戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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第135話

浮遊戦艦の甲板に降り立ったキャロルとナナシ。ナナシの被る鬼面を見て一瞬ビクリと身を震わせたカリオストロは二人を警戒しながら舌打ちした。

 

「あ~もう、そういうことね…ガッカリ団子姉妹の役割、時間稼ぎと偵察は正解だけど間違いだったみたい」

 

「…どういうワケダ?」

 

矛盾したことを口にするカリオストロに、プレラーティはナナシ達から視線を逸らさないまま問いかけた。

 

「民間人が避難するための時間稼ぎと、あーしらのアルカノイズの偵察…それと同時に、姿を隠して様子見しているあーしらを見つけ出して戦力を投入、鎮圧する…ご丁寧に、ラピスの浄化が効かない人選までしてね?」

 

「なるほど…一応は、想定していたことではあるワケダが…」

 

そう、サンジェルマン達はこういった事態も想定はしていた。響達がアルカノイズを相手にしている間に、原因は不明だがラピスの浄化が効かないイレギュラーが自分達を襲撃してくる可能性については考えていた。それでも三対一ならばイレギュラーを倒しきれないまでも時間を稼ぐことで、響達が疲弊してイグナイトを使用した瞬間全てのアルカノイズでイレギュラーを足止めして一気に響達を屠るつもりでいた。

 

しかし、ここに更なるイレギュラー…キャロルの存在が追加されたことでサンジェルマン達は窮地に追い込まれた。

 

キャロルがS.O.N.G.に属したことはサンジェルマン達も知っている。しかしその理由が新たな研究対象を得たためであり、以前自分達と取引していた時のように自分の利益のために過ぎず、自らの想い出という重い代償を払ってまでS.O.N.G.に協力する可能性は低いとサンジェルマン達は判断していた。

 

「…分かっているな?これはあくまで貴様との取引で協力しているだけであって、決して貴様がガリィを起動した際の提案を受け入れた訳では無いからな!」

 

「しつこいな…分かってるって。何でそんなに念押しするんだよ?」

 

「煩い!貴様は黙ってその事実を脳に刻み付けていれば良い!!………全くガリィ共め、大量の想い出を代価として受け取っただけでやれ結納だの共同作業だのと騒ぎ立ておって…(ボソッ)」

 

「ん?後半何て言った?聴覚にはそこそこ自信があるけど、こんな風が強い上空でボソボソ呟かれると聞こえないぞ?有能?陽動作業?」

 

「っ!!?喧しい!!」

 

…何やらナナシとキャロルが言い争いをしながら近づいて来る。詳細は分からないが、どうやらキャロルが表に出てきたのは仮面の男が交渉した結果らしい。こうなると作戦の続行は困難かと、カリオストロがテレポートジェムを取り出そうか迷った瞬間…

 

ズドン!!

 

「「「ッ!!?」」」

 

カリオストロ達の傍の甲板に、槍が突き刺さった。

 

「おーい!こっちもあんまりお前らに好き勝手繰り返されるのは癪だから、確実に戦力を削るために逃げようとしたら一人を集中して狙わせてもらうからな!仲間を切り捨てる覚悟があるなら試してみろ!」

 

「「「ッ!!?」」」

 

風の音に負けない大きな声で、何でもない事のように朗らかに告げてきたナナシの言葉に三人は体を硬直させた。これまでの言動から、ナナシの言葉がハッタリである可能性は低い。そしてナナシとキャロルの二人なら、サンジェルマン達を相手にそれを実行するだけの力は有している。サンジェルマンはカリオストロ達に目配せすると、二人は無言で頷いてテレポートジェムを取り出すことを諦めた。

 

そうしている内に、ナナシ達はサンジェルマン達の傍まで辿り着いた。もう声を張らなくても会話が成り立ち…互いの攻撃が充分に届く距離だ。

 

緊張感が高まる空気の中で、最初に口を開いたのはサンジェルマンだった。

 

「久しぶりね?キャロル・マールス・ディーンハイム」

 

「フン、もう二度とその辛気臭い顔を見ることは無いと思っていたのだがな?サンジェルマン」

 

キャロルはそう口にしながら、サンジェルマンが纏うラピス・フィロソフィカスのファウストローブをジッと見つめた。

 

「ラピス・フィロソフィカス…何の目的でオレに近づいたかと思えば、コソコソ他人の研究を覗き見か?そんな恥知らずの真似をしなければ満足に錬成も出来ないとは…しかし素材としては面白そうだ。今度研究の片手間にでも錬成してみよう」

 

「ハン!私がチフォージュ・シャトーを設計しなければ計画を進めることすら出来なかった三流錬金術師が何をほざいているワケダ?挙句まともに起動することも出来ずにむざむざ壊されてしまった哀れなシャトーから偉大な研究結果を生み出してやったのだから、感涙に咽いで這いつくばれば良いワケダ」

 

「あ゛ぁ゛?」

 

「お゛ぉ゛?」

 

キャロルの挑発にプレラーティが過剰に反応して二人の間に火花が散る。一触即発な雰囲気の二人に、ナナシが笑いながら声を掛けた。

 

「あっははははは!何だ何だ?美少女錬金術師の座を巡ってマウントの取り合いか?残念ながらそのポジションはエルフナインちゃん様の独壇場だ!安心しろ!お前はオレ様系年齢不詳クソガキ錬金術師、そこの黒髪眼鏡は根暗系性別不詳メスガキ錬金術師として住み分けは可能なはずだ!あんまり醜く争っているとイロモノ枠としての底の浅さが際立つぞ?」

 

「「喧嘩売っているのか貴様!!?」」

 

「Exactly!!」

 

「「力強く肯定するなあああ!!!」」

 

よりによって笑う般若面にイロモノ扱いされたことで二人が声を揃えて憤慨する。戦場で対峙しているはずなのにどうしようもなく空気が弛緩してしまい、その隙を突いて再度ナナシが口を開いた。

 

「さてさてお三方、旧友との親睦を深めたところでちょっと俺とも話をしないか?俺達の目的は薄々察しているだろうけど、本格的にドンパチ始める前に少しだけ時間を…」

 

チュンッ! ガキィィィン!

 

対話を希望するナナシの言葉を遮るようにファウストローブを纏ったカリオストロが放った光弾を、ナナシの“障壁”が弾いた。

 

「あーたらと今更お話することなんて無いわ!」

 

「これまでの鬱憤も晴らさせてもらうワケダ!」

 

プレラーティもファウストローブを纏って応戦の構えを取る。やや強引な二人の様子に少し疑問を覚えるが、サンジェルマンも銃を構えて戦闘の姿勢を取った。

 

(…成功か?)

 

(う~ん、どうだろう?確証が持てないから継続で。流れはこっちで誘導する)

 

(分かった)

 

ナナシとキャロルは“念話”で何かのやり取りをした後、臨戦態勢の三人にナナシが再び声を掛けた。

 

「何でそんなに事を急ぐ?時間はお前らの味方だろ?それに前にも言ったけど…俺と会話をする利益が分からないか?」

 

あくまでも軽い口調のまま…ナナシはその手で禍々しい短剣を弄んだ。サンジェルマン達はそれを忌々し気に睨みつける。前回は短剣を使用したナナシ一人に戦況を覆され、今回はキャロルまで加わっている。圧倒的に不利な立場であることを再確認させられて、三人は歯をギリリと噛み締めた。

 

「もし俺とOHANASHIしてくれるなら…この短剣、ここでは使わないでやるぞ?」

 

「「「ッ!!?」」」

 

そんな三人を嘲笑うように、ナナシは自身の優位を放棄する提案を口にした。

 

「前回と同じで、お前らにどうしても一つ確認したいことがあってな?多少の不利を承知でこの場での会話を求める。返答の有無は好きにすれば良い。こっちの質問を聞いた時点でこの短剣は使わないでやるよ」

 

「…それを信じろと?」

 

訝し気なサンジェルマンに、ナナシは無言で是非を問う。サンジェルマンが僅かに逡巡していると、カリオストロが横から口を挟んだ。

 

「足りないわ!どーしてもあーしらとここでお話したいなら、その短剣を寄越しなさい!!」

 

「ヘイ、パース!」

 

「「「ッ!!?!?」」」

 

ナナシがノータイムでサンジェルマン達に向かって短剣を投擲してきた。放物線を描いて迫る呪われた短剣を安易に掴み取る訳にもいかず、サンジェルマン達が咄嗟に回避したため短剣はカツンカツンと甲板にぶつかりながら転がっていき…戦艦の端から転がり落ちて、丁度戦艦が上を横切っていた川にボチャンと音を立てて沈んでいった。

 

「あ~あ、何やってんだか…ちゃんと受け取れよ。そんなに勢い無かっただろ?」

 

「い、いきなり女子に刃物を投げつけるのが悪いんでしょ!?」

 

「あははは!確かにな!!まあどちらにせよ、俺があの短剣を使わない事は確定したんだから、これで信じるも何もないだろ?」

 

「ええ、これでもうあーたのご機嫌取りをする必要は無くなったわね?」

 

そう言ってカリオストロが不敵に笑う。その笑みを見たナナシは肩を竦めてみせた。

 

「まあ、普通に想定内だ。リスクを飲んでも話が出来ればな~ってワンチャン狙っただけだし…詐欺にでもあったと思って諦めるさ」

 

「…あっそ」

 

ナナシの何気ない言葉に一拍の間を置いてカリオストロが素っ気なく答えたのを聞いて、ナナシが首を傾げた。

 

「あれ?詐欺師扱いはNGだったか?」

 

「…何のことかしら?」

 

ナナシの言葉に、今度は微笑みながらカリオストロが首を傾げる。それを見たナナシは…

 

「非礼を詫びる。済まなかった」

 

「「「「ッ!!?!?」」」」

 

…突然、頭を下げて謝罪した。段取りには無い行動らしく、カリオストロ達だけでなくキャロルまでもが目を丸くして驚いていた。

 

「…どういうつもり?」

 

「言葉通りだ。俺は意図せずお前を言葉で傷つけた。その行いを間違いと認めて、悔いている」

 

「何を今更…なら以前サンジェルマンを罵倒したことを謝りなさいよ!そっちの方がよっぽど腹に据えかねてるんだから!!」

 

「だが断る!!それについては一切詫びる気持ちは起こらない。寧ろ全然言い足りないくらいだ」

 

「基準が全く分からないワケダ!!」

 

訳の分からないナナシの言動に、思わずプレラーティがそう口を挟んでしまった。サンジェルマンも疑問が大きく、構えた銃の引き金を引くことを躊躇っている。そんなサンジェルマン達の疑問に、ナナシは淡々と答えていった。

 

「俺は俺の言葉によって人間が喜び、驚き、怒り、悲しむ様を見るのが好きだ。そして俺は自分が楽しむためならどれだけ相手の尊厳を踏み躙ることになろうと言葉を躊躇することはない。目の前で相手の表情が歪み涙する様を心から笑みを浮かべて鑑賞する。しかし、だ…あくまでそれは、俺が相手に『そう在って欲しい』と想いを籠めた言葉による結果ならばの話だ。その結果、相手から返ってくる想いが想定の内でも外でも構わない。安堵を求めて生じた焦燥も、歓喜を求めて生じた憎悪も、俺は全て等しく愛し受け入れたい」

 

自らの下卑た趣向を詳らかに語るナナシ。だがその言葉には、これまでサンジェルマン達が聞いてきたナナシの軽薄な言葉とは比較にならない重みがあった。

 

「俺がさっきお前に放った言葉はただの繋ぎだ。『空っぽ』の言葉で心を傷つけるなんて俺にとっては業腹で、しかし無知を免罪符に生じた想いを無かったことにするなんてあり得ない。だからせめて、俺なりの誠意を以って対応させてもらう」

 

そう言ってナナシは自分の顔に手を伸ばして…面を外して、“認識阻害”を解除した。

 

 

 

「悪かった。もし次の機会があったなら、その時は『正しく』お前の尊厳を踏み躙らせてもらう」

 

 

 

…これまでひた隠しにしていた素顔を晒し、真っ直ぐに目を合わせて紡がれた、凡そ正常とは思えないその謝罪に、サンジェルマンとプレラーティ、そしてキャロルは呆気に取られていた。

 

(ああ、もう…嫌になるわぁ…)

 

そして直接謝罪を受けたカリオストロは、気づいてしまったある事に内心で頭を抱えたくなった。

 

(常識も合理も超えた、自分が厳守するルールを持つタイプ…こーいう手合いは、周囲から孤立することが多い。でも、この男は違う。仲間とお揃いの仮面を被って活動して、装者達と共闘し、あのキャロルまで引っ張り出してきた。凡才、偉才関わらず、多くの人間に自分の世界を共有させるイレギュラー…)

 

そういった存在に、人の歴史の中でとある呼び方をされる者達が居ることをカリオストロは知っていた。

 

(神様の呪いから人類を解放しようとするあーしらの、シンフォギア以上の最大の障害に成りつつあるこの男に…『革命家』の素質があるって、一体どんな皮肉よ)

 

カリオストロが動揺を抑え込んでいる内に、般若面を被り直したナナシがまた軽い口調で話し始めた。

 

「お前はあの短剣を『捨てろ』じゃなくて『寄越せ』と言った。どうせ警戒されると思って手渡しでなく適当に放り渡したこっちの落ち度だ。お前は誰も騙していない。それでこの話は終わり、それで良いだろう?」

 

ナナシが両手に槍と重火器を取り出す。会話を諦め戦闘に入ると言う意思表示だ。少々出鼻を挫かれたが、これ以上ペースを乱されることなく短剣無しの状態でナナシと戦闘に入れると思えば悪くないと、プレラーティとカリオストロは内心でほくそ笑んだ。

 

だが、しかし…

 

「…聞くだけ聞こう。言ってみなさい」

 

「「ッ!!?!?」」

 

…サンジェルマンが銃を降ろして、ナナシの話を聞く姿勢を見せてしまった。

 

「サンジェルマン!?何をしているワケダ!!?」

 

「別に問題はないはずよ?聞くだけで義理は果たせる。それにこれだけリスクを払ってでも確認したい事柄なら、聞くだけでこちらも重要な情報を得られるかもしれないでしょう?」

 

理屈があってのことだと仲間を諭すサンジェルマンだったが…ほんの一瞬、その視線が自分に向いたことを、カリオストロは見逃さなかった。

 

「サンジェルマン!そんな必要ない!!あーしらでさっさとこの男とキャロルを片付けて、下にいる信号機トリオを始末すれば終わりよ!!!」

 

「カリオストロ…?」

 

強引に事を進めようとするカリオストロを、サンジェルマンは怪訝に思う。カリオストロは心の中で自分達の失敗に舌打ちしていた。

 

(あーもう!!しくっちゃった!!!サンジェルマンには、この男に対する警戒心が足りない!!!)

 

カリオストロとプレラーティがここまでナナシに警戒しているのは、バルベルデでナナシのサンジェルマンに対する印象を聞いたからだ。そして会話の内容故に、二人はサンジェルマンに詳細を伝えていない。そのためサンジェルマンにはナナシの戦力面での警戒はあるが、話術に対する警戒心は低い。装者達の疲労を待つ現在、ナナシの会話に乗るメリットが際立つ。

 

…それらを理由に、カリオストロを気遣うことが出来るとなれば猶更だ。

 

(一体どこまでがあの男の思惑!?あーしは一度もあの男の前で詐欺師だったことも、もう嘘をつきたくないことも言ってない!!まさか心を読んで…でもそれならわざわざリスクを背負う必要は…あーしらの反応を見るだけで、ここまで的確な言葉選びが出来るものなの!!?)

 

「これ以上グダグダやっても仕方がないから、もうこのまま聞かせてもらうぞー!!俺が聞きたいのは、『錬金術師キャロルが答えられない命題について』だ!!」

 

「「「「ッ!!?!?」」」」

 

意見が纏まらないサンジェルマン達の様子に痺れを切らしたナナシが、三人の意思統一を待たずに話を始めてしまった。

 

(おい、まさか馬鹿正直にお前の出自についてこいつらに尋ねるつもりか?その可能性は限りなくゼロだと分かっているはずだろう?)

 

ナナシの問い掛けの内容に、キャロルも疑問を覚えて思わず“念話”で語り掛けてしまった。だがナナシはそんなキャロルの疑問を無視して、遂に困惑し動き出せないサンジェルマン達に質問を繰り出した。

 

「このクソガキがS.O.N.G.に来て早々、俺はこいつにある問い掛け…というか、『提案』をしたんだが、了承か拒絶の二択で済むはずなのにずっと答えを誤魔化し続けるんだ。ひょっとして何か錬金術的な禁忌(タブー)でも含まれているのか?」

 

「は?……ッ!?ちょっと待てアンノウン!!?貴様、一体何をほざくつもりで!!?!?」

 

途轍もなく嫌な予感がしたキャロルが、慌ててナナシの口を塞ごうと動くが、時既に遅く…

 

 

 

「俺の積み上げた過去(想い出)を全て捧げるから、共に未来を生きて欲しいとお願いしたのに、何故か返事をしてくれないんだ。何か理由に心当たりは無いか?」

 

 

 

静寂が、場を支配する。

サンジェルマン達の頭が、ナナシの放った言葉の意味を理解しようとして…何度か答えに辿り着いたがあり得ないと再考され…それでも同じ答えにしか辿り着かず、徐々に困惑が大きくなる。キャロルはキャロルでナナシを止めようとした姿勢のまま石化してしまったかのようにピシリと固まっている。そんな周囲にお構いなく、ナナシがまるで愚痴るように話し続けた。

 

「おかしいだろ?嫌なら嫌とハッキリ言ってくれればそれを踏まえて交渉するが、何故か答えを誤魔化すんだよ。こっちの譲歩を引き出すための交渉術か何かかとも思ったけど…その割に、細々したお願いには応じてくれるんだよ。一緒に出掛けて欲しいとか、飯食べに行こうとか…実質最初のお願いに了承しているようなものなのに、いちいちその都度対価を決めてやり取りして…これだと小出しに色々要求出来る分、俺の方が圧倒的に得してるんだよ。何故俺の全て(の想い出)を受け取ろうとしない?」

 

心底分からないと言った風に、ナナシが“投影”を使ってお願い事を蒸し返す度に顔を赤くして誤魔化すキャロルや、嫌そうな顔で一緒に街を歩くキャロルや、エルフナインやオートスコアラーを交えて一緒に遊ぶキャロルの姿を映し出した。その映像と、顔が真っ赤な石像と化したキャロルを見て、ようやくサンジェルマン達の脳がその答えを受け入れ始めて…

 

「……プッ」

 

「……フヒュッ」

 

「「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」」

 

…プレラーティとカリオストロが、腹を抱えて大爆笑した。サンジェルマンは赤い顔で目を丸くして固まっている。

 

「ちょっwwwキャロルwwwwひょっとしてあーた!それが理由でS.O.N.G.に入ったの!!?よりによってそんな、怪しいナンパ男にwwwww」

 

「ブッヒャヒャヒャヒャ!!あのキャロルが!あの!キャロルが!!これは確かに重要な情報だったワケダ!!!ヒャハハハハハハハハ!!!!」

 

作戦行動中、敵が目の前に居るにも関わらず笑い転げるカリオストロ達に、ナナシは不思議そうに語り掛けた。

 

「何がそんなに可笑しいんだ?ひょっとしてクソガキが答えを誤魔化す理由が分かるのか?やっぱり錬金術師特有の何かがあるのか?」

 

「はあ!?理由なんて分かりきってるじゃない!!寧ろ誤魔化すのが答えでしょう!!?本当に女心が分かってないわねえ!!」

 

「誤魔化すのが、答え…?」

 

「あーたが言った通り、嫌なら嫌ってハッキリ言うわよ!ちょっと答えを決めかねているだけでしょう?男はすぐに結論を求めてや~ね~」

 

「決めかねてって…もう二ヵ月近く経つんだが?それに既に提案をほとんど受け入れたような生活をしているのに、今更何を躊躇うんだ?」

 

「そりゃあ、自分をほっぽり出してあーしらをナンパするような男と一緒になる決断なんて出来ないわよねえ?」

 

「へ?薄々察しているとは思うが、お前らを褒めたのはお前らの人間性を観察するための、言わば任務の一環だぞ?そんなことクソガキも分かっているはずだし…そもそも何故そんなことを気にする?」

 

「バッカねぇ?仕事だろうが接待だろうが自分以外に言い寄る男が良く見られる訳ないでしょう?ましてや自分の事はクソガキ扱い…もうちょっと相手のことを見てあげたら?」

 

「う~ん、相手を見ることには少しだけ自信があったんだけどな…敵対関係の時はともかく、仲間になってからもクソガキ扱いはどうかと俺も考えたが…表面上は文句を言いつつ気安く接されるのは悪くないみたいだったからこの呼び方に落ち着いたんだが、俺は何か間違えたのか?」

 

「間違っちゃいないけど、それだけじゃダメでしょ?人は他人を羨む生き物なのよ?幾らお互いに合った距離感があるからって、自分を雑に扱うのに他人に丁寧に接していたら面白く思わないし、偶には違う一面を見せないとマンネリになっちゃうわよ?」

 

「なるほど…俺もまだまだ人への理解が甘いな。参考にさせてもらう。かなりガッツリ相談に乗ってもらって助かったよ!」

 

「ウフフフフフ、あーしも面白い話を聞かせてもらったから良いわよ♡キャロルのイメージがガラッと変わっちゃった♡あーしも気安くキャロルンって呼んじゃおうかしら?」

 

「フヒャヒャヒャヒャヒャ!!!アッヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!」

 

根本が致命的に間違っているのに何故か嚙み合った会話を繰り広げるカリオストロとナナシ、そして笑いながら転がり回るプレラーティ…余りに想定外なナナシの問いに、ほんの少し前までの警戒心と緊張感が消し飛んでしまっていた。

 

「あ~…キャロル、色々気が回らなかったみたいで悪かったな。もう返事を急かしたりしない。俺ももう少しお前のことを理解出来るよう努力してみるから、それを踏まえて考えてもらえると…」

 

「ッ!!ッ!!!ッ!!!!」

 

ビタン!ビタン!!ビタン!!!

 

「痛っ!?ちょっ!!?どうした!!?」

 

「アハハハハハ!キャロルン可愛い~♡」

 

「…………」

 

赤い顔で無言のままキャロルがナナシを叩く。それを見たカリオストロが笑い声を上げ、プレラーティは酸欠で蹲っていた。そこでようやく動揺から復帰したサンジェルマンが、まだ僅かに赤みのある顔を険しくしてナナシを怒鳴りつけた。

 

「何処までふざければ気が済むのだ貴様は!?真面目に我々と相対する気が無いなら消え失せろ!!」

 

「心外だな?俺達はこの上なく真剣にお前達と向き合っているのに…それじゃあ仕方がない、始めるか」

 

バシュッ!!

 

「「「ッ!!?」」」

 

これまで会話に拘っていたナナシが、アッサリと躊躇いなくサンジェルマン達に向かって手に持っていたバズーカの引き金を引いた。サンジェルマンと酸欠のプレラーティを抱えたカリオストロは同じ方向に跳躍しバズーカを回避して…

 

「お前はこっち」

 

ドカッ!!

 

「ぐあっ!!?」

 

…空中でナナシがサンジェルマンを蹴り飛ばして、サンジェルマンはカリオストロ達から大きく引き離された。

 

「サンジェルマン!!?」

 

バチンッ!!

 

即座にサンジェルマンの元へ駆け寄ろうとしたカリオストロだったが、その足元が弦の一撃で大きく陥没する。カリオストロが弦の飛んできた方向を見ると、怒りの形相を浮かべたキャロルが立っていた。

 

(手筈通り、そっちは任せた!)

 

(ああ…こいつらの記憶を一片残さず燃やし尽くして、最後にお前も殺す!!)

 

(ああ、前に歌で分解するって言ってたヤツか!元の形じゃなくて良いから、良い感じに再構成してくれ!女性か無性でよろしくお願いします!!)

 

“念話”で軽くやり取りした後、ナナシはサンジェルマンと、キャロルはカリオストロとプレラーティと対峙した。

 

 




革命家がどうこうって言うのは特に根拠の無い作者の印象ですw

すみません。ちょっと筆が完全に止まってしまい次回でストックが切れそうです。
場合によってはまた一時的に更新を止めさせて頂くかもしれません。
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