紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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庭園迷宮の完全攻略のごたごたが起きるちょっと前の平和な時期のお話です。


△ 番外編 メイド長と改造メイド服

 

紅魔館(こうまかん)のブームは長い年月をかけて変わるものもあれば、突発的に流行って、いつの間にかそれが普通になってブームではなくなるという事が度々起きている。

 

その中でも、メイド隊の人数が最低限の仕事を回せるようになった時期から、ずっと続いているブームというものはたった一つを除いて存在しない。

 

「うーん、このメイド服、どうすればもっと可愛くなるだろう……。」

「うわーんっ!改造しようとしたら間違えて破っちゃったー!明日のお仕事どうしよー!?」

「私、咲夜(さくや)ちゃんとかアンナ様みたいに綺麗な大人っぽく素足で働こうと思うの、どう思う?」

「あの二人は脚が長いから綺麗な大人っぽいんだよ。ロリ体型の私たちがやっても微笑ましいだけだよ……」

 

それが―――メイド服の改造だ。

 

~~~~~

 

メイド服というのはメイドにとってのドレスであり作業着で、この紅魔館(こうまかん)のメイドたちにとっては普段着にもなる。

ともなれば、メイド服を少しでも可愛くしたいというのは、当然の考えであろう。

まあ、私はメイド長という立場と、私自身このクラシカルタイプのメイド服が気に入っているので、改造はあまりしていない。強いて言うなら、エプロンのフリルをちょっと増やしたぐらいだ。

 

けれど、私以外のメイドたちは、自らのメイド服に改造をかなり加えている。身内の例を挙げるとするならば、咲夜(さくや)とアンナ、そしてマグちゃんの3人だろう。

咲夜(さくや)は小さい頃に着ていたメイド服を仕立て直し、ミニスカートのメイド服にしている。寒くなった時にはさすがにロングスカートとタイツを履いているみたいだけどね。

アンナは咲夜(さくや)と同じでミニスカートのメイド服ではあるのだけれど、背中を大胆に見せていたり、メイド服に合わせたデザインのコートを着込んでいたりと、意外とオシャレさんだ。

本人の性格的に、そこら辺ズボラなんじゃないかと心配していたが杞憂だったのかもしれない。けれど、さすがに寒い時はショートソックスとスパッツじゃなくてロングスカートかズボン、それかタイツを履いた方がいいとお母さんは思うな。

そしてマグちゃんのメイド服はと言うと、咲夜(さくや)とアンナとは違い、意外にも大人しめの改造だ。胸元の所属を表すリボン(アンナのメイド隊なら黄色だ。)をちょっと大きめにしたり、最近ではアンナを意識してか、ソワソワしながら太ももがちらっと見えるぐらいのミドルスカートを履いているのをよく見かける。それにところどころフリルを増やしたり、背中の立派なドラゴンの羽にもリボンを結んでみたりと色々とやっている。けれど、一つだけ心配なのは、かわいいと褒められているマグちゃんを見守るアンナの目がちょっと怖くなることだろうか……。長年の付き合いと、義理とはいえ親子だから分かるのだが、間違いなくあの時のアンナは性的な意味で襲おうとしてるのを必死で我慢してたと思う。実際、あの日の夜はちょっと激しかったみたいだし、ね?

 

と、まあ、身内だけでもこの3人……私を含めれば4人ほどメイド服を改造しているのだが、メイド隊全体となればかなりの人数がメイド服を改造している。

 

今日はそんなメイド服の改造について、大切な会議があるのである……。

 

~~~~~

 

「みんな、揃ってるわね?」

―――紅魔館(こうまかん)メイド隊 総メイド長:十六夜(いざよい)マリア

 

「はい、メイド長。アンナ、ブラウ、ルージュ、ノワール、プリム、美鈴(メイリン)さん、パチュリー様、各メイド隊の副メイド長、リストに載ったメイドたち、全員揃っております。」

―――紅魔館(こうまかん)メイド隊 総メイド長補佐:十六夜 咲夜(いざよい さくや)

 

「このメイド隊の会議室を使うのも久しぶりっすねー。」

―――紅魔館(こうまかん)主力メイド隊メイド長 兼 メイド隊 総副メイド長:十六夜(いざよい)アンナ(赤リボン)

「ふぁー……昼間に起きるのは久しぶりっす。」

―――〃:十六夜(いざよい)アンナ(青リボン)

 

「アンナさん、もうちょっと真面目にしてください。」

―――紅魔館(こうまかん)主力メイド隊副メイド長 兼 メイド隊 総副メイド長補佐 兼 メイド隊 教育係:オリビア

 

「…………。」

―――紅魔館(こうまかん)清掃メイド隊メイド長:ブラウ

 

「またブラウ様が瞑想してるのです……ちゃんとメモを取って後で伝えようっと」

―――紅魔館(こうまかん)清掃メイド隊副メイド長:ネペタ

 

「定例会議以外で私たちまで呼び出されるってことは……相当重要な案件ってわけか。」

―――紅魔館(こうまかん)調理メイド隊メイド長:ルージュ

 

「ルージュ様、今回の一件……かなり重大そうですね。」

―――紅魔館(こうまかん)調理メイド隊副メイド長:ブライニィ

 

「さて……今回の会議ではどんなことを話すのやら。」

―――紅魔館(こうまかん)運搬メイド隊メイド長:ノワール

 

「まったく……書類が溜まる一方なのに……。」

―――紅魔館(こうまかん)雑務メイド隊メイド長:プリム

 

「私は、一応警備隊なんですが……。」

―――紅魔館(こうまかん) 警備隊 総隊長:紅美鈴(ほんめいりん)

 

美鈴(メイリン)、今更よ。」

―――紅魔館(こうまかん) 司書隊 司書長:パチュリー・ノーレッジ

 

普段は、カーテンが開けられて、明るい雰囲気のあるメイド隊のメイド休憩室。

しかし、今回はカーテンが閉め切られており、重苦しい雰囲気がメイド休憩室……メイド隊会議室に立ち込めている。普段はバラバラに配置されている机は、一つの長方形の机のように配置されており、各メイド隊のメイド長が椅子に座り、他のメイドたちは円卓を取り囲むように静かに整列していた。

 

メイドたちが静かなのには理由がある……その理由は、配置された机の上座に座る私の雰囲気だ。

いま、この会議室が重苦しい雰囲気が立ち込めている原因は、私が発するプレッシャーが正体であり、ベテランのメイドであればあるほど、今回の招集会議では重要なことを離されるという事を予感させている。

さらに言えば私の側に立っているみんなの妹、咲夜(さくや)の雰囲気が、私のプレッシャーを助けており、まだ入って間もないメイドたちは冷や汗を隠せずにはいられなかった。

 

「……静かに。」

 

ザワザワとしていた会議室が、その一言と共に手をあげた私により静かになる。

瞑想していたブラウも目を開け姿勢を正し、美鈴(メイリン)も少し緊張しながら、背筋をただした。

間違いなく言えることは、メイド隊のほとんどが呼ばれるほど、重要なことを聞き逃せないという事であった。もし聞き逃したら、咲夜(さくや)によって頭からナイフが生えることになるだろう。

 

「みんな……まずは午前のお仕事、お疲れ様。みんなが頑張ってくれたおかげで、午後からのお仕事も楽に始める事ができそうよ。」

 

重い雰囲気を垂れ流している私だが、褒められたことによりメイドたちから嬉しそうな雰囲気があふれ出す。しかし、再び私の右手があげられ、再びメイドたちが私の話を聞く真剣な雰囲気に戻る。

 

「それで今回、休憩時間にも拘らず、みんなを呼んだ理由は……分かるわよね?」

 

少しだけ声を低くし、目を細めてみる。

上手くいったのか、メイドたちのほとんどが冷や汗を流し始めた。

 

咲夜(さくや)、いきなりだけれど……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の項目を、みんなに聞こえるように言ってくれるかしら?」

 

その時点で、二人のアンナを含んだ多くのメイド……特に吸血鬼メイドたちが目を逸らした。

 

「はい、メイド長。メイド隊、メイドの心得、メイド隊指定制服の項目、改造規約……メイド隊に所属し、メイドとして働く者、制服は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を禁ずる。」

 

……しょうもないことだろうと思うだろうが、結構深刻な問題になってきている。

最初こそ()()()()()()()()()は少なく、あったとしてもちょっとした悪ふざけのような着るより飾るものが多かった。けれど……

 

「私たちはメイドであって、娼館で働く売婦ではありません。これまで、あくまで鑑賞目的や服飾の研究目的での改造、個人的な仕様での秘かな着用や使用は黙認してきました。

この前提として、レミリアお嬢様とフランお嬢様が目撃しないところでやるように、あれほど釘を刺したというのに、最近では下着が見えるほど短いスカートを履くメイドや、逆メイド服だとか言って恥部を隠さずに練り歩くアホメイドも、おバカさんには見えないメイド服だとか言ってリボンだけの全裸で練り歩く変態メイドも存在します。」

 

私が淡々と言葉を紡ぐと、吸血鬼メイドのほとんどと妖精メイドの一部が滝のような冷や汗を流し始める。

そう、最近は襲撃がほとんどない平和続きなせいか、そう言った刺激を求めるために変態行動に走るメイドがちらほらと散見されていた。一応、アンナたちに注意するように伝え、アンナたちも注意しているところを見かけていたのだが……数は減るどころか増える一方、このままではエロメイドが増える一方なのである。

 

咲夜(さくや)、続けて改造申請の項目をお願いできる?」

「はい、メイド長。メイド隊、メイドの心得、メイド隊指定制服の項目、改造申請……メイド隊に所属し、メイドとして働く者、されど意思を尊重し改造を認める。ただし、改造時には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

咲夜(さくや)がそう言った途端、今度はオリビアちゃん、ルージュと調理メイド隊のメイドたち、プリムと雑務メイド隊のメイドたち、美鈴(メイリン)と警備隊の面々、パチュリーと司書隊のメイド以外のすべてのメイドが目を逸らした。

……実のところを言うと、今日、この会議室に呼んでいるメイドたちは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()メイドたちである。

 

「確かに、申請手続きは面倒臭いと私もよくわかっているわ……でもね、みんながオシャレをしたいって気持ちはよくわかっているつもりよ?だからこそ、レミリアお嬢様にも上申し、申請制でメイド服の改造を認めた訳なのだけれど……どいつもこいつも、申請書類を出さないとは、どういう事ッ!?」

 

私の怒りが限界に達し、机に拳を叩きつける。

ガン!と大きな音が会議室に響き、その音で多くのメイドたちが怯え始めた。

 

「お母さ……メイド長、落ち着いてください。」

「はぁ……はぁ……咲夜(さくや)私は落ち着いているわ。ええ、冷静よ。決して怒ってないわ、ちょっと頭に血が上って叫びたくなっただけよ。」

「お母さま、それは”怒っている”っていうんです。ほら、お母さま深呼吸深呼吸。」

「スゥー……フゥー……。」

 

咲夜(さくや)により背中を撫でられて、少しだけ落ち着きを取り戻す。今回、この会議を開いたのは何も彼女たちを説教するわけではない。説教するなら一人一人私の執務室に呼び出して怒る。

 

「今回のこの件を受けて、改造制服自体を禁止にしようか迷いましたが……さすがにそれは、かわいそうなので月に二度、改造をしていないメイド服を着用する日を義務付けることにしました。」

 

メイドたちから「えぇ~!!」という嫌そうな声が聞こえてくる。

けれどすぐに、それも聞こえなくなる。咲夜(さくや)が、目を赤くさせて、大型のナイフを右手に構えたからである。咲夜(さくや)が目を赤く光らせたことで、手を出すのは本気だという事が伝わったのだろう。

 

 

 

その後、無事に無改造の制服を着る日が定められ、申請書類も不備なく届けられ、ハレンチな改造や過剰な装飾がされたメイド服は全てタンスの中に入ったのであった。

 

 





ちなみにいうと、メイド隊のメイド服の基準は、メイド長のほぼ無改造のクラシカルタイプのメイド服が基準だったりします。
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