戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

141 / 212
第138話

血溜まりに倒れるナナシを、座り込んだサンジェルマンが呆然と眺めていると…サンジェルマンの傍に、プレラーティ達が駆け寄ってきた。

 

「サンジェルマン!!」

 

「無事なワケダ!!?」

 

「プレラーティ…カリオストロ…」

 

キャロルの攻撃によって自分達もボロボロであるにも関わらず、サンジェルマンを気遣う二人の声に、サンジェルマンは心ここに在らずと言った様子で二人の名を口に出した。声に覇気が感じられないが、とりあえずサンジェルマンの命に別状が無いことを確認したプレラーティ達は安堵の表情を浮かべた。

 

「ナナ、シ…?」

 

一方で、キャロルは頭部に穴の開いた血塗れのナナシを呆然と眺めた後…血相を変えてナナシへと駆け寄っていった。

 

「おい…おい!?貴様は、一体何を!!?何故よりによって…目を、目を覚ませ!!貴様が!!貴様がこの程度で死ぬ訳が無かろう!!?」

 

その手が血に汚れることも気にせずに、キャロルが必死にナナシの体を揺すって呼びかける。しかし、その呼びかけにナナシが応えることは無い。

 

「そんな…馬鹿な……」

 

キャロルは力なくナナシの亡骸の傍に座り込み、そのまま動かなくなった。

 

「やったわね、サンジェルマン!ようやく始末出来たわ!!」

 

「フン、良い気味なワケダ」

 

自分達にとって最大の障害を排除出来たことに、プレラーティ達は笑みさえ浮かべてみせる。しかし、サンジェルマンはキャロルの様子にかつての自分を重ねてしまい、小刻みに体を震わせていた。

 

「正直、サンジェルマンをここまで傷つけたお礼はあーしらで直接したかったわ」

 

「この借りは、代わりに歌女共に支払ってもらうワケダ!!」

 

「ッ!!?」

 

サンジェルマンがプレラーティ達の視線を追うと、地上で装者達が何度も分裂するオロチ型アルカノイズに翻弄され疲労を蓄積し…遂に、響が最小サイズまで分裂したオロチ型アルカノイズを抑えきれず、リディアン女学院へ向かうことを許してしまった。

 

「あーたの大切な歌姫の心、へし折ってあげるわ!!」

 

「すぐに貴様の元へ連れて行ってやるワケダ!!」

 

「ぁ……」

 

想定外はあったものの、計画はサンジェルマン達が立てた筋書き通りに進み始めた。しかし、喜ぶプレラーティ達の後ろでサンジェルマンは小さく声を零して無意識に手を伸ばす。血で汚れたその手は、まるでこれから惨劇を起こそうとするアルカノイズを引き止めたいようで…しかし、実際に停止の指示を出すことは出来ず、アルカノイズはリディアンの敷地内に侵入して…

 

スパン!!

 

…その瞬間、白銀の斬撃によってアルカノイズは真っ二つに切り裂かれて赤い塵と化し消滅した。

 

「なっ!!?」

 

「あれは!!?」

 

プレラーティとカリオストロは、それを為した人物…離脱したはずのアガートラームを纏ったマリアを見て驚愕した。そしてマリアが現れるのとほぼ同時に、シンフォギアを纏った調と切歌も戦場に舞い戻り次々と残ったアルカノイズを殲滅していく。その攻撃の勢いは、これまでプレラーティ達が見てきたものとは比べ物にならない程の力強さがあった。

 

「そんなバカな…まさかこんな土壇場で、より完璧なLiNKERが完成したなどと…」

 

「…これはまんまと、あのナンパ男に一杯喰わされたのかもね?死んだ後でも忌々しい男だわ」

 

作戦の失敗を察して、プレラーティ達が落胆の表情を浮かべる。しかし、サンジェルマンは…その結果に誤魔化しようもない安堵を感じてしまっていた。

 

(今更…何と無様な…)

 

「うっ…ぐぁっ…」

 

そんな自分が不甲斐なくて、サンジェルマンは身を震わせて蹲ってしまった。

 

「ッ!?サンジェルマン!!?やはりあの男にやられた傷が…」

 

「……」

 

蹲ったサンジェルマンにプレラーティが寄り添う。カリオストロは難しい顔でその様子を見た後…座り込んだキャロルの方へ視線を向けた。

 

(…プレラーティ、隙を見てここから離脱しましょう。これ以上の作戦続行は不可能よ)

 

(…賛成なワケダ。すぐにサンジェルマンを安全な場所で治療出来るなら、局長から敗走の誹りを受けるくらいどうってことないワケダ)

 

(敗走?馬鹿言っちゃいけないわ。今回はあーしらの完全勝利よ。一番厄介なイレギュラーを排除出来た以上、残りの装者達はあーしらだけでどうにでもなる。後は傷心のキャロルンをどうにか出来れば、あーしらの邪魔者は誰も居なくなる。でも、それは今でなくていい。変に刺激せず、さっさと離れましょう)

 

隙だらけのキャロルを討つには絶好の機会と思いながら、カリオストロ達はサンジェルマンの安全確保を優先するため二人だけで決断を下し、キャロルを警戒しながらテレポートジェムを取り出そうとした。すると…

 

「フッ…フフフフッ…」

 

…突然、キャロルが座り込んだまま力無く笑い始めた。一瞬ビクリと身を震わせたカリオストロ達だが、未だに自分達に背を向けているキャロルの意識が向かないよう、注意して動こうとした。

 

だが…

 

「…何故、笑っている?」

 

「「ッ!!?!?」」

 

…サンジェルマンが、笑うキャロルに声を掛けてしまった。

体に激痛が走り、未だ意識がハッキリしないサンジェルマンだったが、問わずにはいられなかった。仲間を、近しい者を失ったキャロルが、何故笑っているのかを…

 

カリオストロ達が警戒と緊張感を高める中で…キャロルは相変わらず背を向けたまま、サンジェルマンの問いに答え始めた。

 

「フフ、フッ…大したことでは、ない…ただ、この男の散り様が、滑稽だっただけだ…」

 

「滑、稽…?」

 

キャロルの答えに、サンジェルマンの疑問は増えていく。何故キャロルは、行動を共にした仲間の死に様を、滑稽などと感じるのか…

 

「…この男は…その身に埒外の力を宿している…それを解き明かすことが、オレの新たな命題だった」

 

「……」

 

「…この男の想い出からは、常人を遥かに超えるエネルギーを抽出できる…こいつは度々、己の想い出を対価として、オレに取引を持ち掛けていた」

 

その情報は、カリオストロ達にとって朗報でもあり、悲報でもあった。邪魔者の排除だけでなく、キャロルのエネルギー源も断てたのならば、今後の対策も容易となる。しかし、キャロルにとって貴重な実験対象を殺してしまったサンジェルマンに対して、キャロルがどのような行動に出るか予測が付かないからだ。

 

「今回、この男に協力する対価として…この男は『ひと月』の想い出をオレに支払った」

 

ひと月…たった一日で、全盛期のミカがしばらく動けるとガリィが言ったことを考えると、それは膨大な量のエネルギーである。細かい事情を知らないサンジェルマン達には伝わらないが、それでも自身の記憶を捧げることを考えれば、重い代償であることを朧げに理解して…

 

 

 

「そして、この男は…『貴様ら三人を殺さない事』を条件に、更に追加で『一年』を支払ってきた」

 

「「「ッ!!?!?」」」

 

 

 

戦場において、自分の命を狙ってくる相手の命を奪うことを制限する…それは決して容易なことではない。仲間にそんな枷を施し、大幅な報酬の上乗せをしてまで自分達の命を保護することをナナシが要求していたと聞き、サンジェルマン達は驚愕と困惑を覚えた。

 

「この男にとって、あくまで相互利用のために行動を共にしていたオレに過剰な想い出を与えることは、リスクでもあったはずだ…それでも貴様らを生かし、オレが存分に力を使って自衛出来るようにとこの男は何の躊躇もなく対価を支払った」

 

「な、何故…その男が、我々のことを…?」

 

「知ったことか、そんなもの…ただ一つ確かなのは、それがこいつ自身のためであったということだ」

 

「その男自身の、ため…?」

 

「この男は常々周囲に言っていた。自分の行いは全て、自分自身が幸福になるためのものであり、その過程で関わる他者の感情も、才能も、命も、全てはその糧である、と…」

 

「ッ!!?」

 

その主義主張は、サンジェルマンにとって忌むべき支配者と同じだ。自分のためなら他人の全てを奪い、使役して当然と考える支配者と…

 

「その主張通りに過ごすこの男に、S.O.N.G.の連中は常に振り回され、からかわれ…どいつもこいつも、この男に笑顔を向けていた」

 

「えっ…?」

 

「この男の幸福は、歌女共の感情が籠った歌を聴くこと。そのために歌女共に留まらず、その周りにいる人間全てが笑い、喜び、支え合えるよう手を尽くし、時間を費やし、財をばら撒いて…己の全てを懸けて、『人』という存在を理解しようとしていた」

 

「ッ!?そんな、馬鹿な!!?その男は、自分と関わりのない者達など気にもしないと!知り得ない相手はどうでも良いと言い切ったのだぞ!?そんな…そんな男が…」

 

「ああ、だからこそ…目の前の敵対者である貴様らの事は、必死に理解しようとしたのであろうな?」

 

「ッ!!?!?」

 

サンジェルマンが絶句している間に、キャロルは見開いたナナシの瞳をそっと閉じながら言葉を続けた。

 

「自分が想いを向けようのない存在は石ころ同然…しかし、自らが理解することを望んだ相手には、全身全霊で歩み寄る…例えそれが、近しい存在を殺めた敵対者であったとしても…それが、オレが新たな命題を解き明かそうとする過程で識った、この“紛い物”の在り方だ…フフフッ」

 

キャロルはナナシの骸を見つめながら、再び静かに笑い出した。

 

「近しい人間を識るためなら、無関係な者達などどうでも良いと笑って主張していたこの男が、結局最期まで自らの意志で他者の命を奪うことなく…見ず知らずの弱者のために全ての咎を背負うと辛気臭い顔で豪語しながら、数多の命を奪ってきた貴様に討たれた結末は、余りに皮肉で、無様で、滑稽だ…フフフフ…アッハハハハ!!」

 

チュン! ガキィィィン!!

 

堪え切れないといった様子で笑うキャロルに、カリオストロが放った光弾が…キャロルの身に着けていた“血晶”によって弾かれた。

 

「チッ…彼氏自慢は他所でやってくれない?正直聞いてらんないわ~」

 

「カリオストロ!!?」

 

少し前までキャロルを刺激しないように指示していたカリオストロが急にキャロルを挑発するような言動を始めたため、プレラーティが驚愕する。そんなプレラーティに、カリオストロは一瞬だけ視線を送って合図する。プレラーティはカリオストロに考えがあることを察して成り行きを見守ることにした。

 

「恋人殺された悲劇のヒロイン気取るのは勝手だけど、その男にリーダー殺されかけたあーしらだって頭に来てるんだから、殺り合うつもりなら相手になってあげるわ!」

 

「……」

 

「…とは言え、よ…男との別れを邪魔する程、野暮って訳でも無いわ。作戦も失敗みたいだし、その男に免じて大人しくこの場は引いてあげても良いわよ?その男が本当にあーたにあーしらを殺さないようにお願いしていたのなら、その想いを汲んであげたらどうかしら?」

 

それは、キャロルという錬金術師を知っているが故に出たカリオストロの賭けだった。

 

キャロルとカリオストロ達が取引をしていた期間は、決して短くはない。チフォージュ・シャトーの設計にプレラーティが関わり、そこからキャロルがシャトーを完成させるまでの期間で頻繁とは言い難いが、互いに求める物資や情報を得るために関わる機会が幾度かあった。

 

その過程で交わした会話によって…キャロルがシャトーを建造しようとした理由が、死んだ父親の想いを理解するためと言うことも知っていた。詳しく聞き出した訳では無く、プレラーティがシャトーを設計する上でキャロルの意図から外れた物にさせないための最低限の意思疎通ではあったが…そういったやり取りによってカリオストロが分析したキャロルの性格から、上手くいけば今後キャロルが自分達の邪魔をすることが無くなると考えたのだ。

 

キャロルという錬金術師は、自らが求める知識を得ることに妥協しない。互いに相手を利用する思惑があることを察していながら自分達と取引を続けていたのもそのためだ。ナナシに宿る埒外の力を解明することがキャロルの定めた新たな命題ならば、ナナシが死して尚その解を出すために研究を続けるはず。そのためには、遺体を可能な限り損傷が少ない状態で持ち帰りたいはずだ。

 

そしてキャロルは…自分に近しい死者の想いを無碍にしない。それ故に自身の父親が出した『世界を識れ』という命題にも長きに渡って答えを出そうとしていた。そんなキャロルが一体どこまでが真実かは分からないが、自分の記憶を捧げてでもキャロルに願ったナナシの想いを無視する可能性は低いと考えた。

 

無論、先程ナナシがサンジェルマンを手にかけようとしたことから、キャロルがその意志を継ぐ可能性も否定出来ないが…それでも、大量の想い出を消費してまで全力を尽くすことは無いと考えた。想い出の供給源であるナナシを失った以上、今後の研究に活用するためにも既に支払われた想い出のエネルギーを浪費することは避けたいはずだ。

 

そしてもし賭けに敗れて、キャロルの攻撃が再開されたとしても…想い出の消費を抑えた今と同程度の攻撃ならば、サンジェルマンとプレラーティが逃げる隙を作れば良いとカリオストロは考えていた…自分の命を引き換えにしてでも。

 

(キャロルがプッツンして襲い掛かってくる可能性もあるけど…勝算は高いはず!だって、キャロルとあの男が関わりを持ってからまだひと月程度しか経ってないはずよ!?あのキャロルが本当に口説き落とされたとは思えないし…キャロルならきっと、錬金術師として合理的判断をするはず!!)

 

過去に様々な人間を欺いてきたカリオストロが、キャロルの性格を可能な限り分析した上で自分の命を天秤に乗せた賭け…だが、カリオストロは忘れるべきではなかった。

 

人は感情を持つが故に…決して合理だけでは動かない。

そして、例えそれが長きに渡る生涯において、刹那に等しい時の合間であったとしても…紡いだ想いが軽くなるとは限らない。

 

…それは、かつて救われたカリオストロも知っているはずだったのに。

 

「…私は、パパの事が大好きだった…だから、パパが死んだ後も必死にその想いに寄り添おうとした」

 

キャロルが静かな声で言葉を紡ぎながら、ナナシの亡骸を両手に抱えて立ち上がる。

 

「…オレは、この男の事が大嫌いだ…だから、この男の想いに寄り添ってやる義理など無い」

 

そう言って、ずっと背を向けていたキャロルがサンジェルマン達へと振り返った。

 

「「「ッ!!?!?」」」

 

キャロルは、笑っていた。他人の無様を嘲笑うように、腕の中で静かに眠る男が滑稽だと言わんばかりに…その瞳から、止めどない涙を流しながら。

 

その光景はサンジェルマン達に少なくない衝撃を与えた。サンジェルマン達の知るキャロルは、決して他人のために涙を流すような人間では無かったからだ。

 

しかし、それは当然である。どれだけ長く取引をしていた間柄であったとしても…ただの一度でさえ、三人はキャロルに歩み寄ろうとしたことなど無かったのだから…

 

キャロルは笑いながら、涙を流しながらサンジェルマン達へと視線を向ける。そして、定まらぬ感情をそのまま全て詰め込むように…

 

 

 

「世界ごと吹き飛べ」

 

 

 

…その口から、美しい旋律を奏で始めた。

 

嗚呼、淡く優しく触れていた 暖かく温もったあの掌 名前がもう思いだせやしない 枯れ果て尽くした心

 

“紛い物”の想い出を燃やして紡がれた歌声から、膨大なフォニックゲインが生み出される。その力が籠められた、先程までとは比較にならない錬金術がサンジェルマン達へと襲い掛かった。

 

「ッ!!?」

 

「ヤッ、バイ…!!」

 

プレラーティとカリオストロがサンジェルマンの肩を担いで必死に回避する。先程まで三人がいた場所にあった戦艦の外壁は一瞬で消し飛んでしまった。その威力は、最早カリオストロが捨て身で防いだところで止めきれるものではない。

 

るLuリRぁ… 業火のレクイエム RゥるRiラ… くるりと踊るの Genocide&genocide

 

(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!このままじゃあーしら全員お陀仏よ!!!)

 

(ジェムを使う暇など…せめて、どうにかこの戦艦から離脱しなければ!!)

 

次々と放たれるキャロルの錬金術。プレラーティと協力して必死に攻撃を回避しながらカリオストロが錬金術を構築しようとしていると…いつの間にか甲板からキャロルの姿が無くなっていることに気が付いた。

 

ドクンと脈打つすべてを 生ある万物すべてを 救済への階段から 突キ落トセ…

 

キャロルの歌声が頭上から聴こえたため、カリオストロ達が視線を上に向けると…

 

「ウソ…でしょ…」

 

そこに広がる信じられない光景に、思わずカリオストロがそう零してしまう。戦艦の上空に、錬金術で佇むキャロル…その頭上には、太陽の如く輝く炎の塊が…

 

虚無こそが安寧の楽園と 信ずこと以外に何があるか? 万象の摂理を暴き謳う 0と1に鎮座した我が音楽

 

黄金錬成…ナナシの依頼を果たすためにアダムの錬金術を模倣した術式に、キャロルがナナシから受け取った想い出のエネルギーを注ぎ込んでその輝きを増していく。

 

愛など嬲ろう 愛など躙ろう 愛した…購いを…

 

臨界まで達した炎を、キャロルが躊躇いなく戦艦へと叩き込む。戦艦に着弾した炎は瞬く間に戦艦全体を包み込んで、そこに存在する全ての物質を焼却させた。

 

 

 

 

 

「な、何事デスか!!?」

 

「ひょっとして、アダムが来た…?」

 

浮遊戦艦の真下に接近していた調と切歌が困惑の声を出す。突然業火が戦艦を飲み込み、一瞬にして消滅したため、事態が把握出来ずに動けないでいた。

 

「うっ…ぐっ…」

 

「ハァ…ハァ…ギリギリ、間に合った…」

 

「生きているのは…奇跡なワケダ…」

 

そのすぐ傍で、ギリギリ短距離転移が間に合ったカリオストロ達が物陰に隠れて息を整えていた。三人は切歌達に見つからないよう気を付けながら、何とかその場から逃走することを考えていたが…

 

ドゴンッ!!

 

「デス!!?」

 

「何!!?」

 

「「「ッ!!?!?」」」

 

突如、上空から降ってきたボウリング玉サイズの何か…キャロルの黄金錬成によって生じた金塊がサンジェルマン達の傍に落下したため、三人の存在が切歌達にバレてしまった。

 

全員が驚き硬直している間に…サンジェルマンがいち早く銃を構えた。

 

「その命!革命の礎に!!」

 

 

 

『一番騙したい自分自身すら欺き切れない虚飾に、一体何の価値がある?お前は、誤魔化しようのない、ただの…人殺しだ』

 

 

 

「ッ!!?」

 

脳裏に過るナナシの言葉に、サンジェルマンの体が震える。血に塗れた銃と自身の手が視界に入り、様々な感情がサンジェルマンの脳裏を駆け巡った。

 

(違う…!全ては、人類のため…今更、立ち止まることなど!!)

 

それでも、サンジェルマンは震える指先で…引き金を引いた。

 

バァン!!

 

まるで死力を尽くすように引き金を引かれた拳銃から、赤い輝きを纏う弾丸が飛び出し、真っ直ぐ切歌へと迫っていき…

 

「はあっ!!」

 

ガキィィィン!!

 

…突如、切歌の前に飛び出した響が腕を前に突き出して…その手にある“血晶”を使って展開した“障壁”によって、サンジェルマンの弾丸は阻まれた。

 

その結果を確認した調、切歌、そして響は、満面の笑みを浮かべて自分達の“血晶”に視線を向ける。

 

(作戦、成功ですね!兄弟子!!)

 

響が喜びを伝えるように、“念話”で自分の兄弟子へと呼びかける。しかし…その呼びかけに、答えが返ってくることは無かった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。