俺は「俺TUEEEEE」がしたい   作:味塩

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十九話 村の危機

真昼間だと言うのに空には分厚い雲がかかり不吉な暗さを演出している、いつ降り出してもおかしく無い様な中俺達はラタ村に到着した。

 

 

ラタ村の惨状は俺の予想を遥かに超えていた。

壁も家も壊され村は半壊、村のあちこちで怒号や悲鳴が聞こえる。

 

 

「『戦いの灯』と『鷹の目』は西側へ向かって!救護者が居たらこの場所まで連れて来なさい、もし上級の魔物と遭遇したら遅滞戦闘に切り替えて救援を呼んで!」

 

 

スーリの指示に従い村の西側へと向かう、この時の俺は現実感が無く何処か他人事の様に感じていた。

 

 

「西側、よりによって一番キツそうな所か」

「良いかお前ら、絶対死ぬんじゃねーぞ」

 

 

メルビスがパーティメンバーに話す。

西側は壁が壊され魔物が村に入って来た方向だ、スーリ曰く現在村人は兵士と共に東側へと集まって居るらしい。クルトから来た兵士といくつかの冒険者パーティは東側へと派遣されていた。

 

 

現れる魔物を俺やメルビスが接近される前に倒しながら進む、メルビスはやはり熟練のアーチャーで放つ矢は正確にゴブリンの頭を撃ち抜いた。

 

 

 

向かう途中、不意に俺は足を止めた

崩れた民家の一部が赤く染まっている、近づこうとするもゴルドに止められた。

 

「アキラ、俺たちは言われた場所に行かなきゃならねえ」

「寄り道してる暇は無いぜ」

 

俺は何も答えずゴルドに付いて行く、スーリの指示にあった場所へと着くとそこにはゴブリン、コボルト、オークなど人型の魔物が集まって居た。道中も人型の魔物しか見なかった為、今攻めてきて居るのは人型の魔物だけなのかも知れない。

 

魔物達は民家を壊し、食糧を漁り、好き放題暴れて居る。

 

「固まって行くぞ!」

「気合い入れろよ!」

 

そんな会話が流れる中俺はある一点から視点を離せずに居た。

視線の先には倒れ伏す兵士、兵士の周りには魔物の死体が散乱し激しい戦闘があった事が窺える。兵士は倒れたまま動かずその近くまで魔物が迫って居た。

助けないと、その感情のまま兵士に近づく

 

「邪魔だ!」

 

兵士の周りに居る魔物に雷撃を放つ、自分でも不思議な事に焦った様に怒鳴り声を上げていた。

 

 

「大丈夫ですか!」

 

 

兵士に声をかけるも返事は無い、気を失っているのかも知れない、怪我も酷そうだ、急いでジーナに回復を頼まなければ。ジーナを呼ぼうとすると後ろから声がかけられる。

 

 

「アキラ」

 

 

「ゴルド、大変だこの人気を失ってる!ジーナ急いで回復を!」

 

 

「アキラ、そいつはもう死んでるぜ。ここは一番初めに魔物との戦闘が起きた場所だ、隠れてる村人なら兎も角戦って居た兵士に生き残りは居ねえ」

 

 

ゴルドにいつもの様な明るさは無く、心無いことを言う。

 

「、、、、」

 

そんなゴルドの言葉に何も返さず俺はもう一度兵士を確認する、兵士の体から流れたと思われる赤い血は素人目に見ても致死量だ、そして兵士の体に触れれば人の温かさは無く不気味な冷たさをしている。

 

その冷たさに触れた時、俺は初めてこの悲惨な光景が現実だと認識した。

 

俺はこの状況でも何処か楽観視して居た、ここに来るまでも深く考える事が出来ず流される様に行動して居た。

 

 

村のピンチに颯爽と現れ、被害を出さずに敵を倒し村人を救う、そんな物語の様な活躍が出来ると何処かで思っていた。

 

 

魔物は人を殺す。

そんな当たり前の事でさえ頭から抜けて居た。

 

その時これまで感じた事がない程の怒りを感じた。

村を襲う魔物に、この危機に対し甘い考えを持っていた自分に。

 

 

感情に呼応する様に体から雷が溢れ出す、そのまま立ち上がり兵士から離れた。

 

 

「アキラ?」

 

ゴルドがこちらを向く

 

「今すぐ全員殺せば良いんだろ?」

 

 

俺は何も守れてない、村は壊され兵士は殺された。

この無情な現実に抗う力を持って居ると言うのに。

 

 

「任せてくれよ、直ぐに終わらせるから!」

 

 

体内から強力な雷を天へと放つ、空を覆う巨大な雨雲へと放たれた雷はより強大な力へと変わり俺に落ちる。

 

雨雲のある日限定だが自身の出力を限界以上に上げる事が出来る。体に戻った雷を纏う。

 

「サンダーフォース、オーバーブースト!」

 

「おいっ」

 

ゴルドの静止を無視して魔物へと迫る。

蹴りを一発、するとゴブリンの頭は吹き飛んで行く。

止まらずに次の獲物へ、自分の怒りをぶつける様に魔物へと襲いかかる。

今の俺ならば付近の魔物を一掃するのに時間はかからないだろう。

 

(少しでも早く!これ以上誰も死なせない!)

 

 

敵がオークであっても変わらず攻撃を仕掛ける、反応できない速度で接近し両手で頭を掴み電流を流す。

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

「おいおい、あいつあんなに強いのかよ」

 

メルビスは感心した様に呟く、ゴブリンやコボルトの様な下級の魔物が多いとは言えこの数を相手するならば慎重に戦う必要がある。

 

しかし視線の先の少年は凄まじい速度で敵を倒し続けて居る、このまま任せても付近の魔物は一掃してしまえる様にも思えた。

 

「でもあんなに飛ばして大丈夫なの?」

 

それに対しストレイは心配気にゴルドへと聞く、ストレイも『戦いの灯』がどんなパーティかは知って居る為これが彼等のやり方なのかも知れない。

 

だが敵を圧倒して居る少年の顔に余裕は無く何処か焦って居る様にも見える。

 

 

「いや、まずいな完全にのまれてやがる」

 

「チッ、アタシが我慢してるってのに」

 

「ジーナ、頼むから今は大人しくしてろよ、お前さんまで暴れ出したら手が付けられねえ」

 

「わかってるさ、さっさとあのバカを止めに行くんだろ」

 

「あぁあのままじゃヤバいぜ、何とかして正気に戻さねえと」

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

止まる事無く戦闘を続けて居ると少し離れた所から悲鳴が聞こえた。そしてその方向からは冒険者達がこちらに走り込んで来る、恐らく俺達の近くに派遣された冒険者だろう。

 

 

冒険者達は必死な顔で何かから逃げて居る様だ、俺に気がつくと大声で叫ぶ。

 

 

「逃げろ!オーガが出た‼︎俺達は追われてる、誰かスーリさんを呼んできてくれ!」

 

 

冒険者達の後ろを見ればオークよりも一回り大きな鬼の様な魔物が冒険者を追いこちらに向かって来て居た。

 

 

オーガ、それはBランクの魔物。

この村を襲う強大な敵、それはチートを持つ自分が戦うべき相手だ、そして通常時よりも大幅に強化された今であれば倒せる。

俺は冒険者達と反対方向へと走り出す、そんな俺に冒険者達は足を止め声をかける。

 

「おい!オーガが来てるんだぞ!」

 

「俺なら大丈夫だ!その奥に仲間が居る、怪我をしていればそこで手当してもらって!」

 

 

「お前はどうすんだ!」

 

 

「俺はオーガを仕留める」

 

 

俺に退く意思が無いとわかると冒険者達は再び走り出す。

そして俺はオーガと相対した。

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