俺は「俺TUEEEEE」がしたい   作:味塩

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九話 パーティ(2)

「パーティ?冒険者続けんのか?」

 

 

ギルドの酒場、ゴルドは少し以外そうに聞いてきた、俺はゴルドの対面の席に座り興奮気味に話を続ける。

  

 

「あぁやっぱり俺は冒険者で居たい、だからゴルド俺と組もうぜ」

 

「ハッ聞いてやるから落ち着けよ」

「そもそもこの街でソロでやってくなら俺と臨時パーティ組む事は多いと思うぜ」

 

「違うんだ、俺が言ってるのは臨時じゃなくて固定パーティの話だ」

 

「固定パーティだぁ?俺とお前さんとでか?」

 

「俺は他の冒険者と大して交流が無いから今は二人になるけど、俺達見たいな奴を集めようと思う」

 

他の仲間に付いては取り敢えず後回し、まずはゴルドとパーティ組めなければ意味が無い。

 

 

「ハハハッ俺とお前さんが組んだパーティ何てまともな奴は来ねえだろ、何しろバランスも悪けりゃ金にもならねえ」

 

「逆だゴルド、俺達見たいな奴って言ったろ?俺やゴルドのデメリットはどうしようも無いんだからバランス何て考えないで特化させるべきだ」

 

「それに俺とゴルドは組むメリットがデカい筈だ、まだ俺は弱いけど音も素材についてもデメリットが同じなら、二人で組んだ方が気兼ね無く戦えるだろ?」

 

 

俺の提案にゴルドは少し頷く、この時初めてゴルドの意識がこちらに向いた気がした。

 

 

「なるほどな、戦闘力に特化させて討伐クエスト受けてくって事か?」

 

「そうだ、それで金は稼げなくてもどんな魔物も倒す最強のパーティを作ろう!」

 

 

一拍の間、そしてゴルドは俺を見て今見でで一番の笑い声を上げた。

 

 

「ハッハッハッ!最強のパーティ?俺は今日冒険者の現実を教えた筈だぜ!ハッハッ!それがどうなったら最強のパーティになるんだよ」

 

 

「俺じゃ冒険者続けても正攻法ではやって行けない、なら突き抜けた方がカッコ良いだろ?」

 

 

「ハハハッお前さんはもっと賢いと思って居たがな、早死にするぜ?」

 

 

「死にたくは無いけど、選んだ先で死ぬなら後悔しながら生きるより良いだろ」

 

 

本心だった、俺は一度死んで居る。間違えであっため異世界に来る事が出来たが死ぬ事の恐怖も悲しみも経験済みだ。この世界での人生はやりたい事やりたかった事の為に生きると決めたんだ。

 

 

「ハッひよっこが言いやがるぜ」

 

「俺以外のパーティメンバーに当てもねえ、掲げる目標は馬鹿げてる上に、仮に成功してもきっと割に合わねえ」

「まるで冒険者に憧れるガキ見てえな話だ」

 

 

最後は呆れた様に話すゴルド、流石にこれは無理かも知れない。

そんな考えも過ったがゴルドは俺の目を見て言う。

 

 

「面白えじゃねえか」

 

「その話!乗ってやるよ」

 

「本当か?!」

 

「あぁお前さん見てえな馬鹿が、何処まで行けるか見てやる」

 

「よっしゃー‼︎」

 

「これからよろしくな"アキラ"」

 

「おう!」

 

硬い握手を交わす、これでゴルドは正式な仲間になった。嬉しかった、やっぱり一緒に冒険する仲間が出来たのはとんでも無く嬉しい。

 

 

一通り喜び俺は酒を飲む、いつもと同じ酒の筈だが何故美味しく感じる。一人舞い上がる俺にゴルドは話す。

 

 

「パーティメンバーだが一人だけ入りそうな奴を知ってるぜ」

 

「本当か⁈」

 

 

ゴルドはベテランだ、それも新人の育成も任せられて居る、もしかしたらゴルドなら良い奴を知って居るかもとは思って居たがそれは当たっていた様だ。

 

「あぁ臨時で偶に組む事があったんだがアキラの目標にはばっちし当てはまる」

 

「どんな人だ?」

 

「戦士だ、戦士としての力量はかなり高え、更に強力なユニークスキルも持ってる」

 

「俺達と同じタイプか?それならありがたいな」

 

 

俺達が組む以上魔物との連戦、素材収益無しは避けられない、同じ様な欠点を持ってる方が入ってくれる可能性が上がるだろう。

 

「それだけじゃねえ、あいつは回復魔法の適正もある」

 

「まじかよ!凄えじゃん、この街に居るんだよな?」

 

 

回復魔法の適正を持つ冒険者は少ない、怪我と危険が切り離せない冒険者にとっては回復魔法を使える仲間は喉から手が出る程欲しがるだろう。

 

 

更にユニークスキルまで持ってる、正直スペックが高過ぎる。パーティに入って貰えれば戦力としては間違い無く大幅強化に繋がる、何としても勧誘しないと。

 

 

この時の俺はかなり興奮していた、仲間が出来た事に有力な候補まで見つかったのだから無理も無い。

冷静であれば何故そんな高スペックの冒険者がソロでやってるのか疑問に思っただろうが、今の俺は考えもしなかった。

 

 

「この街にいるぜ、どうせ宿の酒場で飲んでるだろうよ」

 

「近いのか?近いなら今から行こうぜ!」

 

 

俺はもう逸る気持ちを抑えられない、今日は良い日だ、なら良い日の内に話を進めた方が良いに決まっている。

  

 

「おいおい今から?気が早過ぎねえか」

 

「こーゆーのは早く動いた方が良いに決まってる!行こうぜ、案内してくれよ」

 

「ハハッ仕方ねえパーティリーダーの言う事だ、従うとするか」

 

「え?パーティリーダーって俺なのか?」

 

「当たり前だろ、誘った奴が何言ってんだ」

 

「俺まだ新人だぜ?良いのか?」

 

 

俺が提案はしたがリーダーはゴルドがやると思っていた、ベテランだし俺より強いし新人を育てられるぐらいだからリーダー適正が無い訳では無いだろう。

 

 

「んな事どうでも良いんだよ、アキラならランクはどうせ直ぐ追いつくさ」

 

「直ぐかぁ?今日Fになったばかりだぜ?」

 

「一年もありゃ行くだろうよ、んじゃ向かうか」

 

 

ゴルドは給仕に金を渡し席を立つ、向かったのはギルドから少し離れた宿屋だった。

二階建ての普通の宿で、建物もそこまで大きくは無いが一階に小さな酒場がある。ゴルドは酒場に入ると辺りを見回す、

 

 

「お、居たぜ」

 

 

そのままゴルド進む先では一人の女性が酒を飲んでいた。

年は二十代に見える、少し目付きは鋭いが整った顔に真っ赤なロングヘアー。座って居る為わかりずらいが身長も大分高い、下手したら俺より大きいかも知れない。

体付きは女性らしさがあるが筋肉質だ、ゴルドの様に筋骨隆々と言う訳ではないがかなり鍛えられてる様だ。

 

 

ぱっと見だと上品なアマゾネスってイメージが湧いた。

その女性はこちらに気付くと声をかけて来た。

 

 

「ん?ゴルドじゃないか、何か用か?」

 

「おう、今日は話があってきたんだ」

「先に紹介するぜ、こいつがさっき話した戦士のジーナだ」

 

紹介されたジーナはこちら睨み

 

「誰だこのガキ?新しく受け持った新人か?」

 

「そうだが違え、アキラは俺のパーティのリーダーだ」

 

「パーティリーダー?クエストの話か?悪いけど臨時だろうとガキのお守りなんざごめんだね」

 

「臨時の話じゃねえ、今日はお前さんを固定パーティに勧誘しに来たんだ」

 

「はぁ?固定パーティ?その言い方じゃあんたと組んだのか?」

 

「おう、さっきだがな、こいつは面白えぞ」

 

 

ジーナは改めて俺を見る、口調も荒っぽく顔も強面だがやはり美人ではある、全体的に怖いが、、、

 

 

「アタシにはただのガキにしか見えないけどね、にしてもゴルドと組んでアタシを勧誘なんざ教育に失敗したんじゃないか?」

 

「ハハハッ普通はそう思うよな!こいつはこんななりしてイカれてんのさ、言ってやれよアキラ」

 

 

ゴルドは俺の背中を叩く、俺は意を決して単刀直入に勧誘を試みた。

 

 

「俺は最強のパーティを作りたい、その為に力を貸して欲しい」

 

 

俺はジーナの事はまだ何も知らない、だが目の前に居る彼女はどう見ても弱いとは思えない、寧ろ俺の感性が「こいつは強キャラだ」と叫んでいる。

びびって日寄った事言えば相手にして貰えないだろう、興奮冷めぬ内に話を進める。

 

 

「アッハッハッ!確かにイカれてる、それはアタシを『暴虐のジーナ』と知っての言葉か?」

 

 

「いや、知らない!あんたの事もさっきゴルドに聞いて知ったばかりだ」

 

「なら何故誘う?」

 

ジーナは笑って居るが目は真剣だ、その目は俺の真意を見抜かんと光る。

俺は下手に取り繕うよりも感情をぶつける事にした。

 

 

「理由は無い!あんたが必要だと思った!」

 

 

「ハッハッハッ口説き文句としちゃ最悪だ、センスのかけらも無ぇが確かに面白い」

「一度見てやる、入るかどうかはそれからだ」

 

 

「本当か⁈良し!」

約束は取り付けた、初対面の勧誘としては上々の結果だ。やはり正直に話して良かった、俺が喜んで居るといつ頼んだのか酒を片手にゴルドが笑った。

 

 

「ハハハッ本当酷え台詞だな、だが良くやったぜアキラ、俺達が戦う所を見りゃこいつは絶対気に入るぜ」

 

 

後日ギルドでクエストを受ける約束をし、その日はそのまま酒場で飲んだ、ただでさえ興奮気味な所に酒が入り俺の記憶はこの辺で途切れ起きた時には道路で寝ていた。

 

 

、、、財布は多分ゴルドが預かってるだろう、、、

、、そう願った。

 


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