「これが冒険者の証、失くさない様にね」
ギルドに戻りプレートを貰う、細い鎖が付いており首にかけるタイプのようだ。
「後の詳しい事はゴルドに聞けばわかるから」
そう言って教官のスーリはギルドの奥へと下がって行った。そのゴルドはと言うと
「おーいこっちだ」
ギルドの酒場で酒を飲みながら手招きしている。
ほぼ上裸でそれで守れんのかってぐらい面積の小さい革製の胸当て、それも片方だけで心臓だけ守ってる。
体は大きく例えるなら筋肉の山って感じ。
髪は無く代わりに顎髭は生い茂っており、見た目だけであれば如何にも豪快な荒くれ者って感じだ。
俺は先程の結果から立ち直れずとぼとぼと向かう。
「自己紹介からすっか!俺はゴルド!人は俺を『台無しのゴルド』って呼ぶ!よろしくな!」
(不安だ、何だよ台無しって。)
絶対良い意味じゃ無いだろう、本人は誇らしげだけど大丈夫なんだろうか。
「アキラです…」
「アキラか!今はまぁ落ち込んでるだろうが安心しろ!俺が色々教えてやっからよ」
「お願いします…」
「さて、何から教えっか」
「あの、」
「お?何だ?」
「冒険者って皆んな雷切れるんですか?」
俺として早くこれを確認したい。
スーリは教官を任されてる以上並よりは強いのだろうけど、あんなのばっかだとやって行ける気がしない。
不安を拭いたくて聞くと。
「ガッハハハハ!そんな訳無いだろ!」
「あんなの一部の奴しか出来ねーよ!」
豪快に笑うゴルド、俺は少し安心した。
チート貰ったのに雑魚だったらどうしようかと思ったけどその心配は無いかも知れない。
「あーその辺から教えてやるか」
「まず力や能力に自身を持って来た新人は、皆んな最初に鼻っ柱折んのさ」
「自身を無くさせるんですか?」
「そうだ、そうしねーと調子乗って直ぐ死ぬからな」
「冒険者で名を上げようなんて奴らに言葉で言っても無駄だ、だから試験で強い奴をぶつけて一度完全に折る必要があるんだよ」
「それ、折られた奴は大丈夫なんすか?」
「それはそいつ次第よ。だが一度自分より強い奴に負けただけで立てなくなる奴には冒険者は無理だ」
「安心しろよ、お前さんのユニークスキルは充分強いぜ。そもそも試験でスーリが出て来るだけで凄い事だからな」
「あの人どれくらい強いんですか?」
「スーリは片腕失って引退したが現役の頃はBランク、それもAランクを期待される程の剣士だった」
「引退した今でもこのギルドじゃ上位の実力者だ」
ランクがどの程度の強さなのか知らないが、あの人はかなりの実力者の様だ。試験の仕組みも言われてみれば納得は出来るがチート貰った以上そこを勝ちたかった。
「Bランクってどのぐらいの強さ何ですか?」
「そうだな、お前さんは賢そうだしその辺一気に教えちまうか」
そしてゴルドから冒険者について説明を受ける。
まとめると、ランクは最上位のSから最下位のGまであってゴルドの主観だと。
G→登録したて
F→新人
E→ひよっこ
D→一人前
C→ベテラン
B→エリート
A→天才
S→化け物
らしい、因みに俺もGからのスタートだ。
これは実力に関係無く全員一律にGランクから始める決まりだと。
昇級に着いては達成クエストの数や実力で測り、ギルドが出した昇級クエストを達成させれば上がる。
個人のランクとは別にパーティごとのランクもあるそうだが大体は同じだと言っていた。
受注可能なクエストについては受けるパーティのランクが適用され、同じランクのクエストまでしか受けられないそうだ。
「ゴルドさんはどのランク何ですか?」
「俺か?俺はCだな。あとゴルドで良いぞ、敬語もいらねーよむず痒くなる」
「あーわかり、、わかった」
いかついおっさんにタメ口って変な感じだ。
俺は一通り説明を受けて思った疑問を聞いてみた。
「説明は大体わかったけど、こうゆうのって普通ギルドが話すじゃないの?ゴルドさ、ゴルドって普通の冒険者だろ?」
「まぁ規則だ何だのも受け持った奴が説明する決まりだからな、お前さんは大丈夫みてーだが新人によっちゃ文字書けない奴も居るしな」
「受け持つって?」
「そうだな、新人は大体教官が決めた奴に面倒見させんのさ、ギルドのルール教えたり戦い方を教えるんだ。場合によっちゃその後のパーティの斡旋もするな」
「だからFランクになるまで俺が付きっきりで面倒みてやるよ」
このシステムは以外だった、まるで付き人の様なシステムだが理にはかなっているのかも知れない。
「なんだ?以外そうな顔だな」
「てっきり規則とか聞いたら新人同士でパーティ組むのかと思ってた」
「ハハハ!新人同士でパーティ?死ぬぞそんなもん」
「確かに故郷の仲間で冒険者になりに来た奴はたまに居るが、新人だけで組む事はねえな」
チュートリアルは先輩同伴でクリアしろって事なのか、新人だけで組む事が無いのも色々と予想外だな。
「でも俺の面倒見るってその間ゴルドはクエストどうするんだ?」
「その辺はギルドから報酬が出んだよ、新人任される奴は大体パーティの誰かが居なくて動けない奴とか数は少ないが俺みたいなソロで冒険者やってる暇な奴だからな」
「ゴルドってソロの冒険者なのか」
「おう、何たって台無しのゴルドだからな!」
「訳がわからないな…」
「まぁその辺は追々だな、大体は説明したし残りは都度教えてやるよ」
新人の教育はギルドからのクエストの様なものらしい、確かに手が空いてるならどっちにも利益があるか。
「俺ってこの後は具体的にどうするんだ?ゴルドと一緒にクエスト受けるの?」
「あーそうだな、取り敢えず今日は宿の場所と使える店教えるぐらいで終わりだ。明日からお前さんの修行だ、暫くはクエスト受けねえぞ」
「クエスト受けないのか?!俺そんなに金持って無いぞ?」
あの人に資金としていくらか貰ったけど多くは無い、資金が尽きる前に稼がなきゃやばい、流石に異世界来て野宿は嫌だ。
「逸るなよ、なりたてでいきなりクエストは無理だ。さっき見てたがお前さん戦闘経験殆ど無いだろ?」
「さっきはボロ負けしたけど、ここに来る前ゴブリンなら倒したぜ。それも一撃で」
「ゴブリンか、数は?」
「数は一体だけだったけど」
「ハハッならはぐれゴブリンじゃねーか、駄目だ駄目だそんなの経験にならねーよ」
(まじか、チートあるのにいきなり修行かよ。)
理想とは大分離れた現実にげんなりするがそれも仕方ないと思う自分も居る。
さっきのボロ負けはそれ程衝撃的だった、当然チートスキルも貰いたてで扱いにも慣れている訳では無かったがそれでも完封されるとは露ほどにも思っていなかった。
スーリ教官は上位の実力者だと言うが、それでもこの世界の冒険者は俺が思っていた以上に強いのかも知れない。自信満々に挑んで死ぬよりはここで自力を上げた方が良いように思えた。
「まぁ話は終わりにして好きなもん食えよ!今日は俺が奢ってやっからよ!」
初日で色々あったが落ち込んでも仕方ないと言葉に甘えた。
ガッツリ食う俺を見てゴルドは豪快に笑った。