(・x・)ヤッテヤッタゼ!
必要があったら後々修正します。
クッパ城、上空。
いつものようにピーチ姫がクッパに攫われ、いつものようにマリオとルイージがクッパ城に乗り込む。
いつものように上層のクッパを追い詰め、いつもの戦艦に飛び乗ったクッパを追いかけてそこに囚われているピーチ姫を助けに行く。
「追い詰めたぞ、クッパ」
「いい加減鬱陶しいぞ、マリオ」
いつもの決戦。
威厳を保ちつつもどこか消耗しつつあるクッパに決定打を放ち、ブリッジ上空のカゴに囚われているピーチ姫を救う。
「お、おい。ブラザー、あれ……」
だが今回は違う。
「なんだルイージ。今盛り上がっているところだ……ぞ?」
「な、なんだあれは?」
唐突に、ピーチ姫を捕らえるカゴの真上から青いブラックホールが現れた。
そのブラックホールはみるみるうちに大きくなり、あっという間に戦艦を超える大きさになってしまった。
「あれは、異世界への門?!」
「し、知っているのかピーチ姫?!」
まともに会話できたのはそこまで。
異世界への門らしいブラックホールが、その場にあるものすべてを吸い込み始めたのだ。
「きゃあ?!」
「ピーチ姫!」
「待てブラザー! 俺達もすいこまれ──っ?!」
「ぐ、おのれぇ!」
カゴのピーチ姫も、その真下で戦っていたマリオとルイージも、その敵であるクッパも、戦艦に搭乗していたクッパ軍団も、そもそもその戦艦や下のクッパ城そのものも。
ぜんぶぜんぶぜんぶ、異世界への門に吸い込まれてしまった。
◆
「ん、あ──ここは?」
異世界への門に吸い込まれた先。
そこには、どこまでも続く広い草原があった。
「キノコ王国じゃない……?」
そこでマリオは、はっとした。
ピーチ姫はどこか?
「ん、ん──ブラザー?」
「ルイージ! 大丈夫か?」
「あ、あぁ。なんとかな」
マリオが見る限り、周りにルイージ以外の人影はない。
ピーチ姫やクッパ達とははぐれてしまったようだ。
「おい、ブラザー。あれを見ろ! ……誰かが、ドラゴンと戦っている」
「ありゃぁ……剣と、魔法?!」
青い光で周囲を照らし、螺旋を描くように強烈なエネルギーを放つ青の魔法。
あんな魔法、キノコ王国では見たことがない。
いや、そもそもあの時ピーチ姫は「異世界への門」と言っていた。
その異世界への門に吸い込まれて、ここで目覚めたのだ。
おのずと自分たちがどんな状況に陥っているのか、すぐに理解できた。
「本当に、キノコ王国じゃない異世界ってわけか。それも剣と魔法のファンタジー世界だなこりゃ」
「キノコワールドネットで流行っている異世界トリップって奴か。まさか俺達が経験できるとは思わなかった」
つまりまた、冒険の旅に出かけなければならなくなったということ。
いつものピーチ姫救出作戦の筈が、なんだか面倒なことになってしまった。
だが心なしか、マリオもルイージもワクワクしてしまう。
未知の世界とは、冒険家にとって宝の山なのだ。
「なぁルイージ。その異世界トリップ、俺達の場合割といつものことな気がするぞ」
「言うなブラザー」
◆
「──っ! 大丈夫かみんな?!」
「今ので最後の魔法よ──でも、こいつには効かないみたい……!」
「私の治癒術も底が尽きました……」
ドラゴンが吠える。
それに対して、冒険者達は打てる手がない。
剣と盾を構える男は気力が尽き、魔法使いと僧侶の少女も魔力・リソースが切れた。
彼らにドラゴンを討つ手段は残されていない。
「あの高さじゃ剣は届かない……ここまでなのか?!」
「そうとも限らないぜ?」
だがここには、マリオがいる。
「イーヤッフー!」
『っ?!』
まずその大きな跳躍力を以てドラゴンの頭上を陣取り、その頭を強く踏みつける。
その衝撃で、ドラゴンは地面に落ちる。
『……グゥ!』
「よそ見してる場合じゃないぜ、ドラゴンさんよ」
『ギ──?!』
叩き落とされ、けれどもマリオを見据えながら立ち上がろうとするドラゴン。
その横っ面に、ルイージの強烈な地獄突きが突き刺さる。
「そんで、こいつでトドメだ!」
『──ガ、ァ』
ルイージの地獄突きで怯んだところを、マリオの強力なメテオナックルが叩きこまれる。
その一撃を以て、ドラゴンはその場に倒れ伏す。
「すごい……武器も、魔法もなしに…………ドラゴンを倒した?!」
その場面を目撃した三人の冒険者は、驚くしかない。
このドラゴンは、それほどまでの強敵だった。
「やれやれ、この感じだと今回もどっかしらでハンマーを調達した方がいいかな?」
「今回のはそこそこ消耗してたってのもあるし、そうするのが無難だろ。全部が全部ジャンプや素手で何とかなるわけでもないし」
「だな」
だが、マリオとルイージにとってはこんな相手は敵のうちに入らない。
いくらか消耗していたとはいえ、対処は容易であった。
「まぁそれはそれとして……そこの三人、ケガはないか?」
「いきなりで悪いんだが、俺達実は迷子でな。恩を着せるようだが、ここについて色々教えてくれると助かる」
◆
ドラゴンから助けた三人の冒険者は、気前よくこの世界についての色々を教えてくれた。
その延長線上で近くにあった『最初の街』にまで案内してくれ、しかもマリオ達が一文無しだと気づくといくらかの路銀も分けてくれた。
最初の街に着いた後は、消耗している彼らを診療所に送り届けて別れた。
流石に疲れているところをこれ以上酷使するつもりにはなれなかった。
「すっげぇ……」
「まさにファンタジーの世界だなこりゃ。こんな景色、映画の中でしか見たことないぜ」
木組みとレンガの家がどこまでも続き、活気がある露店通りには絵画のような石畳みがどこまでも広がる最初の街。
一番上の方を見やれば、白い壁と赤い旗が特徴の煌びやかな王城すら見える。
即ちここは国の首都でもあるということであり、だから街を行き交う町民や旅人の往来は多く、大通りを行く商人の馬車や荷物を管理する倉庫の数も多い。
そういう場合ではないとわかっているが、しかしこの祭りのような喧噪が見ていて気持ちよくて、とてもわくわくするのだ。
「で、ここが冒険者ギルドか」
露店の向こうにある酒場や宿屋などを通り過ぎた先に、一際大きな建物がある。
そこが、助けた冒険者達が教えてくれた『冒険者ギルド』であった。
「早速登録しますか」
「だな」
冒険者ギルドでは、各地で活動する魔物の情報や金になる退治依頼の話が四六時中飛び交うのだという。
場合によっては失せもの探しや世界の神秘について探る依頼などもあり、何かと情報が集まりやすい。
これはマリオブラザーズにとってすごく有利な話である。
マリオ達なら腕っぷし一つで路銀を稼げるし、運が良ければキノコ王国に帰る手段やはぐれてしまったピーチ姫の情報が手に入るかもしれないのだ。
そう思って、すぐ登録手続きを済ませた。
「ブラザー、これを見てみろ」
「ん、魔物の退治依頼書か」
登録手続きを済ませた後、早速情報を探ることにした。
そこで、張り出されている依頼書に違和感を覚えた。
「ベテランの冒険者や精鋭の王国騎士が苦戦する、新種の魔物ね」
「いやそっちじゃなくて、下の人相書き」
「魔物の人相書き────いやこれパックンフラワーじゃねぇか!」
何故か、パックンフラワーの退治依頼書がそこに張り出されていたのだ。
「おい、西の村で大量発生している新種のキノコ魔物──これどーみてもクリボーだぞ」
「正面で睨むと顔を隠す癖に、背を向くと這い寄る幽霊──間違いなくテレサだな」
「森に潜む丸眼鏡をかけた魔女とか、これ絶対カメックだろ」
ゴブリンとかオークとか、そんな定番の魔物の退治依頼書が並ぶ中。
見慣れた姿の連中が新種として紹介されているところを見ると、そりゃすごく違和感を覚える。
どうやらマリオブラザーズとそれ以外とでは、この異世界に訪れたタイミングが異なるらしい。
だからか、この世界でもクッパ軍団は悪事をやっている奴らとして認識されているようだ。
ともあれマリオ達としては慣れた相手だが、この世界の人達にとっては未知の脅威で対応策もないからかなり危険な存在だというのだろう。
が、マリオとしては正直なところなんだかなーって感じがした。
「とりあえず、こいつらの退治をやっていこうぜ。もしかしたら、ピーチ姫はまだ連中のところにいるかもしれないし」
「だな。報酬も気持ち割高だし、やってやろーか。…………それにしても世間って狭いなー」
◆
それからしばらくした後。
各地で冒険しつつ色々情報を探っていると、ついにクッパの居所を掴んだ。
というか、あの異世界への門で吸い込まれたクッパ城をそのまま使っていたらしい。
早速火山の頂上に乗っかっていたクッパ城に乗り込んで、中にいるクッパと再会した。
案の定、ピーチ姫もそこにいた。
無論当然、仲良く情報交換というわけにはいかない。
城内でクッパと出会った瞬間、バトルになる。
が、まぁ。
冒険者ギルドで稼いだ金で買ったハンマーとか回復ポーションとか、各地で習得した炎の力や雷の魔法とかを使って、クッパを気絶寸前にまで追い詰めることができた。
後は、ピーチ姫を今度こそ救出するだけだ。
『────』
「ブラザー……」
「ああ。こいつは、最高にやばい」
「俺達がクッパを吹っ飛ばしたのを勝機と見て来たんだろうが……最悪だな」
だがそこで、乱入者が現れた。
今までの冒険で色々情報を集める間で、存在だけは知っていた。
この世界における、最高最悪の敵。
即ち「魔王」だ。
『────』
「ぐっ?!」
「ルイージ! ──くそ!」
魔王は闇の力を振るい、ルイージを一蹴する。
それは同時にマリオの方にも襲い掛かり、マリオはその回避に集中せざるを得なかった。
やはりというか、魔王は今までのどの敵よりも強大な力を持っていた。
これに打ち勝つのは、簡単ではない。
「グォオオオオ!」
『────』
「グ、ヌゥウ?!」
クッパが炎ブレスを吐きだし、魔王にぶち当てる。
だがそれでも、魔王はびくともしない。
逆に、魔王が放つ闇のオーラでクッパを吹き飛ばしてしまう。
「ちくしょう──!」
「ム」
とっさに、両手からあふれ出る炎の力をクッパの背中の甲羅にぶち当てて、クッパの吹き飛ぶ勢いを減衰させる。
この力は、いつものファイアフラワーで使えるようになるファイアボールとは異なり、魔力こそ消費するがフラワーなしで使える上に高い威力を誇る魔法だ。
だが頑丈な甲羅に当てたためクッパに炎のダメージはなく、むしろ吹っ飛ぶ勢いを減衰させる形となりクッパは華麗に着地して見せた。
「マリオ、今のは……」
「勘違いするなよクッパ。今はお前より、アイツの方が厄介ってだけだ」
「……ふん。その言葉、そっくりそのままキサマに返してやる」
マリオとクッパ。
普段なら絶対に相容れない存在が、ここに足並みを揃える。
「まさかまさかの共闘ってわけか」
「ルイージ」
魔王に吹っ飛ばされたルイージの方を見やると、親指を立てるサムズアップを返してきた。
後ろに転がっている回復ポーションの空瓶を見る限り、彼も大丈夫そうだ。
これで、マリオブラザーズとクッパの共闘体制ができあがった。
『────』
魔王はカゴに閉じ込められているピーチ姫を持ち上げ、そして同時にいつか見た青いブラックホールを作り出した。
異世界への門だ。
「あいつ、何をする気だ?」
「ピーチ姫はその身に特別な魔力を持っておる。恐らく奴の狙いはそれだ」
「ん? クッパ、お前知っているのか」
「ピーチ姫本人がそう言っていた。……そもそも奴がピーチ姫をこの世界に引きずり込んだ、ともな。ワガハイ達はそれに巻き込まれただけだ」
魔王が作り出した異世界への門は最初の時とは比べ物にならないほど大きくなり、クッパ城の天井をぶち破る。
最終的に、この異世界の空そのものを覆いつくすまでに至る。
いよいよもって、キノコ王国に帰るとか、ピーチ姫を助け出すとかじゃ済まない規模の話になってきた。
あれは、あの魔王は、なんとしてでも倒さなければならない。
でなければ、世界が滅びる。
「ワガハイを差し置いてピーチ姫を狙う者を許すわけにいかぬ。業腹だが、手を貸してもらうぞ。マリオ、ルイージ!」
「クッパにしてはいい言葉だ。さっさとあいつを倒してしまおう」
「ピーチ姫を助けたらさっきの続きだがな」
「上等だ」
◆
あれから、いろいろあった。
結局その場では魔王を倒すことができず、むしろ魔王が呼び出した異世界への門で手痛いカウンターを食らった。
その異世界への門の余波でクッパ城周辺は世界の終わりのような様相になり、クッパ城と一緒に異世界に引きずり込まれた例の戦艦で脱出することになった。
ひとまずその戦艦でその無事な地域にまで撤退してから、クッパとその軍団と一緒に城塞都市を築いて、魔王に対して備えた。
各地で魔王の手下達が現れて何かしらの悪事や工作を為そうとすれば、その都度マリオとルイージがその手下をやっつけて。
一方で城塞都市にこもるクッパとその軍団は、魔王の力と軍から避難してきた難民を護る役割を請け負った。
その戦いの最中、魔王に対抗する力を入手。
それを好機と見たクッパは例の戦艦を持ち出し、マリオ・ルイージ・クッパ軍団の一部精鋭を乗せて魔王の居所へ突入する。
突入作戦時の戦いは苛烈を極めたが、最終的にマリオ・ルイージ・クッパはピーチ姫を捕らえた魔王のもとにたどり着き。
ピーチ姫の魔力を用いて世界を滅ぼそうとする魔王を、今度こそ打ち倒した。
「……」
「……」
後は、ピーチ姫を救出するだけ。
ピーチ姫の特別な魔法ならば、異世界同士の行き来ができる。
本来はそう簡単に使っていい魔法ではないらしいが、元の世界に戻る分には例外だ。
やっとキノコ王国に帰ることができる。
だがその前に、最後の決着をつけなければならない。
「やはり、こうなったな」
「まぁな。……ルイージ」
「わかってる。ピーチ姫はこっちで介抱すっから、ブラザーはクッパを頼む」
マリオとクッパは、気絶したピーチ姫と介抱するルイージから離れた位置に移動する。
先の戦いで消耗したルイージはもちろん、それ以上にピーチ姫を危険にさらさないためだ。
「一応聞いておく。止まる気はないな?」
「当然だ。ワガハイは今度こそピーチ姫を手中に収め、キノコ王国だけでなくこの世界をも征服する」
「させるかよ。ピーチ姫も、キノコ王国も、この世界も、お前の好きにはさせねぇ!」
「ふん、それでこそキサマだ」
今、クッパが築いた城塞都市には魔王によって滅んだ国の難民がたくさんいる。
さっきまでは緊急事態だったから彼らの護りをクッパに任せていたし、そういう時のクッパは信頼できるとして信じた。
事実、クッパは迎え入れた難民を決して死なせなかったし奴隷のような扱いなどしなかった。
だが当面の敵である魔王が消えた今、今度はクッパこそが世界を危機に陥れる『大魔王』となる。
先の魔王のように世界を滅ぼしはしないだろう。
征服した国に対しても、征服した後は難民達を護り切った姿に違わない、良き王となるだろう。
しかし、このまま難民や他の国の民をクッパ軍団として取り込みなどさせてしまえば、それは間違いなくピーチ姫やキノコ王国の脅威となる。
それは同時に、この異世界の在り方がクッパという部外者によって大きく歪むことにも繋がる。
彼ら難民は、元の国に返して復興の道を歩むか、もしくはこの世界の別の国で新しい道を歩むか、そのどちらかに行くのが筋である。
その道を阻むクッパの蛮行を、決して見逃すべきではないのだ。
「だから」
「故に」
それに、なにより。
今回の冒険では、まだ一度足りともクッパとの勝負にケリがついていない。
であるならば。
最後の最後。
すべてを終えたこの時にこそ。
こうしてぶつかるのは、運命であったのだろう。
「お前の野望を今度こそ砕いてやる! クッパ!」
「キサマはここで滅んでいけ! マリオ!」
もし続くとしたら冒険者ギルドに登録したあたりから再スタート。
なんかよくわからんアイテムを七つか八つ集めながら途中でクッパと合流して魔王と戦う感じになります。
なお魔王を倒した後に現れる真のラスボスが誰かは、本編の通りです。