戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ 作:@sora@
お気に入り数も気付けば800超え!!
私の拙い文章にお付き合い頂き誠にありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!
「はぁ…はぁ…!」
何とか巨剣を受け止めきった訃堂は、刀を地面に突き立て杖代わりにしながら息を整える。体中に負った火傷の跡が痛々しいが、訃堂は体とは別の痛みで顔を苦痛に歪めているようだった。
「おのれ…よくも…よくも…!」
燻る瓦礫の煙と舞い上がった土砂で未だ全容は見えないが、尋常ではない量の剣が降り注いだ以上、代々受け継いだ風鳴の屋敷への被害は絶望的だと訃堂は感じ取っていた。
「少しは、大切なモノを奪われる痛みが理解出来ましたか?訃堂お爺様」
そんな訃堂に追い打ちをかけるように、翼が淡々とした口調でそう問いかけた。
「奪われる痛み、だと…!?誰に物を言っている!?真の戦場も知らぬ小娘風情がぁあああ!!!」
翼の言葉が余程逆鱗に触れたのか、これまでと比べ物にならない怒気を振り撒きながら訃堂が親の仇のように翼を睨みつける。ビリビリと空気さえも振るえるような威圧感を放つ訃堂を、翼は静かに見つめていた。
「烏合の夷狄を幾度か退けた程度で図に乗りおって!国という大樹を守護する防人の一族でありながら、枝葉の如き民草が多少刈られた程度で心乱す軟弱者の分際で!!国の誇りを、尊厳を、未来を懸けた戦場では、力無き国は幹たる首都を砕かれ、根ざす国土を削り取られる!刹那でも隙を見せれば、根こそぎ刈り尽くされて朽ちる他ない!!我が国を取り囲む独活の大木共は、日に日に我が国へと根を伸ばし日差しを遮りつつある!分かるか!?もはや一刻の猶予も無いのだ!!これ以上国が痩せ細ってしまえば、今度こそこの国は火種一つで容易く炎に飲み込まれてしまう!!!比喩などでは無い!!!!国が燃えるのだ!!!!!そんな事も理解出来ぬのか!!?!?」
これまでに無く感情を高ぶらせ、支離滅裂にも思える言葉を弾丸の如くぶちまけた訃堂は…唐突に言葉を途切れさせ、ぐったりと俯いた後、息継ぎをするその口からポツリポツリと言葉を零した。
「所詮、大戦を知らぬ貴様らには…理解及ばぬ話か…国の守護を担う一族として、国土を犯す夷狄の群れをどれだけ斬り伏せようとも…それを嘲笑うかのように、頭上を悠々と飛び越え、何もかもを焼き尽くされる虚しさなど…かつて、この国が最も美しく彩られていた野や山の情景を知らぬ貴様らなどには…」
…百を超える長き時を生きてきた訃堂は、その中で様々な物を奪われ、失ってきた。それでも尚、手段を選ばず防人として日本を守ろうとするのは…紛れもない、国に捧げる愛故にこそだ。
それは恐らく、風鳴訃堂が生涯で初めて一族に見せた弱き姿だった。その言葉に籠められた並々ならぬ感情に、弦十郎は口を閉ざし、八紘は瞑目して、そして翼は…
「知るかボケ!!」
『!!?』
…バッサリと、訃堂の想いを斬り捨てた。
「黙って聞いていれば、好き勝手な事をペラペラと…まさかそんな戯言で、あなたのこれまでの所業が誤魔化せるとでも思ったのですか?少しでも自分の想いに歩み寄ってもらえるとでも期待しましたか?これまで一度たりとも自分以外の想いに歩み寄る事の無かったあなたなどに?」
訃堂の嘆きにさえ一切共感する事無く、翼は冷え冷えとした視線で訃堂を睨みながら糾弾するように言葉を続けた。
「国のため、大義のためと宣いながら…結局のところ、あなたは自分以外の誰も信じられなかっただけでしょう?自分の想いなど誰も理解出来ないと決めつけ、力と恐怖で他人を操る事しかしてこなかった。だからこそ、あなたは土壇場で誰からも手を差し伸ばしてもらえずに窮地へと追い込まれている。当然でしょうね?血筋の尊さを常々語っておきながら、自らの邪魔になると判断した途端にアッサリと一族を切り捨てようとした癖に…誰一人として中に残っていない自分の屋敷のためならば、身を挺して守ろうとするあなたの事など、誰が好き好んで理解など示すものですか。大きくて見栄えが良いだけの、中身が空っぽな器を守ろうと必死に取り繕う…今の状況はまさに、あなたの生き様そのものですね?訃堂お爺様」
たっぷりの皮肉を籠めて、翼がボロボロの訃堂を嘲るようにクスリと笑った。
「私は仲間達と共に、舞い散る花弁の一つ一つさえ尊びながら並び立つ木々の美しさを歌い明かしたいのだ。一つの木を守るために周囲を薙ぎ払い、枝葉さえも土壌の肥やしにしてしまうあなたのみすぼらしい正義になど興味はない」
「何処までも甘い戯言を…!所詮はあの“紛い物”に誑かされ、道具として使われる分際で!!儂から一族の誇りを、受け継いだ歴史を奪っておきながら!!!」
暗にお前の正義も自分と本質は同じと指摘する訃堂に、翼は呆れたような顔で答えた。
「お爺様、耄碌の次は被害妄想ですか?私があなたから一体何を奪ったと言うのですか?」
そう言って翼が剣の切っ先を屋敷のあった方向へ向ける。その動きに釣られて視線を向けた訃堂が見たのは、長々話している間にすっかり煙と舞い上がった土砂が晴れた先にある…ほとんど無傷で佇む屋敷の姿だった。
「………は?」
予想外の光景を目の当たりにした訃堂は、思わず間の抜けた声を零してしまった。剣の雨に飲み込まれたはずの屋敷は、炎が燃え移っていた屋敷の外周のみを的確に崩す事で延焼を防がれており、それ以外の場所は丸ごと無傷で残されていた。これならば、多少修繕を施すだけで充分元通りに出来るだろう。
「プッ、フフフ…」
口を開けて呆然とする訃堂の顔を見た翼が、堪えきれないと言った様子で笑い声を零していた。
「ククク、相手が狙い通りに無様を晒す姿がこうも滑稽とは、ナナシが夢中になるのも理解出来てしまう…お爺様、私は攻撃を仕掛ける前にあなたへ『後ろに何があるか忘れたのか』と問いかけ、マリアの質問に『屋敷が壊れても小日向は無事』と答え、お父様と叔父様に『私とお爺様、どちらを支持するのか』と確認を取っただけで…別に『屋敷をブチ壊してやる』だなんて、一言も言ってはいませんよ?」
とても悪い笑顔を浮かべながら、翼はそんな事を言ってのけた。
「言ったではありませんか?『私とて、風鳴の一族として先達を敬う想いは持ち合わせている』と…そんな私が、ご先祖様達の遺した屋敷を壊すはずないではありませんか?」
「な、何を、戯けた事を…儂が貴様の攻撃を受け止めなければ、今頃…」
「ええ、私がお爺様に大技を放とうとした時、
いけしゃあしゃあと都合の良い事を言ってのける翼に訃堂が言葉を失っていると、畳みかけるように翼が言葉を続けた。
「しかし、想定外があったのも事実です。高々小娘である私如きの攻撃、お爺様なら止めて当然、僅かにでも手傷を負わせられれば御の字と考えていたのですが…何やら受け止めるだけで精一杯といったご様子、ましてや屋敷に火の手が上がっているではありませんか!これはマズいと慌てて火消しに動いてみれば、私に奪われた何だと訳の分からぬ事を…本気でボケたのかと思いましたよ?」
自らを遜るように言いつつ、まるで攻撃を止められなかった訃堂が悪いとでも言うように翼の口から滑らかに言葉が紡がれ続ける。その語り口が誰を参考にしているかなど、仲間達には容易に理解出来た。
「ナナシであったなら、漫画片手に自分も屋敷も傷一つ負うことなく守ってみせたでしょう。叔父様であっても拳で剣を受け止めつつ発勁で炎をかき消してみせたでしょう。あの二人が警戒に警戒を重ねるお爺様なら、容易く自分も屋敷も守り抜くに違いないと確信していたのですが…蓋を開けてみれば私自身が尻ぬぐいをせねばならなかった上に、唐突に聞いてもいない昔語りを始める始末。もはや何と言えばいいか…ああ!ぴったりの言葉がありました!!」
傷口へ丁寧に丁寧に塩を塗り込むような翼の言葉は、否が応でも停止した訃堂の頭に現実を刷り込んでいく。確実に組み伏せられると侮っていた小娘に手古摺るばかりか良いように弄ばれ、醜態を晒し、あろう事か手心まで加えられていたという現実…それは…そのような無様は、まるで…
「果敢無き哉、まるで不肖の防人よ」
これまで幾度となく言い放ってきた言葉を、否定出来ぬまでに追い詰められた状況でそのまま返された訃堂は、遂に…
「ぐがああああああああああああああああああ!!!!!」
…プッツリと、堪忍袋の緒が切れてしまった。
「何たる冒涜!何たる屈辱!!もはやその喉笛、掻っ捌かずにいられようかぁあああ!!!」
これまでとは比較にならない怒気が訃堂から溢れ出し、禍々しき妖気を訃堂が纏っているように見えてしまう。力んだ筋肉の膨張によって上半身の服が弾け飛び、元々の巨体が更に一回り大きくなったようにも見えた。形相のみならず、その立ち振る舞いはまさに…鬼。
訃堂の変貌にこれまで傍観していた弦十郎達も危機感を覚えて翼に加勢しようとするが、翼が手にした剣を横に突き出して仲間達の動きを制した。
「手出しは無用。これは私とお爺様の『喧嘩』です」
怒り狂う訃堂を前に、翼は臆するどころか笑みさえ浮かべていた。それも当然…翼は意図して、この状況を作り出したのだから。
(分かりますよ、お爺様。もはや形振り構わず私を斬り捨てたいのでしょう?分かりますとも…私も、ナナシに対して何度同じ事を思った事か)
並々ならぬ怒りは凄まじい力を生み出す反面、その力を振るう事以外の一切を忘却させてしまう。故に胸の内に抱えるモノが多ければ多い者ほど、それらを投げ捨てないために理性的であろうと努めてしまう。どれだけ喜怒哀楽に富んでいるように見えても、そういった者達は大切なモノを決して離さないために感情を抑制してしまっているのだ。
そんな者達が、大切なモノをかなぐり捨てて“紛い物”に剥き出しの感情をぶつける姿を翼は何度も見てきたし…翼自身、これまで何度理性や尊厳をかなぐり捨ててナナシに殴りかかったか分からない。
我を忘れて、無様を晒しながら暴れる自分達をナナシは軽くあしらって嘲笑いながら…最後は優しく微笑んで、投げ捨てたモノを一つ一つ共に拾い直してくれた。
『これは本当に必要か?』
『そんな持ち方じゃ疲れるだろう?』
『こんなもん一人で抱えるな、半分寄越せ』
そうして怒りが静まる頃には、気づけば以前よりずっと身軽になっている自分がいた。余計な柵は取り払われて、抱えきれていなかった重荷は肩代わりされ、本当に大切なモノだけがすっぽりとその手の中に納まっている。これまで余計な物に埋もれて見えなかったモノまで分かりやすく並べられている徹底ぶりだ。こうも見事に心の中を断捨離されてしまえば、再び怒る気力さえ霧散してしまい…最後はフッと笑みを浮かべる事しか出来なくなってしまった。
幾度となくそんな経験をしてきたからこそ、翼は本気で訃堂の怒りを搔き立てたのだ。これまで長きに渡って訃堂が抱え込んできた大切なモノを自らかなぐり捨てさせた上で、自分が真っ向から訃堂を打ち破る事で…訃堂は大切なモノを自分で拾い直す事も、誰からも拾い上げてもらう事も出来ない惨めを味わう。他人の大切なモノを奪い続けた訃堂に対して、これ以上の報復は無いはずだ。
そんな思惑で剣を構える翼の耳に、本部からの通信が聞こえてきた。
『随分と自信満々みたいだけど、勝算はあるのか、翼?』
ヤレヤレと言うような呆れ混じりの奏からの問い掛けに、翼はニヤリと笑って答える。
「思い付きを数字で語れるものかよ!」
『行き当たりばったりって事か、全く…だったら、そんなお前に耳寄りな情報だ』
奏からの報告を耳にした翼は一瞬目を見開くと…もはや何の憂いも無いと言った様子で、フッと不敵に笑って訃堂を見据えた。
「何を笑っておる!?小細工ばかりの未熟者めがああああ!!」
怒声と共に訃堂が渾身の力を籠めて翼へと刀を振るう。斬撃は大地を切り裂きながら翼へと迫り、土煙が翼を飲み込んだ。
確実に斬り捨てるつもりで放った斬撃に、訃堂は勝利を確信して…直後に、土煙の中から現れた黄金の輝きにその考えを覆された。
「あれは…アマルガム!?」
翼の周りに展開された黄金のバリアフィールドを見て、マリアが驚愕の声を上げた。あれほど使用を制限するよう念を押されていた決戦機能の行使に翼が踏み込むなど…
「案ずるな、マリア。先程、奏から連絡があった。たった今、アマルガムの使用制限の解除が議決されたと…お父様が、取り計らってくださったのですね?」
「間に合ったか…」
ほっと安堵の息を吐く八紘に笑みを向け、翼は両手を打ち鳴らす。手の甲に咲いた黄金の華の花弁が翼の手元に集うと、そこに巨大な黄金の七支刀が形成された。翼がひとたび振るうと、七支刀全体を蒼い炎が包み込む。
「それではお爺様、小細工がどうこうなどと言い訳が出来ぬよう真っ向から捻じ伏せて差し上げましょう!それとも、今度こそ尻尾を巻いて逃げ出しますか?」
「笑止!何を手にしたところで所詮貴様は未熟者!!見せかけだけの剣など、貴様の首ごと斬り飛ばしてくれるわああああ!!!」
燃える七支刀を構える翼に、真っ向から迎え撃つ姿勢を取る訃堂。翼の黄金を纏う蒼炎の熱気と、訃堂の禍々しき怒気が両者の間でせめぎ合っていた。
「この国に必要なのは防人でなく、護国の鬼!不埒な血族共を全て斬り捨て、今度はあの“紛い物”を丸ごと飲み下し、儂は護国の鬼と成らん!!」
感情のまま荒唐無稽としか思えない事を叫ぶ訃堂に、翼は何処かかつての自分を見るような失笑を浮かべてポツリと呟いた。
「愚かですね、お爺様…我々は『人』なのです。どれだけ焦がれて足掻いたところで、剣にも、鬼にも成れはしないのですよ」
『お前がどんなにその身を剣として鍛えようが、お前は人間だ。俺が“紛い物”で人間じゃないのと一緒で、お前は人間で剣じゃない』
かつて自分が言われた当たり前の事を口にして、決着の直前にも関わらず翼は笑みを深めてしまう。
(例えそうだとしても、私はあの頃に比べて…少しはお前の傍に近づく事は出来たのかな?)
赤子同然の状態で自分達の前に現れたかと思えば、あっという間に自分の尊敬する大人達と肩を並べて、既にその先へと歩みを進めつつあるナナシ…その歩幅の速さに、翼はずっと焦りを感じていた。
いつか、その背が見えない程に遠く引き離されてしまうかもしれない。どれだけ大きな声で歌を奏でても、その耳には届かなくなってしまうかもしれない…ナナシが現れて一年も経つ頃には、翼はそんな漠然とした不安を抱くようになっていた。
だからこそ、少しでも早く進もうと自己鍛錬に力を注ぎ続けた。奏が歌手として復帰してからは、共に夢を追いかける他にも、離れつつ感じるナナシの背を追うために歌い続ける想いもその胸には芽生えていた。
同じような想いを抱える奏には、そんな翼の想いは正直筒抜けだったが、だからこそ焦りながらも必死に歩もうとする翼を引き止めるような真似は出来なかった。躓きそうになった時にちょっと落ち着けと声をかけるのが精一杯だ。
かつて響がガングニールを纏って奏の『代わり』となると言い放った時、あれ程翼が取り乱したのは、きっと奏のためだけではない…どれだけ焦ってもナナシに近づけない自分の『代わり』に、自分以外の誰かが納まってしまう可能性を心の何処かで恐れていたのだろう。
そんな浅はかな焦りの果てに絶唱まで奏でる無様を晒した翼だが…そんな自分を、傷つけようとした響を含めて誰一人として見捨てずにいてくれた。
響に続いてクリスが仲間となり、そこにマリア達も加わり、キャロルにエルフナイン、サンジェルマン達など、次々と仲間の輪が広がっていった。
誰もが自分と同じように、迷いながらも理想へと歩む者達…そんな仲間達と共に進む道筋は、不思議と一人で駆け回っていた時よりも理想に進めている気がした。相変わらず誰よりも前を突き進む“紛い物”の背中にも、以前よりずっと近づいた気がする。
人ではどう足掻いたところで、“紛い物”の歩みには追いつけないかもしれない…それでも翼は、その背を追う事を諦める気にはならなかった。
どれだけ愚かな想いだとしても、無様を晒す事になっても、いつかその背に辿り着きたい…
人ならざる存在であっても、人と同じ道を歩んでくれる…
誰よりも優しいその背中に、翼は…
「それでも私は、人のままで…いつかあの背に追いついてみせる!」
…どうしようもなく、焦がれたのだから。
宣言と共に、翼は炎を纏った七支刀を振り下ろしながら訃堂へと一気に迫る。訃堂もまた、己の全力を籠めて翼へと刀を振り下ろす。両者の想いを籠めた刃が、ほんの一瞬だけ交差して…屋敷が静寂に包まれた。
『……』
屋敷全体を飲み込んでいた圧が霧散して、誰もがその結果に言葉を失っていた。異様なまでの静けさの中に、何かが地面に落ちるような音が響き渡った。
訃堂の手にした刀…訃堂の命に等しき護国挺身刀・群蜘蛛は、その中心から真っ二つに断ち切られていた。
それを為した翼の七支刀は、そのまま訃堂の体へと迫り…その額の先で、ピタリと刃は止められていた。
「止めた、か…そのまま儂の頭を斬り開いておれば、貴様も護国の鬼と成れたものを…」
炎纏う眼前の刃に臆する事無く、僅かに額を裂いて流れる血にも気に留めず訃堂はギロリと翼を睨んだ。
「これで終わるなどと、甘い考えは捨てる事だな。儂を生かすつもりなら、儂は何度でも貴様の前に立ち塞がる。確実に禍根を断ち切りたければ、今からでもその剣を…」
「訃堂お爺様」
訃堂の言葉を途中で遮り、翼は七支刀を引いて肩に担ぐと、真っ直ぐに訃堂の目を見て堂々と言い放った。
「あなたが再び、真の防人として私の前に立ち塞がるならば…私はどこまでもポンコツなSAKIMORIとして、何度でもその高く伸びた鼻をへし折って差し上げます」
翼の瞳に、これまで培ったはずの自身への畏怖は欠片も感じ取れず、もはや自分の言葉は何一つ届かぬと察した訃堂は…観念したかのように、静かにその場へ膝をついた。
風鳴訃堂に対して、徹底的にして完膚なきまでに勝利を収めた翼は仲間達へと振り返ると…ニッコリと笑みを向けてみせた。
まるで悪戯を成功させた子供のようなその笑顔は、ここにいない誰かを彷彿とさせた。
翼さん、訃堂に完全勝利。
そんな描写が書きたくて頑張ったつもりですw
もうちょっと翼さんの心境部分に力を入れるつもりだったんですが、それだけで一話使いそうな程文章が続きそうで収拾がつかなかったのでバッサリ削りましたw書き直し過ぎて自分でも良く分からなくなった…