戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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第152話

ツキ神社に辿り着いた一同は、その造りの珍しさにしばし境内を見て回ることにした。と言うのも…

 

「およ~!ここ、狛犬じゃなくて兎がいるのデス!」

 

切歌の言う通り、本来は狛犬が鎮座する場所に兎を模った像が置かれ、鳥居の位置から遠目に見える場所にも至る所に兎を模したと思われる品が溢れていた。切歌が思わず手を兎の耳に見立ててはしゃぐが、一人だけ暗い顔で俯く調の姿が視界に入り、切歌は笑みを引っ込めて手を降ろし…

 

スポッ!

 

…そんな切歌の頭に、ナナシがうさ耳ヘアバンドを装着した。

 

「およっ!?」

 

「わざわざ手で真似しなくても、この前の訓練用に用意していたうさ耳が全員分あるぞ!さあお前らも好きなうさ耳を付けるか、付けさせてくださいと懇願したくなるような目に遭うか選んでくれ!!」

 

「色や形じゃなくて装着 or 脅迫の二択かよ!!?」

 

自らもうさ耳を付けたニコニコ笑顔のナナシから放たれる圧に逆らえず、全員がうさ耳を付けて見回ることになってしまった。切歌、響、奏は割とノリノリで身に着けたため丁度半々…かと思えば、意外とマリアが満更でもない雰囲気のため渋々うさ耳を付けている方が少数派だったりする。

 

「兎さんがあちこちに…可愛い…」

 

「ああ、凄く可愛いよな、奏?」

 

「全くだな、ナナシ?」

 

マリアの呟きにナナシと奏が賛同する。しかし兎だらけの境内に瞳を輝かせるマリアと、そんなマリアとその頭のうさ耳に視線を向けるナナシと奏では恐らく意味合いが異なっていた。

 

「これはこれは、随分とお気に召して頂いているようで」

 

そんなマリア達の背後から、眼鏡をかけた白髪の男性が微笑ましそうな笑みを浮かべて声を掛けてきた。

 

「話には伺ってましたが、いや~皆さん、お若くていらっしゃる」

 

…頭のうさ耳を見ながらそんな風にしみじみ言われると、兎を祀る神社を茶化して騒ぐ礼儀知らずな若者と言われているようでナナシ以外は少々いたたまれない気持ちになってしまった。

 

「も、もしかして、ここの宮司さん?」

 

「はい」

 

つまりは、この男性が神出ずる門の伝承についての情報提供をしてくれる協力者と言うことだ。

 

「皆さんを見ていると、事故で亡くした娘夫婦の孫を思い出しますよ。生きていれば、丁度皆さんくらいの年頃でしてなぁ…」

 

宮司がしんみりとした雰囲気で放った言葉に、全員が宮司を労わるような表情を浮かべて…

 

「へえ?その子もうさ耳を装着していたのですか?随分と愉快なお孫さんだったのですね?」

 

「んな訳あるか!?初対面で失礼なボケかますな!!」

 

…そんな湿っぽい空気をナナシが茶化したため、クリスにベシンと頭を叩かれた。

 

「って言うか、あたしら上から下まで割とバラけた年齢差だぞ?いい加減な事抜かしやがって!」

 

「そうか?五、六歳くらいの差なんて誤差だろ?」

 

「てめえやキャロルみたいな規格外を基準にすんな!!」

 

「冗談ですとも!単なる小粋な神社ジョーク。円滑な人付き合いには不可欠な作法です。初対面ではありますが、これですっかり打ち解けたのではないかと」

 

ペシリと自分の頭を叩いて笑みを浮かべる宮司に、クリスは呆れた視線を隠そうともしなかった。

 

「寧ろ不信感が万里の長城を築くってのはどういうこった…」

 

「俺は寧ろ凄く仲良く出来そうな気がする!何だか他人のような気がしません!実は私、数年前に記憶が無い状態で保護されたのですがひょっとしてあなたの孫だったりしませんかね?」

 

「残念ながら私の孫は女の子でしてな。しかし私もあなたには何かシンパシーを感じますな!あなたを見ていると、若い頃の自分を思い出します」

 

「それはそれは!あなたのようなロマンスグレーになれるならば将来が楽しみですね~!」

 

「「あっはっはっは!!」」

 

意気投合する胡散臭い男二人に、全員がジトッとした視線を向けてしまった。

 

「おっと失礼。では早速、本題に参りましょうか」

 

道案内をするため歩みを進めようとした宮司は、数歩進んだところで振り返って問いかけてきた。

 

「ところで皆さんは、氷川神社群…というのをご存じですかな?」

 

客間に案内された一同に、宮司は赤い点と線が描かれた古い地図を広げて見せた。

 

「これは…オリオン座?」

 

「正しくは、ここツキ神社を含む周辺七つの氷川神社により描かれた鏡写しのオリオン座とでも言いましょうか」

 

宮司が言う通り、地図に描かれたオリオン座は星座のオリオン座の鏡写しとなっていた。

 

「受け継がれる伝承において、鼓星の神門…この門より、神の力が出ずるとされています」

 

「憶測と推論に過ぎないが、それでもパヴァリア光明結社の狙いと合致する部分は多く、無視は出来ない」

 

「神出ずる門…」

 

ぐぅ~…

 

「うぉ!?」

 

重要な手掛かりにナナシでさえ真剣に思考を巡らせていたのだが、突如響のお腹から鳴り響いた音によって空気が弛緩してしまった。

 

「けたたましいのデス…」

 

「わ、わたしは至って真面目なのですが、わたしの中に獣が居ましてですね…」

 

「あ~…その表現凄いしっくり来た。お腹の中にちっさい響が居るんだよな?どれだけ響が食べてもお腹の中の響が食べ尽くすから響はいつも空腹で、今のはいつまでも食べ物が来ないから暴走状態になったお腹の響が雄叫びを上げたか」

 

『ブフッ!!』

 

ナナシの例えで、響のお腹の中で暴走状態の小さな響が暴れ回る姿が簡単に想像出来てしまった翼達が思わず吹き出してしまった。

 

「では、晩御飯の支度をしましょうか。私の焼いたキッシュは絶品ですぞ」

 

「そこは和食だろ!?神社らしく!!」

 

「ご厚意はありがたいのですが…」

 

「私も手伝います。そうですね、キッシュと合わせてムニエルとラタトゥイユを用意しましょう!」

 

「だからそこは和食にしろよ!?神社で小洒落たフレンチってどんな組み合わせだ!!?」

 

翼は遠慮しようとしたが、ナナシは早々に宮司の案に乗って手伝いを申し出てしまった。クリスのツッコミはスルーしつつ、ナナシはヤレヤレといった風に肩を竦めた。

 

「もう日が暮れ始めている。今から資料を漁って調べ物をするなら、もう今晩はここに世話になるしかないだろう?中途半端に遠慮したところで何も変わらねえよ。だったら早く響の腹の中の荒ぶる響を鎮めてやった方が調べ物も捗るってもんだ」

 

「彼の言う通り、ここにある古文書全て目を通すには、お腹いっぱいにして元気でないと」

 

顔を合わせてお互いに親指を立てるナナシと宮司。言動は胡散臭いが、二人の言葉は確かに理に適っている。そんな訳で、翼達はありがたく神社で振舞われたフレンチを堪能するのだった。

 

 

 

 

 

すっかり日の暮れた頃、ホテルの一室でプレラーティが一人で二つのワイングラスを用意して、片方にはワインを注ぎ、もう片方にパックの牛乳を注いでいた。

 

「あのオタンチン…元詐欺師が一人でカッコつけるからこうなったワケダ」

 

シンフォギアとの戦いで散ったカリオストロの手向けとして用意したワインに、プレラーティが牛乳を入れたグラスを合わせて乾杯する。そして、自分が治療中に聞いたカリオストロの最期の言葉を思い出した。

 

『大祭壇の設置に足りない生命エネルギーは、あーし達から錬成する…仲間に犠牲を強いるアダムのやり方は受け入れられない。きっとあいつは、他にも何か隠している…まあ、女の勘だけどね♪』

 

「女の勘、ね…フッ、生物学的に完全な肉体を得るため、後から女となったくせに一丁前な事を吠えるワケダ」

 

グラスの牛乳を一気に飲み干したプレラーティは、空になったグラスを見つめながら笑みを浮かべて決意するように呟いた。

 

「だけど、確かめる価値はあるワケダ」

 

 

 

 

 

更に夜も更けた頃、情報収集で疲労した響達が布団で就寝している間に翼は一人本部へと通信して情報交換をしていた。

 

『門より出ずる神の力か』

 

「皆の協力もあって、神社所蔵の古文書よりいくつかの情報が得られました。敵がレイラインを利用した計画を進めているとすれば、対抗手段となるのはやはり要石かと」

 

『要石…キャロルさんとの戦いでいくつかが失われてしまいましたが…』

 

『それでもレイラインの安全弁として機能するはずです』

 

『神の力をパヴァリア光明結社に渡す訳にはいかない!何としてでも阻止するぞ!』

 

「はい、そのつもりです」

 

こちらの想定通りであれば、これでパヴァリア光明結社に対抗する手段は確保出来た。残る問題があるとすれば…翼はそう考えながら、眠れないのか一人で境内をうろついていた調の方に視線を向けた。

 

調が中央に口から水を吐く兎像が設置された池を眺めていると、そんな調に宮司が近づいて声を掛けた。

 

「おやおや、こんな夜更けに散歩とは…」

 

しかし調は放っておいて欲しくて素っ気ない態度で顔を背けてしまった。しかし宮司は気にした様子もなく、穏やかな笑みを浮かべて調に声を掛け続けた。

 

「何か悩み事ですかな?」

 

「一人で何とか出来ます」

 

「それでも、口に出すと楽になりますぞ?誰も一人では生きられませんからな」

 

「そんなの分かってる!でも、私は…」

 

遂には苛立ちを隠すことなく調は怒鳴り声を上げてしまう。しかし宮司は穏やかな笑みのまま、調から離れようとはせず諭すように言葉を続けた。

 

「何を隠そうここは神社…困った時の何とやらには、事欠かないと思いませんか?」

 

調の拒絶を柳のように受け流し、押し付ける訳では無いが引く様子を見せない宮司に、調は根負けして少しだけ話をすることにした。宮司の案内で神社の本殿に辿り着くと、宮司は本殿の前で参拝の作法、二礼二拍手一礼を行った。流石は宮司といったところで、普段の胡散臭い雰囲気を感じさせない厳かな所作であった。

 

「若い方には、馴染みない作法ですかな?」

 

「うん…なんか、めんどくさい…」

 

「これはこれは」

 

調のハッキリとした物言いに、宮司は苦笑交じりの笑みを浮かべる

 

「しきたりや決まり事、誰かや何かに合わせなきゃいけないって、良く分からない…」

 

それは調にとってある意味仕方がない事であった。調が育ってきた施設では、調はいつも研究者達の都合で決められたルールを守ることを強要されてきた。破れば意味も分からないままに罰せられる。だから嫌な事を避けるためだけに押し付けられたルールに従ってきた。

 

調が宮司を真似て、二礼二拍手一礼の所作を行う。だがやはり、実際に行ってみてもその所作の意味はよく分からない。

 

「合わせたくても上手くいかない。狭い世界での関係性しか、私には分からない。引け目が築いた心の壁が、大切な人達を遠ざけている…いつかきっと……親友までも………」

 

調は分からないままに、自分の胸の内に抱える悩みを打ち明ける。宮司に理解してもらおうとは思っていない。他人が聞いても意味が良く分からない。自分自身すら理解しきれていない悩みを、ただそのまま口から零すように吐露されたその言葉を聞いて宮司は…

 

「あなたは良い人だ」

 

…調の事をそのように評価した。

 

「良い人!?だったらどうして私の中に壁があるの!!?」

 

しかし調は宮司の自分への評価に納得が出来ず噛みつくようにそう問いかけた。

 

「壁を崩して打ち解けることは、大切なことかもしれません。ですが壁とは、拒絶のためだけにあるのではない。私はそう思いますよ?」

 

宮司の返答の意味を、調はやはり理解出来なかった。大切な人達を遠ざける心の壁に、拒絶以外の意味があるなどと…

 

しかし、宮司の言葉は決して嘘や誤魔化しでは無い…そう思えるだけの『何か』を、調は感じ取っていた。

 

 

 

そんな調と宮司のやり取りを、実はナナシが物陰に隠れてコッソリ窺っていた。本当は悩みで眠れない調に拒絶されてでも話をしに行こうと考えていたのだが、宮司に先を越されてしまったのだ。

 

だが調に語り掛ける宮司の言葉に、ナナシはひょっとしたら調以上に影響を受けていた。

 

(あんな、伝え方もあるのか…)

 

自分の無理矢理押し付けるやり方とは違う。雰囲気は奏や弦十郎が他人に寄り添おうとしている時に近い気がする。しかしナナシが持つ感情を感じ取る力は、宮司の紡ぐ言葉には自分や自分が目標とする者達と違う『何か』を感じ取っていた。

 

(多分…アレが弦十郎の言っていた、『積み重ねた』人間の言葉なんだと思う)

 

宮司が最初に語った孫娘の話は、決して冗談ではない。あの時、宮司の心に過った様々な感情から、ナナシはそれを理解していた。

 

宮司はあの時笑みを浮かべていたが、決して亡くなった孫娘の蔑ろに考えていた訳では無い。しかし、ただ悲観してやり場のない感情を零した訳では無い。いや、そういった感情も極々僅かにだが含まれていたのだろうか?初対面の相手と打ち解けるためと言ったのも嘘ではない。だが若者が困惑する姿を見て楽しむ悪戯心もあった。しかし、でも…

 

人の言葉に含まれる感情は一つではない。称賛の声には多くの場合嫉妬が混ざり、他者を批判する言葉には自分でも気付けない憧れが含まれている事などがある。ナナシは漠然と感じ取れるそんな感情の大小から、言葉を交わした相手の人となりを理解しようとしてきた。

 

そんなナナシが宮司の言葉から感じ取ったのは…複数の感情が、まるで一つの物であるように自然と重なり合っているような印象であった。

 

混ざり合っているのではない。感情の大きさに差異が無い訳ではない。宮司の言葉には、悩む調に対しての『心配』、『気遣い』、『慈しみ』、『激励』、『焦燥』、『戒飭』…そう言った複数の感情が、今の調に受け入れられる許容値(・・・・・・・・・・・・・・)だけ籠められているようにナナシは感じていた。

 

恐らく、宮司は狙ってそんなことをしているのではない。これまで生きてきた年月の中で、何度も失敗や後悔を繰り返しながら…それでも誰かと関わり続けるために辿り着いた在り方なのだろう。

 

だからこそ、宮司の言葉は調の心を傷つけることなく、しかし無為に通り過ぎることなくスルリと入り込み、確かに調の心を揺さぶってみせた。

 

ナナシは自分の感情を感じることは出来ない。自分の言葉に感情が籠められているか分からない。だが、それはあの宮司も同じだ。自分と違って曖昧な指針すら持たずに、あの宮司は積み重ねた経験によってあそこまで他者に寄り添ってみせた。

 

(俺も、いつかは…)

 

ナナシが自分の手をジッと見つめる。宮司と異なり、皺一つ無いハリのある若者の肌だ。実際には宮司の何十倍もの時を刻んでいるはず…いや、ナナシの肉体は幾度となく失われ、新たな物に入れ替わっている。もう既に数千の時を経た肉体は一片も残っていないだろう。

 

(こんな体でも、本当に積み重ねられるかな?)

 

あの宮司のように、傷つけない方法に固執する訳では無い。

相手の心を傷つける自分の在り方を、間違っていると思う訳では無い。

 

 

 

どれだけ互いに傷つき、傷つけてでも…積み重ねた未来であれば、自分は全ての想いを伝え、受け取ることが出来るだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

サンジェルマンに儀式の準備を任せながら、アダムはティキと一緒にホテルのジャグジーで優雅に寛いでいた。

 

「ねえ、あたし人間になりたい!」

 

「藪から棒だね?いつにも増して」

 

ティキの唐突な話題に、アダムは静かにその意味を問いかけた。

 

「神の力が手に入ったら、アダムと同じ人間になりたいって言ってるの!人形のままだと、アダムのお嫁さんになれないでしょ?子供を産んで!ポコポコ産んで!野球チームを作りたいのよ!」

 

ティキの願いそのものは純粋で可愛らしい物だが、それを数多の命を使って生み出した神の力で成そうとしている事、そしてその事に何の葛藤も感じていない事にティキの悪辣な在り方が現れていた。

 

「だーかーらー!さっさと三級錬金術師を生命エネルギーに変えちゃってさー…」

 

そこまで言ったティキは、何故かピタリと言葉と動きを停止させた。

 

「その話、詳しく聞きたいワケダ」

 

しかし既にその言葉は、唐突にアダム達の前に現れたプレラーティの耳に入っていた。アダム達を睨むプレラーティを前に、アダムは慌てた様子を一切見せずに笑みを浮かべながら話し始めた。

 

「繰り返してきたはずだよ?君達だって。言わせないよ、知らないなんて」

 

アダムはジャグジーから立ち上がってその裸体を露わにする。ティキは立ち上がることすらせずにプレラーティを冷たい笑みで見つめていた。

 

「計画遂行の勘定に入っていたのさ、最初から。君の命も、サンジェルマンの命も…」

 

「そんなの聞いてないワケダァ!」

 

プレラーティが錬金術でアダム達に氷塊を飛ばすが、アダムも同じく錬金術で風の斬撃を放ち氷塊を迎え撃つと同時にプレラーティを攻撃する。咄嗟にプレラーティが斬撃を回避しながら、再びアダムへと問いかける。

 

「他に何を隠している!?何を目的としているワケダ!!?」

 

「人形の見た夢にこそ、神の力は…」

 

「人形…?」

 

その単語に、プレラーティは思わず目の前のティキに視線を向ける。その隙にアダムは再び風の斬撃をプレラーティへと放った。

 

「ッ!!」

 

プレラーティはバランスを崩しながらも斬撃を回避する。斬撃はプレラーティが持っていたカエルの人形を真っ二つに切り裂くが、動じることなくプレラーティは上半身だけとなったカエルの口に手を突っ込み、ラピスの埋め込まれたけん玉を取り出してファウストローブを纏いながら、ホテルの屋上から身を投げ出した。

 

プレラーティは真下にあった車を踏みつけて跳躍すると、けん玉を巨大化させて跨り球体を高速回転させることで道路を高速で移動してその場を離れていった。

 

「逃げた!きっとサンジェルマンにチクるつもりだよ!どうしよう!?」

 

ティキが慌てるが、アダムは落ち着いたまま腕を組んで方針を決めた。

 

「狩りたてるのは任せるとしよう、シンフォギアに」

 

高速道路を突き進みながら、プレラーティがサンジェルマンに念話を繋げようとする。

 

(サンジェルマン!サンジェルマン!!)

 

しかし、サンジェルマンからの返事が返ってこない。

 

(くっ、妨害されているワケダ)

 

仕方なくプレラーティは念話でのコンタクトを諦めて、直接サンジェルマンの元へ向かうべく儀式の準備を進めている場所…即ち、氷川神社群の方向へと進んでいった。

 

それが、アダムの狙いだとも気づかずに…

 

 

 

 

 

「錬金術師が!?」

 

本部から報告を受けた翼が思わずそう叫んでしまった。仲間を一人欠いたこの状況で人目に付く派手な騒ぎを起こすとは思ってもいなかったからだ。

 

『新川越バイパスを、猛スピードで北上中!』

 

『付近への被害甚大!このまま住宅地に差し掛かる事があれば…』

 

眠っていた響達もすぐに目を覚まし、本部からの指示を受けていた。

 

「了解です!対応します!」

 

「皆さん、どちらへ?」

 

状況を把握しきれていない宮司が響達に声を掛けたため、響達がそちらに視線を向けると…宮司の背後に、駆け出していく調の姿を見た。

 

「え!?調!!?」

 

「師匠!今、調ちゃんが!?」

 

『ッ!?…そちらにヘリを向かわせている!先走らず、ヘリの到着を待て!』

 

本部の指示を聞かず独断専行した調が、シュルシャガナのギアを身に纏って高速でプレラーティの元へと向かっていた。

 

(シュルシャガナでなら、追いつける!)

 

調がギアで高速道路の入り口に入ったところで、その背がライトの眩い光で照らされた。

 

「高機動を誇るのは、お前一人ではないぞ!」

 

調が背後に視線を向けると、ギアを纏った翼がバイクに乗って調を追いかけていた。そして…

 

「それに加えて立体機動で動ける俺も忘れてもらっては困る!」

 

頭上から聞こえてきたその声に反応して、調と翼が視線を上に移すと…

 

「「ブフッ!!?」」

 

思わず噴き出した。

 

二人の視線の先には、キラキラの目をした金髪のキャラクターのお面を被り、セーラー服(水兵の男性用服)を身に纏って“障壁”を足場に空中を爆走する不審者がいた。

 

「ナ、ナナシ!?何だその怪しい出で立ちは!!?」

 

「『ツキ』と『ウサギ』で悪党退治と言ったらこのキャラしかいないだろう!月に代わって錬金術師をお仕置きするんだよ!クッソ、こんなことなら俺用のミニスカセーラー服もガリィ達に作ってもらうんだった!!」

 

「やめろ馬鹿者!女装も男をやめようとする行為として禁止する!!」

 

「えー…チッ、まあ良いや。とりあえず先行ってるぞ!」

 

そう言ってナナシは緊迫した雰囲気をぶち壊しながら猛ダッシュで二人より先にプレラーティの元へと向かって行った。

 




本当は今期アニメの半裸鳥頭さんみたいな格好にしたかったのですが、その格好をさせる理由が思いつかず悩んでいたら別方向の不審者スタイルを発見したのでこうなりましたw
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