紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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□ 廃屋敷の特別なメイドたち:アストレアの場合

side:アストレア

 

私は、生まれつきの怪物だった。

父は、人間……私が育った村の木こりだった。無口で体の大きい父は、村一番の力持ちではあったけれど……優しい性格に反して、強面な容姿でいつも怖がられていた。

そんな、父に助けられて惚れ、強かにいい雰囲気にして父と婚約し同時に私を身ごもった母は、後にわかった事だけれど、スカーレット家の血をかなり薄くではあるがひいていた吸血鬼だった。

 

そんな私は……とりあえず旅に出ることにして、村を出た。

日向を歩くのは、父方の人間としての血を色濃く持っていたからか、気だるいぐらいですんでいた。いろんな町や村を歩き……噂に聞いた”迷いの森”を歩いている時に、ちょうど散歩をしていたレミリア様と、メイド長に出くわした。

 

そして、流れるままに話は進み……私は、紅魔館(こうまかん)のメイドとしての奉公が決まったわけだが……残念なことに、私は酷く不器用だった。

半吸血鬼(ダンピール)としては、私は確かに人間の血の方を色濃く持っている。けれど、私の持つパワーはどちらかと言えば母方……つまり、吸血鬼の側面が多く表れていて、パワーだけなら、この紅魔館(こうまかん)イチと言えるほどの怪力を持ち合わせている。でもまあ、私以外のメイドもパワーがあるから、私が本当に紅魔館(こうまかん)イチの怪力なのかは分からないけれど……。

ともかく、この怪力のせいで力加減が上手くいかず、さらには私自身が極端なまでに不器用という事もあり、それをメイド長に雇われる時に相談したのだ。

 

それで、私は警備隊……美鈴(メイリン)師匠のところに所属することになった。

メイドと言う形での雇用なのに警備兵と言う複雑な立場になった私だが、けれど警備隊の仕事は私にとっての天職だったのである。

まず、私の怪力を悩むことなく必要とする業務が非常に多かった。戦闘もしかり、農園の仕事も、そして庭の手入れもそうだ。

それに休み時間や、休みの日なんかは美鈴(メイリン)師匠と手合わせをしたり、格闘術を見てもらったりしてもらっている。力の加減なんかも教えてくれている。

 

……さらに言えば、警備隊の部下となった狼女のみんなもいい人ばかりだ。

無口で、愛想が悪いかもしれない私によく話しかけてくれるし、私が一言二言で言葉を終わらせても、彼女たちはどういうわけか伝えたいことを全て聞き届けてくれる。

 

なんて、私が考えていると、部屋に置かれた蓄音機が動き出した。

 

『……ハァ、ハァ。お、お前は……は、半吸血鬼(ダンピール)、ですって?』

(……? 随分と余裕がないように見える。もしかして、レミリア様がパメラ・スカーレットの思い通りになってないのかな?)

『……それも、スカーレットの血を引く半吸血鬼(ダンピール)!? バカなッ!?あ、あの人が、う、浮気したっていうの!?』

(…………。 間違いなく、誤解しているな。 レミリア様の話では、私の母はスカーレット卿の家系(本家)ではなく、血が薄まった忘れられた分家の出らしいし。)

『あの、あの黒い妖精と言い……お前と言いッ! どうしてレミリアはこんな子ばっかりッ!! あんな子になるように産んだ覚えなどないのにッ!!』

 

蓄音機から、随分イライラした悲鳴が聞こえてくる。間違いなく、ヒステリックになっている。それにしても、黒い妖精……私が知っている中で黒い妖精はノワールさんや普通の妖精メイドたちを含めて、該当者が多すぎる……。何とか、該当者を見つけようとしたけれど……すぐにやめて、私は拳を構えた。目の前に、筋骨隆々の魚頭の変態が現れたからだ。

 

『ふふっ、うふふふふふっ!あぁ、そうよ私……大丈夫、消してしまえばあの人の不貞などなかったことになる!それに、レミリアも考え直してくれるわ……うふふ、あはははははっ!』

「……狂人、ドン引き。」

『やれっ、インスマス!!』

 

「ギョギョォオーーーーーーーーーッ!!」

 

筋骨隆々の魚頭の変態(インスマス)は蓄音機から聞こえて来たパメラ・スカーレットの声に従い、私に襲い掛かろうと馬鹿正直に、真正面から走ってくる。

 

「……紅魔館(こうまかん)警備隊、第1部隊隊長を。」

 

 

「なめるなッ」

 

ヒュッと拳を振るい、風切り音を響かせる。

直後、私の拳はインスマスのみぞおちに刺さり、

 

「ギョゲェ!?」

 

汚い悲鳴を上げて、インスマスは私を閉じ込めていた部屋のドアにぶつかり、シミとなった。残念ながら今の攻撃で扉は開かなかったようだ。

 

「……頑丈で、残念。」

 

自力で脱出できたのなら、どれほどよかったのか……。

自分でも直接扉を壊そうとしたりしたけれど、びくともしなかったという事は……何かそう言う、頭を使わないと出られないという事だろう。

まあ……

 

「暇つぶしは、まだまだ来る。」

 

「ギョギョーーーーッ!!」

「ギョアーーーーッ!」

「ぎょっ……ぎょぎょぎょ!?」

 

魔術陣が連続して現れ、サンドバック(インスマス)が何体も現れる。

どうやら、パメラ・スカーレットは、そこまでして私を徹底的に亡き者にしたいらしい。

でも、この程度の相手は……私にとって遊び相手にもならない相手だ。

 

「精々……足掻いて。」

 

「ギョゥーー!?」

「ギョギィー!?」

「ぎょーーー!?」

 

ニヤリとレミリア様に教わった笑顔を作って見せると、サンドバック(インスマス)が恐怖しだしたのであった。

 

 

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