OMORI×仮面ライダー555   作:ドルデダバ

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夢であれば

「…」

 

 オーブリーは自宅のベッドの上で目を覚ました。

 死んだと思っていたマリが生きていたこと、あの白い怪物、そしてそれを倒す赤い閃光の戦士ファイズ。さながらヒーローショーのような昨日の出来事は、きっと子供に聞かせても信じてはくれないだろう。

 カーテンの隙間からは光が差し込んでいた。時計を確認するともう既に10時近い、友人と約束した時間は迫っていた。

 

「ゆめ、か…」

 

 マリが死んでから、何度も彼女はオーブリーの夢の中に現れた。

 あの優しい笑顔にもう一度見たいと何度願ったことだろうか。涙で枕をずぶ濡れにさせながら起きる毎日を暫くの間何日も繰り返していた。

 オーブリーは段々と昨日のアレは夢なのではないか。とそう信じ込むようになった。仮にマリちゃんが生きていたとしても、天使の様に優しい彼女が昨日のようなことをするはずがない。第一あのサニーが「その人には指一本触れさせない」…などとキザなセリフを吐くはずもない。

 

「ふふ…」

 

 思わず笑みが零れる。まるで子供のような夢を見てしまった。

 怪物に襲われそれを王子様に助けられる…なんて、まるで絵本の中の出来事のようじゃないか。しかもその王子様があのサニーだなんて。

 オーブリーは部屋を出て洗面所で顔を洗い歯を磨くと、やけに外が騒がしいことに気付いた。パトカーのサイレン音や何人もの人がざわざわと外で騒いでいる音が聞こえる。

 

「…?」

 

 母親はまだ部屋で寝ているようだ。

 彼女は玄関前に立てかけられている釘バットを手に取ると扉を開けた。すると友人のキムが丁度玄関前まで来ていたようで、彼女の顔を見るなり駆け寄ってきた。

 

「キム、これは何の騒ぎ?」

「…また人が消えたらしい、」

 

 最近この町では人が突然消えるという事件が多発している。しかもただ消えるだけではない、その場に砂を残して消えるらしい。

 隣の家では警官が中を調べているらしく、テープが貼られて中に入れないようになっていた。野次馬はそれを見て何やら恐ろし気な噂を口々に交わしているようで、オーブリーはそんな彼らを見て嫌気がさした。

 

 

「あ、それと…もう一つ」

 

 キムがオーブリーの顔を覗き込む。

 

「夜中教会で暴れた奴がいるらしくてね、椅子がバキバキに破壊されてたんだってさ」

「…ぇ?」

 

 昨日の夢をよく思い出したオーブリーは血の気を引かせた。そういえばあの怪物が倒される時、砂になって崩れていったのを見た気がしたのを思い出したのだ。

 

 

 

 

「サニィ~~!!遊ぼうぜ~~!!」

 

 サニーはけたたましく自分を呼ぶ声に目を覚ました。最悪の寝覚めである。

 今日は朝早くから母親は仕事に出かけており、家には自分一人しかいないため一日中だらだらできると考えていた彼からすれば、親友の聞きなれた声も耳が痛いだろう。

 しかしこのまま居留守をして放っておけば、ここ数分はボタンの潰れた目覚まし時計の如くケルは叫び続けるだろう。

 大好きなベッドからゆっくりと体を起こした彼はのそのそと玄関まで歩き、扉を開けた。

 

「お、サニー!まだ寝ぼけてんのか?せっかくの夏休みなんだから日が暮れるまで遊ぼうぜ!」

 

 夏休みだから一日中寝ていたい、そう考えている自分とは真逆の考えを持つ親友にサニーは小さく溜息を吐いた。

 しかし玄関を開いただけで外からはむわむわとした熱気が室内へと流れ込んでくる。先程まで冷房の効いた部屋にいたことも相まって、サニーはその場に倒れてしまいそうになっていた。

 

「…熱いから外はヤダ…」

「お、そっか!だったらサニーの家で遊ぼうぜ!」

 

 返答する間もなくケルは家の中に入ってきた。本当に強引な人だ。

 サニーは玄関の扉を閉めると机の上に乗っていたエアコンのリモコンを手に取り冷房を付けた。

 ケルはソファにどさりと飛び込むように横になると近くに会ったリモコンを手に取ってテレビをつける。

 

『…スマートブレイン…貴方の生活を支える…最高級の~~…』

 

 スマートブレイン社のCM。美しい青色の蝶が社のイメージキャラクターだ。

 

「すげーよな、ヒロはここのしんやく開発部ってトコに入ろうとしてるんだぜ」

 

 ヒロは大学を卒業した後はスマートブレイン社の社員になろうと考えていた。給料も高いだろうし、地元からこんなにも近いのならこれ以上ない優良物件だ。

 しかしサニーはそのことに関してあまりいい気分ではなかった。ここ最近起こっている住民失踪事件とスマートブレイン社が関係していることを知っているからだ。

 

「最近いろいろ物騒だよな、皆突然消えていなくなっちまうんだってさ」

「ケルの周りの人は…?」

「ん、近しい人は大丈夫だけど…部活の先輩の恋人はいなくなっちまったんだってさ、それも家に砂だけ残して」

 

 サニーは自分の周りの人たちを守りたい、と思っていた。母親、ケルにオーブリー、バジル、ヒロ、そしてその家族。何体いるかも分からない怪物から町全体を守り通すことはできない、と理解していた。それでもやはりこうして犠牲者の話を聞くと胸が痛くなるものだ。サニーはソファの端を軽く握りしめながら写真に写るマリの姿を見つめた。

 

「お、サニーすげー!スマートブレイン社の商品もってんじゃん!」

「!!」

 

 ケルは本当に目がいい。サニーがタンスの下に隠していたアタッシュケースを引っ張り出すと光の速さで開けて中を見た。

 

「カメラに携帯、それと…ベルト…?なんだこれ、こんなもん何に使うんだ…?」

「…ケル…」

 

 アタッシュケースの蓋を掴んでバタン!と強く閉じるサニー。指が挟まれる寸でのところでケルは手を引いた。

 

「さ、さにー…?」

「人のものを勝手に見ちゃダメ、わかった?」

「は、はい…」

 

 かつてない威圧的なサニーの態度にケルは思わず小さく身を引いた。明らかに怒気と威嚇を孕んだ表情を見て、ケルの本能がこのままではヤバイ、と警告を発している。

 いつものお得意の話題ずらしでお茶を濁す作戦に出たようだ。

 

「そ、そういえばサニー…うちのキャプテンがまたお前にヘルプだしてたぞ…?」

「…」

 

 サニーの運動神経の良さは学年内でも有名になるほどのものだった。

 クラブには入っていないものの、特に球技においてはプロも顔負けの活躍を見せていた。そのためケルの所属するバスケットボールクラブも度々彼の助けを必要としており、その度にサニーは断ることができずに協力する形となっていた。

 

「ほ、ほら夏休み中に大会があるからさ…」

「…いいよ、昼間でしょ?」

「当たり前よ!」

 

 

 

 

  

 




『アーカイブ№2』

【砂】
⇒さらさらしている、粒は細かいようだ。失踪者の自宅で見つかった。
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