戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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お待たせしました。今回は諸々の説明回です。ご都合主義タグの本領発揮ですw
読みにくかったら申し訳ありません。


第48話

ナナシはルナアタック以降、自身の現状を問題視していた。

 

基本、ナナシの対応は後手に回ることが多い。不死身で疲れを知らない肉体を持ったナナシは、失敗することがあっても時間を掛けてできるまで挑戦することが主な対応だった。了子が何かを隠していることを知っていて動かなかったのは、奏や翼と一緒で時間を掛けてゆっくり向き合うつもりだったのと、弦十郎も了子のことを気にかけていたため、自分が無理をする必要が無いと考えていたからだ。

 

そして、妥協をしないその性格は、視野を狭くする。二課に所属して約二年間、能力開発の時間のほぼ全てを、奏を治療する能力のために捧げていたナナシは、偶然の切っ掛けで能力を取得する以外では碌に能力を取得しておらず、そのことを問題視していなかった。悠久の時を生きる了子が、まだまだ精神的に未熟なナナシのそんな性格を見抜いて誘導していたのは確かだが、そんなものはナナシにとって言い訳にはならない。

 

今回の一連の事件で、様々な失敗を経験したナナシは、いつか本当に取り返しのつかない失敗をしないため、一度医療に関わる能力取得に見切りをつけて、自分にできることを増やすことにした。

 

…その際、奏に対して「絶対に奏の体を治してみせるから、少しだけ寄り道をさせて!」と頭を下げに行ったため、顔を赤くした奏に思い切り殴られていた。

 

 

 

本格的に能力開発をすることにしたナナシが、まず取り掛かったのは…身を守る術の獲得である。

 

本来、ほとんど不死身のナナシには優先度の低いことと思われるが、今回の件で自身の肉体の修復には欠点があることを知り、肝心な時に動けなくなるのを恐れたことと、今までは翼と役割を分担して戦ってきたが、今後は誰かと一緒に戦場に赴き、不死身の自分が誰かを庇うことを考えた場合、ただその身で攻撃を受けてその都度治療するのでは不十分と考えたからだ。

 

ナナシがまず参考にしたのは、了子が使っていたバリアである。瞬時に攻撃との間に隔たりを作れるあの力なら、今後大いに役立つと考えて試したところ…拍子抜けするほどあっさり成功した。了子のようにエネルギーの波紋のような形ではなく、ガラスで作った壁のようなものであったが、これは何も考えず使用した場合で、自身の周りに球体上に展開したり、厚みを調整したり、さらには着色と色の濃淡を調整して目くらましにも利用できそうであった。

 

新たな能力…“障壁”の肝心な強度についてはまだ上限が分かっていない。というのも…弦十郎の本気の攻撃を受けても破壊されなかったのだ。それ以上の威力の兵器となると気軽に用意できないため、現段階で十分な強度だと判断した。

 

そして弦十郎と相談し、ソロモンの杖を使用してノイズを用いた実験を行ったところ、“障壁”をノイズは透過することはできず、ノイズの攻撃も問題なく防ぐことができたため、防御能力の獲得は大成功と言って良かった。

 

 

 

次にナナシが取り掛かったのは、飛行能力の獲得である。

 

以前から、瞬時に場所を移動できるワープなどの能力を欲してはいたが、獲得には至っていなかった。そこでナナシは機動力の確保に方向性を変えた。以前飛行する超大型ノイズに苦戦したこともあり、ナナシは翼達から聞いたエクスドライブによる飛行機能を参考に飛行能力が獲得できないか実験を行った。その結果、成功した……飛ぶことは。

風船が一番近いだろうか?体が宙に浮かび、無風状態ならばある程度任意の方向に進むことができる…徒歩ぐらいのスピードでなら。強風が吹けば間違いなくあらぬ方向に飛ばされてしまう。

 

この能力…“浮遊”以外では飛行能力の獲得には至らなかったため、ナナシは何とかこの能力を活かす術は無いかと考えた。最初は飛行船の要領で送風機でも抱えて推進力を得るか、いっそのことジェットエンジンを改造して“収納”に常備することを考えていたが、ここでナナシは先に獲得した“障壁”の能力に注目した。

 

“障壁”はナナシの任意の場所に展開することができる。形状や角度なども調整が効くため、ナナシは“浮遊”を用いて無重力状態になった後、“障壁”を足場として跳躍することで、空中を駆けるように移動する方法で、疑似的な高速飛行が可能となった。

 

この移動法を会得した後、それを隠してナナシは『先に有効打を与えた方が勝ち』という条件で弦十郎と模擬戦を行い、高い機動力を駆使することで、初めて白星をあげることに成功した!…二回目以降、弦十郎は普通に対応してくるようになったが…弦十郎曰く、「何をしてくるか分かっていれば対応できる」だそうだ…今後、暇を見つけたら初見殺しの方法を考案し続けようと心に誓うナナシであった。

 

 

 

最後に取り掛かったのが、攻撃手段の獲得だが…こちらは難航した。

まず、ナナシは武器を使うことができない。武器を使ってノイズを攻撃しても、素手の時と違ってノイズを滅ぼすことはできない。だから、どうしてもナナシは弱点である射程距離の短さと殲滅力の無さをカバーできる能力を獲得したかった。

 

ナナシはまず放出系…エネルギーを何らかの形で飛ばす能力を獲得できないか試していたが、そのどれもが失敗に終わった。

 

次に、既存の能力を応用することで何らかの攻撃ができないか試したが、結果は良くなかった。 “障壁”を広く展開してノイズを押しつぶしたり、薄く展開して切断したりできないか試したが、“障壁”自体にノイズを消滅させる力は無いらしく、どれも上手くいかなかった。分かったことは、“障壁”越しに攻撃すれば衝撃で吹き飛ばすことはできることと、ノイズの周囲に展開すれば閉じ込められることだった。個体毎に展開するのは難しいが、纏まった数のノイズを大きく囲ってしまえば時間稼ぎができることが分かったので、一応の収穫はあった。

 

他に良い考えが思い浮かばず、色々なことを試している中で…ナナシは少しでもリーチを伸ばせないかと思い、千切った腕を持ってノイズに叩きつけたところ、滅ぼすことに成功した。そこで、自分の肉体を使えばいいと考えたナナシは、そのまま腕を投げつけてノイズにぶつけたが、それではノイズに効果がなかった。そこから分かったことは、『ナナシ本人と接触した状態なら、千切れたナナシの肉体にもノイズを滅ぼす力が宿る』ということだ。骨を使って武器を作ったり、武器の素材に肉体を混ぜ込むことをナナシは考えたが…その発想から、ナナシは一つの能力の獲得に成功する。

 

“身体変化”…肉体の形状と、硬度、質感を変質させる能力。制限として、手や足などの肉体の末端でしか作用しないため、全身を硬化させるなどは出来ないが、変形させた手の長さを伸ばすことができたので、リーチを伸ばすことには成功した。ただ…変形に時間がかかるのが問題だった。手を刃物のような形状にするまでに十秒以上、そこから伸ばすまでにさらに時間が掛かるため、戦闘中に使用するには問題があった。

 

そこでナナシは、事前に任意の形状に変化させた肉体を、伸ばせるだけ伸ばした後、へし折って“収納”に仕舞っておくことにした。そうやって作った武器でノイズを倒せることを確認し、接触状態なら折った後の武器の形状も変形は可能であったため、手に持つ部分の形状を調整し、用途に合わせた武器を“収納”に仕舞い込むことで、翼達がアームドギアの形状を変化させるように、状況に合わせて武器を取り出せるようにした。

 

ここまでで一定の成果を出せたナナシだが、『肉体を武器にする』という発想から、もう一つ、新たな能力の獲得を試みる。

 

 

 

これが、ナナシの運命を大きく変えることになった。

 

 

 

ナナシが試したのは、血液の操作である。漫画で良く吸血鬼が使用する能力であり、肉体を変形させるよりスムーズに動かせるのではないかと考えたのだ。そして実際に試したところ、簡単に能力を獲得することができた。

 

“血流操作”…自分の血液を自由自在に操る能力だ。ナナシが予測した通り、“身体変化”よりずっとスムーズに動かすことができ、血液の硬化、軟化も自由に操作することができた。そして、ナナシと繋がった状態でなら、問題なくノイズを倒すことができたため、“身体変化”よりずっと即応性の高い攻撃手段を手に入れたことになる。

 

問題はここからだ。“血流操作”の検証をしていたナナシは、血液を斬撃の様に飛ばして遠くに設置した的を攻撃した。切り離すためノイズには効果は無いだろうが、ノイズを相手にする以外の状況でなら使えると思ったのだ。三日月形の血液が的に食い込んで止まったため、近づいて回収しようとして…ふと、このまま引き寄せられないかと考えた。ノイズを倒すのは接触状態である必要があるが、動かすだけなら非接触状態でもできないか?と…結果は成功。若干、操作が接触時よりぎこちないが、操作することは可能だった。最初、ナナシは便利だな、くらいにしか考えてなかったが…ここで、ある事実に気が付く。

 

非接触状態の血液に“血流操作”が有効だった…つまり、『ナナシと離れた肉体を通しての能力の行使が可能である』という事実に気づいたナナシは…遠くにある血液を起点として、“障壁”の能力を使用してみた。結果は…成功。

 

 

 

これらの結果から、ナナシは自身の不滅の肉体を、疑似的な『資源』として活用することを決定した。

 

 

 

この特性を最大限有効に利用するために、ナナシは様々な検証を行った。その果てに、ある一つの能力…“付与”を獲得することに成功する。

 

“付与”…切り離したナナシの肉体の一部に、ナナシの能力を付与する能力。“付与”を施すには、ナナシが切り離した肉体に接触している必要があるが、“付与”を施した肉体を使用することで…ナナシ以外の人物が、ナナシの能力を使用することが可能となった。

 

もちろん、いくつかの制限はある。

 

まず、“付与”が可能な能力は、“念話”、“認識阻害”、“障壁”の三つのみである。贅沢を言うなら、“収納”や“高速再生”なども付与できれば良かったが、この三つが使用できるだけで充分破格の性能であった。

 

次に、使用回数の制限。“付与”によって能力を使用すると、ナナシの肉体に宿っている謎パワーを消費するのか、しばらく使い続けていると、“付与”を施した肉体が塵になって消滅するのだ。“念話”と“認識阻害”は数日使い続けたくらいでは問題ないようだが、“障壁”は防ぐ攻撃の威力によって一気に力を消費するようで性能の劣化が著しかった。だが、それでもしばらくの間ノイズの攻撃を防げるため、一番有用な能力である。

 

最後に、一番の問題が…距離の制限である。これは“付与”の制限と言うより、ナナシの肉体の特性のようだが…ナナシの肉体は、ナナシ本人から一定の距離を離してしまうと、回数制限と同様に消滅してしまうのだ。その距離、約二千キロメートル…ナナシが日本に居れば、国内なら大体問題ないということだ。これを広いと見るか、狭いと見るか…ナナシにとっては、とても狭いと感じた。これからツヴァイウィングの二人は、世界に向けて羽ばたいて行くのだ。世界に比べて、この有効範囲はあまりにも狭い。この問題を解決するのが、ナナシの今後の課題である。

 

これらの制限は、ナナシが近くに居れば基本的に無くなる。ナナシの肉体の一部を持っていれば、ナナシ本人がそこを起点に能力を行使できる。そうした場合、使用回数の減少は発生しないようだ。

 

そして、“付与”には、この能力ならではの利点も存在していた。

 

まず、“念話”…これを付与した肉体を持っていれば、ナナシが認識できる場所に居なくても意思疎通が可能である。また、お互いに能力を付与した肉体を持っていれば、ナナシを介することなく能力を使用することができた。

 

“認識阻害”はそこまで大きな変化はない。所有者が任意に能力の有効、無効を切り替えられるため、ナナシが能力を掛け直す必要が無いくらいだ。ただ、“認識阻害”を施せるのはあくまで所有者のみである。他者に施すことはできない。

 

そして、“障壁”…これがある意味凄かった。所有者の任意の場所に“障壁”を展開できる他に…所有者の認識外の攻撃に対しての“障壁”の展開…つまり、『不意打ち』に対応できるのだ。詳細はまだ検証中だが、少なくともちょっと人とぶつかる程度では展開されることはない。所有者がダメージを負う攻撃を自動で防衛できるのだ。自動展開する場合、さらに使用回数が消費されるようだが、それを引き換えにしても有り余る恩恵であった。

 

 

 

これらの結果から作成されたのが、“血流操作”で硬化させたナナシの血液に“障壁”を“付与”した…“身代わり血晶(けっしょう)”。通称“血晶(けっしょう)”と呼ばれることになったお守りである。

 

“血晶”を作成してから、ナナシの日課に時間を見つけては自分の血液を“収納”に貯蔵し続けることが加わった。今まで重要視していなかった“高速再生”は、血液の補填にも有効であるため、今では最も使用頻度が高い能力と言っても良かった。

 

…なお、“身体変化”の開発あたりでテンションが上がったナナシは、中間報告をしばらく怠って、肉体をプチプチ千切ったり血をダラダラ流していることを後から知った弦十郎達に、かなり本気で叱られることになった。

 

 

 

ナナシが新たに獲得した能力を簡単にまとめると、下記の通りになる。

 

“障壁”…攻撃を防ぐ壁を展開できる。ノイズにも有効。

 

“浮遊”…空中に浮かべる。

 

“身体変化”…手足を武器に変形できる。

 

“血流操作”…自分の血液を自在に操れる。

 

“付与”…ナナシの血液(肉体)に能力を付与できる。ナナシ以外も使用可。

 

 

 

 

 

“血晶”を作成したことで、ナナシと二課の大人達は、制限があるとはいえ、『装者以外の人間が、ノイズがいる場所で活動できる』という事実を、最も有効に活用できる術を考案していった。

 

その結果…

 

 

 

 

 

(フン)ッ!」

 

掛け声と共に、翼に迫るマリア達の攻撃が…拳の一撃で跳ね返される。その衝撃で、マリア達は後方に吹き飛ばされた。

 

「なっ!?」

 

「デース!?」

 

「誰!?」

 

マリア達は、突然現れて自分達の攻撃を真正面から打ち砕いた人物…弦十郎の存在に驚愕する。マリア達がよろよろと立ち上がっている間に、数体のノイズが出現して弦十郎に向かうが、弦十郎の手に填まった“血晶”が、ノイズの接触を阻む。

 

()ッ!」

 

弦十郎は、展開された“障壁”に手を触れて発勁を放つ。その衝撃で、“障壁”に触れていたノイズ達は吹き飛ばされた。

 

「馬鹿な!?装者でも無い人間が、ノイズに対抗できるなんて!!?」

 

驚いて叫ぶマリア。そんなマリアを他所に、ナナシは呆れながら弦十郎に声を掛ける。

 

「弦十郎、何で“障壁”が弦十郎の攻撃を受けて“血晶”が無事なの?俺、今能力は使ってなかったぞ?」

 

「簡単なことだ。“障壁”にかかる衝撃は最低限に抑えて透過させ、大部分をノイズに対して炸裂させただけだ。これなら、“血晶”にかかる負担はそれほど大きくはならないはずだ」

 

「…やっぱり、弦十郎は理不尽だ」

 

「ハッハッハッ、ナナシ君も近いことはできるだろう?もっと修行すれば、自在にできるようになるさ。うかうかしていると、君の妹弟子に追い越されてしまうぞ?」

 

ナナシがジトッとした目を弦十郎に向けていると、マリア達が立ち上がって構え直していた。

 

「まだだ…私達はまだ…」

 

「あー…ごめん、多分もう終わりだ」

 

バァン! バァン! バァン!

 

ナナシの言葉と共に、三発の銃声が辺りに響く。

 

「狙撃!?二人共、無事!?」

 

「大丈夫デス!問題ない…デース!?」

 

「う、動けない…」

 

“影縫い”

 

放たれた弾丸は、三人の影に命中して、その動きを封じ込めていた。

 

「これで、降参して頂けませんかね?」

 

そう言いながら、ステージの横から、手に“血晶”を付けた緒川が姿を現す。

 

「…ダメよ…私達には…使命が…」

 

それでも、マリアは何とか拘束から逃れようと必死にもがく。だが、そこに…

 

「全く、まさかこんなにも早く、自分の過去に向き合うことになろうとはな…」

 

そんな言葉と共に、凄まじい勢いで伸びてきた、刃物でできた二本の鞭の様なものが、調と切歌に巻き付いて締め上げる。

 

「く、うぅ…」

 

「い、痛いデス!?」

 

「調!?切歌!?」

 

マリアは動けない体で、何とか視線を鞭が伸びてきた方向に向ける。そこには、ネフシュタンの鎧を纏い、手に付けた“血晶”で自身に“認識阻害”を掛けたフィーネが立っていた。

 

「そんな…そこの『悪夢』以外に、こんな理不尽な存在がまだいるなんて…」

 

マリアが呆然として呟く。そんなマリアに、ナナシが近づいて声をかけた。

 

「『悪夢』って俺のこと?何か随分と大袈裟な呼び方だな…あそこの俺の師匠を筆頭に、二課は俺なんかよりも凄い奴ばかりだぞ?」

 

それを聞いたマリアは、もはや力を抜いて俯くことしかできなかった。

 

 

 

こうしてマリア、切歌、調の三名は、二課に拘束されることになった。

 

 

 

(ああ、マム…私達が入り込んだのは虎穴ではなく、化け物の群れが潜む巣窟だったみたい…)

 




ご都合主義タグが本領発揮し、主人公が超強化された結果、何故かOTONA無双が発生し、マリアさんはアームドギアを展開すらできませんでしたw
ネタバレと言うほどではありませんが、流石にここまでOTONAが無双する展開はあまり入れるつもりはありません(全くないとは敢えて言いませんがw)。
主人公の能力追加については、一応執筆を開始した時の予定通りです。色々とご都合主義な主人公ですが、それだけで終わらせるような展開にはしないように努力いたしますので、今後もよろしくお願いします。
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