戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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第161話

アダムと対峙したサンジェルマンは、拳銃をアダムに突きつけながら叫ぶ。

 

「神の力は、人類の未来のためにあるべきだ。ただの一人が占有して良いモノではない!」

 

「未来?人類の?…くだらない!」

 

サンジェルマンの想いをアダムはそう一蹴して帽子を投擲する。サンジェルマンは咄嗟に弾丸で帽子に対処しようとするが、弾丸の威力が足りずに帽子はサンジェルマンへと迫り…

 

「はああ!!」

 

ガキンッ!!

 

…サンジェルマンの間近に迫った帽子を、響が拳で弾き飛ばしてサンジェルマンを守った。

 

「何故私を!!?」

 

「…我儘だと、親友は言ってくれました」

 

「我儘…?」

 

「群れるなよ、弱い者同士が!」

 

アダムが上空から炎の塊を降り注がせる。二人がそれを回避すると、サンジェルマンはアダムに弾丸で反撃を試みるが、アダムは余裕の笑みを浮かべて全ての弾丸を回避してしまった。ならばとサンジェルマンが弾倉を切り替えてレーザーのような特殊弾を放つが、アダムの錬金術によって軌道を変えられてしまった。

 

「くっ…」

 

「誰かの力に、潰されそうになってたあの頃…支配に抗う人に助けられたら、何かが変わったのかもしれない。そう考えたら、サンジェルマンさんとは、戦うのではなく話し合いたいと、体が勝手に動いてました!」

 

一人で苦戦するサンジェルマンに、響が再び自分の想いを伝える。サンジェルマンは自分の事を真っ直ぐ見つめる響の目を見て息を飲むと、ほんの少し力を抜くようにフッと息を吐いた。

 

「立花響、あのイレギュラーの狙いは間違ってはいない。お前が狙うは、ティキ…神の力へと至ろうとしている、人形だ!」

 

「ティキ、ティキ、ティキ…アン・ティキ・ティラ…」

 

サンジェルマンの鋭い視線が、光の柱の中で譫言を呟くティキへと向けられる。

 

「器を砕けば、神の力は完成しない…この『共闘』は馴れ合いではない。私の我儘だ!」

 

「我儘だったら仕方ありませんね!!」

 

サンジェルマンの答えに、響が力強い笑みを浮かべた。そんな響達の前に、余裕の表れからかアダムがゆっくりと降り立った。

 

「誰かのために、サンジェルマンさんの力を貸してください!」

 

響はその口から力強い歌声を響かせながら、一直線にアダムへと向かって行った。

 

真正面ど真ん中に 諦めずぶつかるんだ 全力全開で 限界突破して!

 

響の動きに合わせてサンジェルマンも拳銃でアダムを発砲する。しかし二人の攻撃を、アダムは軽やかな動きで全て躱し続ける。

 

「思い上がったか?どうにかなると、二人でなら」

 

響の拳を蹴りで軽くあしらいながら、アダムが宙を舞って弾丸を避けつつ木の幹に両足をつける。そしてアダムが幹を蹴って跳躍しようとしたところで、サンジェルマンが幹に打ち込んだ弾丸に籠めていた錬金術が発動してアダムの足が木の幹から離れず隙が生まれた。

 

極限の想い込めた鉄槌 共に、一緒に! 解き放とう!

 

その隙を逃すことなく、響が右腕のバンカーを引いた渾身の一撃をアダムに繰り出し、遂にアダムに攻撃を直撃させた。

 

「ぐわっ!!?」

 

響とサンジェルマンは連携が上手くいった事に笑みを浮かべる。その様子を、切歌の応急処置を終えたナナシが“障壁”の中から見ていた。

 

(全く…鉄火場のど真ん中で、ついさっきまでやり合っていた相手と手を取ってあんなにも嬉しそうに歌いやがって。頼もし過ぎるぞ妹弟子…ただ、それでも簡単に倒せるような相手では無さそうだな)

 

体勢を立て直したアダムが響達に放った錬金術の流れ弾…そう見せかけたナナシ達への攻撃を“障壁”で防ぎながら、ナナシは冷静に戦況を分析する。

 

(あの野郎、響達に集中していると見せかけて、常に俺にも意識を向けてやがる。本当は救護班に切歌を引き取ってもらいたいところだが、この様子だとそれも難しそうだ。体の機能不全が治るまで、下手にサポートせずに切歌の防衛に集中した方が良さそうだが…時間が欲しいのは向こうも同じ。あんまり悠長にやっている暇は無いぞ、響…)

 

伝えたところで焦りを生むだけなので、“念話”を繋がずナナシはその考えを己の頭の中に留める。そんなナナシの“妄想”を裏付けるように、ティキの覆う輝きは徐々に増していった。

 

サンジェルマンが何もない空間に弾丸を乱射すると、空中に錬金術の足場が現れた。その足場を使い、響が一気にティキへと迫る。

 

「させはしない、好きに!」

 

「ぐわっ!!」

 

しかしそんな目論見をアダムが許すはずもなく、先回りしたアダムが錬金術で飛ばした風の刃で響は吹き飛ばされてしまった。

 

「僕だけなんだよ、触れていいのは!ティキのあちこちに!」

 

「メガミンズッキューン!!」

 

アダムの言葉にときめいたティキが奇声を上げると、それに呼応するようにティキの纏う光が輝きを増した。

 

「このままじゃ!」

 

神の力が完成に近づく様子に響が焦り、アダムが勝ち誇った笑みを浮かべる。

 

「ですが局長…ご自慢の黄金錬成は、いかが致しました?」

 

しかし、そんなアダムに水を差すようにサンジェルマンがそう指摘した。

 

「私達に手心を加える必要も無いのに、何故あのバカ火力を開帳しないのかしら?」

 

「チッ…」

 

不敵に笑うサンジェルマンに、アダムは忌々し気に舌打ちをした。

 

「天のレイラインからのエネルギージャージは、局長にとっても予定外であったはず…門の解放に消耗し、黄金錬成させるだけの力が無いのが見て取れるわ!」

 

「なるほど…だから大げさに余裕綽々な態度を見せていたのか。図星を指されて感情が乱れ…てねえな?いくつかの波形が上下したぞ。やっぱりキモイなお前の感情!」

 

サンジェルマンの指摘にナナシが補足したことで、アダムが怒りでナナシに視線を向ける。その隙にサンジェルマンが銃を構えて響に合図を出した。

 

「聞いていたな?」

 

「はい!」

 

響も歌いながら右腕のアームドギアを変形させて、再びアダムへ挑む準備を整えた。

 

「嫌われるぞ?賢し過ぎると」

 

意識をナナシから響達に戻したアダムに向けて、サンジェルマンが銃から蒼いエネルギーの狼を放って攻撃する。アダムは炎を纏った帽子で狼を迎え撃ち、エネルギーの狼は青白い光を放ちながら爆発して…その煙を目隠しに、響がアダムへと肉薄した。

 

さあ今 目の前の天に 「だとしても!」を貫け!

 

右腕のブースターを全開にして繰り出された響の拳を、アダムが咄嗟に左手で受け止める。

 

「つえええええええい!!」

 

その隙を突いて、サンジェルマンが拳銃の先に展開したブレードを無防備となったアダムの左腕に振り下ろし、深い傷を刻む事に成功した。

 

「ぐあああああ!!」

 

「今だ、立花響!ティキが神の力へと至る前に!!」

 

サンジェルマンの指示に従い、駆け出そうとする響であったが…アダムに刻まれた傷を目にして、思わず動きを止めてしまった。

 

アダムの腕の傷からは一滴も血が零れることはなく、断面からは切れたコードのような物から火花とスパークが散っているのが見て取れた。

 

「錬金術師を統べるパヴァリア光明結社の局長が、まさか…」

 

「本当に、人形…?」

 

「人形だと?……人形だとおおおおおおお!!?」

 

響のその一言に、アダムは響を睨みながらこれまでの鬱憤を籠めるかのように叫んだ。

 

「許さない!アダムをよくも、痛くさせるなんてえええええ!!!」

 

そしてアダムの叫びを聞いたティキも憤怒の表情を浮かべたかと思うと、その感情に呼応するように光が溢れ出した。

 

「何が!!?」

 

「光が…生まれる…!」

 

直視する事も出来ない程の光が周囲を包み…光が収まると、そこに広がった光景に響達は言葉を失った。

 

先程までティキがいた空中に、魚の尾びれに人形の上半身を付けた人魚のような形状の異形が浮かんでいた。見る者を威圧する存在感と、何より凄まじいのはその大きさだ。ほとんど人と同じ大きさだったティキの体が水晶のような物で覆われ、シンフォギアのギアペンダントのように胸の中心に納まっていると言えば本体がどれほどの巨躯を持つか想像に難くない。

 

「神力顕現…持ち帰るだけのつもりだったんだけどね?今日のところは」

 

「ゴメンナサイ…アタシ、アダムガヒドイコトサレテタカラ…ツイ…」

 

「仕方ないよ、済んだことは。だけどせっかくだから…」

 

アダムが血走った目で響達とその後方に控えるナナシ達を睨むと、アダムの意を汲んだようにティキの力が膨れ上がっていく。

 

「知らしめようか!完成した神の力、ディバインウェポンの恐怖を!」

 

異形の両肩に埋め込まれた水晶のような物が光り輝くと、そこから光線が放たれる。響とサンジェルマンは咄嗟に回避するが、連続で放たれる光線によって発生した爆風で吹き飛ばされてしまった。

 

光線の一つがナナシ達の方にも飛んできたため、ナナシは追加で“障壁”を展開する事で対処した。念のためと光線を真っ向から受け止めるのではなく“障壁”に角度をつけて受け流した結果、防ぐ事は出来たが…“障壁”には僅かに罅が入っていた。

 

(マジか!?威力は黄金錬成より少し低いが、貫通力と連射性が桁違いだ!直撃したらシンフォギアでも無事じゃ済まない…こんなのが好き勝手暴れたら、本気で国が滅ぶぞ!?)

 

一瞬で周囲の景色を一変させたディバインウェポンの力と、未だ治まらない体の不調にナナシは焦りを募らせた。しかし現状では戦闘に加わるどころか気絶した切歌を避難させることすら困難であり、ナナシはアダム達と対峙する響とサンジェルマンを見守ることしか出来なかった。

 

「人でなし…サンジェルマンはそう呼び続けていたね?何度も僕を…そうとも、人でなしさ、僕は。何しろ人ですらないのだから」

 

「アダム・ヴァイスハウプト…貴様は一体…」

 

「僕は創られた…『彼ら』の代行者として」

 

「『彼ら』…?」

 

自らが何者かに創られた存在であることを告白したアダムは、何故か一瞬だけナナシに鋭い視線を向けた後、響の疑問には答えずに話を続けた。

 

「だけど廃棄されたのさ、試作体のまま。完全過ぎると言う理不尽極まる理由をつけられて!あり得ない…完全が不完全に劣るなどと……そんな歪みは正してやる!完全が不完全を統べることでねぇ!!」

 

そう言ってアダムが手を振り上げると、ディバインウェポンとなったティキの口にエネルギーが収束していく。

 

「さっきみたいのを、撃たせるわけには!」

 

響は咄嗟にブースターを使ってティキへと接近、今にも光線を放とうとするティキの横っ面をぶん殴って強引に顔の向きを変えさせた。

 

「ティキ!?」

 

「ぐあっ!!?」

 

そのまま明後日の方向に光線を放ちながら、ティキが手を振り払って響を吹き飛ばす。放たれた光線は雲を散らし、宇宙空間を漂う人工衛星を飲み込んで盛大な爆発を発生させた。

 

「こんな力のために、私達は…!」

 

 

 

 

 

ティキが光線を放つのとほぼ同時に、現場周辺のカメラが機能停止してしまい、本部では響達の様子がモニター出来なくなっていた。

 

「シエルジェ自治領から通達…放たれた指向性エネルギーらは、米国保有の軍事衛星に命中…蒸発させたと……」

 

(ナナシ君!響君達の状況は!?)

 

(響が体張ってくれたお陰で一応全員まだ無事だ!だけど響は攻撃を受けてダウン!切歌はまだ気絶中!俺もまだまともに動けねえ!クソッ!!)

 

(落ち着くんだナナシ君!もう少しの間耐えてくれ!そうすれば…)

 

「司令!各省庁からの問い合わせが殺到しています!」

 

弦十郎とナナシが“念話”でやり取りをしていると、友里からそんな報告が入ってきた。

 

「全て後回しだ!放って…」

 

『どうなっている?』

 

突如、本部のモニターに訃堂の顔が表示され、現状報告を求められた。

 

『どうなっていると聞いておる』

 

「…現在、敵の大規模攻撃を阻止するために装者一名が負傷。こちらでも対応を進めて…」

 

『儚き者が…此度の騒乱は既に各国政府の知るところ。ならば、次の動きは自明であろう?共同作戦や治安維持などと題目を掲げ、国連の旗を振りながら武力介入が行われる事が何故…』

 

「親父」

 

『っ!?』

 

通信越しに威圧感を放ちながら長々非難の言葉を口にする訃堂に、弦十郎は怒気を向けながら通信停止ボタンに手を掛けた。

 

「取り込み中だ、後にしろ!!」

 

『弦十郎!!貴様…』

 

ブチッ!

 

訃堂の怒気を歯牙にもかけず、弦十郎はボタンを押して一方的に通信を切断した。そんな弦十郎に、了子が声をかけた。

 

「あらら、随分思い切った事をしたわね。大丈夫?」

 

「知った事か!子供を戦場に立たせておいて、敗北を前提とした世迷言など聞いている場合ではないわ!!」

 

国防を担う者としては、最悪を想定して動くことも重要だろう。しかし、今戦場で命を懸けて戦っている者達を放って敗戦後の未来に備えるなど、弦十郎の『正義』に反する。その『正義』を訃堂に対して貫いてみせた弦十郎の姿に、了子は呆れたように肩を竦め…とても楽しそうに笑っていた。

 

「モニター出ます!」

 

そんな事をしている間に現場のカメラ映像が復活して、地面に横たわる響の姿がモニターに映し出された。

 

 

 

 

 

「ア、 アダム…ティキ、ガンバッタ…ホ、ホメテエエエ?」

 

倒れ伏す響を前に、ティキはノイズの入ったような声でアダムにそんなおねだりをした。

 

「良い子だね、ティキはやっぱり」

 

「ダッタラ、ハグシテヨ…ダキシメテクレナイト…ツタワラナイヨ」

 

「山々だよ、そうしたいのは。だけど出来ないんだ、手に余るそのサイズではね?」

 

「イケズゥ…ソコモマタ、スキナンダケドネ?」

 

アダムとそんなふざけたやり取りをしているティキに、サンジェルマンが拳銃を向けて引き金を引いた。

 

「全力の弾丸で!!」

 

サンジェルマンの放った無数の弾丸は、ティキの体を貫き欠けさせるが…体がブレたかと思うと、先程のナナシやヨナルデパズトーリと同様に一瞬で欠損を修復させてしまった。

 

「ぐわっ!!」

 

圧倒的な攻撃と、絶対的な防御になす術もなく、サンジェルマンはティキの手に薙ぎ払われてしまった。

 

「不完全な人類は…支配されてこそ、完全な群体へと完成する。人を超越した僕によって!」

 

「世迷うなよ、人形…」

 

傷つき膝をついて尚、サンジェルマンは毅然とした態度でアダムを睨んだ。

 

「錬金術師失格だな、君は。支配を受け入れたまえ、完全を希求するならば!」

 

「支配からの解放…その全てが利用され、無駄に消えてしまった…思想も理想も、生贄と捧げた数多の命までも…!」

 

動けないサンジェルマンから視線を外し、アダムは倒れ伏す響に視線を移した。

 

「もはやディバインウェポンを振るうまでも無いね…この幕引きには。手づから僕が始末しよう。君だけは、入念に…」

 

そう言ってアダムは、自らトドメを刺すべくゆっくりと響に近づいて行き…

 

 

 

「お前、今嘘をついたな?」

 

 

 

…その途中で投げかけられたナナシの言葉に、アダムはピタリと歩みを止めてナナシを睨みつけた。

 

「ディバインウェポンを振るうまでも無い…違う、お前が直接動こうとしているのはそんな理由じゃない」

 

「……」

 

「お前が儀式を邪魔されないように響達を妨害していたのは理解出来る。ディバインウェポンとして完成したあの人形を屍女の弾丸が砕いても一切動揺しなかったのも分かる。だけど…響があの人形の攻撃を止めようとして突っ込んでいった時、お前があそこまで取り乱した理由はなんだ?高々シンフォギアの一撃を受けたところで、あの人形には痛くも痒くも無い事なんて分かり切っていたはずなのに」

 

「……」

 

 

 

「神の力を手に入れたお前が…何故そんなにも響に『恐れ』を抱いている?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ナナシが会話でアダムの気を引いて時間を稼いでいるが、本部ではその様子をモニターすることしか出来ないでいた。

 

「有為に天命を待つばかりか!」

 

「見ている事しか…出来ないなんて…」

 

何も出来ない弦十郎と奏が無力を嘆いていると…

 

 

 

『諦めるな!』

 

 

 

…突然、本部の通信機からそんな声が響き渡った。

 

『あなた方ならきっと、そう仰るのではありませんか?』

 

「発信源…不明。暗号化され、身元も特定出来ません。ですが、これは…!」

 

本部のモニターに、膨大な量の情報が表示される。そこに映し出されていたのは…

 

「解析された、バルベルデドキュメント!!?」

 

『我々が持ち得る限りの資料です。ここにある『神殺し』の記述こそが、切り札となり得ます』

 

「『神殺し』だって!!?」

 

『調査部で神殺しに関する情報を追いかけていたところ、彼らと接触、協力を取り付ける事が出来ました』

 

緒川からそんな通信が届くと同時に、今度はモニターに一本の槍の画像が表示された。

 

「これは…?」

 

『かつて、神の子の死を確かめるために振るわれたとされる槍…遥か昔より伝わるこの槍には、凄まじき力こそ秘められていたものの…本来、神殺しの力は備わっていなかったと資料には記されています』

 

「だったらどうして…?」

 

『二千年以上に渡り、神の死に関わる逸話が本質を歪め、変質させた結果であると…』

 

「まさか、哲学兵装!?キャロルの言っていた、概念にすら干渉する人類が積み上げて生み出した『呪い』…『コトバノチカラ』…!」

 

『前大戦時にドイツが探し求めたこの槍こそ…!』

 

謎の人物の言葉と共に、モニターに大きく表示されたその槍の名は…

 

『GUNGNIR』

 

「ガングニール、だとぉ!!?」

 

『…そう、なんですね』

 

「響!?」

 

もたらされたその情報を聞き、伏せていた響が顔を上げて、その手を地に立て力を籠めた。

 

 

 

 

 

「まだ、何とか出来る手立てがあって…それが、わたしの纏うガングニールなのだとしたら…」

 

「気取られたのか…」

 

その瞳に力を取り戻し、ゆっくりと立ち上がる響をアダムが忌々し気に睨みつけた。

 

「もうひと踏ん張り…やってられないことはない!」

 

「ティキ!」

 

アダムの指示を受け、ティキが響に光線を放つが、響は素早く地を駆けて光線を避けながらティキへと迫る。

 

「行かせるものか、神殺し!」

 

アダムが響の歩みを阻むべく帽子を投擲するが、横から飛来した弾丸がアダムの帽子を弾き飛ばした。

 

「なるほど、得心がいったわ。あの無理筋な黄金錬成はシンフォギアに向けた一撃ではなく、局長にとって不都合な真実を葬り去るためだったのね?」

 

「言ったはずなんだけどなぁ…賢し過ぎると!」

 

絶望の中に見出した僅かな希望を繋げるために、サンジェルマンは再びアダムと対峙した。

 

 

 

 

 

『バルベルデから最後に飛び立った輸送機…その積み荷の中に、大戦時からの記録が隠されていたのです』

 

「あの時の切歌さん達の無茶は、無駄ではなかったのですね!」

 

謎の人物からもたらされた情報に、エルフナインが笑顔で喜ぶ。弦十郎は『NO IMAGE』と表示されたモニターを見つめながら、遂に謎の人物に対してある質問をした。

 

「…君達については緒川から話を聞いている。しかし、改めて聞かせて欲しい。君が何者で、何故我々に君の国が手に入れた機密情報を伝えてくれたのかを…」

 

『……』

 

弦十郎の問いに、僅かな間を置いて…非表示にされていた相手の姿が映し出された。

 

『っ!!?』

 

その人物の顔を見た奏達は驚きを露わにした。いや、この言い方は正確ではない。モニターには確かに相手の姿が映し出されたが、その顔は未だ露わになっていない。何故ならば…

 

その人物の顔は…道化師の仮面に隠されているからだ。

 

本部の人間が驚愕に固まり…ナナシが両手で頭を抱える中で、道化師の仮面を被った謎の人物は、自分が何者であるかを語り始めた。

 

 

 

『私は…いいえ、我々はナナシ様と…あなた方の歌に、命を救われた者達です!!』

 

 

 




次回、フラグ回収です。
細々忍ばせたので探してみてくださいw
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