戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ 作:@sora@
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「や、やめろ!それ以上近寄るなであります!!」
「フッフッフ…」
部屋の隅でエルザが怯えた表情で目の前の男を睨む。そんなエルザの表情をニヤニヤ笑いながら、ナナシがエルザをゆっくりと追い詰めていた。
「エルザちゃんから離れなさい!!」
「クッソ、ここから出すんだゼ!!」
ナナシの背後では、“障壁”に閉じ込められたヴァネッサとミラアルクがドンドンと“障壁”を叩きながら必死に叫んでいた。
「そんなに嫌なら別にやめてやっても良いぜ?ただし、お前の分も後ろの二人にはジックリタップリ楽しませてもらうけどな?」
「っ!!?」
「それで良いわ!私がエルザちゃんとミラアルクちゃんの代わりに全て引き受けるから!!」
「いやウチが受ける!だからウチの家族に手を出すなあああ!!」
「あいつらはああ言っているけど、どうする?」
「くっ…この身を好きにすれば良いであります!!」
「エルザちゃん!?」
「エルザ!!?」
悲痛な覚悟と共にその身を差し出すエルザに、ヴァネッサとミラアルクが驚愕の声を上げるが、ナナシはそんなエルザにさえ容赦なく追い打ちをかける。
「おいおい、それじゃあ俺が無理矢理お前に手を出すみたいじゃないか?これはやっぱり積極的に自分を売り込むあいつらの相手をするべきかな?」
「ま、待つであります!!」
「ん~?ひょっとしてだけど…それは命令のつもりか?ペットのお前が、ご主人様の俺に?」
「っ!?」
「誰かに何かを乞う時、人はなんて言うんだろうな~?それとも、体を弄られた時にそれすら忘れてしまったのかな~?」
「…て……さい…」
「ん?何か言ったか?」
「私めの…相手を、してください…お願いするで、あります…」
「あっはははは!仕方がないなぁ、そこまで言うなら相手をしてやろう!」
「きっさまああああああ!!」
「この外道があああああ!!」
俯き震えながら懇願の言葉を口にするエルザに、ナナシがゆっくりと手を伸ばしていき…その体に触れる。
「っ!?」
「力を抜いて、楽にしていろ。すぐに気持ち良くしてやるから…」
「いやあああああああああ!!!」
「やめろおおおおおおおお!!!」
悲痛な叫び声を上げるヴァネッサ達の前で、ナナシは笑いながら何度も何度もエルザに手を伸ばす。
「あっ…くっ…ああっ!?」
「ククク、体は正直じゃないか?さあ、諦めてその快楽に身を委ねてしまえ!」
「いや、いやだ、こんな、こんなの…あ、あああ!ワオオオオオオオオン!!」
「エルザァアアアアアアアア!!!」
「エルザちゃああああああん!!!」
「ハイ、グルーミング終了♪」
「きゅうううう…」
真っ赤な顔で目を回すエルザの横で、とても満足した様子のナナシが毛の付いた櫛を“収納”に仕舞っていた。それと同時にヴァネッサ達を閉じ込めていた“障壁”が解除され、ヴァネッサ達はすぐさまエルザの元へ駆け寄った。
「エルザちゃん!」
「エルザ!」
「うぅ…ヴァネッサ⋯ミラアルク…私めは、汚されてしまったであります…」
「しっかりするんだぜ!エルザは汚れてなんて…寧ろピッカピカのツヤツヤだゼ!?」
「エルザちゃんになんて卑劣な真似を…あ、髪の毛が凄くフワフワ!?それに良い香りがする!!?」
エルザの仕上がりにヴァネッサ達も思わず唸ってしまう。隣の部屋ではまた様子を見に来ていた響とサンジェルマンがそんな茶番劇のようなやり取りを苦笑しながら眺め、研究の息抜きに偶々見に来ていたキャロルも呆れたような目で見ていた。
「あの男は本当に活き活きと他者を追い詰めるな?」
「そのうえやっている事は子供の悪戯と変わらんから、傍から見る側としてはじゃれ合っているようにしか見えんのが何とも…」
「あ~良かった!ヴァネッサさん達、キャロルちゃんやサンジェルマンさんみたいに仲良くなれたみたい!!」
「「私(オレ)は別にあの男と仲良くしている訳ではない!!」」
「いや~堪能した!しかしこうなると尻尾が無いのが非常に残念だ。フワフワの犬耳とモフモフの尻尾はワンセットだろう?どうせ着脱式にするなら正規の尻尾も用意するべき……あっ!そっか、無いなら作れば良いのか!!おーいキャロル、サンジェルマン!このワンコのアタッチメントに対応した犬尻尾作ってくれ!!当然感覚を通わせて感情に合わせた動きをするように!それさえあればこいつをもっと気持ち良くさせてやれる!!」
「下らない依頼をしてくるな!!」
「そ、それと妙な言い回しをするな!」
「ペットを気持ち良くするためにケツにぶっ指す尻尾を作ってくれ!!」
「「悪化させるな!!!」」
流れでナナシにからかわれて顔を赤くしながら叫ぶキャロル達に、響はやっぱり仲が良いなと思って笑ってしまった。
「さ~て、次は吸血鬼っ娘とロボっ娘のどっちを相手してやろうかな~?吸血鬼っ娘の羽は没収しているから、その長い耳を掃除して牙や爪を綺麗に磨き上げてやるか?ロボっ娘はどうしよう?油でも差すか?……ああ!オイルマッサージをしてやろう!!全身満遍なく揉み解してやる!!」
「「ひいいいいっ!!?」」
自分達に狙いを定めたナナシに、ヴァネッサとミラアルクが震えあがって部屋の隅に退避する。そんな二人を追い詰めるように、ナナシが悪い笑顔でゆっくりと近づこうとして…
「済まない、ナナシ君。少し時間を貰えないか?」
…突然部屋の中に入ってきた弦十郎が、そう言ってナナシを呼び止めた。
「弦十郎?見ての通り俺はペットの世話で忙しいんだが、何かあったのか?」
「ああ、つい先程S.O.N.G.本部は日本の海域内に入った所なのだが…」
「お待ちください!まだこちらの手続きが…」
「必要ない」
ナナシが弦十郎と話していると、部屋の外から緒川の慌てたような声が聞こえてきた直後、室内に黒服の男達が侵入してきた。
「S.O.N.G.の司令、風鳴弦十郎だな?」
「…ああ」
「我々は風鳴機関の者だ。護国災害派遣法に則り、そちらで拘束した錬金術師の身柄を引き渡してもらう」
『!!?』
「……」
男の言葉にヴァネッサ達と響達が目を見開く。ナナシだけは何故かニコニコと笑みを保ったままで弦十郎と男のやり取りを見守っていた。
「…身分証の掲示を」
「もちろんだ」
「…間違いない。しかし、彼女達の体には留意するべき事が…」
「見れば分かる。心配せずとも、この怪物共が暴れて脱走などしないよう充分に拘束して管理する。万が一脱走された場合も、そちらに責任を追及などしない」
弦十郎の言葉を遮り、男が拘束具を手にヴァネッサ達の元へ進もうとするが、そんな男の肩を弦十郎が掴んで引き止めた。
「そうではない!彼女達は生命維持のために定期的な処置が必要だと判明している。身柄を引き渡すにしても、彼女達の体に何らかの異常が出た場合に迅速な対応をするための話し合いを…」
「必要ないと言っている!!」
話し合いを提案する弦十郎に、男は弦十郎の手を振り払って強い口調で拒絶の言葉を口にした。
「そこの化物共がどうなったところで責任は追及しないと言っている!貴様らは黙って我々に従えば良いのだ!!護国災害派遣法によって、日本国内での聖遺物並びに異端技術に関する物の扱いは我々の意志が最優先されるのだ!これ以上邪魔立てするつもりなら、国家に反逆する意志ありと判断させてもらうぞ!!」
一方的にそう宣告する男の言葉を聞いて、隣の部屋にいた響は見ているだけではいられず部屋を飛び出そうとした。しかしそんな響を、キャロルが手を取って引き留めてしまう。
「キャロルちゃん!?」
「落ち着け」
「で、でも!このままだとヴァネッサさん達が!?」
「貴様の出る幕では無いと言っている。黙って見ていろ」
手を掴んで離そうとしないキャロルに、響が困惑していると…そんな響を宥めるように、サンジェルマンが響の肩にポンと手を置いた。
「大丈夫だ、立花響」
そう力強く断言するサンジェルマンに、響はようやく部屋を出ようとするのをやめて成り行きを見守る事にした。そんな響達が見守る中で、男は弦十郎の横を通り過ぎ、一番近くにいたエルザへと手を伸ばして…
「申し訳ありませんが、せっかく手入れをした私のペットに汚い手で触らないでくれますか?」
ガスッ!!
「がっ!!?」
…男の腹にナナシの回し蹴りが炸裂して、男は壁際まで吹き飛ばされてしまった。他の黒服達はナナシの行動に少しの間呆気に取られたが、すぐさま懐から銃を取り出してナナシに銃口を突きつける。しかしそんな黒服達に視線すら向けずに、ナナシはニコニコしながら蹲る男に近づいて行く。
「ゲホッ、ゴホッ…き、貴様!?自分が何をしているのか分かっているのか!!?我々を、風鳴機関を!日本政府を敵に回すつもりか!?」
「いえいえ、そのような事は露とも思っていませんとも!」
激怒する男に対して、ナナシは相変わらずニコニコと笑ったまま…何の感情も宿していない瞳でジッと男を見下ろした。
「私があなた方にそのような感情を向ける訳が無い。あなた方だって地面を這い回る虫にいちいち敵意を向けたりなんてしないでしょう?それと同じですよ」
「なっ!?き、貴様!!」
ドスッ!!
「がふっ!!?」
男が激昂しながら立ち上がろうとするが、ナナシが男の背を踏みつけて無理矢理床に這いつくばらせる。
「そんなあなた方に、私のようなガキが向ける感情があるとするなら…踏み潰したり手足をもぎ取ったらどんな動きをするのかな?という程度の好奇心ぐらいですかねぇ…」
「ぐええええっ!?お、お前達!!何をしている!?は、早くこの男を…」
「失礼する!!」
徐々に強まっていく背中の圧力に男が助けを求めると、部屋の中に新たな黒服達が入ってきた。
「こ、これは一体…」
「こ、こいつらはそこの化物共の引き渡しを拒否した、日本政府に逆らう反逆者だ!全員今すぐひっ捕らえろ!抵抗するなら射殺して構わん!!」
「なっ!!?何と、愚かな…全員捕縛しろ!!」
『はっ!!』
新たに現れた黒服の号令を受けて、その部下達が一斉に…
ガスッ!ゴスッ!バチバチバチッ!
「なっ!!?」
…ナナシに銃口を向ける黒服達を警棒やスタンガンで鎮圧した。
「な、何をしているのだ!?捕縛するのはS.O.N.G.の逆賊共の方…」
「この愚か者があああああ!!!」
ガスッ!!
「ぐあっ!!?」
ナナシに踏まれて身動きの取れない男の顎を黒服が蹴り抜いて意識を刈り取ると、黒服は床に頭を擦り付けてナナシに謝罪し始めた。
「こ、この度は我々の手の者が誠に…誠に、申し訳ありません!」
「何に対してですか?」
「え…?」
「え?じゃなくて、あなたはこの方々のどんな行動について謝罪をしているのかを聞いているんです」
「そ、それは、あなた方の捕らえた捕虜を引き渡すよう強要した事を…」
「それは別に謝罪する必要はないでしょう?法的観点から見れば、非があるのは全面的にこちら側のはずです。あなた方がするのは謝罪ではなく、我々の越権行為を国連に抗議するべきでは?ああ、そちらに手間を取らせても申し訳ないですし、我々の方から自己申告致しましょう!順当に行けば国外追放ですかね~?無法者の我々を受け入れてくれる国があれば良いのですが…」
「そ、それだけはどうかご勘弁を!!」
自らの非を認めて罰則を受け入れようとするナナシに、何故か日本政府側の黒服の方が顔面蒼白になりながらガタガタ震えて頭を床に擦り付けた。
「どうか…どうかご慈悲を…!」
「勘弁してもらうのも慈悲を貰うのもこちらだと思いますがね~…はぁ、これ以上あなた方と話していてもつまらないので、もうこの場での出来事を無かった事にしませんか?良いよな、弦十郎?」
「まあ、君とそちらの双方が良いならば…」
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!!」
黒服は何度もお礼を言いながら、意識を失った男達を引き連れて部屋を後にしようとした。
「この者達には然るべき措置をしておきます。この度は本当に申し訳…」
ガシッ!!
「ぐわっ!?」
ペコペコと頭を下げて出ていこうとしていた黒服であったが、突然ナナシに襟元を掴まれて言葉を詰まらせてしまった。
「言いましたよね?この場での出来事は無かった事にすると…何も無かったんだから、誰も罰せられる事は無いはずですよね?我々も、あなた方も」
「し、しかし…」
食い下がろうとする黒服を、ナナシは虚ろな目で睨みつけながらドスの効いた声で囁いた。
「どさくさに紛れて小奇麗になろうとしてんじゃねえよ。ゴミはそのままゴミ溜めに留めておけと言っている。理解したか?」
「は、はい…」
黒服は引き攣った笑みを浮かべながら、今度こそスゴスゴと部屋を出ていった。
「あ、兄弟子!?ヴァネッサさん達を守れたのは良いですけど、色々と大丈夫なんですか!!?」
どう見ても悪党側にしか見えないナナシの振る舞いに、キャロルはニヤリと楽しそうに笑い、サンジェルマンは表情を引き攣らせ、弦十郎は苦笑している。ヴァネッサ達などは何が起こったかも理解しきれない様子で呆然としてしまっている。思わず響が問いかけてしまったのも無理はない。
しかしそんな響に対して、ナナシはキラキラとした笑顔でグッと親指を立てて答えてみせた。
「あはははは!清廉潔白でクリーンな俺達に問題がある訳ないだろう?何て言ったってS.O.N.G.は今や…世界屈指の『リサイクル業者』だからな!!」
次回、遂にナナシの計画について一部明かされます。
国連及び日本政府をどうやって黙らせたかです。納得して頂けるかは正直微妙なところですが、相変わらずのご都合主義だな〜と笑ってスルーして頂ければ⋯