紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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□ 運搬メイド長ノワールのひみつ

side:ノワール

 

……この部屋に閉じ込められて、私の体内時計が正しければ早1日と半日。

その気になれば、自分から出られるとはいえ、それでは、あの方々の成長につながらない……だからと言って、大人しく待っているのも退屈が来てしまうものだ。

 

寝るにするとしても、私はもとより短く寝る性質だ。すぐに起きてしまうだろう。だからと言って、一人寂しく脳内チェスや言葉遊びをするのもなんだかそれはそれで虚しい気がする。……メイドになる前は、そうして時間を潰してきたのだが、今ではとてもできないだろう。

 

(私も、変わった……いや、変えられた、という事かな?)

 

そんな事を考えていると、ふと机の上に見えないように刻まれていた時限起動式の再生魔術が発動する。

パメラ・スカーレットが仕掛けていたものなのだろう、しかしこれほどまでの魔力と魔術制度とは……時代が違えば、ソロモンやマーリンと同列として崇められていたかもしれない。

 

『……黒き妖精、おとぎ話の存在と思っていたのに、まさか実在するだなんて。』

 

再生魔術から聞こえて来たパメラ・スカーレットの声は恨めしそうな低い声。

しかし『黒き妖精』か、その名も随分懐かしいものだ。

 

「悪いが、今はノワールを名乗らせてもらっている。キミのことだ、()()()()()()も当然知っているのだろう?」

『……ええ、ノワール()。』

 

パメラ・スカーレットが、私の名前に様を付ける。

メイドたちから付けられ慣れてはいるものの、敵……しかも、今回の騒動の主犯からも言われるとは……いや、()()()()()()()()()()()()()()()()か?まあ、どれでもいい。所詮、この会話は我々以外に聞いているものはいない。

 

穢れの表徴(けがれのひょうちょう)、古き神々が月に逃げた大戦で古き神々がつけられたとされる、あなた様の若かりし頃の異名』

「あぁ!その名をまさか今の時代で聞くことになろうとは……久しいなぁ、あの頃は私も若かった。力の振るい方をあまり知らぬ小娘の時だったな。」

 

思えばあの時共に戦った、『原初の闇』や『蟲の王』、『歌鳥』は、今でも生きているのであろうか?あのバカたちが簡単に死ぬとも思えないが……しかしまあ、噂話も聞かないのだ、そう言う事なのだろう。

すこしばかり寂しいが、それが”生命”と”運命”と言うものだ。まあ、もしかしたらしぶとく生き残っていていつしか会うかも知れぬが……。

それにしても、”私”が『穢れの表徴』とは……あの古き神々の従者共も中々見る目のない。いや、もしくは私以上の存在を知っていたのか、それとも?まあ、しかし、昔の話だ。関係はないだろう。

 

『それに、深淵の母神、終わりなき夜の巫女、忌むべき黒い星、黒い馬の主、飢餓の王……。」

「おぉー……そのどれもまた懐かしく、既に人類が忘れ去ったものもあるというのに……よくわかったものだ。」

 

彼女の言う一つ一つの異名に、私は思いをはせる。

太古より生きた私を神と崇めた人々を、精霊と仲の悪かった私が()()()()()()()()あの時のことを、人知れず人間にその魔術を広めたことを、2度目の運命の出会いと言える愛馬との出会いを、そして……あの人間たちに理不尽な徴収を課したあの時の事。

思い返せば、そのどれもが、私が調子に乗って行動していた恥ずかしい過去の記憶だ。冷静になった今だからこそ、過去の自分の行動が、火が出るほど恥ずかしい物のように感じてしまう。

 

『……それほどまでのお力をお持ちだというのに、何故アナタは、アレに従い、そして私の娘を主と仰ぐのですか?』

 

……その言葉を聞いて、私は冷や水を被せられたように、一気に感情が怒りに変わりそうになる。

よもや、メイド長の正体を見破ったうえで”アレ”と呼び……私たちが”あの方”ではなく、『メイド長』に従い、レミリア・スカーレットを主として仰いでいることが気に食わないとは。

 

「……一つ、忠告しておこう。」

 

ここは先を長く生きた存在が、あとから生きる者たち、生きた者たちに教えを乞う必要があるだろう。

私は一つの魔術を発動し……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『ッ!?こ、この刃は……ッ!?」

「貴様が、魔術の深淵を理解し、魔術の中で私を知覚したのならば……ソロモンやマーリンのように、見て見ぬふりを……知らないフリをすることだ。」

『……あれが、娘と関わり、やがて―――ヒッ!?』

「そこから先の言葉は選べ……でなければ、この場で私が貴様の首を落とす。」

 

……私の脅しが効いたのだろう、再生魔術の魔術陣がそこでフッと消える。どうやら集中力を乱し、そこまでしか言葉を残せなかったのだろう。運のいい奴だ。

私は、過去で展開した魔術陣を取り消し、何事もなかったかのように、すこしボロボロのソファーに座る。

 

「魔術の中で私を知覚して……ソロモンやマーリンのように腕が立つのかと思いきや、少し脅した程度で集中を乱すとは……箱入り娘のようだな? さぞ、大切に育てられたらしい。」

 

そんな言葉を零しつつ、私は救助を待つのであった。

 

 

 

 

 

 

……ああ、そうだ。

 

私の脳内を、心の内を見ている諸君。

今あったこと、お話と言う形で見た事は、キミたちも”知らないフリをする”のが賢明だよ?

私の関係者は誰もいない、皆、全て私だけの大切な過去の思い出(ストーリー)だ、それを変えるような無粋な真似はやめてほしい。私も、手荒な真似はあまりしたくない。

 

それと、こんな警告も今回だけさ。世界の外を見るのは、さすがの私でも疲れるからね。

これからも、メイド長と彼女に関わったレミリアお嬢様方、そして彼女の元に集ったメイドたちの事を、見届けてくれると助かるよ。





どうして、ノワールさんはコチラを知覚してるんです?(怖)
と思った方々、裏話となりますが(以下、透明文字。興味がある方だけ反転で見てください。)
元々、プロトタイプのノワールさん(以下:プロトノワール)が主人公の東方project二次創作のお話を過去に制作しておりましたが、結局日の目を見ることなく没にしました。(ボツ理由:プロトノワールが幻想郷に行く理由がどうしても納得いく形で思いつけなかったし、そもそもどうやって幻想郷を知ることになったのかの理由付けが難しかったから。)
しかし、プロトノワールは主人公という事もあり、そこそこ設定を作りこんでいたので、もったいないなーと思い、当時はクライマックスだったリメイク前の作品にちょい役として出ました。その後の説明文は、ちょい役であったこともあり、本当のプロトノワールとは違う設定に……言動は一緒ですが。
では、このノワールさんはどっちの設定なの?と言われると、作りこんだ方……プロトノワールの設定です。最後のメタ発現もその設定準拠だったりします。


あと、ノワールの過去がらみの応募キャラクターは個人的にすごい困るので、ノワールの過去関連は触れないでもらえると本当に助かります。ええ、マジで。
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