俺は「俺TUEEEEE」がしたい   作:味塩

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五話 異世界での生活

異世界生活を始めてもう二ヶ月は経っただろうか、カレンダーも無く忙しい毎日を過ごしていた為もう曖昧になってきた。

 

この2ヶ月を一言で言うなら、きつい以外の言葉が無い。

 

壁工事のバイトじゃ一日中重い資材を運んで、修行では日を追うごとにやる量が増えていった。

更に一月が過ぎた辺りからゴルドとのスキル無しの組手が始まったが毎度ボコボコにされる。

体格差がありすぎると言えば「オークはもっとデケェぞ」と言われ何も言い返せなくなった。

 

 

当然休みも無い、バイトは休むと生活出来なくなるし修行を休めばその分この生活が長くなる。

 

辛い生活だったが変わった事もある。

先ず体の変化だ。腕は太く胸板は厚く、ニヶ月前よりも遥かに逞しくなった。

元の世界じゃ短期間でここまで鍛えるのは無理だと思うが、雷を切る奴がいる世界と思えばそんなもんかと納得した。

流石にゴルド見たいな筋肉の山は築いてないが。

 

次に魔力についてだが、遂に感知に成功した。

これはかなり苦戦したが日課を続けた甲斐があった。

感知して初めて自分がどれだけ無理な使い方をしていたのかを知ったが、正直チートスキルじゃなきゃ発動すらして無いんじゃないかと思う程に酷かった。

お陰で今では技の出の速さも威力も上がり、出来る事も増えた。

 

 

朝の支度を終えギルドに向かう。

今日は早く新技を試したい為少し足取りが軽い。

 

しかし午前は変わらず基礎修行、そして毎度の事ながらバテる。こればかりは体力が付いたら付いた分だけきつくなるのでどうしようも無い。

 

昼食を済まし壁の外に向かうと

 

「お前さん今日はえらく機嫌が良いじゃねぇか」

 

「新技が完成したんだ、今日のは驚くぜ!」

 

「そんなにか?面白え、見せてみな」

 

「行くぜ!サンダーフォース!」

 

 

技を発動すると俺の体は僅かに雷を纏う。

 

「ほう、全身に雷を纏ったのか。スキル発動の維持たぁやるじゃねーか」

「防御技か?確かに難易度は凄えが、微妙じゃねーか?」

 

「これは防御じゃなくて強化技、この状態の俺は身体能力と反射速度が上がるんだ」

雷を纏う自己強化、構想は最初からあったが魔力感知以前は全く出来なかった。魔力感知に成功した後はこの技の練習を日課にし何とか習得する事に成功した。

 

「強化?へっ面白え、見てやるからかかってこいよ」

そう言うとゴルドは構える、組手で計ろうととするのはゴルドらしい。

 

「来な!」

 

「おう!」

俺は短く返事をしゴルドに向かう、ゴルドは攻撃を受けるつもりなのか仕掛ける素振りがない。

 

そんなゴルドを俺は思い切り殴り付ける。その衝撃にゴルドは楽しそうにニヤっと笑うと直様俺を掴みに来た。

 

これ一応雷纏ってるし触れたら少しは感電するはずなんだけど、異世界筋肉に微弱な雷は効かないらしい。

 

いつもならこんな大振りの攻撃をすればこのまま掴まれて終わりだが、今の強化された俺なら躱せる。

 

体を仰け反らせそのまま後ろに宙返りし躱す、掴みに来た腕とは反対の腕で殴りかかるゴルドの追撃は上半身を逸らせ再度躱す。

そして俺は逸らした体を戻す勢いのまま右ストレートを放つ。

 

ゴルドは直様ガードを固め俺の攻撃は防がれるが、ここが攻め時と構わず攻め続ける。ラッシュを仕掛け最後に渾身の後ろ回し蹴りを決めるもゴルドの防御は崩せなかった。

 

ガードを解いたゴルドは又楽しそうに笑う、俺も維持が限界となり技を解き組手は終了した。

 

「へっ中々腕上げたじゃねーか、最後のラッシュは良かったぜ」

 

「平気な顔で言われてもな…」

 

「ハハハッ!お前さんとは歴が違えからな」

 

ゴルドを攻撃した感触は巨木の様なものだった、

 

「しかしその新技は凄えな!スピードもパワーも大したもんだったぜ!」

 

「今は出力もあれが最大だし時間も一分が限界だけど、魔力が増えればもっと上がるぜ」

 

「ほう、ならお前さんはCランクの壁を越えるかも知れねえーな」

 

「Cランクの壁?」

 

「おう、冒険者は長くやってもランクは大体Cで止まんのよ。Cまで行けば基本的に食うには困らなねえしな」

 

「ゴルドでも超えられないのか…?」

 

このニヶ月で分かったがゴルドは強い、パワーは言うまでも無いが格闘術に長けている上に強力なユニークスキルもある。

俺は他の冒険者の強さを知らないがただのベテランってレベルじゃないだろと思ってる。

 

「あー俺の場合はソロだからな、ソロで超えんのは流石に無理だな」

 

「ならパーティ組めば良いじゃんか」

 

「っは!まぁその辺はお前さんがG抜けたら教えてやるよ」

 

「G抜けたらって割と直ぐじゃないか?」

 

「今のお前さんなら直ぐだろうな、強さも充分付いたし慢心も無くなった、そろそろクエストに挑むか」

 

 

「本当か?!やっとか!」

長かった、冒険者になったのにこの二ヶ月は土木作業と修行しかしてこなかった、やっと異世界らしい事が出来る。

 

「おう、明日の朝ギルドで集合だ。装備は一通り揃えてこいよ」

 

 

「遂に初クエストか!腕がなるな!」

 

「気を張り過ぎんなよ、まぁ明日クエスト受けんなら来たばっかだが今日は終いにするか。帰って体休めとけ」

 

「おう!」

 

この日はこのまま切り上げ街へと戻る。

ゴルドにも言われた通り浮かれ過ぎないよう気を付けたいが、俺の心の昂りを抑え切れなかった。

 

俺は明日、初めて冒険をするのだ。

 

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