俺は「俺TUEEEEE」がしたい   作:味塩

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一話 下

夢を叫び天気と同じく気分晴れやかな俺は町へと向かった。

当然町の場所など知らないが目の前に道がある、この道を辿って行けば町か村には着くだろう。

 

 

 

歩き始め暫くすると、茂みの中から何かが近づく音が聞こえた。

俺は腰にあるショートソードを抜き警戒する。

服や装備はこの世界に馴染める様にとあの人に貰った、この世界でありふれた物らしく特別な能力とかは無い。

今の俺の装備は「冒険者志望の村人」って感じらしい。

 

警戒する中、茂みから現れたのは緑色の肌をした醜い小人。

 

ゴブリン、異世界ではお馴染みとも言える敵だ。

実際に見ると中々に醜悪な見た目をしているが、本物を見れた事に少し嬉しくもあった。

 

ゴブリンは敵意を剥き出しにしてこちらを威嚇する。

数は一体、最初の戦闘としては悪くないだろう。

 

 

「丁度良い、早くスキルを試したかったんだ!」

 

 

ゴブリンは木で出来た粗悪な棍棒を握り此方に襲い掛かるが、俺は剣も持つ手とは逆の手の人差し指をゴブリンに向けスキルを発動させる。

 

すると俺の手は荒ぶる様な稲光を放ち、その光は轟音を置き去りにしてゴブリンを貫いた。

 

ゴブリンの手から棍棒が落ち、ゴブリンも力なく倒れ伏す。体に穴が空きその周囲は焼け焦げ煙を立てている。

その様子から絶命は間違いないだろう。

 

「凄い!スキル使うのってこんな感覚なんだ!」

「ハハハッ!これは凄いぞ、最強じゃん」

 

俺はスキルが使えた事に歓喜した。

予想以上に音が大きかったのには驚いたが思い通りに扱えた、戦闘も初めてで緊張はしたがこれなら問題無く戦えそうだ。

 

俺が貰ったチートスキルは「雷」、魔力を消費する事で雷を生成し自在に操る能力だ。魔力自体も体を作り替えた時に一緒に貰っている。

 

 

チートスキルが貰えると分かった瞬間にこの能力が欲しいと思い即決した、圧倒的な破壊力と速度に加え見た目も派手でカッコ良い、他の能力も魅力的ではあったが迷う事は無かった。

 

更に言えば俺は雷を強キャラ属性だと思っている。漫画、アニメ、ゲームで様々なキャラクターを見たが雷を使うキャラは大体強い。実際に使ってみても雷を選んで正解だと感じた。

 

 

「よし、今の技は『サンダーアロー』と名付けよう!」

 

技名を決めながら使う事の無かったショートソードを鞘に戻す。さっきは雰囲気で剣を抜いたが剣の扱いなどわからない為、暫くはチートスキルのみで戦う事になるだろう。

しかしゆくゆくは剣も使いたい、剣の師匠とか見つかれば良いなぁなどと考えていた。

 

 

その後ゴブリンの死体をどうしようかと迷っていると遠くの方から何かが近づく音が聞こえてきた、また魔物かと音の方を見れば馬に乗った兵士がこちらに向かって来ていた。

 

二人の兵士が馬に乗りながらこちらに駆け寄る。

少しだけ警戒していたがどうやら友好的な雰囲気だ。

 

「おーい!大丈夫か?」

「ん?坊主一人か?こんな場所で何してんだ?」

 

一人の兵士が話しかけて来る、もう一人は周囲の警戒の為か辺りを見回していた。

 

「町に行こうと思って」

 

「あー見た感じ冒険者志望か、にしてもそんな装備で一人は危な過ぎるだろ、街に着く前に死んじまったら元も子もないぞ」

 

兵士の言葉は正しい、チートスキルがあるので大丈夫ですと言う訳にもいかず返答に困った。

何と答えるか迷いながら気不味げな顔をしていると兵士は何か察した様に話す。

 

「なんだ坊主、訳ありか?」

「ったく、今回は無事みたいだからこれ以上言わねーけどよ」

 

詳しく話せ無い為察してもらえたのは助かった、そして兵士は話を変える。

 

「それとさっきこの辺で凄い音鳴ったろ?何か知らないか?」

 

音、間違え無く俺がチートスキルを使った時の音だ、近くに居た兵士が音の原因を探す為にきたのか。

誤魔化してもボロが出るだろうしと正直に話す事にした。

 

「あ、多分それ俺です。ゴブリンに襲われたんで返り討ちにしました」

 

そう言いながらゴブリンの死体を指さす。

 

「ゴブリンの死体…あれは焦げてんのか?」

「これどうやったんだ?魔法か?」

 

「俺雷操れるんです」

 

そう言って両手に雷を発生させる。

チートスキル見せても良いのか迷ったが、ここも同じく誤魔化せない以上見せるしか無い。

 

「おお!お前ユニークスキル持ってんのか」

 

「ユニークスキル?」

 

「知らないで使ってたのか、まぁ魔法みたいだけど魔法じゃない特別な力の事だ」

「なるほどな、それが坊主の訳って事か。田舎の方だとたまに不気味がられるって聞くしな」

 

 

兵士は何処か納得した様子で話す、これからこの能力はユニークスキルって事で通した方が良いのかも知れない。

 

 

「しかし雷のユニークスキルは初めて見たな」

「駆け出し前の坊主がゴブリンを倒せる辺りかなり強力なスキルっぽいが」

 

「他のユニークスキルってどんなのがあるんですか?」

 

「俺が見た事あるのは「怪力」と「爆発」のユニークスキルだな、後は知ってるだけだが街には「狂化」のスキル持ちが居るらしい」

 

ユニークスキルを持つ人は割と居るのかも知れない、ただ「狂化」のスキルは街に居て大丈夫なのだろうか。

街に着いても会いたくは無いな。

 

そんな事を考えていると、周囲を警戒していた兵士が近付き問題が無い事を報告していた。

 

「それじゃ死体を片付けるか」

 

兵士はそう言うと小さな紙を取り出した、千円札ぐらいの大きさで読めないが何か文字の様な物が書かれている。

 

兵士はそのお札の様な紙をゴブリンに貼る、するとお札の文字が光だしゴブリンの死体がいきなり燃え出した。

 

「いきなり燃えた…これ何ですか?」

 

「これか?これは簡易スクロールだ、貼ると魔物の死体が燃えて無くなるのさ」

 

スクロールを見て魔法のある世界に来たんだと実感している俺に兵士はスクロールを貼って来た。

 

「ホレ」

 

「うわぁぁ!」

 

燃える、そう思い焦ったがスクロールを貼られても特に何も起きなかった。どうやら兵士に揶揄われた様だ。

 

「ハハハッ悪い悪い、坊主が物珍しそうに見てたからな、これは魔物の死体しか燃やせねぇんだ」

 

兵士は謝ったし何とも無いなら良いかと流した、と言うのもこのスクロールについて聞きたい事がある。

なんせ初めて見る魔法文明の道具だ、興味が湧かない訳が無い。

 

「これって周りには燃え移らないんですか?」

 

「あぁ草木にも燃え移らない、こいつは浄化の炎で燃えてるからな」

 

浄化の炎、これも異世界感が凄いな。

 

その後ゴブリンの死体が燃え尽き灰になるまで色々聞く事が出来た。どうやらこのお札の様なスクロールは兵士や冒険者の間では一般的な物らしく、価格も安価で死体の処理が非常に楽に出来ると話していた。

 

攻撃にも使うのか聞いた所、生きた魔物だと魔物の抵抗力に負ける為意味が無いらしい、何百枚も貼れば効果があるかも知れないがそんな無駄な事をするぐらいなら殴った方が早いと兵士は笑っていた。

 

そして兵士は処理の終了を確認すると。

 

「まぁ音の原因もわかったし一度街に戻るか」

「よし、坊主街まで送ってやるよ」

 

「良いんすか!」

 

どのぐらい距離があるのかも分からないが、一気に街へ行けるのはありがたい、俺は即答で兵士の話を受けた。

 

「おう、俺の後ろに乗りな。危ないから掴まってろよ」

「はい!」

 

こうして俺は兵士の馬に乗せてもらい街へと向かった。

 

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