戦姫絶唱シンフォギア コドクの神が求めるモノ   作:@sora@

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第8話

ナナシが風鳴家に住み始めて、一ヵ月が経過した。

 

ナナシは定期的に弦十郎と訓練を行い、風鳴家の家事をしながら日々の生活を送っていた。会話の仕方も一言で終わらせるのではなく、ある程度普通の受け答えをするようになり、最近は緒川のもとで翼達のマネージャーの仕事について教えて貰うことがしばしばあった。

 

あのライブの日からノイズの襲撃もなく、まだ事後処理でごたつくことはあっても、特出した問題が起こることがない、平和な日々の中で…それは、唐突に発覚した。

 

 

 

 

 

「翼、ナナシ君は戻ってきているか?」

 

「ナナシですか?いえ、私が買い物を頼んで出かけてから戻ってきていませんね」

 

「ん?お前もナナシ君に買い物を頼んでいたのか?」

 

「叔父様もですか?」

 

「ああ、数日分の食料の買い出しをお願いした。自分で行っても良かったが、ナナシ君の日常生活の訓練も兼ねて頼んでみた。既に何度か買い物をさせたことはあったし大丈夫だと判断してな」

 

「私もいくつかの消耗品の備蓄が少なかったので同じ理由でナナシに任せてみたのですが…」

 

「…重量はナナシ君には問題はないと思うが、手に持って帰るには少し嵩張るか?」

 

「そうですね。持ち切れずに困っているかもしれません。少し様子を見に…」

 

ガラッ

 

「ただいま」

 

「ああ、ナナシか。良かった。無事帰ってきたか」

 

「何かあった?」

 

「いや、少し帰りが遅かったのと、俺達が別々に買い物を頼んだようだから困っているのではないかと考えてな。ん?何も持っていないが、買い物に行っていたのではなかったのか?」

 

「ああ、今出す」

 

そう言ってナナシは、何もない空中から(・・・・・・・・)荷物を取り出した。

 

「頼まれていたものは全部買ってきたと思うけど、これで問題ない?」

 

「「……」」

 

「何か足りなかった?」

 

「ナナシ君…」

 

「ナナシ…」

 

「「今何をした!!?」」

 

 

 

 

 

弦十郎、了子、緒川、翼、ナナシの五人は、奏の病室に集まっていた。

あの後ナナシから話を聞きだした弦十郎達が、全員で情報を共有するために呼びかけたのだ。ここは二課が管理する施設ということもあって機密が漏れる心配もない。

 

「さて、早速ナナシ君について判明したことについて話そうと思う」

 

 

 

ナナシが二課に来て約一ヵ月、二課の面々はナナシの教育のため彼に色々な情報を提供した。

 

ナナシ自身の学習能力の高さもあり、数日の間に日常生活に支障がない程度の文字の読み書きと計算を行えるようになり、最近は緒川からマネージャーの仕事を教えて貰う関係上、携帯端末やPCの操作方法なども勉強している。

 

そんな提供された情報源の中には、弦十郎が与えたアクション映画や、二課の職員達が与えたアニメ、漫画、小説などが含まれていた。

 

職員達は楽しく学べる方が良いだろうと考え、弦十郎は自分が映画の動きを模倣することで武術を会得しているため戦術マニュアルとして提供していたものである。

 

これらの創作物の知識を身に着けたことで、ナナシは二課の面々の予想の斜め上の成長を遂げた。

 

元々ナナシが使用していた“念話”は、意思疎通ができないナナシが問題解決を図った結果、取得したものだ。

 

それが意味するところは…

 

 

 

「どうやらナナシ君は、『自分が使いたいと思った能力』を取得できることがあるらしい。これは何でもかんでも思いつく異能が手に入るという訳ではないらしいが、今まで色々使用したいと考えて実際使えるようになった能力が幾つかあるらしい。炭化した腕の回復やノイズとの接触による炭化防止など本人が明確に望んだものでない能力については除外し、本人の意思で手に入れたらしい能力をまとめてきたからこちらを見て欲しい」

 

そう言って弦十郎はナナシが使えるようになったという能力が書かれた紙を全員に見えるように置いた。

 

 

 

“念話”…頭の中に声を届ける。複数の人間に使用する場合、ナナシを中継することでナナシ以外の声を届けることが可能。そのため念話でナナシに会話を秘匿することはできない。効果範囲はナナシが認識できる空間にいる周囲の人間。

取得理由:意思疎通ができないことをナナシが何とかしようとしたため

 

“収納”…ナナシが手で触れたものを空間に収納する。どこに保存されているかはナナシにも不明。収納するものの重量、体積の限界も今のところ不明。二課の自動車で試したところ問題なく収納できた。生物の収納は不可。収納時に収納物の時間経過による劣化の有無を選択可能。

取得理由:翼の部屋の掃除で出たゴミを捨てるのに便利なため

 

“解析”…ナナシが視界に入れたもの、手で触れたものの情報が分かる。構造が複雑であればあるほど情報を手に入れるのに時間がかかる。一度解析したもの、または類似したものについては解析にかかる時間が大幅に短縮される。イメージとしては真っ白な説明書に解析したものについての情報が時間経過でランダムに表示されていく感じ。そのため必要な情報が短時間で得られるかは運。ナナシがピンポイントで欲しい情報を意識すれば多少の融通は効く。“収納”との併用が可能。解析に必要な時間の長さは 接触=“収納” < 視界

取得理由:翼の食事を作る際のカロリーと栄養素を調整するのに便利なため

 

“認識阻害”…ナナシが指定した対象に対する周囲の認識を阻害する。人に使用した場合、注目を受けにくくなり、注目されても個人の特定ができなくなる。既に対象が認識された状態では使用しても効果がない。ナナシまたは指定された人の意思で効果を発揮する対象の取捨選択が可能

取得理由:翼が熱心な追っかけに摑まって迷惑していたため

 

“投影”…ナナシが記憶した光景、出来事を表示できる。ナナシの目の前の空間に映像を映し出し音声を流せる。また、紙媒体に場面を転写したり、記憶媒体にデータとして複製することも可能。

取得理由:ナナシが奏と翼の歌を何時でも繰り返し聴きたかったため

 

 

 

「色々と言いたいことはたくさんあるけど、とりあえずどれも凄い能力なのに取得した理由のほとんどが翼ちゃんのお世話なのについて何か言うことはある?翼ちゃん?」

 

「えっと、その…」

 

「あははは!愛されてるね、翼!」

 

「奏!からかわないで!」

 

「ナナシさん、本格的にお二人のマネージャーの仕事が出来るようにしましょう!“念話”に“収納”に“認識阻害”!どれもアーティストのお二人にとって夢のような能力です!」

 

「二人の歌を近くで聴くことができるから嬉しい。こっちこそよろしく」

 

「はい!」

 

 

 

「ナナシ君、この“解析”は人間にも使えるのか?」

 

「弦十郎に使ってみた」

 

「「「「詳しく!!」」」」

 

「勝手に調べるのはやめてくれ…それでどうだったんだ?」

 

「身長、体重、体の成熟度や体の中の成分の数字なんかが分かった。その人個人の情報は名前くらいしか分からないから、生い立ちとかそう言うのは分からない…弦十郎の解析結果が普通の人間って結果だからあんまり信用できないかも」

 

「「「「そっか(そうですか)…」」」」

 

「どういう意味だ!?」

 

「ナナシちゃん、聖遺物に“解析”って使える?」

 

「翼の天羽々斬に使ってみた。使えはするけど多分十年以上かかる。目視でそれだったから手に持てばもっと早くなるだろうけど、“解析”を使っていると他のことが疎かになるから危ない。重たいデータを処理している途中で別のデータを並列処理するとCPUに負荷がかかるみたいな?」

 

「…ナナシちゃんもだいぶ色んなことを覚えたわね。研究速度としてはそれでも破格のスピードだと思うけど、ナナシちゃんが何も出来なくなるのは問題だし、個人にそれだけ長期間聖遺物を預けるのもまずいかしらね?分かったわ。でも時間があるときに色々お話を聞かせて頂戴。それと異性に対してむやみに“解析”を使っちゃダメよ?」

 

「分かった」

 

 

 

「ナナシ君、今後は新しい能力を取得した場合は俺達に報告してもらえると助かる。君に出来ることを知ることで俺達もスムーズに君に指示が出せるようになる」

 

「分かった。ごめんなさい」

 

「構わないさ。俺達は君の能力獲得のために協力を惜しまない。そして、君の力が必要になったら遠慮なく頼らせてもらう。君も遠慮なく俺達を頼ってくれ」

 

「分かった。その時は頼む」

 

「人に何かお願いする時は、『よろしくお願いします』って言うのよ。ナナシちゃん♪」

 

「…よろしくお願いします」

 

 

 

「奏、ごめん。一番欲しかった回復魔法みたいな能力は全然手に入らなかった」

 

「っ!気にしていたのか…別に構わないよ。この怪我はいつか治る。だからあんたが抱え込むような問題じゃない」

 

「俺が奏や翼のためにできることをしたいだけ。だからこれからも何か方法がないか色々試してみる」

 

「…そっか。なら、好きに色々やってみな。ただし、無理はするなよ」

 

「分かった」

 




こんな感じに主人公は唐突に能力が生えてきます。
一応どんな能力を持たせるか決めてから書き始めているので無制限に増えていくことは無いはずです。多分…
能力の説明が分かりにくかったら申し訳ない。
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