人口の8割が超能力のような「個性」を持つようになった世界。「個性」を悪用するヴィランが現れ、それを取り締まるヒーローが現れた。たちまちヒーローは人気になり、ヒーローが人気の職業になってしまった世界線。
僕こと花はヒーローを目指すことなく、義理の親の元でヒキニートしていた。
いつものように、家に引きこもってぐうたらしていたところに義母がやってきた。
曰く、家に引きこもってないでヒーロー育成学校である、雄英高校に行く気はないからしい。
「雄英高校に行く気はあるかって?僕にはないけど?」
「行く気があるか聞いただけです。元より花に拒否権はありません。特別推薦を取っておきました。行きなさい」
「ヒーローなんて、僕の柄じゃ無いんだけどな」
今の両親は二人ともトップ10に毎回名を連ねるほど高名なヒーローだ。雄英高校へのコネがあったはずだからいわゆる裏口入学というものだろう。ヒーロー育成する高校が裏口を認めるとは、なんとも不信しか残らないが、行かねばよりめんどくさいことになるのが簡単に目に浮かぶ。
「これが制服です。始業式は明日なので早く寝るように」
「あまりに急すぎないかい?」
「あなたはAクラスです。粗相のないように。では」
「まったく、僕ぐらい養えるだろうに」
言いたいことだけ言って出て行った義母に文句を言ったのち、僕はベットに入った。もう明日まで2時間しかない。つまり22時にこのことを伝えに来たのだ。もう少しこっちの身にもなってほしい。
「おはよう諸君。絶好のお昼寝日和だ。もうこれは今日サボるしかないね」
「おはよう花。サボりはよくないぞ」
「おはようございます、花。サボったらお小遣いは今後なしです」
「それは不味いね。しょうーがない、行くしかないね。」
朝の挨拶もそこそこに食事を始める。義母と義父と談笑しながら食べ終わるとそろそろ出発しないと不味い時間になってきた。少し急ぎで準備を整え、学校へ出発した。
勿論、歩きではなくバスでの移動だ。最寄りのバス停で降りた後、ふわふわ浮かびながら雄英高校正門前に着いた。雄英高校の校舎は大きく、敷地も広い。事前にもらった地図がなければ校舎内で迷子待ったなしなほどだ。しかし、そのことを学校も把握しているのか、張り紙が多くや看板が多くあり、今日に限っては迷子になることはなさそうだ。
花はふわふわ廊下を移動し、自身の教室を目指した。
教室の前まで来たがドアがあまりにも大きい。
(巨人のような個性でも入りやすいようにドアも大きいんだね)
個性のバリアフリーに感心しながら扉を開くと、
「君!机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申訳がないと思わないのか!?」
「思わねーよ!何処中だよ!端役が!」
目つきの悪い不良の様な少年と眼鏡をかけた如何にも真面目そうな少年が言い争っていた。
「やーやー。朝から元気だね少年たち。何かの催しごとかい?私も混ぜてくれたまえ」
勿論、楽しそうだったので絡みに行った。
「あ!?うるせー真っ白女!端役なら端役らしく隅っこにでもいやがれ!」
「おっと、怒らせてしまったかな、退散退散」
「君は煽るためだけに来たのかい!?ヒーローを目指すものとしてどうなんだい?!」
花が割り込んでいったことで口論がよりヒートアップしていった。
不良君を煽っている僕をみてモサモサした髪の地味な生徒は驚いた顔をしていた。
口論をしているうちに朝のHRの時間だ。
「お友達ごっこがしたいなら余所へ行け。ここは・・・ヒーロー科だぞ」
寝袋に入ったまま立ち上がった不審者がゼリーを飲みながら、そう言い切った。
あまりにも教師にしては不自然な人物の登場に教室は静謐に満ちた。
「はい、静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠けるね・・・。担任の相澤消太だよろしくね」
生徒たちが黙っているが、(この人が担任!?)という心の声が聞こえてきそうである。花もさすがに驚いた。飲んでいるゼリーがINゼリーではなくて一日分のビタミンだったことに。
「早速だが、体操服きてグランドにでろ」
戸惑う生徒たちを残し、言葉通りグランドへ向かっていった。生徒たちも慌てて更衣室に向かう。時間に厳しそうな先生だったためか生徒たちが大急ぎで着替えるため着替えを堪能する時間がなかった。
着替え終わった生徒たちがすぐにグランドに向かって行ってしまったため、仕方なく、最後尾についていった。
「揃ったな、これから個性把握テストを行う」
「えぇ!?入学式は!?ガイダンスは!?」
いきなりの発言に生徒たちがざわめく。花以外の皆の心の内を代弁した疑問を代弁して少女が疑問を投げかけるが相澤はそんな悠長な時間は無いを言い切った。
「ボール投げ、立ち幅跳び、50M走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座大前屈。中学の頃からやっているだろ?個性禁止の体力テスト・・・合理的じゃない、爆轟、中学の時、ボール投げ何Mだった?」
さっきまで口論していた不良の様な少年は「67M」と簡潔に答えた。相澤は彼にボールを渡す。
「じゃあ、個性在りでやってみろ。円からでなければ何をしてもいい。思いっきりな」
爆轟は腕のストレッチをした後、大きく振りかぶった。
「死ねぇぇ!!!」
と叫びながら投げる。投げた瞬間大きな爆発音が響いた。あたりには砂塵が舞、ボールは見えなくなるほど飛んで行った。しばらくした後、相澤が持っている機械に{705M}と記録が表示された。
生徒たちはからは歓声と楽しげな声が聞こえる。皆、個性を思いっきり使えることに「面白そう」と声を上げた。
「・・・面白そう・・・か。ヒーローになる三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのか?・・・よし、トータル成績最下位異の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう。生徒を如何するかは教師の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
にやりと笑いながら相澤は凄む。生徒たちは反論しようとするが
「君が除籍処分してくれるのかい!?感謝感謝だよ!これで引きこもりに戻れる!」
その言葉でグランドに静寂が満ちた。
「ん?私、変なこと言ったかな?」