俺は「俺TUEEEEE」がしたい   作:味塩

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四話 今の実力

差し込む朝日が顔を照らし目が覚める。

目覚ましのアラームどころか時計すら無く寝るなんて小さな子どもの時以来だ。

 

 

異世界生活二日目、昨日は結局ゴルドに飯奢って貰った後日用品なんかを買って終わった。

ゴルドは見た目が暴漢そのものだが良い人だった、飯食いながら色々話して終わる頃にはすっかり打ち解けていた。

今泊まってる宿、宿と言うか荒屋だがに着いてからは疲れもあってか直ぐに寝た。

寝心地は控えめに言って最悪、布団は無く敷いた藁の上に雑魚寝、体が痛くなって無いのが唯一の救いだ。

 

 

体を伸ばし外に向かう、近くにある井戸で水を汲みタオルを濡らして顔や体を拭う。

当たり前だが風呂などない、この荒屋は安いが寝泊まりする以外の機能は何も無い。部屋も隙間風はあるが雨風凌げるだけましって感じだ。

大きさも高さは立っても頭をぶつける事は無いが、広さは二畳程度。

 

 

(台風来たら一発で吹き飛ぶだろうな、強めに蹴ったら穴空きそう)

 

 

ゴルド曰く大体の新人冒険者はこのレベルの生活らしい、酷い奴は馬小屋に泊めてもらう事もあるとか。

これからこの生活が続くと思うと気が滅入るが金が無い以上仕方ない、生活水準を上げるためにも強くならないと。

 

 

準備を整え冒険者ギルドに向かう。

 

 

ギルドでは既にゴルドが待っており直ぐに裏の訓練所に向かった、朝飯は吐くから食わない方が良いらしい。

 

「よし、やるか!先ずは今のお前さんがどの程度出来んのか見ないとな」

 

 

まず始めに走らされた。

 

「おら!もっと走れ!冒険者は走んのが仕事だ!」

 

 

訓練所の外周を何周も走らされたかと思えば、次は背中に土嚢を乗せられた状態での腕立て伏せをやらされた。

 

 

「そのぐらい上げろ、根性見せろ!」

 

俺は中学で陸上部やってたし体力にはそこそこ自信があったが既に疲れ果てていた。

 

 

「おいおいもうへばったのか?これじゃクエスト受けるなんて先の先だぜ」

 

結局午前中はそのまま基礎トレーニングで終わった。

ゴルドの言う通り朝食わなくて正解だ、食ってたら確実に吐いてる。

 

 

昼飯を食う為ギルドの酒場へ行くと

「午後は外に出るぜ」

「外に?実戦するのか?」

正直こんなバテた状態で実戦は鬼畜に思える。

 

「違えーよ、やんのはお前さんのスキルの確認よ」

 

「ん?スキルの確認なら訓練所じゃ駄目なのか?」

 

「あの能力じゃ無理だな、音がデカすぎる」

 

 

言われて見れば確かにそうか、俺の能力は本物の雷ほどじゃ無いがかなり大きな音を立てる。

街中で練習は無理か。

 

 

「街の外なら思いっきりぶっ放せる!そこまで離れなきゃ魔物もこねえーしな」

 

 

スキルを試せるのはありがたい、まだニ回しか使ってないから俺も何処まで出来るのか知らない。

 

 

昼食を終え壁の外へ向かった。

「お前さんのユニークスキルは雷で間違いないんだよな?指から飛ばすのは見たが他は何が出来んだ?」

 

自分自身の確認も含めてゴルドの前でやってみた、今の俺に出来るのは大まかに分けると

・手から電撃を放つ

・全身から雷を発生させる

・雷を落とす

 

 

この三つ、雷を落とすのが少し時間がかかるけど一番威力が高い。

自分自身を雷にして移動する技とか他にもやりたい技があったがどうすれば出来るのか全く分からなかった。

 

「ほぉ最後の奴は中々の威力だな」

「あれが、、最大の、技、、」

 

 

そう言うと俺は座り込む。

疲れた。午前も午後も一気に色々やってバテバテだ。

スキルを連発した疲れは午前中の体の疲労とは違う脱力感を感じた、恐らく魔力を消費した事によるものだろう。

 

「なるほどな、まぁ大体わかったぜ」

 

「何が?」

 

「今のお前さんのどの程度やれんのかって事だ」

 

「どうだった?」

 

「結論から言えや弱いな」

 

「よ、弱い?!」

 

 

ゴルドも言っていたが最後に見せた技なんかはかなりの威力がある筈、先日ボロ負けしたばかりだから期待はしていなかったが弱いと言う評価は驚きだった。

 

 

「ああ、先ず体力が無えし力も足りてねぇ。運動神経自体は悪くねーが動きが硬い」

「スキルは強力だがまだ扱い切れてねーし無駄が多い、まぁスキル以外が普通の新人って感じだな」

 

「それって普通なのか?弱いんじゃ?」

 

「ハハッ新人が弱い何て当たり前だろ」

「ま、その辺も鍛えてやっから安心しろ!それにスキルがある分ただの新人よりはよっぽど強いぜ」

 

「そ、そうか」

 

 

きつい。異世界生活はもっと楽に生きれると思っていたが、現実はそうじゃ無いらしい。

 

 

「こっからの話だがお前さんには明日から仕事修行を交互にやっていく事になる。修行は今日と同じ午前に基礎、午後にスキルって感じだな」

 

「仕事?クエスト以外でか?」

 

「おう、壁工事の仕事よ。金は要るからな」

 

「うげぇ土木作業かよ」

 

「文句言うんじゃねぇ、基礎体力を鍛えて金も貰えるんだからな」

「冒険者なりたてなんてそんなもんだ」

 

「まじかよ」

 

「話も済んだし休憩は終わりだ、ここからはスキルの使い方教えてやるよ」

 

「スキルの使い方?」

 

「あぁお前さんは今の所技を出すまでが遅い、と言うか魔力の使い方がなってねぇ」

「先ずは魔力の使い方からだ、ユニークスキルっつっても魔力が燃料だからな、上手く使えば効率も上がるし威力も上がる」

 

 

厳密には俺のはユニークスキルじゃ無いが魔力が燃料なのは同じだし似たようなものか。

 

 

「まぁ使い方学ぶのはわかったけど、ゴルドは魔力の使い方何て知ってるのか?絶対魔法使いじゃないだろ?」

 

「言い忘れてたが俺もユニークスキル持ってんだぜ!」

 

「まじで⁈何のスキル?怪力とか?」

 

「へっなら見せてやるよ、下がってな」

 

 

言われた通りに下がるとゴルドは地面を思い切り殴る。

拳が地面に着いた瞬間爆発が起こり爆風が俺の体に吹き付ける。

 

 

土煙が晴れゴルドの方を見てみれば、殴った所の地面が抉れ陥没していた。

 

「どーよ!これが俺のユニークスキル『爆発』だ」

 

「すげぇ!」

兵士の人が言ってたのはゴルドの事だったのか。

爆発するパンチとかロマンの塊かよ、これもカッコいいな。

 

「俺は手や足に爆発する魔力を纏えんのさ」

「そもそもお前さんの教育係が俺なのも同じユニークスキル持ちだからってのが大きいからな」

 

「さて、次はお前さんに使い方を教えてやる」

 

「お前さんはまだ能力に慣れてねえ感じがする、そこは使いまくるしか無いがそもそも自分の魔力の感知は出来てんのか?」

 

「魔力の感知?」

 

「ならそこからだな、威力を最小限にして雷を出せるか?」

 

「わかった」

俺は指に電気を発生させる。

指は雷を纏い帯電するがそれだけだ。

 

 

「ほう!器用だな、威力の加減調整はかなり難しいがお前さんは中々やるな」

「よし、撃たずにそのままにしろ、能力を使っている以上今も魔力は減っていってる筈だ。それを感じ取れ」

 

俺は目を閉じて体の中へと意識を向けるが

 

(全く分からん)

 

 

ただ出し続けるのが段々キツくなってきた、さっき連発したばっかだから俺の魔力も残り少ないのかも知れない。

連発した直後と同じ疲れを感じるが魔力ってのはよく分からない。

 

 

「これも練習あるのみだな。これなら撃たなきゃ街の中でも出来んだろ、魔力が完全に切れるまでそれを欠かさずやれよ」

 

「魔力量ってそうやって増えるのか?」

 

「まぁ多少だがな、後は残り魔力が少ない状態に慣れるってのもある」

 

実戦を想定した状態って事か。

確かにこれならあの荒屋でも出来る、やりたい技もまだまだあるし日課にしよう。

 

 

その後指の帯電が維持出来なくなるまでやったが結局魔力の感知には至らなかった。

 

「よし、今日はここまでだな。そろそろ帰るか」

「あぁ。もう疲れててヘトヘトだ」

「ハハハッ最初は皆んなそんなもんよ!コツはさっさと慣れちまう事だな」

 

 

そこから俺の土木作業と訓練を往復する生活が始まった。

 

 

 

 

 

  

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