紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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最近短いのが続いていますが許してください!


□ 廃屋敷の特別なメイドたち:マルガの場合

side:マルガ

 

「……ダメか。」

 

魔術陣が組み込まれている扉から手を離し、部屋に置かれているボロボロのソファーに腰掛ける。

司書隊に所属している私ならば、この程度の術式は解読して、解錠ができるのでは?とは思ったものの……残念ながら、やるだけ損という結論が、私の中で出ている。

丁寧に一つ一つ術式を解読して解錠することは時間がかかるとはいえ可能だ。でも、それよりも早くレミリアお嬢様方の救助隊が来る方が早いだろう。

言っておくが、私の魔術の腕が悪いというわけではない。扉に施されている魔術式の方が難しいのだ。

 

(それにしても)

 

一人の時間は、随分と久々だ。

迷いの森で、メイド長とレミリアお嬢様に拾われてから、天職である司書隊に所属してからというもの他のメイドや警備兵のみんなと一緒に居る時間が多かった。もちろん、きちんと言えば一人の時間を確保することもできていた。

けれど、一人の時間を必要としたのはごくわずか……それこそ、ちょっとだけ故郷が恋しくなった時だけだ。

 

(……この一件が終わったら、里帰りでもしようかな?)

 

パチュリー様とメイド長、そしてレミリアお嬢様に言って、少しの間の里帰り。

うん、いいかもしれない。久々に母の作る手料理が食べてみたいと思った。父は……まあ、人間のままならさすがにとっくの昔に寿命で死んでいるかもしれないけれど、きっと父は満足して死を迎えたのだろう。お墓があれば、花を添えに行きたい。もし、人間以外になって生きているのなら……いろんな話をしたいかな。

 

『……今度は、ハーフ、オーガ?』

 

と、いろいろと考えていると、魔術陣が施された蓄音機が起動する。

……聞いたことのない声ではあるものの、私はそれが最近紅魔館(こうまかん)ではよく上がる名前である”パメラ・スカーレット”の声であることは、容易に想像する事ができた。

けれど、蓄音機から聞こえてくる声はずいぶんと憔悴している。もしや、私の前に自分の予想を裏切る誰かが居て、その人物に一杯食わされたのだろうか?

 

『……黒き妖精、スカーレットの血を引く半吸血鬼(ダンピール)、堕天使と来て……今度はただのハーフオーガ……ふふっ。』

「……ぁ?」

 

今、コイツは私の事をバカにしたのか?

いや、まあ……コイツの言い方的に前の人物たちは大体予想がつく。と言うより、この紅魔館(こうまかん)でそうじゃないかと言う人物は各々一人しかいない。むしろ、これで分からなかったら私は何年ものあいだ司書隊のメイドをやってたんだという話になる。

けれどまあ、彼女たちと比べられ、挙句ただのハーフオーガ扱いされるのは少しイラっと来た。主に、私のプライドで。

 

『うふふっ、あははははっ!こんな、たかが魔術をかじった程度の()()()()()()がレミリアの元に居ただなんて!』

「…………。」

 

過去に魔術を飛ばす魔術とかないのだろうか。いま、切実に、このレミリアお嬢様の母親を名乗る吸血鬼をボコボコにしたい。

……私を散々貶すことで、パメラ・スカーレットは冷静さを取り戻したのか、憔悴していた声は元に戻っている。

腹立たしいことに、どうやら私は相手に冷静さを取り戻させるきっかけになってしまったようだ。

 

『飛んだお笑い種ね……さて、ただのハーフオーガさん?魔術をかじった程度のアナタに絶望をプレゼントしてあげる。』

 

その声が蓄音機から再生された途端、部屋が魔術で広がり魔法陣が起動した。

やがて光が強くなり、その光の中からバケモノを呼び出そうとしている……が、光が収まった後、起動した魔術陣の中にはなにも存在していなかった。

 

実をいうと、先ほど扉に施された魔術陣を調べる前に、床に施されていた魔術陣の方は、何も出ないように書き換えたのだ。元々は、キメラが召喚される予定のものを何も召喚しないように変更したのだ。そうとも知らずに、パメラ・スカーレットは高笑いを続けて、やがて蓄音機から声はしなくなった。

 

……どうやら、パメラ・スカーレットは魔術式が解除されてる、もしくは召喚された魔物や魔獣を倒した場合と言うのは一切考えていないようだった。

それを見て、いまいち目的が分からなくなってしまう。もし、魔物や魔獣を倒させるのが目的だとするのなら、私のように無力化した場合の予備のプランを用意していてもおかしくないはずだ。

色々と考えているうちに、ある一つの答えが浮かび上がってくる。

 

(……実は、時間稼ぎのため……とか?)

 

私たちをこうして、庭園迷宮の内側に閉じ込め、魔物や魔獣に襲わせることで、レミリアお嬢様は必ずメイドや警備兵たちを助けようとするだろう。そうして、その間に、何か別の目的を達成させようとしている……とか?

仮に、他のメイドや警備兵たちがどうなっているのか分からないが、蓄音機からの口ぶり的に他の部屋にもこの魔獣を召喚する魔術陣が施されていることだろう……だとすれば、メイドや警備兵たちが死のうが死なないが、関係がない……?

 

(……考えるだけ、埒が明かないや。)

 

とりあえず、私はレミリアお嬢様たちの救助を待つことを選ぶのであった。

 





どうしよう、パメラの特別なメイドたちに対するケチの付け方の在庫が尽きて来た……。
でもケチをつけないと、どうしてパメラがそのメイドを消そうとするのかの理由がなくなるからなぁ……。
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