OMORI×仮面ライダー555   作:ドルデダバ

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自信はない

「お、おーぶりー…?おま、なんでここに…?」

「…アンタこそなんでいるのよ」

 

 一日中サニーの家で遊び倒したケルはそろそろ日も暮れてきたので帰ろうと玄関の扉を開けた。しかしそこに立っていたのはオーブリーの姿だった。

 元々()()()()()()()()()()という言葉が似合うほどの関係だったケルとオーブリーの関係は、彼女がぐれてから()()()()だけになってしまっていた。毎度毎度仲を取り持っていたヒロが大学にいき、誰も仲裁に入らなくなったからである。

 

「俺はサニーの家に遊びに来てただけだよ、…まさかお前も遊びに?」

「はぁ…そこ退けよ」

「…なんかやだ」

「はぁ?」

「お前サニーのことイジメるつもりじゃないだろうな」

「んなことするわけないだろ!!」

 

 オーブリーは髪を染めてから町の不良たちとつるむようになった。言葉遣いも荒々しく暴力的になり、学校にくることさえも段々と少なくなりつつあった。

 ケルはそんなオーブリーを見て心配に思う気持ちもあったが、バジルに対し冷たく接するその態度が気に入らず、中々声をかけることができずにいた。

 釘バットを持ってる不良と親友を二人きりにするのは不安、いたって普通の考えであったがサニーはケルの肩に手を当てると暗に「大丈夫だ」というアイコンタクトを送った。

 

「オーブリー、中に入りなよ」

「…いたんだ」

「…サニー、ホントに大丈夫か?」

「はぁ…心配ならアンタも一緒にいればいいじゃない」

「その手があったか」

 

 ケルは目からうろこといった表情を浮かべると、一歩隣へと動いた。

 オーブリーは家の中に入ると玄関の扉をそっと閉める。

 

「昨日のことについて聞きたいんだけど」

「…」

 

 オーブリーが遅かれ早かれ自分の元へと尋ねてくることはわかっていた。

 事情を聴かれれば嘘を吐くわけにはいかない、自分は嘘をうまくつけるような器用な人間でないことはサニー自身が一番理解していた。

 ただケルがいたことは少々想定外だった。サニーはケルを一瞥すると意を決したように軽く息を吐いた。

 

「マリは生きてる」

「「ッ!!」」

 

 昨日見たものは全て現実だった。オーブリーは衝撃でほんの数秒硬直したがすぐにズカズカとサニーのもとへと近づき、その胸ぐらを思い切り掴んだ。

 ケルもあまりに突然のことに口をぱくぱくさせていたが、オーブリーがサニーに勢いよく近づいていくのを見ると、すぐにハッと冷静さを取り戻した。

 

「オーブリーやめろ!!」

「どうして今まで黙ってたんだよ!!」

 

 目に涙を蓄えながらサニーを睨みつけるオーブリー。

 サニーは抵抗するわけでも逃げようとするわけでもなくただじっと彼女の瞳を見つめていた。

 

「僕も最近知ったんだ」

「だ、だとしても…!!」

「…ごめん、でも『消えたマリは実はあの時と一切姿を変えないまま今も生きていて、その上怪物を引き連れて人を襲っている』って言っても混乱させるだけかな、って思って」

「…ッ…!!」

 

 オーブリーは何も反論することができずに泣く泣くサニーから手を離した。

 ケルはと言うとあまりに突然に告げられた内容についていけず、ただ茫然とサニーとオーブリーの顔を交互にみることしかできずにいた。

 

「さ、サニー…それってどういうことだよ、なんかのゲームの話…って訳じゃないよな」

「ケル、今言ったことは全部本当のことだよ。最近人が砂になって消えているのも多分マリの連れている怪物のせいだ」

「ぇ、え、ええ…」

 

 ケルは夢でも見ているような気分だった。

 脳内には嫌な記憶が蘇ってくる。発表会の日、マリが血を残して失踪したこと。兄であるヒロの今まで見たこともないような態度、「マリはきっと生きてる」「きっとどこかで必ず生きてる」ヒロを元気づけるためにいったあの言葉。あの頃はなんの疑問もなく純粋な気持ちで言えたが、今となっては現実的でない言葉であったと思える。

 強盗に襲われてマリは誘拐された。誰が口にしたわけでもないがそれは彼らの中の共通認識となっていた。

 そんなマリが生きていた!でも人を襲っているらしい…ケルは喜べばいいのかも悲しめばいいのかも驚けばいいのかも分からず、酷く混乱していた。

 

「…あの白い怪物…あれはなんなの…?」

「分からない、わかっているのは人を襲うこと、襲われた人は砂になって死ぬこと、逆に奴らを倒すと砂になること、」

「…!!」

「し、しぬって…」

 

 なんとなくは理解していたがそれでも敢えて考えない様にしていたことを無理矢理見せつけられた気分だった。

 失踪した人間の痕跡、その砂は彼ら自身が姿を変えたものだったのだ。

 血の気を引かせるケルを横目にオーブリーはほんの少し迷う様に視線を動かした後震える声を零した。

 

「あ、アンタも…その怪物、なの…?」

「オーブリーお前なにいってんだ…!?」

 

 ケルは未だに状況についていけずにいた。百歩譲ってマリが生きていたことは納得するとして、いきなり怪物なんていう絵空事の話をされて理解しろと言う方が無理がある話なのだ。話したところで混乱するだけ、まさにサニーの読みは的中していた。

 

「違う…少なくとも今のところは…」

 

 サニーは自信なさげに答えた。オーブリーはそんな彼の表情を見つめる。

 そういえばそうだった。コイツは他人を襲うような人間じゃない。昨日だって自分のことを救ってくれた優しい人だ。不器用だけど、だからこそ人を傷つけることを望むような性格じゃない。

 

「…わかった、」

 

 オーブリーは納得したように小さく頷いた。

 

「わ、わかったって…なにがわかったんだよ!!俺はなぁんにもわかってねーよ!!」

 

 1人置いてけぼりのケルはオーブリーの肩を掴んでガシガシと前後に揺らす。無言でオーブリーはケルの頭上に拳を打ち込んだ。

 

 

 

 




『アーカイブ№3』

【壊れたバイオリン】
このままではひけない。

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