→たまたま聞いていたのがかなたそカバーの奴でした。
・ちなみにリズム感だけでアニメ幻視してたので、実はその曲の歌詞は七章の内容とあんまり関係なかったりします……
「ピーチ姫……?」
「待てブラザー、何か様子が変だぞ!」
魔王軍の陣に突っ込んだかと思うと、そこからピーチ姫が現れた。
思わず駆け寄ろうとしてしまい、しかしルイージに止められる。
魔王軍の陣にいるということは、どういう形であれピーチ姫は彼らに利用されているということだ。
『言った筈だぞ。この兵器の試運転をせねばならんと』
「ピーチ姫を利用する気か! 一国の姫である以前に、人間なんだぞ!」
『ふん。ならば、我は魔王軍である以前に、未来を望む一体の魔物だ──魔王様がそう願ったように!』
「ウルフリックを罵った口で……。ピーチ姫を苦しませてるその口で、未来がどうとか語るな……!」
ピーチ姫の周囲に、青い影が現れる。
その影は肋骨のような形を形成しながら、ピーチ姫を取り込む。
それと同時に、その青い影は頭部や巨大な手をも形成する。
「ありゃ、カゲの女王か……?!」
マリオには見覚えがある。
色味こそ青くなっているが、しかしピーチ姫を取り込んでいるところを含めて妙に『カゲの女王』を思い起こさせる姿を青い影は形成していた。
かつてバツガルフ達がピーチ姫を使って呼び起こした、影を纏う怪物だ。
それと同じ姿の化け物が、目の前にいる。
『否! これなるは『青き影の王』! この世界のすべてを食らいつくし、我ら魔物に資源を齎す『異世界への門』の具現化なり!』
「これが、世界を食らいつくす『異世界への門』だぁ?!」
『ああ、そうだ。我らが魔王はこれを生み出すために長年苦心された……ようやっと、あの『異世界への門』が制御できるようになるのだ!』
「これが、魔王の目的……。ピーチ姫を攫った理由ってことなのか……? ────いや、それよりも!」
目の前の魔物──マキシミリアンと名乗った個体──に曰く、この影の魔物は『異世界への門』の一つらしい。
となると、この状況はかなりまずい。
『今はまだ馴染まず、故にこの程度で済んでいるが……時が来ればこれは船となる。我らを生かし、新たな世界へ導くノアの箱舟となる!』
「まずいぞブラザー! あれが『異世界への門』ってことは、今の俺達には太刀打ちできない!」
詳細は聞きそびれたが『異世界への門』に対応するには、星石を七つ揃える必要がある。
だが手元には六つしか揃っておらず、故に『異世界への門』には対応できないのだ。
『さぁ『青き影の王』よ──手始めに、この城のすべてを奪いたまえ!』
『────』
『? ま、待て! わ、我は違う! お前が奪うべきは、そこな人間の────』
「な、なんだ……?」
「あの魔物を、食っちまった……?」
青き影の王は、しかしまずはマキシミリアンを食らう。
彼だけではない。
彼の周りにしれっといた取り巻きの魔物達も容赦なく巻き添えにして、そのまま影の中に引きずり込んでしまう。
「お、おい……何がどうなってんだよ」
「と、とりあえずチャンスには違いねぇ! 一端退避するぞブラザー!」
「あ、あぁ……」
◆
『嫌だ……嫌だ……死にたくない!』
『なんでですか、魔王様……我らが一体何をしたというのですか!』
『あいつのせいだ……ルドラのせいだ! ……古株なだけの、あんなやつがいなければあの影が出てくることなんてなかった!』
悲鳴が響く。
悲劇が紡がれる。
終わりがあるだけの地獄が、そこに広がっている。
『やめろ、やめろ。おれはまだ、誰も殺してない!』
『まだ何やってねぇんだぞ! これからなんだぞ!』
『いやだ! 本当はおれが奪う方なのに、強い筈なのに────』
「…………」
「ブラザー……」
青き影の王による蹂躙。
今はまだ、近くにいる魔物を滅ぼして回るだけで済んでいる。
マリオ達がいる城壁の、そのすぐ下では魔物達が青い影に引きずり込まれ、そして断末魔の叫びをあげている。
マリオには、その光景がまともなものには見えない。
だからどうしても、苦虫を噛み潰したような苦みだけがずっと続いている。
「っ! ブラザー!」
「っ──そりゃ、俺達にも牙をむくわな!」
だが危険なのはマリオ達も同様だ。
城壁を侵食するように青い影の手が大量に現れ、次々とマリオブラザーズに襲い掛かってくる。
「横強キックってな!」
「地獄突き! ……単体ずつなら、それほど脅威じゃねぇな」
「問題は数だな。こりゃキリがねぇぞ」
青い影の手を、魔力を消費しない体術で撃退していく。
だが、どんどん次の影の手が現れて襲い掛かってくる。
「まずいぞブラザー。もう囲まれてる! 強攻撃やスマッシュ攻撃じゃ対応しきれねぇ!」
「あまり雑魚相手に魔力リソースを割きたくないが……! いや、このまま出し惜しんでたらお陀仏か?!」
あからさまにボス戦がこの後に控えている状況だってのに、魔力を消費するのは得策ではない。
だが、魔力消費なしで凌ぎ切れるほど青い影の手の猛攻も甘くない。
魔力を使いたくないが、使わないと状況が悪くなる。
そのジレンマが、マリオ達を刻一刻と破滅に追い込んでいく。
「なんだよ、もう諦めるのかい?」
次の刹那、マリオ達の眼前にいた青い影の手が消えていく。
どこからか電撃弾が飛んできて、それが青い影の手を攻撃したのだ。
「情けないよ、マリオ、ルイージ。……何度でもボクに向かってきた、あの時のガッツはどうしたのさ」
「お前は……」
「……シオン!」
マリオ達を助けてくれたのは、シオンだ。
六つ目の星石を得るべく訪れた雪の街で、最終的には友になった一人の少女だ。
「彼女だけじゃないわ。アタシも、混ぜてもらうわよ!」
「ローランドさん、あんたも来てくれたのか!」
マリオ達を取り囲んでいた青い影の手も、弓矢によってどんどん数を減らしていく。
かつて共に飯を食った冒険者ローランドによる攻撃だ。
「ほら、アタシはウルフリックと約束があるから。……そのためにも、まずはあの子の戦いをできるだけ近くで見届ける義務があるのよ」
「ボクは、ハクを連れ戻しにね。そうしないとルミエール兄さんとエマ姉さんがうるさいんだ」
「なるほど、そりゃ対魔王軍最前線のここに来るわな」
だがすぐ、次の青い影の手の軍善が現れる。
再開の喜びもそこそこに、四人そろって臨戦態勢を取る。
「マリオ、ルイージ。ムッシュ・トゲトゲからの伝言がある」
「トゲトゲって……クッパのことか」
「どんな伝言なんだ、シオン?」
マリオとルイージは体術で、ローランドは弓と短刀で、シオンは次元魔法で青い影の手を撃退していく。
ここまで手数が揃えば、相手の猛攻を凌ぎつつも会話をするだけの余裕はできるというものだ。
そういうわけで、クッパからの伝言を聞くことにする。
「カメック軍団の目を通じて状況は把握している。そのため、第二プランを発動した……ってさ」
「第二プラン? そんなのあったのかよ」
「どうせオリチャー発動しただけだろ。……けど、そうするからには向こうにも何かがあったんだろ、シオン?」
「ああ。これが一番重要だ──七つ目の星石がついさっき届いた」
七つ目の星石。
これを聞いた瞬間、二人は一瞬だけ動きを止めてしまう。
当然敵である青い影の手はその隙をついてくるが、しかしすぐ我に戻った二人の応撃によって吹っ飛んでいく。
流石にこの程度の隙で痛手を食うほど馬鹿ではない。
「星石が届いただって?」
「つまり『異世界への門』であるあの化け物に対抗できるようになるってわけだ!」
「これから君達は、合流ポイントに強行して欲しい。……そのための道は、ボクが開く!」
シオンが大量に分身し始め、それぞれが大量の電撃を放つ。
そうすれば、辺り一帯を埋め尽くしていた青い影の手は一気に消滅していった。
「この先の塔に行け! そこが合流ポイントだ!」
「大丈夫、ここはシオンちゃんとアタシが何とかするわ。貴方達は先に行って!」
「恩に着るぜ、シオン、ローランドさん!」
電撃弾を放つシオンと、彼女を護るように近くの敵を切り裂くローランド。
その二人を尻目に、マリオブラザーズはシオンが開いてくれた砦への道を駆け上る。
「流石シオン……あの大量の分身が繰り出す弾幕が、今回は頼もしいな」
「だけど長時間続けられるもんでもないだろうよ。それに、そろそろ討ち漏らしがやってくるぞ!」
「わぁってる。……ルイージ、星石獣の上で魔物の軍勢の中を突っ切った時のことは覚えてるな!」
「避けれる奴は避けて、どうしても避けきれない奴は叩く! だろ?」
「覚えてるなら上等! 今回もそれで突っ切るぞ!」
討ち漏らしの青い影の手を、思いっきりパンチして吹き飛ばす。
ルイージも、最初の一体をジャンプして避けつつ着地した先に待ち伏せしてたやつをチョップで吹っ飛ばす。
そうして、敵の軍勢の中を突っ切っていく。
「撃て! 撃ちまくってマリオブラザーズ殿を援護するんだボム勝!」
『!!!!!』
「この砲撃……」
「……ボム勝の大砲か!」
そんなマリオブラザーズを支援するのは、ボム勝の大砲だ。
それだけでなく、飛翔するボム勝から飛び降りたキノ康もパンチで青い影の手を吹っ飛ばしていく。
「状況はすでに聞いている! ……あのクッパと共闘していることもな」
「キノ康……」
「加勢するのが遅れて済まなかった。その代わりというわけではないが、ここの分はワシらに任せてくれ」
「その通りであーる! 『ジカンヨトマレ』!」
続いて、青い影の手の軍勢の動きが止まる。
キノ康と共にボム勝から飛び降りていた、イセカイ・デアールの術だ。
「私も共に戦うであーる。……私は考古学者としてこの異世界にある程度根付いたが、だからこそこの事態は静観できぬのだ!」
「デアール……!」
「それにお主らがそうまで戦うということは、これは必要な戦いなのであろう? なれば行け、マリオブラザーズ!」
「ありがとう。デアール、キノ康、ボム勝」
デアールの術が効いているうちに塔の方へ向かう。
ここまで助けてもらったなら、なんとしてでもたどり着かなければ嘘だろう。
『────』
「お、おいおい……ここまで来て、本体のご登場かよ」
「ピーチ姫……!」
その道を阻むは、青い影の手の本体。
ピーチ姫を直接取り込んだ、青き影の王だ。
こうなるとまた話が変わる。
青い影の手と違い、今の本体には攻撃が効かない。
『うおおおお! 全員突撃だあああ!』
「うぉ?! ク、クリボー達か?!」
その無敵の力にしり込みしていると、どこからかクリボー達が現れた。
「いや、クリボー達だけじゃねぇ! ノコノコやパタパタ、ボム兵にカメック! ……テレサ達も全員あいつに突撃してやがる」
クリボーだけにとどまらず、他のクッパ軍団達も集まって一斉に青き影の王に突撃していく。
青き影の王にダメージが入っている様子はないが、しかし彼らのおかげで青き影の王の動きが止まった。
「しれっと中にはクリキングやキングテレサみてぇな中ボス連中もいるぜ……!」
「なるほど、そりゃそうだ。……今回はクッパ軍団自体が味方だもんな」
クリキングやキングテレサだけではない。
ボスパックン・ボムキング・カメックババ……なんか知らんうちに異世界トリップしてやがったボス格連中が、みんなこぞってマリオ達を護るために戦っている。
いつもは憎たらしい悪党どもなのに、だからこそ今回は頼もしい。
『さっさと行けマリオども! クッパ様の期待を裏切ったらただじゃおかんからなー!』
「こいつら……。上等だ! いいところを俺達が持ってっても恨むなよこの野郎ども!」
クッパ軍団達が敵の気を引いているうちに、道を駆け上る。
今が、最大のチャンスだった。
「うぉ?! また青い手が来やがった?!」
「さっきと違って狭い塔の中だってのに、相変わらず数が桁違いだぞ……!」
「いよいよもってあいつも余裕がないってことだろうが…………」
なんとか合流ポイントの塔に入る。
すると、塔の壁を青く侵食しながら青い影の手が大量に現れる。
すかさず近くに来た個体を体術で吹っ飛ばす。
が、あまりにも狭い場所なのであまり意味がない。
それどころかどんどん青い壁から新しい青い影の手がやってきて、塔の中を埋め尽くしてしまう。
「まずい……このままじゃ壁に押しつぶされてぺちゃんこだ!」
「いや、その前に──床の方から嫌な音をしてやがる」
「嫌な音って、まさか────」
するや否や、塔の地面がミチミチと嫌な音を鳴らし始める。
青い影の手達の体重で、床が壊れそうになっているのだ。
というか、もう床が抜ける。
「うぉぉぉおおおお、やっぱり床が抜けるぅうああああああ!」
「おのれクッパの手抜き工事ぃぃいいいいいいいい!」
◆
「っ……ぅぅ、本当に床が抜けるとは」
「あいつらに体重の概念があるとは思わなかった。……いや、塔の壁を青くしてたのが悪さしてんのか?」
塔の床が抜け落ち、地下空間に落ちる。
もともとあった空間なのか、そこは大きな部屋が広がっている。
シン・クッパ城の前の持ち主に使われて捨てられた、地下牢の類だろうか。
広い大部屋の周りに、鉄格子の部屋がいくつか並んでる。
「ブラザー、上だ!」
「ん……うぉっ?!」
その大部屋に、また一人落ちてくる。
先程クッパ軍団に足止めされていた、青き影の王だ。
「カゲやろうか……!」
「くそ……やるしかねぇのか? 肝心の星石を貰ってないのに……!」
「わかってる……適当なところで、出口を探して逃げるぞ」
「出口って……あるのか?」
目の前の青き影の王の動きに警戒しつつ、周りを見渡す。
正直、どの方向も鉄格子やら瓦礫やらで上に戻る道がまともにあるように見えない。
「おいこれ、出れねぇのか?」
「もうちっと詳しく調べれば見つかるかもしれんが……どっちにしろ目の前のが邪魔だ」
「く……今のままじゃどうにもならねぇってのに!」
とにかく青き影の王と本格的に向き合う。
もうここまで来たら、負け確でも戦うしかなかった。
・七章なのに王道展開。
→次章は別件にかかりきりになる内容なので、ここがこの展開をやるラストチャンスでした。
→つーかここをやるための七章と言ってもいいかも?
お知らせ
・三章のあとがき部分に追記をしました。
→追記の内容は一章で名前だけ出てきた「真田キノ村」、三章と今回に登場した「キノ康」「ボム勝」に関するいいわけです。
→だって改めてアニメ幻視しているとキノ康とボム勝の見た目だけめっちゃ異質なんだもん……
(・x・)ほんとやりたい放題でごめんね