マリオファンタジー   作:上代わちき

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サンボの下りの元ネタわかった人は挙手
(・x・)ノ ワッチトアクシュシヨー


二章を書くとしたら(以下略

 

 

 

 

 

 

 

 ドワーフの穴蔵亭。

 街のメインストリートからちょっと離れた路地にある、ドワーフと酒樽の看板が特徴の酒場兼宿屋。

 そんな立地とは裏腹に冒険者の間では隠れた名店として評判となっている優良な宿の一つとなっており、故に冒険者の中にはここを拠点としている者も少なくない。

 異世界トリップを果たし、冒険者としてそれなりにこの街に馴染んで来たマリオ達も、その例外ではなかった。

 

 

 

「ブラザー」

「ん、どしたよルイージ」

 

 いつものように宿の部屋で朝飯の暖かい三日麦スープを味わっていると、ルイージが呼んできた。

 ちょっとだけ待ってくれと言いながら残りが少なくなっていたスープを飲み干し、文机に乗っていた荷物袋の中身を再確認する。

 もうちょっとしたら二人してギルドの方へ顔を出すつもりだからだ。

 体力回復用のポーションよし。状態異常用の万能薬草よし。旅にも耐える保存用食料よし。水袋もよし。

 

 

 

「武器屋のおっちゃんが呼んでるって。ついに『ハンマーの調整が整った』とよ。今日にも振り回せるそうだ」

「そいつぁいい。早速次の依頼で試してみるとしようか。…………そういうルイージは、魔導書漁りか」

「今日で終わりだがな。この間の報酬がほとんど吹っ飛んだが、おかげで雷の魔法を使える。サンダーハンドの再現も、もうお手の物だ」

 

 ハンマーとサンダーハンド。

 どちらも昔の冒険で扱っていた武器だ。

 今回はお金の関係もあり、ハンマーはマリオの、サンダーハンドはルイージの専用武器となっている。

 貯蓄を崩せばルイージ用のハンマーも買って、いつものように二人でハンマーを振り回すという選択肢もあった。

 が、色々あって今回はこのスタイルだ。

 

 

 

「オーケー。じゃあハンマーの回収がてら、ギルドへ行きますか」

「今度こそ、ピーチ姫の手掛かりがあるといいんだがな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「配送? 俺達が?」

「ああ。行き先は砂漠の国。そこまでちょっとした木箱を担いで旅をするってわけだ」

 

 配送。

 本来は「交易商人」や「運び屋」と呼ばれる者達が担う、荷物を都市から都市へ運び込む仕事だ。

 だがこの世界は魔物が蔓延る危険地帯が至る所にある。

 だから商人や運び屋は配送仕事の際に冒険者を雇ったり、木箱一個ぐらいなら冒険者に委託したりする。

 そういった仕事に対応できるようせめて片方は空手にしておきたいというのが、ハンマーを二つ買わなかった理由の一つだったりする。

 

 

「なんか面倒くさそうだなぁ。……ピーチ姫の手掛かりにもならなさそうだし」

「だけど他の依頼書も似たり寄ったりだ。正直今のやり方じゃ煮詰まりだ」

「だからこの配送仕事ってわけか」

「ああ。この仕事もピーチ姫やクッパ軍団の深いところには多分繋がらないが、代わりにこいつが関わる」

「……星石か」

 

 星石。

 オスカー村の件で報酬として手に入れた、なんかよくわからん石のことだ。

 

 

 

「今回運ぶ荷物は、とある遺跡に入るための鍵だ。……そんでもって、その遺跡にはこの星石の一つが眠ってるとさ」

「なるほど、つまり星石方面で情報を探るってわけか」

「ほかに探れる手掛かりがないしな。それに、星石がなんかの役に立つかもしれないって言ったのはブラザーだぜ? なら集めて損はねぇだろ」

「そういえばそんなこと言ってた気がする」

「覚えてないんかい。……まぁいいや、とりあえず早速行こうぜ」

 

 ルイージが立ち上がり、ギルドの人から渡された木箱を背負う。

 万が一これの中身を壊されたり盗まれたりしたらゲームオーバーというわけである。

 

 

 

「ところでルイージ、これ本当に星石がらみならまたあいつらが首突っ込んでくるんじゃね?」

「魔王軍のウルフリック……だったっけ。まぁ何かしらは絶対あるだろうな」

 

 なんというか、また一波乱な冒険になりそうだ。

 どことなくそう確信した。

 

 

 

 

 

 

「それにしても、砂漠ステージとはまた定番だよな」

「ああ、当然のようにサンボも異世界トリップしてやがるぜ。これも定番だな…………なんか腹立つ笑顔しているなあいつ」

「サンボか。そういやよくヨッシーに食わせてたな。あいつどうしてんだろ」

「案外この異世界トリップに巻き込まれてるかもしれんぞ」

「キノピオやチョロボンみたいにか? ……割とありうるかもな」

 

『しかし重要なことをお忘れではなかろうか?』

「! この声はサンボか!」

『そのヨッシーがいない状態で俺達を倒すのは、中々骨ではないかね?』

「ハン、だが俺達にはハンマーもファイアボールもある。てめぇなんざ…………まて、今『俺達』と言ったかあのサンボ?」

 

『くっくっく』

『ふっふっふ』

『あーっはっはっは!』

「こいつら……!」

「腹立つ笑顔を囮にして待ち伏せてたわけか!」

『腹立つ笑顔は余計だが、最高の状況が整った! 食らえ、我らがサンボーアクション! 『爆裂サンボ乱れ撃ち』!!!』

 

「くっ……。一斉に体を飛ばしてきやがったか!」

「けどハンマーとファイアボールで……何?!」

「サンボの体が、爆発したぁ?!」

 

『はっはっはー! こんなこともあろうかと予めボディを爆弾仕様に換装しておいたのだ! いくらハンマーやファイアボールがあろうと防ぎ切れまい!』

『た、隊長! 皆の体が戻っていません! もう殆ど一頭身か二頭身状態です!』

『なんだと?! さっきいくらか爆発したとしてもまだ爆弾ボディはたくさん残っている筈だ』

『あ、サボ平です! サボ平が体を独り占めしています!』

『だってこっちに飛んでくるし……』

『馬鹿! そんなことをしていると────』

「ハンマーホームラン!」

『ぐほっ?!』

『サボ平ぇぇええええ?!』

 

「ふぅ、それじゃさっさといくかルイージ」

『待て! お前らこの砂漠は初めてだろ!』

「え、あ、あぁ……」

『ならこの先をまっすぐ行くとオアシスの街にたどり着く。砂漠のことを知りたければまずはそこに行くといいぞ!』

「……そいつはどうも」

『ま、待ってくれ! その、教えてあげた代わりとしてだな……体、戻してくれないかなーって…………』

「…………」

「…………」

『…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで色々あったが、熱い砂漠を乗り越えてオアシスの街にたどり着くことができた。

 というか実はこのオアシスの街こそがひとまずの目的地ではあるのだが、そこはあのサンボ達の名誉のために黙っておく。

 

 

 

「なるほど、これがオアシスの街か。てっきりオアシス周辺に建物や露店がいくつかーとか思ってたが──」

「まじで街だなこりゃ。城壁もしっかりあって、門番もいるぜ」

 

 

 事前にギルドから貰った身分証を見せて門を通り抜けると、しっかりと街をしている景色が広がっていた。

 

 

 基本は大きなオアシスを中心としたものだ。

 そのオアシスのほとりに沿うように大きな通りが形成されていて、露店がずらりと遠くまで続く立派な市が開かれていた。

 ちょっと覗いてみれば、砂漠特有っぽい食べ物やドライフルーツが並んでいて美味しそうだ。

 実際二人して食べ歩きしてみれば、中々にいい味続きだった。

 

 

 

 

「すっげー……ほんとにギルド支部があるんだ」

「何なら教会もきっちりある。せっかくだからお祈りしてくかい?」

「いやいいや。セーブは間に合ってる」

「ゲームを間違えてるぜブラザー」

 

 そんな市から少し離れたところに行けば、そこには建物がずっと続く区画が広がっていた。

 砂漠の街ということもあってかどこかアラビアンな雰囲気を醸し出している。

 大きな花の絵が描かれたカラフルな外装の建物を見ていると、オデッセイ号でキャッピーと一緒に訪れた砂の国を思い出す。

 

 

 

 

「そういえば今キャッピーってどうしてるんだろーなー…………ん、なんだありゃ」

「なんか騒ぎが起きてるな。衛兵たちが群がっているあたり、捕り物か?」

 

 そうやってのんびり観光していると、石畳みの広場で起きていた騒ぎを見かけた。

 その騒ぎの中心には、狐耳を生やした少女がいた。

 

 

 

 

「じゃーかーら! わらわはきちっと通行証を見せたじゃろが!」

「何が通行証だ! どうみてものばらを書いた落書きだろうが! 偽造するならもうちょっと努力せんかい!」

「何を言うか! この絵は魔王軍の中でも一際絵心に秀でたわらわが描いたものじゃぞ! それを落書き呼ばわりとは何事か」

「なるほどなるほど、そうか。貴様、魔王軍だな!」

「あ」

 

 

 

 狐耳の少女は自ら魔王軍と名乗り、そのまま「アーレー……」と衛兵達に引きずられていった。

 

 

 

 

 

「……あれでいいのか、魔王軍」

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々あったが、そろそろ仕事を済ませておくべきだと木箱を依頼主へ届けることにした。

 依頼主の家は、なんだかちょっとした宮殿みたいになっていてすごく目立っていた。

 

 

 

「よくぞ来てくれた! 私こそがその鍵の配送の依頼主であーる。我が名は『イセカイ・デアール』。気軽にデアールと呼ぶがいいであーる」

「なんか見覚えある気がするんだが、気のせいかな」

「奇遇だなブラザー。俺もそんな気がする」

「ほっほっほ、私もお主らのことをよく知っている。何分私もキノコ王国から異世界トリップさせられた身でな」

「いやイセカイ・デアールって名前なのにキノコ王国出身なのかよ!」

 

 そんでもって依頼主もすごく濃い人物だったのだが、その詳細は割愛する。

 つかれた。

 

 

 

 

「異世界トリップした当初こそ色々あったが、今ではこの砂漠荒野で考古学をしているのであーる。だがとある遺跡の調査が捗らなくてな……」

「確か、遺跡の調査にこの鍵がいるって話だったな」

「うむ。お主らが届けてくれたこの鍵は、その悩みを打破する希望の星であーる。本当に助かった」

「そいつはよかった。…………ところでその遺跡の調査だが、ちょっとついていっていいか? 少し気になることがあってな」

「構わないであーる。むしろ私の方から頼むつもりだった。……実は鍵の他にももう一つ問題があってな、故にお主らがいてくれると助かるのであーる」

「問題?」

 

 実は、この砂漠荒野の中にある遺跡周辺にとある脅威が現れたそうだ。

 『荒野の騎士』と呼ばれるそのゴーレムは、大剣を構える全身鎧の姿をしており、その遺跡に近づくものを無差別に攻撃しているというのだ。

 

 

 

 

 

「恐らくは遺跡の防御機構が経年劣化で暴走しているのだろう。今回調査する遺跡は、この世界そのものにまつわる秘宝が眠っているとの話であーる」

「秘宝……」

「噂ばかりの眉唾な情報ではあるが、もしそれが本当ならあれの攻撃性と脅威性も筋が通る。故にこそ、私はあの遺跡の秘密を知りたいのであーる」

 

 

 

 そんな荒野の騎士の猛攻を凌ぎ切り、デアールと木箱の鍵を遺跡まで送り届ける。

 それが、マリオ達の新たなミッションだ。

 

 

 

 

 

 

 鍵を背負ったデアールと共にオアシスの街を出発してから、色々あった。

 

 どこぞの砂漠みたいにつららが出てくるほど寒くなったり。

 つららを生み出していた氷の魔神と大立ち回りを演じたり。

 再び熱くなった砂漠を行くと、その途中で突然いかつい顔をした太陽が襲ってきたり。

 

 本当に色々あった。

 というかあの忌々しい太陽も異世界トリップしてんのな……。

 

 

 

 

「ブラザー」

「ああ。……噂の騎士サマだな。────デアールは下がっていてくれ、俺達が対応する」

「うむ。頼むであーる……」

 

 そうこうして砂漠地帯を潜り抜け、遺跡にあるただっぴろい荒野にたどり着く。

 するとその奥から、大剣を構えた荒野の騎士が現れた。

 

 

 

 

『────』

 

 がちゃがちゃと金属音を伴う足音が一歩ずつ近づいてきて、そのたびにマリオ一行の緊張感が高まっていく。

 

 

 

 

 

 

「──っ!」

 

 はち切れそうなほどに空気が張り詰めたその瞬間、荒野の騎士がマリオの眼前に潜り込んで来た。

 荒野の騎士は右手の大剣を大きく振りかぶっていて、そのまま振り下ろそうとしてきた。

 

 

 

「させっかよ!」

 

 その次の瞬間、荒野の騎士は横から飛んできた雷撃に飲み込まれて吹き飛び、マリオは大剣の餌食にならずに済んだ。

 マリオを救ったのは、ルイージのサンダーハンドだった。

 

 

 

「た、助かった。ありがとルイージ」

「構わんさ。……それよりあいつ、強いぞ」

 

 雷撃を食らい吹っ飛んだ荒野の騎士は、しかしすぐさま風を伴うように立ち上がる。

 顔を隠すようなその兜からは、強烈な敵意を感じる。

 実際に生物的な目と合ったわけでもないのに悪寒が走る辺り、相当できるのだろう。

 

 

 

「ブラザー!」

「ああ! 同じへまはしねぇ!」

 

 荒野の騎士が再び肉薄する。

 それに対し、マリオはずっと背負っていたハンマーを振りぬき、そのまま騎士の方へ叩きつける。

 

 

 

『────』

「っ! こいつ──!」

 

 だが荒野の騎士は構えた大剣を巧みに操り、マリオのハンマーを刃で弾く。

 それに負けじとマリオはさらに何回もハンマーを振り下ろし、それに合わせるように騎士も何度も大剣を振り上げてすべての攻撃を弾く。

 

 

 

「っぬぉ──?!」

「ルイージ!」

 

 ハンマーで大剣と張り合っている間、ルイージが騎士の背後をとる。

 だがそれを察知したのか、荒野の騎士はマリオのハンマーごと薙ぎ払うような形で後方のルイージに攻撃を仕掛ける。

 

 幸いマリオはハンマーの柄で薙ぎ払いを防御できたが、一方で武器を持っていないルイージは腕にまともなダメージが入った。

 

 

 

「ぐ、ぅ──!」

「くそっ。今ので吹っ飛ばされた────!」

 

 荒野の騎士は攻撃のターゲットをルイージに切り替える。

 腕が傷ついてうずくまるルイージへ大剣を向ける。

 

 その大剣の一撃を防ごうにも、さっきの薙ぎ払いの余波で遠くまで飛ばされたマリオに防ぐ術はない。

 かろうじて無理やりファイアボールを放つことはできたが、左手であっさり弾かれてしまって効かない。

 

 

 

「避けろルイージ!」

 

 そのまま荒野の騎士は、動けないルイージへ大剣を振り下ろそうとする。

 

 

 

 

 

 

 

「させぬであーる! 『ジカンヨトマレ』!」

 

 その次の瞬間、荒野の騎士の動きが止まる。

 

 

 

「デアール?! あんたそれ……」

「昔ゴロツキタウンの親戚のところへ遊びに行ったことがあってな、その時色々あってスターストーンの力を使えるようになったのであーる」

「おいちょっと待て、色々突っ込みどころが多すぎるぞおい!」

「とはいえ、厳密なところを言うとこれはそのスターのデッドコピーであーる。ついでにいうと何度も使えないうえに効果も長くない! だから早く──」

「オーケー! 何はともあれ助かった!」

 

 その隙を突き、マリオはすぐ荒野の騎士へ肉薄してハンマーを振りぬく。

 

 

 

 

『──っ?!』

 

 ようやくこちらの攻撃が荒野の騎士に届いた。

 

 無論一発当てただけでは終わらせない。

 この数少ないチャンスをものにすべく、騎士の動きが止まっている今のうちに何度も何度もハンマーで叩きまくるラッシュを決める。

 

 

 

 

「なっ──?!」

 

 一発、二発、三発、四発、五発────。

 そして六発目を放ったその瞬間、止まっていた荒野の騎士の時が動き出し、マリオのラッシュからするりと抜け出した。

 

 

『────!』

「マ、マリオ殿──!」

「くっ──!」

 

 そしてそのままターンしながら大剣を水平に構えて、鋭い突きを繰り出してきた。

 

 

 

 

 

「いや、その前にてめぇが吹っ飛べ」

 

 

 その次の瞬間、ルイージがファイア昇竜拳を繰り出して騎士を打ち上げる。

 ファイア昇竜拳は外すと隙が大きいが、ゼロ距離でしっかり当てることができれば必殺の威力を誇る。

 それをまともに食らえば、如何に手ごわい荒野の騎士と言えど無事では済まない。

 

 

 

「ルイージ! 腕は大丈夫か?!」

「ああ、事前にポーションを買っといてよかったぜ。おかげで元通りだ」

「そうか、そいつはよかっ────っ?!」

『──っ────』

 

 しかし、荒野の騎士はまだ立ち上がる。

 もうその鎧にはひびが入り始めて満身創痍気味だが、しかし確かな意思を以て再び立ちふさがる。

 

 

 

「おいおい」

「タフにもほどがあるぜ……」

 

 こちらも気を引き締めて構えなおす。

 窮鼠猫を噛むという言葉がある。

 相手が瀕死の状態程、危険だということだ。

 

 何が起きてもいいように、慎重に警戒してにらみ合う。

 

 

 

 

 

『──っ──?!』

「え」

「何?!」

 

 その刹那、横から火球が飛び出して荒野の騎士を襲った。

 マリオのものでもルイージのものでもない。

 

 もちろんスターストーンを再現した力を持つデアールの攻撃でもない。

 

 

 

「まったく、どいつもこいつも阿呆ばかりじゃのう。……おかげで、あっさり鍵を入手できたわい」

「てめぇは、あの時街の衛兵に連れてかれた魔王軍の────!」

「ハクじゃ」

 

 

 

 

 

 

「さて、と。お主ら。動けばこの老体がどうなるかわかるよな?」

「人質ってわけか」

 

 

 魔王軍のハク。

 狐耳を生やし、おおきくふっくらとした尻尾を持つ少女。

 

 どういう事情かはまだわからないが、魔王軍も星石を狙っているらしい。

 だから何らかのタイミングで襲ってくるとは思っていたが、状況が悪すぎる。

 何せ遺跡を開くカギを盗られ、しかもデアールを人質にしてしまったのだ。

 

 

 

「うむ。故に、な」

「っ! ブラザー!」

「うおっと?!」

 

 ハクが火球を飛ばす。

 が、ルイージの警告と反射神経のおかげで難なく回避できた。

 

 

「ふむ、避けたか。中々にカンがよい。──だがな」

「ぐ、ぁぁぁあ?!」

「っ、デアール!」

「っと、こういうわけじゃ。……次は、避けるなよ?」

 

 だがその代わりに、デアールの体に電撃が走る。

 マリオ達がハクの攻撃を避ければ、その代わりとしてデアールが傷つくということだろう。

 

 

 

「くそ……!」

「ぐ、ぅ──やれ…………私のことは、よい!」

「やれやれ。お主ら、自分たちの状況を弁えぬか。……詰みじゃよ。わらわの勝ちじゃ! お主らの負けじゃ!」

「ぐ、がぁぁぁぁああ?!」

「っ──!」

 

 デアールは自らを省みず、マリオ達に攻撃を促す。

 だが流石に、彼を見捨てることなどできない。

 

 

 

 

 

『────』

「くくく、かかか、はーっはっはっは! ……っ?!」

「っ! ありゃぁ…………。ルイージ!」

「ああ!」

 

 倒れていたはずの荒野の騎士が、ハクに肉薄する。

 状況によって大笑いしていたハクはそれに気づかず、騎士の攻撃を食らう。

 

 それを好機と見たマリオは、まずルイージにハクの人質になっていたデアールを確保させた。

 騎士の攻撃を食らったことでハクの魔術的な拘束が解かれ、無事にデアールを救出することができた。

 

 

 

「ぬ、お主ら!」

「よそ見はだめだぜ!」

「ぐぬっ! ……おのれぇ!」

 

 するとハクはデアールの方へ意識を向き、けれどもその突きを突くようにファイア掌底をぶっ放す。

 スマブラの試合でもよく使っていた、ファイアボールと格闘技を融合させた高火力技だ。

 ルイージのファイア昇竜拳ほどの威力こそないが、しかし確かなダメージをハクに与えることができた。

 

 

 

『────』

「ぐ、はぁ?!」

 

 そこへ荒野の騎士が大剣を薙ぎ払い、ハクへ追撃する。

 

 

 

「もひとつおまけに持っていけぇ! サンダーハンド!」

「がぁあああああ?! やなかんじー!」

 

 そうして吹っ飛んだところへ、ルイージが再びサンダーハンドを展開してハクへ叩きつける。

 その衝撃で、ぼろぼろになったハクは一気に遠くまで吹き飛んでいった。

 まるでスマブラみたいだ。

 

 

 

「いや、『やなかんじー』って…………最後まであんなノリでいいのか、魔王軍」

 

 

 

 

 

 

 

『────』

「さて、さっきの続きってわけか」

「ま、一度の共闘で仲良くというわけにはいかんわな」

 

 ともあれ、無粋な乱入者は排除した。

 残るは、遺跡を護ろうと立ち上がり続けるこの荒野の騎士だけだ。

 

 鎧にひびが入ったままであり、後一撃で倒せそうだ。

 だが、だからこそ油断はできない。

 きっちりと慎重に、かつ大胆に勝負を決めるべきだろう。

 

 

 

「ブラザー、頼む!」

「おうさ」

 

 ルイージが一度その場を離脱し、それと同時にマリオがハンマーで騎士に肉薄する。

 荒野の騎士はそのハンマーに素早く反応し、大剣で張り合う。

 

 

 

「よう、これでさっきと同じだな」

『────っ』

 

 剣とハンマーのつばぜり合い。

 そのタイミングでルイージが騎士の背後を陣取り、騎士が反応する。

 

 ここまではさっきと同じだ。

 

 

 

 

 

「いったろ。よそ見はだめだぜ」

『──っ、──っ?!』

 

 が、騎士が攻撃するよりも早くマリオはハンマーから手放した手でファイア掌底を繰り出して騎士を吹っ飛ばす。

 その一撃で、今度こそ騎士が纏う鎧が砕ける。

 

 これで、ゲームセットだ。

 

 

 

 

 

 

「……終わったか」

「やっとな。くたくただぜ」

「俺もだ。ただでさえファイア昇竜拳で魔力消費激しいってのに、サンダーハンドも二回使わされた。あと何回魔力系の攻撃ができるか……」

 

 これでようやく、すべての障害を取り除いた。

 一気に疲れが出てきて、思わずその場に座り込んでしまう。

 

 

 

 

 

「先ほどはすまなかったであーる、マリオ殿、ルイージ殿」

「いやいいさ。こっちも一回助けられたしな。デアールも無事でよかった」

「それに、あいつが吹っ飛ぶときに鍵を落としていったからな。支障なく遺跡に入れるさ」

 

それまで空気に徹していたデアールの謝罪を軽く受け入れつつ、すぐさま立ち上がる。

その際にしれっとハクが落としていった鍵を回収して、遺跡に向かうことにした。

 

目的地は、もうすぐそこにまで迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、デアールは遺跡の調査が始められるようになり、報酬としてまた星石をもらったと」

 

 その後は、特にイベントらしいイベントはなかった。

 普通に遺跡の中に入り、そのまま調査を始めたデアールに報酬の金と星石をもらってそれで終わりだ。

 

 そういうところは前回のオスカー村の件と一緒だ。

 

 

 

「遺跡の星石を見つけた途端『これはお主らが持つべきものだ』と血相を変えたからな。多分、見た目以上の何かがこいつにはあるんだろうよ」

「……こりゃ、本格的に星石を集めにかかった方がいいかもな。俺もそう思えて来たぜ、ブラザー」

「だな。最初の街に戻ったら、こいつのことを調べてみよう」

 

 

 ともあれ、仕事は終わった。

 

 はぐれたピーチ姫の手掛かりは一切ないし、キノコ王国に帰るめども一切経っていないが。

 どことなく、少しずつだが、話が進んだような雰囲気を感じる。

 

 

 

 やはりきっと、手に入れたこの星石はとても重要なアイテムなのだろう。

 

 

 

 

 

『この間のお返しだ、マリオブラザーズ!』

『や、やめろサボ平! その戦法はもうすでに失敗し──ぐあぁぁああ?!』

「なぁルイージ。こんなオチでいいのかなこれ」

「こいつらに言ってやれブラザー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、助かったぞウルフリック。この牢屋、ネズミがいすぎて困っていたのじゃ……」

「あの二人に吹っ飛ばされた先でもまた捕まるとはなかなか運がないナ。……ところでオアシスの街でも捕まったそうダガ、その時はどうしたのダ?」

「こんなちんちくりんが魔王軍なわけないだろ、いい加減にしろ。……奴らの上司がそう言って、釈放された。くつじょくじゃ」

「運がいいのか悪いのカ……どちらにしろ散々だなオマエ」

 

 

 

 

 

 

 

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