マリオファンタジー   作:上代わちき

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最終回です。


エピローグ後編

 

 

 

 

 

 

 

 夢を見ていた。

 異世界を冒険していた夢だ。

 

 途中でクッパと戦い、しかし魔王がピーチ姫をかっさらい、故にクッパと共闘して魔王に立ち向かう夢だ。

 

 

 

「あ?」

 

 

 その夢から覚めると、見慣れた天井が見えた。

 

 一口に見慣れたといっても、シン・クッパ城のとこの家の天井でもなければ、ルミエール伯爵の城の天井でもない。

 これは、キノコ王国のずっと住み慣れていた家の天井だ。

 

 

 

 

 

「そうか。帰って来たんだな。キノコ王国に」

 

 

 

 

 

 

 すべての決着がついた後、ピーチ姫を連れてシン・クッパ城に戻った。

 

 キノコ王国に帰る前に、やりのこしたことをやっておくためである。

 シン・クッパ城に置いてある荷物をまとめたりといった感じに。

 

 

 

 

「シン・クッパ城の民よ! オマエ達には選択肢がある!」

 

 

 

 クッパの方は、まず難民達に選択肢を与えた。

 

 元の国や村に戻るか、シン・クッパ城に残る。

 いずれにしろクッパ達はキノコ王国に帰らなければならないため、難民達は自立することとなる。

 

 

 

 

「あいつらがいなくなるってのか?」

「これからどうすりゃいいんだ?」

「いや、今まででも十分すぎるぐらい助けてもらったんだ。そろそろ、俺達も考える時だ。……じゃなきゃ、息子に顔見せできん」

 

 

 だが意外にもその自立は受け入れられた。

 クッパ達に好意を抱いていた子供達が、気力のない大人達を引っ張っていったからだ。

 一人の大人が子供に感化され動き出し、その友人も同じように、といった具合にだ。

 

 魔王が倒れた今、彼らの未来は辛くとも希望がある。

 

 

 

 

 

「クッパ様ー!」

「かえっちゃうのー?」

「泣くな。ワガハイも、向こうでやり残したことがあるのだ。……それを済ませたら、また戻ってくる」

 

 

 ちなみにクッパはまたいずれシン・クッパ城に戻ってくると子供達に野望を宣言していたが、それは余談である。

 

 

 

 

 

 

 ドラゴンハンターの三人を筆頭とした助っ人たちについて。

 

 

 

「ありがとうな、三人とも。あんたらには、色々と世話になった」

「それはいいっこなしだよ、マリオさん」

「私達も、貴方達のおかげで目標もできたんだから」

「そのために、まだまだ精進しないとです!」

 

 

 まずドラゴンハンターは、冒険の旅に戻っていった。

 今度こそ、竜を狩る剣に至るのだと決意を新たにして。

 

 

 

 

「……やっぱり、この世界に残るつもりなんだな。デアール」

「うむ。親戚達には申し訳ないが、この世界でやり残したことが山ほどあるのであーる」

「いや。……あんたはそれでいいかもしれない。少なくとも、俺はその選択を無下にするつもりはないさ」

 

 

 イセカイ・デアールは、この世界に残ることを選んだ。

 彼自身は、キノコ王国にいた時とはどうしようもなく変わり果て、考古学者としてやるべきことがたくさん残っているからだと言っていた。

 

 

 

 

「ワシらは同行するぞ! ……さっさと城に戻って、始末書を書かないといけないしな」

『!!!!!』

 

 一方でキノ康とボム勝はキノコ王国に戻ることを選んだ。

 マリオ達とは別の冒険で合流した、他のキノピオやキノコ王国の民と一緒に。

 またキノコ王国で元の日常を過ごすために、だ。

 

 

 

 

 

 

「……あんたはウルフリック達と行くのか、ローランドさん」

「ええ。……だって、とっても男前なんだもん」

 

 

 ローランドは、クッパ軍団に投降したウルフリック隊と行動を共にするようだ。

 

 ウルフリック隊はクッパの恩情によりすぐ釈放され、新たな明日のために旅立った。

 その行く末を見届けたいのだと、別れる際ローランドは言っていた。

 

 

 

 

「マリオ、ルイージ」

「ウルフリック……」

「……本当に色々あったが、これでお別れになるな」

「そうだナ。……ささやかだが、一族に伝わるお守りを作っタ。これが塔の一件の恩返しになるとは思わないが、代わりに気持ちは込めたつもりダ」

「いや、十分だ。大切にさせてもらうぜ」

「そっちも元気でな」

 

 

 ちなみにウルフリック個人からちょっとしたお礼の品を別れ際に貰ったのだが、本当にささやかな品なのでここでは深く語らない。

 

 

 

 

 

「ここまで送ってもらってありがとうね、みんな。ハクの奴、まだ抵抗しまくりだったから助かったよ」

「何を言うか! 言っておくがわらわはまだあの発言を許したわけではないからなー!」

「……まだ喧嘩してるよ」

「……まぁでも、いうほど悪いもんじゃないかもよ」

 

 

 シオンは、当初の予定通りハクを連れて雪の街へ戻っていった。

 ハクの方はシオンと喧嘩をしまくって滅茶苦茶抵抗していたが、しかしあの怪物の力を一度も使わなかった辺り言うほど嫌というわけではないのかもしれない。

 

 

 

 

「綺麗な街ね」

「そうだな。……たまには、こんな旅も悪くないものだな」

 

 

 また、シオンとハクの二人を見送る際にピーチ姫やクッパと共に雪の街を軽く観光し、ルミエール伯爵達を含めたみんなでちょっとした思い出を作ったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてみんなに別れを告げ、やるべきことを終えて、ようやくピーチ姫の魔法でクッパ軍団や火山の城と共にキノコ王国へ帰還したのだ。

 

 

 

 その際、ルドラから託された宝玉の返却も済ませておいた。

 修理したクッパの戦艦でのマメーリア王国の日帰り旅行も悪くなかったが、詳細は割愛する。

 

 ともあれ、クスアイランドの用事だけ済ませてしまえばそれで終わりだ。

 クッパ達とも別れ、ピーチ姫も城に送り届けて、マリオブラザーズも家に帰ったのである。

 

 

 

 

 

 

 あの異世界におけるマリオ達の目的は、はぐれてしまったピーチ姫と合流し、なんとかしてキノコ王国に帰ること。

 その目的は、無事に果たされた。

 

 

 今となっては、その道中で繰り広げた冒険の数々はとても楽しい祭りのようなものだったと誇れる。

 もちろん、こうして慣れ親しんだ家に帰ることができたことも含めて、だ。

 

 

 

 ルドラ達の消滅という苦い思い出もなくはないが、ウルフリックやハクをはじめとする一部の善き魔物達は希望ある明日へ旅立ったようであるのが救いであり、マリオ達としても悪くない気分だった。

 無論その明日というのは辛い茨の道ではあるだろうが、彼らならきっと乗り越えていける。

 それはきっとマリオ達とは別の物語であり、故にマリオ達の冒険は終わりを告げたのだった。

 

 

 

 

 

「さて、ブラザー。これからどうする? 配管工の仕事も入っていないみたいだし」

「ならゲームしようぜ、ゲーム。……ポケモンの新作は、あの異世界じゃ買えなかったんだ。さっそくダウンロードして、先に買ってやがったクッパに追い越そうぜ」

「そういえばそんなこともあったなぁ。……ああ、そうすっか」

 

 

 マリオ達の物語はこれからもずっと続く。

 だが今だけは、キノコ王国の平穏な日常を享受することにした。

 

 どうせまたクッパがピーチ姫を攫って、また助けに行くことになる。

 けどそれまでは、オンラインゲームやレース場とかでクッパやピーチ姫と一緒にゲームしたりするだけだ。

 

 

 

 

 

『おいキサマら! どうせ暇だろう! ワガハイのダクソ攻略を手伝え!』

「お前キノコ王国に帰っても遊びに来るのか、ネット越しで」

『うるさい! あのライオン○と横綱もどきのコンビがうざくてストーリーが進まんのだ! 黙って手伝えー!』

「ったく、相変わらずな奴だなクッパは。……確か丁度サブキャラがアノールにいるから、そのデータで助けに行くわ」

「待てブラザー。こっちも似たような感じのデータがある。俺も加勢するぜ」

 

 

 とかいっていると早速クッパが遊びに来やがった。パソコンのモニター越しに。

 現時点ではピーチ城に手出ししているわけでもなし、敵対する理由もないから普通に遊ぶことにした。

 

 

 ピーチ姫が関わらないところでは、クッパとはいつもこんなノリだ。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、キノコワールドネットの異世界トリップもののSS。さっき見たらさらに増えてやがるぜ。……正直ちょっとフクザツ」

「言うなルイージ。……まぁ、夢を見るだけならタダだからなぁ」

『キサマらサボるなー! ○霊が入ってきたのだぞー! 早く助けて~!』

 

 

 

 物語は終わらない。

 この冒険もまた、良い思い出になるのだから。

 

 

 

 

 

 

 




・前回ああいったくせに、最後の最後まで仲良しだったマリオブラザーズとクッパ。
→五章冒頭で突然スイッチを持ち出してきたことですべてが狂った感。
→本当は「実は仲が良い」なりにもうちょっとだけギスギスして、ちょっとだけいつもの共闘とは違うところを演出する予定でした。





ともあれ、これでマリオファンタジーは完結です。
今までお付き合いいただき感謝の極み。

またこの場を借りてマリオシリーズを世に送った任天堂様、本作マリオとルイージの口調の元ネタになり本作のインスピレーションの源にもなった「とある作品」様、本作を楽しんでいただいた読者の皆々様への感謝を改めて述べたいと思います。


本当に、ありがとうございました。







つーわけで以上です。
上代わちきでした。
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