戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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第3話

ノイズの全滅を確認した翼が、佇む男に近づき声をかける。

 

「お疲れ様。本当に助かったわ…さて、早速で申し訳ないのだけど、あなたのことについて話を聞かせてもらえないかしら?」

 

「……」

 

翼の言葉に男は沈黙を返す。再度翼が男に声をかけようとした時、その翼に声をかけながら近づいてくる人物がいた。

 

「翼さん!!」

 

「緒川さん!?」

 

特異災害対策機動部二課に所属するエージェント兼ツヴァイウィングのマネージャーである緒川慎次が、多数のエージェントを引き連れて翼の元へ駆けつけてきた。

 

「会場の外で保護した奏さんの話を聞いて、駆けつけてきました」

 

「奏は無事なんですね!」

 

「ええ、重傷を負った女性と共にこちらで保護しました。無理にギアを纏い続けた影響ですぐに医療機関に運ばれて行ったため、こちらには来ていませんが」

 

「そうですか…よかった…」

 

「…奏さんから簡単に話を伺いました。自分達を助けてくれた人がいると」

 

緒川は男の方に視線を向け、緒川達の登場にも特に反応することなく佇む男の傍まで近づくと…

 

ガシャンッ!

 

男の両手を分厚い手錠で拘束した。

 

「申し訳ありません。あなたの身柄を拘束させていただきます」

 

「緒川さん!?」

 

「すみません。ですが、彼をこのまま帰すわけにはいきません。特異災害対策機動部二課まで同行していただきます」

 

男は緒川に着けられた手錠をしばらく不思議そうに眺めた後…

 

バキバキバキッ!

 

…手錠を力ずくで破壊してしまった。

 

周囲のエージェント達は男に銃を突きつけ、翼と緒川も思わず身構える。

男はそんな周囲の様子の変化を感じ取ってか、中心を割くように破壊したためバングルの様になった手錠と周囲の人間を交互に見た後に…

 

そうっと、手錠の破損部をくっつけた。

 

もちろん手錠が元通りにくっつくわけもなく、破損部からポロポロと欠片が落ちているが、男の仕草に先程までの緊張感は霧散し、何とも言えない気の抜けた雰囲気が辺りに広がった。

 

「と、とりあえず抵抗の意思は無いみたいですね…」

 

「え、ええ、そのようですね…」

 

そう言って翼は、纏っていたシンフォギアを解除し、男の手を引いて移動を促す。

 

「ごめんなさい。あなたの安全は保障する。だから、大人しくついてきて欲しい」

 

「……」

 

優しい声音で語り掛ける翼に、男は反応を見せない。ただ、手を引かれることに抵抗することはなく、男は車に乗せられ特異災害対策機動部二課まで連れられて行った。

 

 

 

 

 

私立リディアン音楽院、翼達が通う学校の中央棟から翼、緒川、男の三人がエレベーターに乗り込む。エレベーターを動かす前に緒川が男に手すりに掴まるように促し、男は二人の真似をするように手すりに掴まる…若干慎重そうに見えるのは手錠の件を気にしているのかもしれない。

 

「叔父様…司令はもう戻ってきているんですか?」

 

「ええ、本来であれば事後処理が残っているのですが、彼の件を伝えたところ、少し無理をして引き上げてきたそうです。先程了子さんとも無事連絡が取れて、遅れて合流すると言っていました」

 

エレベーターで目的地まで降下中、翼と緒川が会話する様子を男はじっと観察していた。

 

 

 

「ようこそ!人類守護の砦!特異災害対策機動部二課へ!!」

 

「…司令、何をやっているのですか」

 

「…ははは」

 

エレベーターの扉が開くと、赤いシャツにピンクのネクタイ、頭には怪我をしているのか包帯を巻いた大柄な男が、笑顔を浮かべながら大きく手を開いて歓迎の言葉をかけてきた。

男の背後には「熱烈歓迎!」「ようこそ二課へ」と書かれた看板がある。

 

「本当ならもっと大々的に歓迎したかったんだが、時間も人手も足りなくてな。もし次の機会があったらその時はもっと派手にするとしよう!」

 

「…他の皆さんが忙しい時に上の立場の人間がすることですか?」

 

「翼と奏君の恩人に対して、俺なりに感謝の気持ちを表したつもりだ。さて、改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている。君が二人と負傷者の少女を助けてくれたそうだな。ありがとう。本当に感謝している」

 

そう言って弦十郎は、男の手を取り感謝を伝える。男は相変わらず口を閉ざしたまま、弦十郎のことをじっと観察しているようだった。

と、そこへ

 

「遅くなっちゃったわね。主役は遅れて登場よ♪」

 

そんなことを言いながら、一人の女がエレベーターから入ってきた。

 

「さあ!さあ!笑って笑って!お近づきの印にツーショット写真~♪」

 

女は男の方に近づいたと思うと、有無を言わさずに男の肩に手を置き、ご機嫌な様子で写真を撮った。男は変わらず無表情で、女にされるがままになっている。

 

「私は出来る女と評判の櫻井了子、よろしくね♪」

 

女はそう言って男から離れて弦十郎の隣に移動していった。

一連のやり取りを眺めた後、苦笑を浮かべながら緒川が男の手錠をはず…そうとしたが、男が手錠を破損させてしまったため、鍵が機能しなくなっているのに気がついた。そんな緒川の困った様子を見た弦十郎は、男の元に近づくと…

 

バキッ! バキッ!

 

…男の両手についた手錠を力ずくで取り外し、それを緒川に手渡した。

男は何も無くなった自身の両手を一瞥した後、弦十郎に向き直る。

 

「窮屈な思いをさせて申し訳なかった。さて、そろそろ君のことを教えてもらいたいんだが、構わないだろうか?」

 

 

 

「……」

 

男は意思疎通の術を知らない。だが、翼達のことを観察するうちに、声を使った意思疎通…会話に興味を示し始めていた。それでも自ら声を発しないのは、先程手錠を破壊してしまった際に、翼達から極僅かに『警戒心』を感じてしまい、迂闊な行動をするのを躊躇ったからだ。男はそれらの問題を解決する術を思案する。そして…

 

 

 

「司令、どうやら彼は言葉が理解できないようです」

 

「何?」

 

「私達もここに来る途中で色々と質問してみたのですが、無視しているのではなく、そもそも言葉の意味を理解していない様子でした」

 

「うーむ、彼に一から言葉を教えるのが早いか、こちらで彼の身元を調査するのが早いか…」

 

 

(…聞こえる?)

 

 

その場の全員が一瞬硬直する。今起こったことに理解が追い付いておらず、全員が思わず周囲を見回してしまう。そして、再度…

 

(…聞こえる?)

 

今度は全員が男の方に注目する。今起きている奇怪な現象…頭の中に直接声のようなものが響いてきているのは、この男が原因ではないかと全員が感じたからだ。

 

「…今のは、君の言葉か?」

 

「……」

 

男からの返事はない。そこで弦十郎は思い切って…

 

(…聞こえるか?)

 

(…!聞こえる!)

 

「「「「っ!?」」」」

 

再度全員が驚愕した。全員の頭に弦十郎の(・・・・)声が聞こえたからだ。直接頭に伝わっているのを『聞こえる』というのも可笑しな話だが、その場の全員が先程の言葉は弦十郎の発したものだと理解できた。

 

「司令、今のは…」

 

「…翼、頭の中で彼に自分の考えを伝えるようイメージしてみてくれ」

 

弦十郎の言葉に、翼はまさかと思いつつ、弦十郎の指示に従いイメージを行う。

 

(…えっと、聞こえますか?)

 

(…!聞こえる!聞こえる!)

 

全員がまた驚愕する。だが、真に驚くべきことは、翼が続けて行った質問に対しての彼の返答であった。

 

(…あなたは、何者なの?)

 

 

 

(……………………神様?)

 




思っていたよりキャラのセリフを書くのが難しいです。
口調に違和感があったら申し訳ありません。
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