戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ 作:@sora@
ナナシの質問の意味が分からず、全員が動きを止めてしまった。
「ティー、エス…?」
「どういう意味デスか…?」
「男の子…え!?男の子!!?いや、どう見ても彼女達は女性…」
「ちょっとニュアンスが違うぞ、アイドル大統領。俺が言ったのは『
『!!?!?』
ナナシの説明に全員が驚愕する。特に指摘を受けたカリオストロ達の動揺は凄まじかった。
「な、ななな、何を訳分からないことを言っているのかしら!!?あーたはこのボンキュッボンが偽物だと言いたいわけ!!?」
「い、一体何を根拠にそんなことを言い出したワケダ!!?」
「う~ん、根拠って程ではないけど…お前らの、特にギャルっぽいお前のテンションに覚えがあって色々“妄想”してみたんだ。お前らからは、役者や声優が『違う自分を演じることを楽しむ雰囲気』に近いモノを感じた」
「「ッ!!?」」
ナナシの言葉にピクリと反応する二人。それを見逃さず、ナナシは更に自身の考えを語り出した。
「そして、これまで結構な数の人間を見てきた俺の“解析”が、お前らの肉体を読み取ることに難儀しているからな。その体が普通でないことは明白だ」
「“解析”…?」
「俺が見たり触れたりした対象の情報を時間経過で読み取る能力だ」
「ッ!!?」
「いや~ん!?エッチスケッチワンタッチ!!?乙女の秘密を覗き見なんて信じられない!!?」
「普段は異性に使うことは控えているけど、どうしても気になることがあったからな。今のところ判明したのはお前達が『女』であること…
「「!!?」」
アッサリ明かしたために半信半疑であったが、プレラーティの名を言い当てられ、カリオストロの名も暴かれようとしている事実に、その力が本物であることを二人が確信して…
「カリ…オス、タロウ…?……ッ!?
「誰が雄太郎だゴラァアアアア!!?カリオストロよ!!カ・リ・オ・ス・ト・ロ!!!」
ナナシのとんでもない呼び間違いに、カリオストロがドスの効いた声で絶叫した。
「まあ、人に擬態した化け物とか、錬金術で肉体改造している可能性も視野に入れた上で…『一番そうであって欲しい願望』に懸けて鎌をかけた訳だが…お前らの反応で確信した!錬金術で!!性別の変更は可能なんだな!!?」
カリオストロ達が元男であることを確信したナナシは、何故かとても興奮した様子だった。
「な、何でそこに喰いついてるワケダ?」
「『一番そうであって欲しい願望』って…なーに?あーた女性の体に憧れでもあるの?」
「Exactly!!」
「「「えええええええええええええ!!?!?」」」
『えええええええええええええ!!?!?』
ナナシの発言に、マリア達と本部の仲間達は揃って声を上げてしまっていた。まさか肯定の言葉が返ってくるとは思わず、カリオストロ達もマリア達の手が止まっているにも関わらずヨナルデパズトーリを召喚することも忘れてしまっていた。
「あははははは!素晴らしい!!錬金術にはあるんだな!?俺が昔、密かに習得できないか試して無理だった“性転換”が!!!これで…これで俺は遂に…マネージャーとしてより高みに近づける!!!」
『………は?』
“性転換”によって、マネージャーの高みに近づく…その意味が分からず、全員が間の抜けた声を出してしまった。呆ける周囲の人間に対して、ナナシが理由を熱く語り始めた。
「俺は常々思っていた。ツヴァイウィングのマネージャーの仕事を全うする上で、俺の体質はなんて都合が良いのだろうと!…だからこそ、嘆かずにはいられない…この身は何故、男として生まれてしまったのかと!」
ナナシは頭を抱えて嘆くように俯きながら、更に熱を籠めて言葉を紡ぐ。
「刺激を求める人類は、人気アーティストのゴシップを常に狙っている!楽しむためならマッチの燃えカスほどの小さな火種にガソリンをぶちまけて派手に炎上させようとする輩がどれだけ多いことか!マネージャーという身分があったとしても、異性である以上そう言った声が上がるリスクはどうしても付きまとう!!そんな些末事であいつらの歌手活動が妨げられるなどあってはならない!!!」
困惑する周囲のことなどお構いなしに、お面のウルトラ不審者の熱弁は止まらない。
「だが、アーティストの周囲を常に同性で固めることなど出来ない!今の日本は男女平等とは言うが、どんな環境でも男性、女性の適する場面というものが必ず出てくる!だからこそ!!慎次という優れた男性マネージャーが既にいる現状で、俺の性別が女性であったならばもっと隙の無い体制を構築出来たはずなのに!!!」
自分が男であることを全力で嘆くナナシの様子に、本部の大人達でさえ絶句していた。
「色々試したんだ…声や所作なら完璧に女性を演じる自信はある。だが俺の容姿だとどれだけ工夫しても違和感が残ってしまう。ならばどうにか容姿や性別を変える能力を得られないか足掻いてみたが、骨格はどれだけ削ったり砕いたりしても再生してしまうし、男のシンボルは何度引っこ抜いても生えてきてしまう!!」
「「ヒィッ!!?」」
狂気に満ちたナナシの過去の試みに、カリオストロとプレラーティは青い顔で内股になってしまった。
「頑張っても成果が出せなかったから、流石に奏の治療や他の仕事の時間を削ってまで試行錯誤する気にはなれなかったし諦めていたが…お前達のお陰で新たな可能性が見えた!錬金術で性の変更が可能ならば、後はウチのお抱え錬金術師達に頼み込むだけ!!ありがとう!!お前達の存在に深く、深く感謝しよう!!!」
ナナシがお面越しでも喜びが伝わる嬉しそうな声音でカリオストロ達に感謝の言葉を伝える。アチコチから火の手が上がる空港内で、少しの間マリア達とカリオストロ達は唖然、呆然とした後…
「……行くわよ!パヴァリア光明結社!!」
「返り討ちにしてあげるわ!!」
…聞かなかったことにして、戦いを仕切り直した。
ナナシのカミングアウトによってどうしようもなく緊張感が霧散してしまった空気を何とか切り替えて、S.O.N.G.本部ではオペレーター達がマリア達の補佐を開始する。すると、周辺のカメラ映像を見ていた藤尭があることにいち早く気づいて慌てて弦十郎に報告する。
「司令!!シュルシャガナとイガリマの交戦地点に、滑走中の…」
「ッ!?航空機だとぉ!!?」
航空機を操縦するサブパイロットが、滑走路上で交戦中のプレラーティと調、切歌の三人を目撃して慌ててメインパイロットに報告する。
「人が!割と可愛い子達が!!」
「構うな!止まったら、こっちが死ぬんだぞ!!」
躊躇するサブパイロットを、メインパイロットが叱咤して航空機を走らせ続ける。航空機の後方には、分解器官の刃で地面を切り裂きながら高速で航空機に迫るアルカノイズの群れがいた。それを確認した切歌は、咄嗟に調へと声を掛ける。
「調!」
「切ちゃんの、思うところはお見通し!」
「行きなさい!後は私に任せて!」
「了解デス!」
マリアに後押しされて、切歌達は航空機の支援へ向かって行った。プレラーティが地面に落ちたぬいぐるみを拾い上げている間にカリオストロが傍に近づいて、二人はマリアと対峙する。
「あの二人でどうにかなると思っているワケダ」
「でもこの二人をどうにかできるかしら?」
「おーい、いい加減俺の存在をスルーするのはやめてくれない?アイドル大統領、『私に任せて』ってセリフはちょっと傷ついたぞ?『私達に任せて』って言ってくれよ!」
そこに、相変わらずふざけた様子のナナシがマリアの傍に近づいてカリオストロ達と相対した。そのことにカリオストロ達だけでなく、仲間である筈のマリアでさえも眉を寄せてしまう。
「あなたが悪いんでしょう?どうしてもパヴァリアの錬金術師達に話を聞きたいことがあるから協力してくれってお願いされたから三人であの化け物を召喚されないように注意していたのに、話の内容があんなことだなんて…もっとこう、あの化け物の力の詳細とか、説得で降伏を促すとか真面目な理由だと思っていた私達の気遣いを返しなさい!!」
カリオストロ達を警戒しながらマリアが愚痴を言うと、ナナシは笑いながら言葉を返した。
「あはははは!アイドル大統領も無茶を言うな?こいつらを説得って…仲間と
「「「ッ!!?」」」
…ナナシの言動に呆れ、油断していたカリオストロ達の胸に、唐突にナナシの言葉の刃が突き刺さった。
「ナ、ナナシ…唐突に何を言って…一体何を根拠に、そんな…」
「根拠なんて無いさ。あくまで俺の“妄想”だ。強いて理由を述べるなら…さっきこいつらが歌っているのを聴いた結果感じた印象を言ってみただけだ」
「あっ……」
「「それで察した(ワケダ)!!?」」
押し黙るマリアにカリオストロ達は驚愕するが、かつて世界のために奏でたライブの歌に籠めた感情を正確に読み取り、最近では発声練習をした際にワンフレーズで軽い空腹であったことを見切られて軽食の準備をされたことのあるマリアにとっては、ナナシの一言は万の証言を重ねられるよりもずっと納得出来る発言だった。
「こいつらくらい覚悟が決まった奴らを、“紛い物”の俺の言葉でどうにか出来るなんて思わないな。だから、切り崩すとしたら最後の一人…バルベルデ大統領が言っていた名前から、消去法でサンジェルマンか?口説くならあいつだ」
「ッ!!?黙っていれば、何をふざけた事を口走っているワケダ!!?」
「というか名前知ってたんじゃない!!?」
ナナシの発言に激怒したカリオストロ達が錬金術で砲撃を開始する。ナナシは二人の攻撃を最低限の動きで回避したり、多少の傷は物ともせず腕で弾き飛ばして凌いだ。
「貴様のようなふざけた男が、歌を聴いただけで何を好き勝手にサンジェルマンのことを語っているワケダ!!!」
「あーしらのリーダーがチョロいみたいな発言は、流石に笑えないわ!!あーしらの中でサンジェルマンが一番強い覚悟を持ってる事も分からないなんて、女心の欠片も理解出来ない男がナンパなんてしてんじゃないわよ!!!」
攻撃と共に激しい怒りの言葉を放つ二人。だが…
「あ?確かにあいつからは一番強い覚悟を感じたけど…一番危ういのもあいつだろ?」
「ッ!!?!?」
…まるで当然の事と言った風に返してきたナナシの言葉に、二人は絶句してしまった。
「はあっ!!」
「ッ!?やっば!!?」
二人が固まった隙に、マリアがカリオストロへと接近して攻撃を仕掛ける。カリオストロは咄嗟に錬金術の防壁でマリアの短剣を防ぐが、防御が甘く腕が大きく弾かれて再度隙を晒す。そこにマリアが追撃を加えようとして…
バチンッ!!
「ッ!!?」
…そのタイミングで、マリアのLiNKERが限界を迎えてしまった。
(クッソ、消費を最低限に抑えさせても“紛い物”のLiNKERじゃここまでか…ギアが完全に解除される前に、何とか三人を離脱させないと…)
マリアのLiNKERが効果を失ったということは、同時に使用した調と切歌のLiNKERも効果を失ったということだ。ナナシは“念話”で三人に撤退の指示を出そうとして…
(ナナシ!私達の事は気にせずあなたの戦いを続けなさい!!)
(ッ!!?)
…それよりも早く、マリアから作戦を継続するよう伝えられた。
(これくらい、どうってことないデス!!)
(先生は、先生に出来ることを!!)
(何か、あの錬金術師達に言いたいことがあるんでしょう?癪だけど、どれだけふざけた内容であっても、かつてあなたの言葉に助けられた私達はあなたの言葉の力を信じている!手伝ってあげるから、あなたの想いを伝えてみせなさい!!)
(…そんな大層な思惑があるわけじゃないんだけどな…そんなに信頼されたら引けないじゃないか…ああもう!分かったよ!!三人共、ギリギリまで粘ってくれ!よろしくお願いします!!)
三人の想いを受け取り、ナナシは再びカリオストロ達へと向き合って言葉を紡いでいく。
「どうやら言い方が気に食わなかったみたいだな?それじゃあ少しでもオシャレになるように宝石にでも例えてみようか?お前らのリーダーって、ダイヤモンドみたいだよな?」
「「はあっ!?」」
唐突な話題の転換に、カリオストロ達はマリアの攻撃を防ぎ続ける最中でもナナシの言葉を無視出来ない。カリオストロ達の困惑などお構いなしに、ナナシは“収納”から取り出した小粒のダイヤモンドを指で摘まんで月の光に翳しながら言葉を続けた。
「ダイヤモンド…その圧倒的な透明感から『純潔・清浄無垢』などの意味を持つこの宝石は、その輝きで世界中の人間を虜にしてきた。月明りを背にオペラハウスで歌うあの女の姿には、この宝石にも負けない魅力と崇高さを感じたものだ」
先程までの酷評とは一転して、サンジェルマンを褒め称えるようなナナシの言葉に、カリオストロとプレラーティは表情には出さなかったがナナシの言葉に共感や納得を覚えていた。
「そしてこの宝石の最大の特徴は、自然界で最も硬い鉱石であること。故にかつては加工の難しさから『征服されない』という意味の『アダマス』の名で呼ばれ、未加工の白く曇った状態でも何物にも負けず屈しない性質から『不屈』の意味を持つお守りとして身に付けられていた。それが人の技術の進歩によって万人を魅了する輝きを放つようになってからは、その強さと美しさから『永遠』の象徴にもなった…お前ら、『革命』が目的って言っていたよな?何に対する反逆かは知らないけど、永い時の中で知識と技術を積み重ねて支配から脱却しようとするお前らのリーダーを表すには、これ以上ない宝石だと思わないか?」
「あーもう!腹立たしいけど本当に口が立つわね!?」
「今更取り繕ったところで!先程の暴言は無くならないワケダ!!」
マリアの攻撃を捌きながら、カリオストロ達は悪態混じりのとはいえナナシの言葉に同意とも取れる言葉を返す。それを聞いたナナシは、仮面の下でニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「さて、このダイヤモンドを構成するのが炭素って言うのも有名な話だよな?数多ある宝石の中で、単一の元素で構成される唯一の宝石。何億年もの時間をかけて、高温と圧力を加えることで炭素のみが収束した物質…長い苦難の中で、一つの目的だけを妄信して他の要素が交わらなかった…いや、交ざることが出来なかったところも、似ていると思わないか?」
「「ッ!!?!?」」
…続くナナシの言葉に、カリオストロ達は何も返すことが出来なかった。
「そして何より…」
絶句するカリオストロ達の前で、ナナシは左手の指で摘まんだダイヤモンドに右手の指をデコピンのような形で近づけると、ダイヤモンドを指でピンと弾いて…
パキィィィン!!
…粉々に砕いてしまった。
「…硬い反面、瞬間的な衝撃に弱いからトンカチでも使えば子供でも容易に砕くことが出来る。そんな弱さが、希少価値や思い入れなんかの外付けの理由で傷が付かないように守られることで誤魔化されている…これが、歌を聴いただけの…人の感情を感じ取れる”紛い物”が、お前らのリーダーに感じた印象だ。俺の言葉を否定したいと言うのなら…俺が直感的に『心中』と表現したお前らの想いを、『友愛』でも『恋慕』でも『崇拝』でも良い、他に納得出来る表現で示してみせてくれ」
「なっ…あっ…」
「感情を、感じ取る!?」
紡がれたナナシの言葉に、カリオストロ達は動揺する。だが信じざるを得ない。否定しようにも、語られたナナシの言葉はあまりに…
(カリオストロ!!)
(分かってる!あーしの女の勘も言ってるわ!この男を、サンジェルマンに近づけちゃいけない!!)
二人は
(さて、これでこいつらは俺の事を意識せざるを得なくなった。その分ウチの歌姫達への警戒が疎かになる。後は立てたフラグを上手く回収するためにも、この場を乗り切らないとな!)
二人の
「適合係数、急激に低下!まもなくLiNKERの有効時間が超過します!」
S.O.N.G.本部では、マリア達のバイタルを表示しているモニターから絶えずアラームが鳴り響いている。だが、カリオストロ達と交戦中のマリアや、転倒しそうな航空機を小さな体で必死に支える調と切歌達は引くことなど出来ない。
(諦めない、心…)
その身に降りかかる痛みに耐えながら全力で立ち向かうマリア達の姿を、エルフナインはジッと観察していた。少しでも力になれることを見つけ出せるように…だからこそ、その瞬間を見逃さなかった。
(あれは…!)
ほんの一瞬、マリアの纏うアガートラームが淡い輝きを放ったことを目撃したエルフナインは、自身の直感を信じて通信機でマリア達に呼び掛ける。
「皆さん!もう一瞬だけ踏みとどまってください!」
「ッ!!?エルフナイン?」
突然のエルフナインの行動にキャロルが疑問の声を出すが、エルフナインは躊躇うことなく自分の想いをマリア達へと伝えた。
「その一瞬は、ボク達がきっと永遠にして見せます!ボク達もまだLiNKERのレシピ解析を諦めていません!だから…諦めないで!」
エルフナインの想いを受け取り、調と切歌は最後の力を振り絞る。二人は一瞬だけ視線を合わせて頷くと、調が航空機から手を離して前に出る。切歌はギアを巨大化させて一人で航空機を支えながら速度を保った。その隙に調も切歌の前方でギアを巨大化させて準備を終えた。切歌が前方の調に自らが持つ鎌の柄を伸ばし、調は振り返ることすらなく伸びてきた鎌の柄を掴んで肩に担ぐ。その状態で調はギアを変形させてブレーキを掛けながら、自分の体を支点に一気に鎌の先端を上に持ち上げる。切歌も調のタイミングに合わせて航空機を持ち上げて、航空機は二人の完璧なコンビネーションによって前方の管制塔を乗り越えて上空へ飛ぶことに成功した。
一方、マリア達も勝負を決めに動く。ナナシにカリオストロ達の注意が向いたところでナナシが前に出て、マリアが後ろに下がる。ナナシがカリオストロ達を攻撃して気を引いている内にマリアが短剣を籠手に接続して、残ったエネルギーを全て籠手に収束させる。
(ナナシ!)
(よろしくお願いします!!)
“念話”で最低限のやり取りをした後、マリアは籠手に収束したエネルギーを一気にカリオストロ達へと放った。
“HORIZON†CANNON”
籠手から放出された光線がカリオストロ達とナナシへと迫る。現在ナナシはマリアに背を向けてカリオストロ達と対峙しているため、このままではナナシに光線が直撃してしまう。だがナナシはギリギリのタイミングで“浮遊”を使って地を蹴り後方へと跳躍する。光線はナナシの下を通り過ぎ、カリオストロ達を飲み込んで大爆発を起こした。
ナナシがマリアの傍に着地すると、マリアのギアが限界を迎えて解除される。そこに同じくギアが解除された調と切歌も駆け寄ってきた。全てを出し切ったマリアが荒くなった息を整えてながら前を見ると…爆炎の晴れた先に、無傷のカリオストロ達が立っていた。
「まだ戦えるデスか?!」
「でも、こっちはもう…」
精魂尽き果てたマリア達の前で、笑みを浮かべたカリオストロが掌の上に召喚陣を展開する。
「おいでませ!無敵のヨナルデパズトー…」
ブォン!!!
「リッ!!?」
ドゴォォォン!!!
カリオストロがヨナルデパズトーリを召喚する直前、顔に飛来してきた何かを寸前で躱す。それはナナシが咄嗟に“収納”から取り出して投げつけたガングニールのレプリカ。槍はカリオストロの頬を軽く掠めて浅い傷を作りカリオストロの後方にあった建物の壁に突き刺さるが、召喚を止めるには至らず…召喚陣から、光と共にヨナルデパズトーリが姿を現した。
「いった~い!顔に傷~!やだもぉ~!」
「チッ、止められなかったか。一番意表を突ける目を狙ったんだが…次は貴重な情報の恩とか考えずにちゃんと首を落とそう」
ナナシの呟きに、カリオストロが顔を青くする。負け惜しみと思いたいが、先程カリオストロが避けられたのは正確に眼球目掛けて槍が飛来したからであって、最初から首を狙われていたら気づけたか怪しいからだ。
「時限式ではここまでなの?…こうなったら…」
マリアが疲弊した体に鞭を打って、予備のLiNKERを取り出す。だが、そんなマリアの手をナナシが押さえて窘めた。
「無理するな、ここは俺に任せてくれ。よろしくお願いします!」
「ナナシ…」
軽い口調で仮面の端から笑みを覗かせながら、ナナシは一人歩みを進めてヨナルデパズトーリへと近づいていく。
「よう、兄弟!不死身なんだってな?奇遇だな、俺もだよ!終わらない殺し合いなんてクソつまんねえから精々遊ばせてもらうぞ!その口に尻尾捻じ込んでウロボロスにしてやるから覚悟しろよ、蛇野郎!!」
宣言と共に、ナナシが“収納”から禍々しい短剣を取り出して自らの心臓を穿とうとした。その時…
「うおおおおおおおおおお!!!」
シンフォギアを纏い、ブースターを全開にして飛び込んできた響が勢いそのままに雄叫びを上げながらヨナルデパズトーリに拳を叩き込んだ。
「フフッ、効かないワケダ」
響の加勢に慌てることなく、プレラーティが余裕の笑みを浮かべる。だが、響の拳が当たったところを中心に、何故かヨナルデパズトーリの体が崩壊していく。
「ッ!!?」
「んなっ!!?」
想定外の光景に、カリオストロとプレラーティは驚愕の声を漏らした。
「それでも無理を貫けば!」
「道理なんてぶち破れるデス!!」
「はああああああああ!!!!」
掛け声と共に響が更に拳を押し込み、遂にヨナルデパズトーリの体をブチ抜いた。頭と胴体が分かたれたヨナルデパズトーリは、再生することなく光の粒子となって消えてしまった。
「どういうワケダ!?」
「もう!無敵はどこ行ったのよう!」
目の前の結果にプレラーティは驚愕し、カリオストロは身をくねらせて憤慨する。そんな二人と対峙するように響はマリア達の前に降り立ち、宣言した。
「だけどわたしは、ここにいる!!」
歌を一回聴いただけで相手の心境を九割察知する主人公w
流石にご都合主義が過ぎますかね?