マリオファンタジー   作:上代わちき

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・ちなみに七章のシナリオは、とある曲が元ネタです。
→元ネタと言っても、厳密にはその曲を聞きながら幻視したアニメをもとにシナリオを組みました。


七章前編

 

 

 

 

 

 

 

 略奪は、魔物の華。

 そう思う魔物は、少なくない。

 

 

 

 

「あ、兄貴! このままこの家が崩れちまいま──」

「うるせぇ! 黙ってお前もこの家のガキを探せ!」

 

 

 ましてや、そこに血が流れるものならば、それに勝る美酒はない。

 

 故に、魔物は皆粗暴で残忍なものだ。

 そういうものだと、親や大人達に教えられ、自らの内に宿る本能が助長する。

 

 

 

 魔物の事情を解さぬ他者の理解など、知ったことか。

 

 

 

 

「あいつだけはぶち殺す! 絶対にいい悲鳴をあげるやつなんだ、殺さないのはもったいな────っ?!」

 

 

 好きに生きて、理不尽に死ぬ。

 それは一体、どこのだれの言葉だったか。

 

 いずれにしろ、その魔物はそのように生きて死んだ。

 最後まで己の欲のまま生きて、その果てに家屋の倒壊に巻き込まれて死んだ。

 

 

 

 

 

「やっぱりおれの言ったとおりだった! 前々から思ってたんだ、兄貴はやっぱりばかだったって!」

 

 もう一匹の魔物が、その在り方を嗤う。

 はた目から見れば、やはり愚かな在り方でしかない。

 

 

 

「そんなことより、さっさと金目のもんを持ってここを出ないと! いくらあほ人間のあばら家でも、あるもんはある────っ?!」

 

 

 魔物とは、皆そういう生き物なのだ。

 

 

 

 

 

 

「なんなんだよあいつら。本当に、なんなんだ……」

「ブラザー……」

 

 

 

 二匹の魔物が崩れかけの民家に押しかけ、物色しているうちに民家の倒壊に巻き込まれる。

 その民家の子供を事前に救助したのはいいが、しかしマリオには魔物達のその様が気持ち悪くて仕方がない。

 

 

 

 生き物がどこまでも醜い欲に駆られているのが気持ち悪いのではない。

 

 魔物もまた今を生きる生物であり、一定の生存本能を持っている。

 だというのに、それを超える破壊本能と略奪本能が生存本能を塗りつぶしてそのように動いてしまうのだ。

 どこぞの誰かに言わせれば、それこそが『魔の本能』なのだろう。

 

 

 それはさながらウイルスか何かに乗っ取られる機械のようで、でもやっぱりどこまでも生き物でしかなくて。

 そのよくわからないギャップが、マリオは気持ち悪くてたまらないのだ。

 

 

 

 

「……いくぞ。ここの子供の保護はできた。なら、こんなところでぼやぼやしても仕方ねぇ」

「……ああ。この子を安全なところに連れて行こう」

 

 

 

 シン・クッパ城は三枚の壁に囲まれた城塞都市だ。

 

 内側の壁は、それがそのまま城の護りとして機能し、中間の壁は城下町を囲んで護るものとしていまだ健在だ。

 だが一番外の壁はあっさりと壊されてしまい、その壁の内側に侵入を許してしまっている。

 故に、マリオ達は逃げ遅れた難民達の救助に回っていた。

 

 

 

 

 

「おい、クッパ。一人は助けたぞ」

 

 子供を連れてシン・クッパ城に戻る。

 中は避難民ばっかりで、みんな不安に苛まれて雰囲気がどんよりしている。

 

 魔王軍が攻めてきたのだから当然だ。

 むしろ犠牲者がほとんどいないのが不幸中の幸いだろう。

 

 

 

「助かる。……これで一通りの民は揃った。そろそろ打って出る頃合いだ」

「打って出るって、どうするよ? 見た感じわらわらと魔物達が攻め込んできてるぜ。流石に多勢に無勢だ」

 

 そんな避難民の状態を見下ろす塔の上。

 そこでクッパは、難民の数が揃っていることを確信したようだ。

 

 だが、大量の敵に攻められている状況はそのままだ。

 正直旗色が良くないように思える。

 

 

 

「数が揃っているのはこちらも同じだ。……重要なのは将──すなわち、奴らを率いるリーダーを無力化することだ」

 

 しかしクッパ曰く、クッパ軍団が外に出て城を守ってくれているという。

 情勢としては、比較的互角に近い状態らしい。

 避難民という守るべきものを抱えているにもかかわらず何とかなっているのは、これが城を使った防衛戦であることとクッパの指揮がある故だ。

 

 

 

 

「奴らの、リーダー?」

「ああ。魔王か、あるいはまだ見ぬ幹部の一人か。いずれにしろ、これだけの軍勢を動かすには必ず現場で指揮を執る者が必要だ」

「魔王……」

「実際に魔王自身が指揮している可能性は少ないとみている。であれば奴の姿が見えるからな。……そうでなくとも、ワガハイ達は指揮を崩すのが目的だ。最悪、将を倒せなくともよい」

 

 そしてそれは、敵方にも同じことが言える。

 こういう数が入り乱れる戦いというのは、えてして指揮官の存在が重要なのだ。

 

 

 

「とにかくその将って奴を叩けば、あそこで群がる奴らが全員烏合の衆と化すってわけか」

「うむ……すでに奴らの本陣を偵察部隊が見つけている。キサマらはそこを強襲し、将を叩くのだ! そうすれば、残りの雑魚はワガハイの軍団が吹き飛ばす」

「なるほど、それが今回の作戦ね。やってやるよ」

 

 例によってクッパはこのまま城に残り、クリボーをはじめとする軍団達の指揮を執る。

 そうして城と避難民を守っている間、マリオブラザーズがどさくさに紛れて本陣に突っ込んで敵の指揮官を叩く。

 

 それが今回の大雑把な流れとなる。

 

 

 

 

 

「さて、と。ことが決まれば、さっさとやってしまおう! 大砲用意!」

「うぉっ?! 足元から大砲が?!」

「あの、俺達すっぽりハマったんだけど。……というか、なんとなくこの構図見覚えがあるんだけど」

 

 早速と言わんばかりにクッパが号令をかけて、マリオとルイージの足元から大砲がにゅっと現れる。

 マリオ達はそのまま大砲の中にすっぽりと入り込み、けれどもそのまま大砲は本陣の方へ照準を合わせる。

 

 言うまでもなく、そのままマリオ達を本陣の方へ吹っ飛ばす気だ。

 

 

 

「キサマらなら耐えられるだろう。と、いうわけで……発射ぁ!」

「おのれクッパぁぁああああああ!」

「化けて出てやるからなぁぁぁぁぁぁああ!」

 

 止める間もなく大砲は放たれ、マリオ達は弧を描くように空のかなたへ吹っ飛ばされた。

 いくら耐えられるとはいえ、あんまりといえばあんまりな仕打ちだ。

 

 恨みごとの一つも出るというものだ。

 

 

 

 

 

「これをいうのは中々業腹だが……頼んだぞ、マリオブラザーズ」

 

 

 

 

 

 

「ったくあのヤロウ、いくら耐えられるからって限度があるだろ」

「しかもキメ顔で「頼んだぞ、マリオブラザーズ」とかいいやがって……後で絶対シメてやる」

「いやよく聞こえたな」

 

 吹っ飛ばされた先で、うまく着地してクッパに対して悪態をつく。

 過去にもやった手法だが、だからっていきなりやられるのは頭にくる。

 

 

 

「……で、ここが魔王軍の本陣か」

「雑魚がわらわら……早速大技の出番かな」

 

 

 周りを見渡せば、雑魚魔物にたくさん囲まれていた。

 一見すごくピンチだが、しかしマリオ達には魔力こそ使うが一気に相手を薙ぎ払える大技がある。

 

 できればまだ魔力消費技を使いたくないが、ここでは使うべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

『しずまれぇぇぇえええ!』

「うぉ?!」

「な、なんだ?! 今の、雑魚どもを抑えたのか?」

 

 刹那。

 怒号が上がり、雑魚魔物達の動きを抑えた。

 

 どうやら、この魔物達を指揮する前線指揮官なのだろう。

 立派な鎧を纏う、大きな魔物が現れた。

 

 

 

 

『たった二人で陣に乗り込むとは、実に素晴らしい戦士だ! 使えない屑どもにくれてやるには、あまりにも惜しい!』

「……それはどうも」

『故に魔王様が一番槍、マキシミリアンがお相手仕る……と言いたいのだがな』

 

 

 倒すべき魔物の将であると確信して、マリオブラザーズは構える。

 それに対して鎧の魔物は二振りんp大剣を構え、マキシミリアンという名を名乗りながら紫色の魔力を出す。

 

 ……かと思えば、すぐにその大剣をしまった。

 

 

 

 どうやら、このまま戦うわけにはいかないらしい。

 

 

 

 

「んあ、なんだよ。このまま決闘って流れかと思ったのに」

『我としてもそうしたい。ウルフリックなどの臆病者どもとは違うことを魔王様に示したい。……のだが、此度ばかりはそうもいかんのだ』

 

 この将としても不本意なのだろう。

 途端に不機嫌な顔をして、本陣の奥にあるものを呼び出した。

 

 

 

「……。……どういうことだ?」

『魔王様からの命でな。……この兵器の試運転をせねばならんのだ』

「兵器…………え」

 

 

 

 テントが並ぶ魔物の陣。

 その中で、奥にある一番大きなテントから『それ』は現れた。

 

 それが、マキシミリアンのいう兵器なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「あれは……ピーチ姫?!」

 

 

 

 

 

 

 




余談
・前回の食事シーンの元ネタは「エルデンリング」です。
→というのも、これの執筆時期はPS4を手放してしまった直後のためエルデンリングロスがひどかったのです。

・ちなみに「絵画の魔女」編の執筆動機もエルデンリングです。
→とにかくこの時期はエルデンリングっぽい雰囲気に飢えてました。
→その結果、なんかルイマンっぽさも全開になったがなぁ!

(・x・)自分でもびっくりでした。
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