして周囲を確認すると、目の前に自分を守るように友里の体に覆いかぶさるエルフナインと…その頭上に、透明なガラスのような壁に阻まれて止まる照明の残骸が映った。

 

「エルフナインちゃん!?」

 

「あ、れ…?何とも、ない?…あ、そうか…これは、ナナシさんの…」

 

友里の声に反応して、エルフナインがゆっくり目を開けて状況を確認し、混乱しながらもその視線を自身の手首…そこに嵌められた“血晶”へと向けた。

 

そうしている内に、異変を察知した切歌と調がエルフナイン達に駆け寄った。

 

「大丈夫デスか!?」

 

「大変!早く退けないと!!」

 

「二人共、離れてくれ!」

 

二人の声を聞き、すぐに弦十郎が駆けつけて、照明の残骸を片手で掴んでヒョイと何もない場所へと放って捨てた。

 

「二人共、怪我は!?」

 

「私は大丈夫です…エルフナインちゃんが、守ってくれました」

 

「い、いえ!ボク達を守ってくれたのは、ナナシさんの力で…」

 

「謙遜するな!例えそれが事実でも、君が友里を守ってくれたからこそ“血晶”が機能したんだ…ありがとう、俺の部下を守ってくれて」

 

「ありがとう、エルフナインちゃん!」

 

友里がエルフナインを抱きしめて、弦十郎がエルフナインの頭を撫でる。言葉と行動でありったけの感謝を伝えられて、エルフナインの心は暖かな気持ちに満たされた。

 

(…パパも、助けた人から感謝の言葉を貰った時、こんな気持ちだったのかな?)

 

エルフナインは、記憶の中で人助けのために知識を使っていた父親と、その想いについて考えた。

 

何の確証も無いけれど…エルフナインには、今この胸を満たす感情が、父親の命題の答えを導き出す、重要なカギになるのではないかと思った。

 




唐突ですけど、今期アニメに出てくる鉛筆の魔王様がたやマさんと中の人同じと知って衝撃を受けました。スタイル良かったり世の女性の憧れだったりと意外に共通点が多いのにキャラのせいで全然結びつかなかった…
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