→宣言通り冒険者ギルドに登録した後から再スタート
・全部で8章(+α)構成の予定
→不定期更新のつもりなのでそこんとこよろくし
→ちなみに予定通りなら6章と7章の間に番外編が入る
・序盤3章こと「冒険者ギルド編」は基本一話完結の短編仕様です
→なのでところどころダイジェスト仕様でありんす
◆
あらすじ
まさかまさかの異世界トリップを果たしてしまったマリオとルイージ。
いつの間にかはぐれてしまったピーチ姫を探す道中で、とりあえずの路銀稼ぎと情報収集の拠点として冒険者ギルドに登録する。
果たしてそこで見つけたのは、クリボーやノコノコをはじめとする見知った奴らの退治依頼書だった。
◆
「オスカー村?」
「ああ、その村が今回の依頼者だ」
「依頼……確か、クリボーたちに悩まされているって話だったよな」
異世界トリップしてからそこそこ経った日。
マリオ達はただっぴろい草原の道を歩いていた。
今回の仕事場であるオスカー村に向かうためだ。
「厳密には、正体不明の新種モンスターに「星石」を奪われたから、それを取り返すって話だぜブラザー」
「せいせき?」
「そう、「星石」だ。どうも村ぐるみで大切に保管していた宝石らしい。何でも来るべき時まで持ち出してはならんという掟すらあるとか」
「ほーん。なるほろねー」
そうしていると、街道の向こうがうるさくなってきた。
どうやら争いが起きているようだ。
「魔物同士の争いか。片方の群れは……確かゴブリンって言ってたな」
「で、もう片方は魔物……じゃなくて、クリボー達か。こうしてみるとすっごいシュールだなぁ」
「文字通り世界観が違うからな。さすが異世界トリップ」
優勢なのはクリボーの方だ。
ゴブリンは比較的小柄で、だからこそ斧などの武器を使いこなす魔物だ。
が、その程度ではクリボーのぷよぷよの体を切り裂けない。
彼らは上からの衝撃には弱くても真正面や横からの衝撃にはそこそこ強いのだ。
「ゴブリンどもが撤退してく」
「そりゃそうだ。あの数だぜ」
そして何より、なんだかクリボーの数が多い。
そりゃゴブリンどもが負けるわけである。
『マリオだマリオだ』
『ルイージもいる。にっくき緑のヒゲもいる』
「ところでブラザー」
「わかってる。……あいつらこっちに来てんな」
ともすれば、この草原を埋め尽くす勢いで数がいる。
これと真正面からぶつかれば、たちどころにコテンパンにされるだろう。
『やっちまえ! この数ならおれたちゃ無敵だー!』
「よし、俺達も逃げるぞ! この数は無理だ」
「了解だ、ブラザー」
◆
「うおー、着いた着いた」
「なんとかクリボーどもをまけてよかった。……とりあえず、依頼について話を聞かないとな」
「こういう時はまず村長を探すのが定番だ。早速探そうぜ」
オスカー村は、よくある農村だ。
とにかく麦畑が水平線に差し掛かる勢いで広がっていて、その中心地に建物がぽつぽつとある感じだ。
黄金色に輝く麦畑から、草木の瑞々しい匂いが色濃く漂ってくる。
この辺りを治める領主の城が遠くに見えるが、麦畑の向こうにあるせいかすごく牧歌的に見える。
それを尻目に、畑の中を縫うようにあるその小道を通って村の中心に入っていく。
「お待ちしておりました。私がこの村の長です。……ギルドの冒険者様ですね?」
「ああ、ギルドに張り出されてた依頼書の件で来た」
で、結論から言うと村長はすぐ見つかった。
ギルドから貰った依頼書を見せるとすぐ奥の部屋に通され、すぐ話に入ることができた。
「一月ほど前でしょうか。ゴブリンの集団が現れましての、一時期村は騒ぎました」
「ゴブリン? 確かここに来る前にも見かけたな」
「すぐクリボーどもにしてやられてたけどな」
「……その通り。すぐゴブリンどもはその『くりぼぉ』と名乗る魔物に襲撃されましての。どちらにしろ村としてはたまったものじゃありません」
補足すると、クリボーどもが現れたのは一月前とのことだが、これはマリオ達がこの世界に来た時より過去のことだ。
どうにもマリオ達とそれ以外とではこの世界に来たタイミングが異なるようだ。
「ですが結局村に被害が出ることはありませんでした。……ただ一つを除いて」
「それが依頼書に書いてある『星石』のことか」
「はい。『星石』は古くより伝わる村の秘宝……掟により、来るべき時が来るまであの祠から持ち出されることがあってはいけません」
「だから取り戻さなければならないんだな」
村の事情はおおむね把握した。
当然二人とも、これを断る手はない。
だから早速、敵となるクリボーについて聞き込みを始めることにした。
「まず、クリボーについてわかっていることを聞かせてくれ」
「いえ、私共としても初めて見る魔物故、わけがわからなくて……領主様も手を焼いておられる様子ですし」
「あーいやいや、そういうことじゃない。奴らがどこに行ったかとか、拠点とかがわかっているかどうかを聞きたいんだ」
「……よもや、いきなり洞窟を襲撃なされるおつもりですか?!」
どうやら話しぶりからして、相手の拠点がわかっているようだ。
すぐさまその場所を聞き出そうとするが、村長は「とんでもない」と引き留めてきた。
「彼らは危険です! 私たちの護身武器はおろかゴブリンどもの斧すら弾いて見せたのですぞ!」
「あーそりゃ横からには強いからなぁあいつら」
「それに、あの王冠を被った奴には誰もかないません。村一番の力自慢ですら、真正面から吹っ飛ばされました。もし次に村に来た時が不安で仕方ないのです」
「王冠……クリキングだな」
「……知っているのですか?」
「知っているも何も、何回か倒してきたからな俺ら」
「なんと?!」
だが何回か、クリボーたちのボス『クリキング』を何度も倒してきたことを伝えると、村長の態度は一変した。
「あいつらは俺達の故郷じゃよく出てくる奴らでな、当然弱点も知っている」
「頭だ。あいつらは上から頭を踏みつければ、すぐ倒れる。これを村の人たちに周知させるんだ。そうしたら少しはやりようがあるんじゃないか?」
「なるほど……正面から戦うのではなく、屋根か何かに男衆を集めさせてジャンプさせて踏みつけさせれば、もし奴らが来ても村の防衛ができる!」
「そんで、俺達は人一倍ジャンプ力が高い。真正面から対峙したとして、すぐ奴らの頭上にたどり着くぜ」
そしてクリボーを倒す手段があることを伝えれば、村長は一転して快くクリボーたちの拠点の位置を教えてくれた。
曰く村一番の狩人が探し当てたものであり、情報の信憑性は高いとのことだ。
後は、その洞窟に突撃してクリボー達とクリキングから『星石』を取り戻すだけだ。
「待てブラザー。まだ問題がある。今回のクリボーども、やけに数が多かった。いくらジャンプで倒せるっつったって、限度があるぜ」
「ああ、わかってる。……そういう時のために、あえて温存していた切り札がある。それで攻略するぞ」
「切り札?」
◆
クリボーどもの拠点は、村はずれの洞窟にある。
早速そこへ赴き、奥に入り込んでいく。
「早速問題の数だぜブラザー」
「ああ。……改めてみるとほんとすごい数だな」
その大広間には、大量のクリボーがうごめいていた。
クリボーは基本的に頭上を踏みつけることで倒せるが、流石にこの数を踏みつけていくのは手間だし危険だ。
「じゃあ、こちらも早速切り札を切るか」
「さっきブラザーが言ってたやつだな────え、ファイアフラワー?!」
それに対して取り出したのは、二人分のファイアフラワー。
クリボーに有効な「ファイアボール」を繰り出せるようになるアイテムだが、基本的にはキノコ王国とかにしかない花だ。
この異世界では入手しようのない代物なのだが、今回は助っ人の力を借りることで入手できた。
「最初の街で異世界トリップに巻き込まれたキノピオの一人と合流してな。そのキノピオがこのファイアフラワーを持っていたから分けてもらったんだ」
「キノピオ? ……え、俺そんなの知らないんだけど」
「いや、実はルイージも会っているぞ? キノピオの帽子も服も脱いでいる上に、筋肉隆々で「親方様ぁー!」と土建屋のおっちゃんと殴り合ってただけで」
「待て、いろいろ濃すぎないかそのキノピオ」
「確か、真田キノ村って名前だったっけ」などと続けつつも、ファイアフラワーを使用。
すぐさま二人とも帽子やツナギの色がファイア仕様に変わり、力も湧き出るようになる。
「それじゃ、ルイージ。ファイアボールを用意しろ。これでクリボーどもを片づけるぞ」
「色々釈然としないが……了解だ、ブラザー」
◆
ファイアボールを用意してからは早かった。
まず大量のクリボー軍団を吹っ飛ばして、そうしたらすぐに奴らのボスであるクリキングが現れた。
クリキングに対してはファイアボールでは倒しきれず、その巨体を活かした突進でファイアフラワーの力を剝がされてしまう。
二人してファイアボールを出せず、ジャンプで弱点である頭上を陣取ろうにも巨体のせいで届かない。
そこでルイージがブラザーアクションの合図を出したので、マリオは言われるがままに両手で踏み台を作り、ルイージがそこに足を乗せる。
そのまま両手で勢いよくルイージを持ち上げて大きく跳躍させ、そうしてようやくクリキングに決定打を与えることができた。
後は、目を回しているクリキングに『星石』のことを聞き出すだけ。
『──!』
『────!』
そのタイミングで邪魔が入った。
ゴブリンどもだ。
「あいつは……」
「……ゴブリンどものボス、か?」
その中でも一体、一際大きな斧を構えたゴブリンがいた。
「オレの名はウルフリック。魔王様の命にて、『星石』の回収に来タ。素直に出せば、命は奪わナイ」
「魔王……?」
「いやそれより『星石』と言ったか? ゴブリンもそれが狙いなのか?」
どうやら、ゴブリンのボス『ウルフリック』も『星石』を狙っているらしい。
道理で実際に『星石』を奪ったクリボーと敵対していたわけだ。
「出さヌなら……ここで滅べェ!」
「っ……あいつ?!」
「魔術で、斧に炎を纏わせた?!」
ウルフリックが魔術を発現し、構えている斧に炎が纏う。
その斧を振るい、残っていたクリボーたちはもちろんクリキングも容易く吹っ飛ばしてしまう。
クリボーたちは炎に弱い。
クリキングだって、ある程度は耐えれるだけで完全な耐性があるわけではないのだ。
「ブラザー、フラワーはもうないのか。ありゃ、ジャンプで何とかなる相手じゃなさそうだぜ」
「さっきの二つで品切れだ。キノコ王国だったらその辺なんとかなるんだろうが……」
「異世界じゃそういうわけにもいかないか」
吹っ飛んだクリキングから飛び出した『星石』を、ウルフリックが奪い去る。
この状況では、それを指をくわえて見る以外にできることがない。
クリボーのようにジャンプで踏みつけて何とかなるような相手ではないのは、試すまでもなく察せる。
そのうえで炎をまき散らす斧を振り回されたら、もうそれだけで脅威だ。
これと対応するなら、少なくともファイアボールのような武器が欲しいところだ。
「ちくしょー。スマブラ補正かハンドの力が残っていれば、もうちっと効率的に炎を出せるんだが……」
「ハンドとかなつかしーな。結局俺も、サンダーハンド使えなくなったんだよな……」
「──ってぼやいてる場合じゃねぇか。とにかく撤退だ!」
◆
「ここまで来れば、もう追ってこないか」
「ゴブリン達の狙いはあくまで『星石』だ。それを手にした以上、俺達に構うこともないんだろ」
とりあえずウルフリックやゴブリンがひしめく大広間から撤退し、静かな場所にまで退くことができた。
これでひとまずは安心だろう。
「ところでブラザー」
「なんだルイージ?」
「ここって……洞窟のどこらへんよ?」
その代わり、迷子になってしまった。
「え、入り口の方向に逃げてきたはずだぞ?」
「逃げるのに必死で、知らんうちに分かれ道に入り込んでしまったかもな」
「やべぇぞ、こうなったらどこが入口の方かわからなくなっちまう…………!」
右を見ても左を見ても薄暗い洞窟の通路が続く。
正直どっちが来た道かもわからなくなってしまった。
「おい嘘だろ、こんなところで干からびてしまうのか……!」
「いや、それどころじゃないかもしれねぇぞブラザー」
『グ、ギギ』
『シンニュウシャ、ハイジョスル』
するや否や、ゴーレム軍団が現れた。
「うぎゃぁー! またジャンプで倒せなさそーなやつぅー!」
「なんならファイアボールもダメそうだ! 逃げるしかねぇ!」
すぐさま足を回してゴーレム軍団から逃げる。
もう方向とか関係なく、ぐるぐるぐるぐる足を回して洞窟中を駆け巡る。
「うぎゃぁー! 今度はでっけぇクモの化け物だぁー!」
「なんだよこの洞窟、バケモンばっかかよ!」
すぐさま足を回して巨大クモから逃げる。
もう方向とか関係なく、ぐるぐるぐるぐる足を回して洞窟中を駆け巡る。
「うぎゃぁぁぁぁ! チョロボンの大群だぁー?!」
「無理無理無理無理! こんなのテレサの方がマシだぁぁぁぁぁ!」
すぐさま足を回して洞窟を蝕むチョロボン軍団から逃げる。
もう方向とか関係なく、ぐるぐるぐるぐる足を回して洞窟中を駆け巡る。
「ぜぇ、ぜぇ……、さっきから逃げてばっかだな俺達……」
「はぁ、はぁ……。というかチョロボンまで異世界トリップしてんのな……めっちゃ鳥肌立ったぜ」
「……で、ここはどこだ?」
「……こりゃ、遺跡か?」
奥へ奥へと逃げ込んだ先は、風化した石の建物だった。
どうやらクリボーの洞窟と直結していたらしい。
『──?』
「おいみろブラザー。ゴブリンだ」
「あそこにもゴブリン、向こうの方にもゴブリン……もしかしてここが奴らの巣か?」
ゴブリンに見つかる。
すぐに槍を持ち出してくるが、すぐに踏みつけて倒す。
クリボー程踏みつけが有効というわけではないが、それでもウルフリック相手でさえなければ余裕で倒せる。
『──っ…………!』
「なぁ、ルイージ」
「あぁ、明らかに守っているな。あの扉」
ゴブリン達の防衛を軽々突破して、遺跡の奥に殴り込む。
「こりゃ、なんだ?」
「燃えてる玉、か? ……けど、魔力を感じる」
するとそこには、内に炎を宿す赤い宝玉が鎮座していた。
「なんかハンドの力を覚える宝玉を思い出すな────って、あっちぃ?!」
「大丈夫かルイージ?!」
それに触った途端、ルイージの体と赤い宝玉が共鳴して赤い粒子をまき散らす。
あまりの熱で離したルイージの手に赤い粒子が集まっていき、炎の力が宿る。
「これは……!」
「ルイージ……その力は?」
「ブラザー、これあいつが使っていた炎の力だ。俺も適応するとは思わなかったぜ」
ルイージに赤い炎の魔術の力が宿る。
それを見てピンとくる。
ウルフリックが使っていた炎の魔術。
その源泉が、クスアイランドの宝玉を思い出すこの赤い宝玉なのだろう。
あるいは、そのクスアイランドの宝玉も異世界トリップに巻き込まれていたりしてここに鎮座しているかもしんない。
「ルイージ」
「ああ、これならいける……!」
ともあれ、これで新たな武器を手に入れた形となる。
この力があれば、ウルフリックも敵ではない。
「じゃあ、リベンジといくか」
「おう!」
◆
『────!』
『──!』
「わかってイル。目的を果たしたのだ、さっさとこの拠点を引き払って飲みに行くゾ」
ゴブリンどもが巣に戻ってくる。
『星石』を携えたウルフリックもいる。
「悪いが、その予定はキャンセルだ」
「ヌッ?!」
その軍団を見た瞬間、彼らの死角からマリオが巨大ファイアボールを解き放つ。
ルイージと同様、マリオも例の赤い宝玉から炎の力を得た。
そう何度も使えるわけではないが、それでも広範囲を一気に焼き飛ばすぐらいはできるようになった。
スマブラで使うことができた最後の切り札の再現だ。
『────?』
『──っ?!』
遺跡に戻ってきたゴブリン軍団がまとめて吹っ飛んでいく。
「やってくれたナ……!」
だがウルフリックはその一撃を避けてみせた。
それからすぐウルフリックは炎の魔術を展開し、手持ちの大斧に炎を纏わせる。
「貴様らもこの遺跡の宝玉に手を付けたカ。よもや適応するとは思わなかっタガ」
「こっちもあそこからこの遺跡までつながっているとは思わなかったよ。おかげでチャンスができたぜ」
そのまま怒りを見せるウルフリックの前に姿を晒す。
さっきと違い、今なら手札がある。
一筋縄ではいかない相手ではあるが、短期決戦で決める。
「いくぞ!」
「炎の力を手にしたとしても、丸腰で何ができル!」
まずはマリオ単騎で突撃する。
当然ウルフリックは、その炎の斧で薙ぎ払おうと振りかぶる。
普通なら不利な状況だ。
「──ヌ?!」
だがマリオの背には、隠れていたルイージが放った小さいファイアボールが飛翔していた。
マリオがその場でしゃがみ込むことで、そのファイアボールはウルフリックの顔面に激突する。
不意打ち成立だ。
「おら、俺達渾身のブラザーアクションだ! 耐えれるもんなら耐えてみやがれ!」
「ヌ、オレを掴んで何ヲ──!」
怯んだウルフリックの胸元を掴み、そのままルイージの方へぶん投げる。
「うらぁぁあああ!」
「ヌ、ガァァアア?!」
そうして放った、ルイージの必殺技「ファイア昇竜拳」がウルフリックの腹にぶち当たる。
かつて多くの試合でKOを決めてきた必殺技を、さらに強化したものだ。
如何にこのウルフリックが強者と言えど、耐えられるものではない。
勝負ありだ。
時は、赤い宝玉で炎の力を得た時まで遡る。
『……さっきの力。どうやらブラザーが昔使ってたファイアハンドの要領で使えるな。今なら、あの「ファイア昇竜拳」が使えそうだ』
その際に、ルイージは一つの必殺技を会得した。
あるいは、覚えなおしたというべきか。
『ファイア昇竜拳? ……あ。スマブラで使っている上必殺技のことか! ……え、あれそういう名前だったの?』
『あの時フィギュア越しにいろんな人に技や体の動きを教えてもらって矯正したからな』
『あー……それで改名したのか』
ちなみにもとの名前は「スーパージャンプパンチ」だ。
『結局レギュレーションと魔力操作の問題で試合じゃ使えなかったが、今ならそういう縛りはない』
『だけど……あれゼロ距離で使わないとクリーンヒットしないうえ、外したら隙だらけじゃなかったっけ?』
『……残念ながらそのあたりの特性は据え置きだ。いくらか改善したとはいえ、な。だが当てれば確実だ』
『なるほど。なら、一ついい作戦がある。……最終的にそのファイア昇竜拳をあいつにぶち当てる、ブラザーアクションだ』
ともあれ、強力な武器には違いない。
だからこそ、この技を主軸としたブラザーアクションで短期決戦を挑んだのだ。
「……っと、『星石』だ。ささっと回収」
「なら撤収だ。奥からゴブリンの声が聞こえる。多分討ち漏らしだろうが、付き合ってやる必要はない」
「だな」
◆
「『星石』が報酬だぁ?!」
村に戻ると、持って帰った『星石』を渡された。
「いや、普通のお金も報酬としてもらったけど」
「そこじゃなくて、必死こいて取り戻したのになんで村の連中はそれをあっさり手放すんだ?」
「あー、それなぁ。どうにも村の掟が関係しているらしい」
「村の掟? 来るべき時が来るまで『星石』を持ち出してはならない──って奴だったか」
村長曰く『星石』はいずれ村に訪れる英雄にお渡しするものである。
そしてその英雄こそが、マリオとルイージだったとのことだ。
よくわかんね。
「ま、何にせよ貰っておこうぜ」
「ブラザー?」
「もらえるもんはもらっておくに限る。もしかしたら、なんかの役に立つかもしれねぇしな」
「ブラザーがそういうなら、そういうもんかもな」
ともあれ、これでオスカー村からの依頼は完了だ。
異世界にきてまだ慣れないうちの仕事にしては、そこそこハードだった。
だがまぁ、今までの冒険のことを考えるとまだまだ楽な方である。
さしずめウォーニングアップといったところか。
「それじゃ、最初の街に戻るかー」
「日が暮れないうちに戻れるといいが」
「日が暮れちまった時は野宿だ。今のうちに鳥か何かを狩っておかんとなー」
物語は、終わらない。
まだ、始まったばかりなのだ。
◆
「これは驚きじゃな。よもやウルフリックが敗走するとは思わなかった」
「ええ、どうやら今回の相手は一筋縄ではいかないようですねぇ」
「……負けたオレがいうのもアレだが、気を付けた方がイイ。クッパ軍とやらもそうだが、それ以上にあの二人が手強イ」
物語は、動き出す。
ちなみに今作のマリオ達は「ペーパーシリーズ」「マリルイシリーズ」の冒険をすべて経験済みの統合バージョンとして解釈してます。
→ペーパーミックスは多分、いつものようにクッパを倒してピーチ姫を助けただけ……っていう解釈になると思う。今作の場合。