「あれが最後っぽいな」
俺の視線の先ではジーナがゴブリンの首を切り飛ばしていた、辺りには魔物の気配も無く連戦はここで終わった様だ。
「今回はゴブリンとかコボルトばかりで助かったな」
「そうだな、余計な奴が来る前にさっさと片付けっか」
戦闘が終わり死体を片付けながらゴルドと話す、今回は運が良かったのか襲って来たのは下級の魔物ばかりだった。
倒した魔物は魔石と討伐証明だけ回収し燃やして行く、ジーナもクールダウンが済んだ様で死体の処理に入った。
その後警戒は続けるが新たな魔物が現れる事は無かった。ニオさんの方も浄化が終わったらしく一息ついてから街へと向かう。
帰る途中数体の魔物と遭遇し戦闘になったが、数体であればジーナ一人で片付ける為連戦にはならなかった。
ギルドで報告を済ましクエストは達成した。
達成報告を聞き、受付のお姉さんは和かな表情を浮かべる。
「こちらが今回の報酬です、ありがとうございました。お陰で被害が出る前に解決する事が出来ました」
「ニオさんも危険なクエストへの協力ありがとうございます」
「あっはい、村に住む方々に被害が無くて良かったです」
ニオさんは少し呆けた様子で答える、街に着くまでは表情も固くかなり緊張していたのでその緊張が解けたのだろう。さっきも小声で「生きてるって素晴らしい」と言っているのが聞こえた。
「ミナサマノカツヤクヲイノッテイマス」
ニオさんは報酬を受け取ると足早に帰ってしまった。最後の言葉を話すニオさんの目は死んでいた。
「嫌われちゃったかな?」
「無理もねえな、どう考えても初クエストって内容じゃねえからな」
「はっあの女の運が無かっただけさ」
確かに初クエストで魔物との連戦を経験させたのは申し訳なく思う、俺は彼女に心の中で謝った。
その後はそのままギルドの酒場で食事を取る。
俺は食事をしながらも気になっていた事を聞いてみた。
「そう言えばゴルドがCランクなのって壁が理由なのか?最初の頃ソロだからって言ってたけど」
「ん?あぁランクか、壁もあるがそもそもソロはBには上がれねえんだ」
「強くてもソロじゃダメなのか?」
「そうだ、ソロをBに上げても直ぐ死ぬ可能性の方が高えからな、ギルドは戦力が下がるの避ける為にソロは上がれねえ様にしてんだ」
なるほど、ソロだと上がれないのはそんな理由があったのか。確かにBを狙える様な冒険者は貴重な人材と言える、上がらせるよりは安定してCランクなどのクエストを受けさせた方がギルド的には良いのかも知れない。
「ゴルドは壁超えてるのか?」
「壁自体は超えたぜ、そっからは変わってねえがな」
「どうやって超えたんだ?どれぐらいかかった?」
「ハハッ落ち着けよ、若い頃にひたすらに魔物をぶっ殺してた時期があってよ、そん時に超えたんだ」
「超えた時は凄え強くなった気がして柄にも無く舞い上がったのを今でも覚えてるぜ」
「まぁその後は一人でこれより強くなるのは無理だと細々とやってたがな」
昔のゴルドはジーナみたいな感じだったのかも知れないな。
今はまだ成長している感覚が強くあるがその内強くなり辛くなるし最強はまだまだ遠そうだ。
「ジーナは超えてるの?」
「アタシはまだだね、壁超えた時はかなり強くなれるらしいがそんな感覚はまだ無いね」
「俺とジーナが壁超えたらBに行けるのかな?」
「ランクってのは強さもあるがギルドからの信頼って意味もあっからな、今回のクエストも何だかんだ達成出来たしこのパーティなら狙えると思うぜ」
「まだまだ先だろうけどな」
「地道にやってくしか無いか」
「ハッハッハ!俺達の場合は大分派手だがな」
ゴルドの言葉に確かになと笑う、すると今度はジーナがゴルドに聞いてきた。
「Bランクか、あんたはBランクの魔物と戦った事あるのか?」
「一度だけあるぜ、つっても途中で逃げたけどよ」
「逃げたのか?」
「あぁ、あん時は流石に死ぬと思ったぜ」
そう笑いながら話すゴルド、俺はまだBランクの魔物に遭遇した事は無くどれ程強いのかわからなかった。
「Bランクの魔物ってそんなに強いの?」
「強えぞ、俺が戦ったのは壁超えた後だがまるで歯が立たなかった、強くなれた今ならって最初は自信満々だったんだが、蓋開けれや逃げるので精一杯だったぜ」
「冒険者もCとBじゃ格が違うが魔物はそれ以上だ、Bランクの魔物を倒すならパーティ単位じゃなきゃ厳しいだろうな」
「今の俺達がパーティで戦ったら勝てそう?」
「相手によるな、Bランクでも弱い方の奴なら死ぬ気で戦えや倒せなくは無いかも知れねえが、それ以上の奴なら無理だな」
「ほう」
ジーナは笑みを浮かべている、勝てないと言われて燃え上がるのはジーナらしいが。
俺としては当然会いたく無い相手だ、ゆくゆくは倒せる様にならないとだが今は自分の成長が第一、無理に挑む理由も無いしな。
「出会わない様祈るしか無いか」
この時の俺は格上の魔物と戦うのはまだまだ先の事だと考えていた。