俺は「俺TUEEEEE」がしたい   作:味塩

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十一話 暴虐のジーナ

俺の目の前では衝撃的な光景が広がっていた。

 

 

戦いながらジーナは笑っている、楽しそうに愛おしそうに声をあげて笑っている。

 

ひたすらに攻撃を繰り返す超攻撃的な戦闘スタイル。

回避や防御は致命傷となり得る攻撃にしか行わず、当然被弾し傷を負うが傷ついたそばから回復魔法で直してしまう。

 

今もアーマーグリズリーの鋭利な爪がジーナの頬を裂き鮮血が飛び散るが、ジーナは笑みを深め即座に相手の腕を斬り裂いた。

 

裂かれた腕が地面に落ち、唸り声をあげるがジーナの猛攻は止まらない。

 

戦い方は野蛮そのもの、だがジーナの剣技は正確でどこか美しさすら感じる。

 

 

「これがあいつのユニークスキル『狂化』だ、あれは理性を代償に戦闘能力を上げるんだとよ」

 

 

隣で見ているゴルドがそう話すが能力については見ればわかる。

そしてここまで教えてもらえなかった理由も納得した、確かにこれは見たほうが早い。

街で兵士に聞いたときは会いたくないと思ったが今はこの街に居てくれた事に感謝している。

 

「どれぐらい上がってんだ?」

 

「詳しいことは俺にもわからねえな、力だけなら今のあいつは俺よりあるぜ」

 

「ゴルドより?それ凄いな!」

 

そんな会話をしている内も戦闘は続く、ジーナは鎧に傷がついているが無傷。

相対するアーマーグリズリーは片腕を無くし体中傷だらけの血まみれだ。

 

最後の力を振り絞り飛び掛かる、ジーナはそれに応えるかの如く相手に迫り、

 

両の剣を交差するように切りつけた。

 

強烈な一撃、アーマーグリズリーは加えられた力に逆らえず後方に倒れる。

それと同時に名前の所以である鎧の様な体毛に、×印の亀裂が入り夥しい量の血が噴き出す。

どうやら決着はついたようだ。

 

戦闘が終わりジーナがこちらに向いた。

息が切れているのか浅い呼吸を繰り返し、目が見開かれ、その爛々とした瞳には未だ狂気が宿っている様に感じた。

 

 

「ゴルド、ジーナも流石に仲間には攻撃しないよな?」

 

当たり前だが仲間殺しは御法度だ、冒険者の規則はかなり緩いがそんな事をすれば資格剝奪じゃすまない。

 

「ハッハッハ!多分大丈夫だろ、スキル全開放すりゃ見境なくなるらしいが流石にそんな馬鹿じゃねえさ」

 

俺はそうだよなと返すが少し安心する、戦闘終了後もその様子は戦闘前の状態に戻っていない為少しだけ不安を感じていた。

スキルの効果時間中なのか余韻的な奴なのかわからないがしばらくすれば戻るだろう。

 

そしてジーナはゆっくり近づいて来たかと思えばいきなり俺の胸倉を掴む。

 

「さぁどうする?アタシの力は見せた、それでもあんたはアタシを誘うかい?」

 

狂気の宿った瞳でジーナは問う。

いきなりの行動に驚きはしたが、答えは決まっている。

 

「あぁ!一緒に最強のパーティを作ろう!」

 

ジーナは強い、戦闘スタイルがスタイルだけに荒っぽく見えるがその剣技は素人目にも洗練されている事がわかる、戦闘を好む性格も俺達とは相性が良い。

俺は今の戦闘を見て、ジーナは最強のパーティを作るには欠かせない仲間になると確信して居た。

 

ジーナは俺を離し空を見上げる様に笑った。

 

「アッハッハッハ!気に入った!あんたのパーティに入ってやるよ」

 

「よろしくな!」

 

俺が手を差し出せばジーナは強く握り返す。

 

「あぁ、あんたが諦めるまではその馬鹿げた夢に付き合ってやる、精々退屈させんなよ」

 

「だから言ったろ?こいつは絶対気にいるってよ」

 

ゴルドも笑みを浮かべ和やかなムードに包まれるが、迫る足音に即座に戦闘態勢に入る。

そして間も無くグレーウルフの残党が現れた、今度はボスもいる様でこいつらを倒せばクエスト達成だ。

 

 

 

 

戦闘は呆気なく終わった。

 

「ボスは貰う約束だ!」とジーナが突っ込み、俺とゴルドは残党と戦った。

数もボスを除いて六頭しか居らず直ぐに倒しきれた、ボスは他の個体よりも強く、持ち前の俊敏さでジーナを翻弄しようとするが相手が悪かった。

 

 

どちらかと言えば戦闘の後処理の方が大変だった。

グレーウルフの討伐証明となる尻尾を切り取り、魔石や売れそうな素材の回収、死体を集めて燃やすのだが。

 

ゴルドが倒した狼は体の半分を爆散させた物も多く、尻尾や魔石を回収出来ない。飛び散った肉片は燃やして置かなければならないので頑張って集めたが、細かい物は集める気すら起きなかった。

 

因みにグレーウルフの毛皮は素材としての価値があるが、案の定傷んで使えなかったり爆散してたりで回収は諦めた。大き目の牙は売れるので集めたが肉は硬くて食べられないそうだ。

 

ジーナが倒したアーマーグリズリーは鎧の様な体毛が一番素材としての価値があるのだが、これも切り裂かれボロボロとなって居る為使えない、普通の冒険者であれば鎧の部分は防御力も高いのでその部分を避けて攻撃するらしい。

 

結局アーマーグリズリーからは大きめの魔石と爪、牙、多少の肉を剥ぎ取り残りは燃やした。

 

処理中もいつ新手が来るかわから無いので交代で警戒しながら作業し、終わる頃には日が傾き出したので直ぐに街へと戻った。

 

 






クエスト詳細
―――――――――――――――――――――――
 グレーウルフ討伐

受注条件:パーティランクD以上
達成条件:ボス含む群れの討伐
成功報酬:金貨一枚
討伐証明:尻尾
討伐報酬:一体に付き銅貨一枚

〜以下一体辺りの素材価値〜
魔石:銅貨五枚
牙:銅貨二枚
毛皮:傷無し 銀貨一枚
   傷有り 銅貨五枚

―――――――――――――――――――――――

このクエストを達成した冒険者の平均的な収入
 金貨五枚程度


※硬貨の種類は 金、銀、銅、鉄 の四種類です。
(十進法)
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