紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
side:ブライニィ
「救助はまだですか~……?」
私……調理メイド隊スープ担当の妖精メイドのブライニィは~、そんな言葉をポツリとつぶやき、ボロボロのベットに座って、レミリアお嬢様たちの救助を待ち続けています~。
スープの仕込みをしようとして、私専用のエプロンを付けた途端にこの場所に飛ばされて、もう1日が経ちました~。
レミリアお嬢様たちが負けるとは思っていないけれど、1日たっても来ないとなると~時間をかけるほど苦戦をしているんじゃないかとちょっとだけ不安になりますね~……。
「うぅーん……食べ物は大丈夫でしょうか~?」
心配なのは、食糧庫の食材です~……。
特に、お肉やお魚が腐ってしまっていないかが、特に気になります~……。ノワール様とパチュリー様が、食糧庫に魔術を施して、腐るまでの時間は伸びていますけれど~……それでも、あくまで「腐るまでの時間を遅らせる」しかできないらしいので心配です~……。
それに~、ときどきお腹が空いて食材を食べちゃうワイルドな子もいるにはいたので~……それも心配です~。
心配事だらけで、ソワソワしている私ですが~……それでも余裕は崩しません~。
なにせ私は、
と、そんなことを考えていると~、ボロボロの蓄音機が動き出しました~。
『……次はどんなメイドかと思ったら、普通の妖精メイドね。』
「あなたが犯人さんですか~?」
『能天気ね……これから死ぬのも分かってなさそう。』
「もしもし~?」
『さっさとかたずけてしまいましょうか。』
……蓄音機から聞こえてきた声、まあ記憶されているだけだから仕方ないのだろうけれども無視されて私はちょっと悲しいです~……。
ちょっとだけ私が悲しんだ時、床から魔術陣が現れて、ピカピカと眩しいぐらいに光りはじめました~。そして、光が無くなると、そこにいたのは動く鎧でした~。
「なるほど~……敵さんを呼び出したという事ですね~?」
私は、メイド服のひみつのポケットから自前のハルバートを取り出します~。
この秘密のポケット……仕込んだノワールさん曰く、観測しなければなんでも入るそうですけれど~……まあ、いろいろ便利なのであまり考えないようにしましょうか~……。
私がハルバートを取り出し構えると~、動く鎧はぴたりと固まり、私をただ見つめています~。
「あらあら、武器を持った妖精メイド一匹に警戒をしているんですか~?」
ブンブンと軽くハルバートを振るい、いつもの笑顔を浮かべます~。
訓練で、メイドと試合をした時、この笑顔を浮かべると、別に怖くないはずなのに、なぜかみんな怖いって言うんですよね~?不思議ですね~。
……そして、私の敵さんである動く鎧も、どういうわけかブルブルと震えだし、最後には武器を落としてしりもちをついていました~。
「……あらあら、すっかり怯えてしまって~? おかしいですね~、私は調理メイド隊の中でも下から数えた方が早いぐらい弱いんですよ~? そんな妖精相手に怯えるだなんて……敵さん失格ですね~?」
ハルバートをブンブン振り回しながら、動く鎧に近づいていきますが~……動く鎧はジリジリと後ろに下がって逃げようとします~。けれど、壁にぶつかり、あろうことか命乞いまで始めてしまいました~。
言葉はありませんが、必死に頭を下げたり、両手をあげたりと~……滑稽を通り越して、むしろ清々しいぐらいです~。
けれど~……
「今の私は、ちょっとだけ不機嫌なんです~。だから、気分転換に付き合ってくださいね~?」
私は、笑顔のままハルバートを動く鎧に振り下ろしました~。
「さすがに、鎧だけあって硬かったですね~。」
しばらくして、私の怒りも収まり、心もスッキリとして、再びボロボロのベットに座って救助を待つことにしました~。
部屋の隅には、ハルバートでボコボコにした動く鎧だった残骸が転がってしまい、この部屋がさらに散らかってしまいましたが~……まあ、元々ここはあまり使わないという話を聞いたので大丈夫でしょう~。
ハルバートもかなり無理をさせたので~、後でお手入れしないと鍛冶妖精のヘスティーナさんに怒られちゃいますね~……
「救助はまだですか~……?」
そして私は、またそんな言葉をポツリとつぶやくのであった。