紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
祝「紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!」100話到達!一つ前のあとがきで、記念のお話、特別編は書かないと告知した通り、特にこれといったものはありませんがこれからのご愛読もよろしくお願いします!
では本編へどうぞ!
side:レミリア
パメラ・スカーレットによる庭園迷宮の強化と、
それらを越えて、私たちは第1層”庭園”内の踏破と、”庭園”に転移させられた戦闘員・非戦闘員を救出することに成功した。
そして、救出の道中でルームボスを撃破し、最後の救出対象である死神メイドのアリスちゃんを救出したと同時、パチェからフロアボスが動き出したという連絡が通信魔術を通して伝えられ、私たちは襲い掛かろうとしている”庭園”のフロアボスに対し、警戒の色を強めた……。
『”庭園”のフロアボス、まっすぐこちらに向かってくるわ!戦闘準備!!』
「……探す手間が省けたわ。パチェの声は聞いたわね、
「了解です、レミリアお嬢様!」
「もちろん、任せてよお姉さま!」
「かしこまりました、レミリアお嬢様。」
『任せて頂戴、レミィ。
……敵、300m!正面、生垣を突き破ってくるわ!!』
全員に指示を通したと同時、パチェが警告を飛ばしてくれる。
私は
パチェの言う通り、正面の生垣から嫌な気配を感じ、轟音と共に迷宮の奥の方で生垣が吹っ飛んでいるのを見る。相当、大きな敵が来そうね。
[ザザッ……]
そこで、私の”運命を操る程度の能力”が強制的に発動する。ときおり、こうして私の意思とは関係なく、未来を見せることがあるのだ。
そうして見えた未来は……大型の生物に吹き飛ばされる
「
「はっ!」
「っ……うん!」
最悪は避けるべきだ。そう考え、私と
「なんて大きさのワイバーンもどきっ!?」
飛び出してきたのは普段の奴らより巨大で、並んだ鱗が随分とくすんでいる2足歩行1対翼の前腕のないワイバーンもどき。そのあまりの大きさと、姿に……ドラゴンとしては一般的な、グリーンスケールドラゴンを彷彿とさせるが、そのワイバーンもどきにはドラゴン特有の角が存在していないため、ワイバーンもどきであることを証明している。
ワイバーンもどき特有の黄色に光る瞳が、私たちを見降ろし、私たちを敵として認定したのか大きな方向をあげて頭を低くおろし、両足を大きく開き、片足で地面を何度も掻いている。
「パチェ……こいつの詳細は!?」
『解析中よ、少し耐えて!!』
「ッ……しばらくは、私たちで判断するしかないか……
パチェはこの大きく鱗のくすんだワイバーンもどきの解析に集中しだしたので、私はフランたちに指示を出すと、フランたちは返事はすることはなく、小さく頷いてそれぞれ行動に移す。
「ッ、硬いッ!?」
「れ、レーヴァテインが……レプリカとはいえ弾かれちゃった!?」
……
(能力か?特殊体質か?―――もしくは、それほどまでに生き延び成長した個体だからか?)
大きく鱗のくすんだワイバーンもどきが、
「
私の声が届いたのだろう
蹴り飛ばされた
「ッ、
「
「申し訳ありません、レミリアお嬢様っ!!」
強い言葉にはなってしまったが、
大きく口を開け、私を捕食しようとするワイバーンもどき……
一歩、後ろにステップを踏み、直後ワイバーンもどきの口が勢いよく閉じる。今私の目の前には、隙だらけの閉じた口と……あらゆる生物に共通して神経が集まっている
(ッ、この手ごたえ……能力や特異体質ではないッ!
その昔、ヴワル魔法図書館でユーリの為に、ドラゴンに関連した調べ物をした時、とある項目を読んだことを思い出した。
ドラゴンとは基本的に500年までしか生きられない存在だ。その理由は、病死であったり、人間によりうち滅ぼされたり、自然の猛威に飲み込まれたり、はたまたどこかの秘境へ姿を消したり、単純に寿命であったり……。様々な理由もあり、普通のドラゴンは500年と言う契機に何かしらの形で姿を消す。(ユーリはここが本当に気に入っているし、みんなで健康に気を使っているからすごく元気だ。むしろ元気すぎてちょっと困るぐらい。)
けれどごくまれに……500年の契機を乗り越える、または生き残ったドラゴンは『
……そして、今目の前にいるワイバーンもどきは……私の勘だと、そのレベルに匹敵するほど、長く生きた存在だと告げている。
(こんな個体が、今の今まで警備隊の調査網から逃げ隠れしてきたっていうの!?)
だとすれば、相当な慎重な……悪く言えば、臆病なワイバーンもどきだ。けれど、今、こうして私たちと事を構え、あまつさえ頑強な鱗鎧で攻め手を封じている。
……グングニル・レプリカを弾かれた反動で大きく離れ、私も、そしてワイバーンもどきも体勢を治した。私の側に、フランと
「どうする、お姉さま……あの様子だと全身堅そうだけど。」
「……
「できないとは言いませんが……相当な難易度、それこそメリーさんやアビーちゃんでも難しいと思いますが……?」
私たちが固まって作戦会議をしても、大きなワイバーンもどきは、足の爪で地面を掻き、警戒を続けている。
あちらから攻めるつもりはないらしい、どうやら、奴の戦闘スタイルはカウンタースタイル……こちらが攻撃し、自身の鱗で攻撃が弾かれ、硬直している一瞬を刈り取る戦い方なのだろう。なるほど、野性の獣にしてはずいぶんと賢い……
『解析、完了したわ。相手は見ての通り、ワイバーンもどき……
「ナイスタイミングよ、パチェ!聞いたわね、フラン、
「もちろんだよお姉さま!」
「ええ、レミリアお嬢様!」
「よい……しょっと!了解です!」
パチェが相手を調べつくして、どうにか攻略の糸口を見つける。
魔法を使えるのは、私とフランと
「フラン、私と一緒に奴に魔法と魔術を叩き込むわよ!
手短に、けれど伝わりやすいように指示を出し、再び攻撃態勢に入る。私とフランは、一度だけそれぞれの武器を消し、魔力で魔術陣をくみ上げる。私は緻密な魔力操作で、大雑把な魔術陣を……フランは大雑把な魔力操作で、緻密な魔法陣を展開する。
「ふふふっ、これこそ私のオリジナル魔術!『
(お姉さまのネーミングセンスは相変わらずだなぁ……。)「お姉さま、こっちも撃てるよ!」
フランの心の声のようなものが聞こえたけれど、気にせずに緋槍魔術の『レッドランス・フォール』を起動する。
私の魔術陣からは一本の大きなランスが飛び出し、フランの魔法陣からは可視化された風の刃がいくつも
「グァゥッ!?」
私とフランの同時の魔術と魔法の攻撃により、
風の刃が
その隙を逃さず、
「グウァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」
「これで……おしまいっ!!」
そして、助走をつけて勢いよく、グングニル・レプリカを
『……
「ふふんっ、当然よ。」
「最後だけ美味しい所を持ってったね、お姉さま。」
「いやー、これいい鱗ですよ。どう、
「じゃあ、失礼して……わぁ、まるで
「
そう考えた途端、私の”運命を操る程度の能力”が発動する。見えた未来は……今よりちょっと未来。倒れ伏した
「―――散開ッ!奴は、奴はまだ生きてるわっ!!」
私はそう叫び、とっさに空中に浮かび上がる。
私の叫びに、フランたちはそれぞれ別々に回避行動に移り……直後、さっきまでたっていた位置に、殺したはずの
『そ、そんな!?どうして来て…………うそでしょレミィ、マズいわ!膨大な魔力が
『ふふふっ……やっぱり、ただの長く生きただけの
ふと、どこからか、忌々しいあの女の声が聞こえてくる。
周辺を見渡しても、蓄音機らしいものは見当たらない……しかし、その女、パメラ・スカーレットの声は確かに聞こえてくる。
どうして?なぜ、今になってこの声が聞こえて来た?このフロアボスが倒されることは、想定内だった?こいつが長く生きた個体と分かっている?ローリザーとは?疑問が尽きない、情報が追い付かない、やられた。やられたやられた。
やられたっ!!
『一手……いえ、14手も遅れているわよレミリア。これだから、妖精に育てられたアナタはダメなのよ。吸血鬼らしく、ワガママに子供っぽく育っていれば……この程度の私の策謀でさえ、あくびがてらに見抜いていたでしょうに。』
14手も……遅れている?そんなはずはない、そんなバカな、どこを間違えている?この女の言う14手とはなんだ?
『一つ一つ説明してあげる義理はないわ、だってあなたは私のいう事を聞かないとっても、とーっても悪い子だもの。だから、今、私が手助けをしてこの瞬間に生まれる、新たな竜王に、怯え、恐怖し、絶望して…………そして次は、いい子に育ってくれるように
竜、王……竜の王様……
長い長い世界の歴史の中で、僅か3柱しか確認されていない……世界を作り直すことも、壊したままにすることもできる、強力な存在……そんな存在が、今ここに、生まれる?
ダメだ。ダメだダメだ……そんなものが今ここで生まれたら、私やフランだけじゃない、
「フラァーーーンっ!今すぐ、今すぐその
喉が張り裂けそうになるほど大きな声で、フランに能力の使用を命じる。
フランも、パメラ・スカーレットの声が聞こえていたのか、それとも私の焦った叫び声を聞いたのか、進化しようとしている
生物的とは思えないような目の動きをさせ、必死になって、目を探す。しかし、フランが、目を見つけ、握りつぶすよりも早く……
光が、満月が昇る夜空を塗りつぶした。
今まで策を弄していなかったパメラが、フロアボスにも細工をしていないわけがないだろう?
ちなみにドラゴン内の階級としては
となりますが、これに当てはまらない想定外のドラゴンも出現するためこの階級はあくまで目安という事で……。