紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
庭園迷宮の完全攻略のごたごたが起きるちょっと前の平和な時期のお話です。
その中でも、メイド隊の人数が最低限の仕事を回せるようになった時期から、ずっと続いているブームというものはたった一つを除いて存在しない。
「うーん、このメイド服、どうすればもっと可愛くなるだろう……。」
「うわーんっ!改造しようとしたら間違えて破っちゃったー!明日のお仕事どうしよー!?」
「私、
「あの二人は脚が長いから綺麗な大人っぽいんだよ。ロリ体型の私たちがやっても微笑ましいだけだよ……」
それが―――メイド服の改造だ。
~~~~~
メイド服というのはメイドにとってのドレスであり作業着で、この
ともなれば、メイド服を少しでも可愛くしたいというのは、当然の考えであろう。
まあ、私はメイド長という立場と、私自身このクラシカルタイプのメイド服が気に入っているので、改造はあまりしていない。強いて言うなら、エプロンのフリルをちょっと増やしたぐらいだ。
けれど、私以外のメイドたちは、自らのメイド服に改造をかなり加えている。身内の例を挙げるとするならば、
アンナは
本人の性格的に、そこら辺ズボラなんじゃないかと心配していたが杞憂だったのかもしれない。けれど、さすがに寒い時はショートソックスとスパッツじゃなくてロングスカートかズボン、それかタイツを履いた方がいいとお母さんは思うな。
そしてマグちゃんのメイド服はと言うと、
と、まあ、身内だけでもこの3人……私を含めれば4人ほどメイド服を改造しているのだが、メイド隊全体となればかなりの人数がメイド服を改造している。
今日はそんなメイド服の改造について、大切な会議があるのである……。
~~~~~
「みんな、揃ってるわね?」
―――
「はい、メイド長。アンナ、ブラウ、ルージュ、ノワール、プリム、
―――
「このメイド隊の会議室を使うのも久しぶりっすねー。」
―――
「ふぁー……昼間に起きるのは久しぶりっす。」
―――〃:
「アンナさん、もうちょっと真面目にしてください。」
―――
「…………。」
―――
「またブラウ様が瞑想してるのです……ちゃんとメモを取って後で伝えようっと」
―――
「定例会議以外で私たちまで呼び出されるってことは……相当重要な案件ってわけか。」
―――
「ルージュ様、今回の一件……かなり重大そうですね。」
―――
「さて……今回の会議ではどんなことを話すのやら。」
―――
「まったく……書類が溜まる一方なのに……。」
―――
「私は、一応警備隊なんですが……。」
―――
「
―――
普段は、カーテンが開けられて、明るい雰囲気のあるメイド隊のメイド休憩室。
しかし、今回はカーテンが閉め切られており、重苦しい雰囲気がメイド休憩室……メイド隊会議室に立ち込めている。普段はバラバラに配置されている机は、一つの長方形の机のように配置されており、各メイド隊のメイド長が椅子に座り、他のメイドたちは円卓を取り囲むように静かに整列していた。
メイドたちが静かなのには理由がある……その理由は、配置された机の上座に座る私の雰囲気だ。
いま、この会議室が重苦しい雰囲気が立ち込めている原因は、私が発するプレッシャーが正体であり、ベテランのメイドであればあるほど、今回の招集会議では重要なことを離されるという事を予感させている。
さらに言えば私の側に立っているみんなの妹、
「……静かに。」
ザワザワとしていた会議室が、その一言と共に手をあげた私により静かになる。
瞑想していたブラウも目を開け姿勢を正し、
間違いなく言えることは、メイド隊のほとんどが呼ばれるほど、重要なことを聞き逃せないという事であった。もし聞き逃したら、
「みんな……まずは午前のお仕事、お疲れ様。みんなが頑張ってくれたおかげで、午後からのお仕事も楽に始める事ができそうよ。」
重い雰囲気を垂れ流している私だが、褒められたことによりメイドたちから嬉しそうな雰囲気があふれ出す。しかし、再び私の右手があげられ、再びメイドたちが私の話を聞く真剣な雰囲気に戻る。
「それで今回、休憩時間にも拘らず、みんなを呼んだ理由は……分かるわよね?」
少しだけ声を低くし、目を細めてみる。
上手くいったのか、メイドたちのほとんどが冷や汗を流し始めた。
「
その時点で、二人のアンナを含んだ多くのメイド……特に吸血鬼メイドたちが目を逸らした。
「はい、メイド長。メイド隊、メイドの心得、メイド隊指定制服の項目、改造規約……メイド隊に所属し、メイドとして働く者、制服は
……しょうもないことだろうと思うだろうが、結構深刻な問題になってきている。
最初こそ
「私たちはメイドであって、娼館で働く売婦ではありません。これまで、あくまで鑑賞目的や服飾の研究目的での改造、個人的な仕様での秘かな着用や使用は黙認してきました。
この前提として、レミリアお嬢様とフランお嬢様が目撃しないところでやるように、あれほど釘を刺したというのに、最近では下着が見えるほど短いスカートを履くメイドや、逆メイド服だとか言って恥部を隠さずに練り歩くアホメイドも、おバカさんには見えないメイド服だとか言ってリボンだけの全裸で練り歩く変態メイドも存在します。」
私が淡々と言葉を紡ぐと、吸血鬼メイドのほとんどと妖精メイドの一部が滝のような冷や汗を流し始める。
そう、最近は襲撃がほとんどない平和続きなせいか、そう言った刺激を求めるために変態行動に走るメイドがちらほらと散見されていた。一応、アンナたちに注意するように伝え、アンナたちも注意しているところを見かけていたのだが……数は減るどころか増える一方、このままではエロメイドが増える一方なのである。
「
「はい、メイド長。メイド隊、メイドの心得、メイド隊指定制服の項目、改造申請……メイド隊に所属し、メイドとして働く者、されど意思を尊重し改造を認める。ただし、改造時には
……実のところを言うと、今日、この会議室に呼んでいるメイドたちは、
「確かに、申請手続きは面倒臭いと私もよくわかっているわ……でもね、みんながオシャレをしたいって気持ちはよくわかっているつもりよ?だからこそ、レミリアお嬢様にも上申し、申請制でメイド服の改造を認めた訳なのだけれど……どいつもこいつも、申請書類を出さないとは、どういう事ッ!?」
私の怒りが限界に達し、机に拳を叩きつける。
ガン!と大きな音が会議室に響き、その音で多くのメイドたちが怯え始めた。
「お母さ……メイド長、落ち着いてください。」
「はぁ……はぁ……
「お母さま、それは”怒っている”っていうんです。ほら、お母さま深呼吸深呼吸。」
「スゥー……フゥー……。」
「今回のこの件を受けて、改造制服自体を禁止にしようか迷いましたが……さすがにそれは、かわいそうなので月に二度、改造をしていないメイド服を着用する日を義務付けることにしました。」
メイドたちから「えぇ~!!」という嫌そうな声が聞こえてくる。
けれどすぐに、それも聞こえなくなる。
その後、無事に無改造の制服を着る日が定められ、申請書類も不備なく届けられ、ハレンチな改造や過剰な装飾がされたメイド服は全てタンスの中に入ったのであった。
ちなみにいうと、メイド隊のメイド服の基準は、メイド長のほぼ無改造のクラシカルタイプのメイド服が基準だったりします。