紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
普段は時事ネタはあまり使わないのですが……
こう、本編が重くて話の進みが遅いので、一つまみほど……
「今年のクリスマスはクリスマスパーティをするわよ!」
開口一番、私を呼び出したレミリアお嬢様はそう言った。
そして私は思う。またなんか変なものを拾って帰ってきたなと。
何せ私がこの
それはそれとして、私個人としては今年のクリスマスはパーティをすることは別に構わない。1か月前に仰ってくれたから準備期間も十分にある……けれど、私にはどうして今年になってクリスマスパーティをしようなんて言い出したのか、少しだけ心当たりがあった。
「……それは構いませんけれども、またなにかお拾いになられたんですか?」
「ギックゥ!?い、いやっ、な、ナニモヒロッテナイワヨ!ホントウヨ!!」
間違いなく拾ったな。
レミリアお嬢様はこういう時は大抵、机の下や窓際に置いたタンスの中に何かを隠すことがある。
「失 礼 し ま す 」
「あっちょっ」
机の下には何もなし、タンスのなか……には
「ほっ、ほっ……ほっー。め、メリークリスマース……ま、まだ早いけどのぅ。」
「………………」
「…………ま、マリア?」
「……これ、まずくないかのぉ?」
赤い服に赤い三角帽子、たわわに蓄えられた白いおひげ、優しそうな顔…………
「と、とりあえず出してもらえるとうれ……待つのじゃ、閉めないでほし」[パタンッ]
そっとタンスを閉めて、レミリアお嬢様に向き直る。
タンスを指さして、目線だけで「マジですか?」と聞いてみる。
レミリアお嬢様もちょっと気まずそうに頷いた。
そっかー……そっかー…………
=====
サンタクロースをタンスから出して、ソファーに座らせ、来客用の紅茶とお茶菓子を出す。とりあえずレミリアお嬢様には、反省として、最近開発したくっそ苦い健康な紅茶を飲ませることにした。
「ほっほっほー、すまんのぉ。本来なら侵入者として襲われても仕方ないのじゃが……」
「あーいえ、お気になさらず。どうせレミリアお嬢様が貴方を助けたんでしょうし。」
「うへぇ……にがぁい……」
それにしても、だいぶ薄れてきた前世の記憶を含めて初めての生サンタクロースだ。
いや、そもそも前世の記憶ではサンタなんて居ないって結論が出ていた。この世界ならまさかとは思っていたけれど、本当にいるだなんて思わなかった。
「……後でサインを貰ってもよろしいですか?」
「わしのサインでいいのならいくらでも書くわい」
よし、サンタクロースのサインゲット!
「それで、どうしてレミリアお嬢様に拾われたんですか?」
「それがのぉ……」
ポツポツとサンタがレミリアお嬢様に拾われた経緯を話す。
1ヶ月後にクリスマスを控えた中、サンタは世界中のあちこちのいい子の子供たちの元にこっそり訪れ、欲しいものや願い事を聞いてはメモをしていたらしい。
しかし、この
「きょっ、
「そーなんじゃよ……。」
子供たちの願いを聞いてはメモをしていたところ、
そして、街中では逃げられないと判断し、迷いの森に飛び込んでどうにか巻いたところ、空腹で行き倒れてレミリアお嬢様に拾われたらしい。
「貴方ともあろう人が追われたんですか?しかも、よりにもよって、教会に?」
「まあワシ、
なんだか少し背中が煤けているように見えるのは気のせいだろうか……。
「それにたまたまとはいえ、元々
「えっ?一応、
「マリア?確かに私も悪い子なのは自覚してるけど言わなくても良かったんじゃない?」
「あーいや、さっきも言った通りワシは"サンタクロースがいればいいなぁ"の具現化じゃから人間も人外も関係ないんじゃ。いい子にして居ればワシは悪魔であろうとプレゼントを届けに行くんじゃよ。」
聖人だ……教会にいる宣教師や司教より聖人だ。
「……ところで、この
ふとレミリアお嬢様が、サンタクロースにそう聞いた。
サンタクロースは「そうじゃのう」と言いながら髭を触りつつ、考える様子を見せた。どうやら思い出しているようだ。
そして、サンタクロースはポツポツと
「まあ、ここに住んでるいい子の数は3桁に届くのぉ」
「かなり多いというわけね……それで、レミリアお嬢様に相談した結果、レミリアお嬢様がクリスマスパーティをしようって言うわけですね。」
「そういうことじゃ。」
クリスマスパーティでみんながホールに集まっている時にサンタクロースがみんなの部屋にプレゼントをという形なのだろう。
レミリアお嬢様がみんなに贈り物をしたいって言ってたし、レミリアお嬢様的にも都合が良かったのだろう。
2人だけで実行しなくてよかった、なにぶん……
「おふたりだけで計画してたら、サンタクロースさんがブラウかマキシーネさんの手によってカーペットの赤いシミになってましたね」
「あの二人ならやりかねないわね……」
「それはマジで勘弁して欲しいのぉ……」
=====
と、言うわけで……
「……まさか、サンタクロースがこんな形で見れるとはな。」
「……。」
「ほっほっほっ、いい子の願いとあらばサンタクロースは叶えるのが仕事じゃからのう。」
レミリアお嬢様の執務室に、ブラウとマキシーネさんを呼んで事情を説明した。
二人も最初、サンタクロースさんが客人としてもてなしているところに驚いていたが、説明を続けているうちに納得してくれたみたいだ。
「それならば、館の中を警備する私だけでなく、
「それはそうなんだけれど、
「あぁ、絶対にヒミツにしているべきであろう、隠れたほくろの位置までポロッと口にしてた。」
「……それは、確かに困りますね。」
最近……と言うより、ちょっと前のハロウィーンで、町で仕入れて来たワインをお酒が飲める年齢が超えている住人たちで飲んだのだけれど……あれは酷かった。レミリアお嬢様とフランお嬢様はぶどうジュースだったから大丈夫だったけれど、私とブラウ以外の全員はお酒に弱かったらしく
「当日、サンタクロースが屋敷に入るのは了解した。」
「私の方も承知いたしました。当日は口の堅い部下たちに話して警備表を組ませていただきます。」
「助かるわ、二人とも……さて、マリア。当日のパーティーだけど……」
その後、私とレミリアお嬢様は、当日のパーティーの準備について話し始めた。
~~~~~
数日後
~~~~~
「聞いた~?今年のクリスマスはパーティーを開くって!」
「聞いた聞いた!去年も一昨年も、10年前もなかったのに珍しいよね!」
「主催はレミリアお嬢様だって~!きっと豪華なパーティーになるんだろうな~!」
そして、
「
「は…っ!ご、ごめんなさいお母様っ……その、まだかなーと考えてたら、つい。」
「ふふっ、大丈夫よ
「はい!行ってきます、お母さま!!」
ぴゅーんと素早く走ってゆく
「かあさ~ん……?」
「お願いがあるんっすけれど~?」
ぬるっと、私の両腕にアンナたちが絡まってきた。
……企み顔が隠しきれていない、甘える時の顔。間違いなく、アレの事だろう。
「アンナ……言っておくけれど、お酒はパーティー用に数本用意するだけよ?部屋に持ち帰るのは禁止……メイド会議の多数決でそう決まったでしょう?」
「そんな殺生っす~!」
「クリスマスの日だけでも個室でのんびり飲みたいっすよ~!!」
そう言い、左右で私を引っ張るアンナたち。
正直、アンナたちが私にお酒をねだる理由は分かる。と言うか答えは一つしかないだろう。
アンナは、それぞれの恋人と部屋でゆっくりお酒をたしなんだ後に聖の6時間を甘く過ごすつもりだ。
ただ、間違いなく言えることは……どっちもまあまあ、音とか声が聞こえてくる。うっかり聞いちゃった狼女の子のメンタルケアするの大変なんだからね?!
「アンナ……正直に言うわ、あなたたちが部屋でヤると音とか声が丸聞こえなのよ。」
「ひぇっ!?」
「お、お恥ずかしい限りっす……。」
腕を掴んだままシナシナとしぼんで恥ずかしがるアンナたち……どちらもかわいいのでとりあえず頭を撫でておく、しかし、このまま禁止にするのもアンナたちに悪いとは私も思っている。
……そう言えば、5階の空き室って防音処理が施されていたような……?
「……はぁ。」
私も結局、こうして甘やかしてしまうのだ。
息を吸い、喉を整え、
「そう言えば酒倉の中に一本だけちょっと危ないのがあったなー。どうにかしないとなー。あーでも準備が大変だから取りに行くこともできないなー。」
我ながらとんでもない棒読みだ。
しかし、私が言った意図が分かったのか、両腕に絡まっていたアンナと植木や聞き耳を立てていた狼女の子や吸血鬼メイドの子たちは、大急ぎで準備の手伝いを始めた。
「どれだけお酒が欲しいのよアンタら……」
こめかみを手で押さえると、思わず本音がポロッと出てしまう。
そんなこんなで、
~~~~~
「よーし、みんな揃ってるわね~!」
と、壇上でレミリアお嬢様がサンタ風のパジャマドレスをまといながらぶどうジュース入りのワイングラスを手に声をかけた。
普段は、御前会議などで使われている大ホール……そこは今、クリスマスらしい装飾が施され、机の上にはケーキやターキー、その他さまざまなごちそうが並べられており、中央にドンと置かれているクリスマスツリーの根元には、買いだしで買ってきたちょっとしたプレゼントが入ったプレゼントボックスが積み重ねられている。
「お姉さまの思い付きだけど、みんな用意してくれてありがとう!」
と、トナカイ風のパジャマをまとったフランお嬢様がニッコリ笑顔でお礼を言う。
既にパーティーはレミリアお嬢様の号令を待っている状態だ。
「じゃあ、みんなもう待ちきれないだろうから、当主のお話はおしまい!楽しむわよー、かんぱーいっ!!」
「「「「かんぱーいっ!!」」」」
わいわい、がやがやと大ホールのあちこちが賑わっており、参加しているメイドたちや警備兵たちはみんな笑顔だ。こうして、パーティーを開くこと自体、
……ちなみに、今私はワイン入りのワイングラスを片手に大ホールの片隅でそんな光景を眺めていた。
「ほっほっほっ、みんな楽しんでおるのぉ。」
「……隠れていなくていいんですか?」
「なぁに、今、おぬし以外には見えんようにしておる。」
隣に立つサンタクロースは柔らかな笑みを浮かべながら、私と同じように大ホールの光景を眺めている。
「皆、笑顔で……心から楽しんでおる。クリスマスだからではない……心から信頼しているからこその、心からの笑顔じゃ。」
「ええ……みんな、仲が良くて可愛いでしょう?」
「ほっほっほっ、ああ……とても素晴らしいのぉ、わしが見たかったのはこういう光景だったのかもしれん。」
ポヨンとお腹を揺らしながら、サンタクロースはしみじみと頷いている。
「……ひとつ、聞いても良いかの?」
「は、何でしょうか?」
「ワシがよく知る言葉で、『汝の隣人を愛せよ』と言う言葉がある……おぬしは、この『隣人』をどう解釈する?」
「そうですね……私は『仲間』と解釈します。」
「……『家族』ではないのかの?」
「それも悩みました。けれど、私は『仲間』と解釈します。仲間には愛を、客人ならばおもてなしを、敵であるならば刃を……それが、
「なるほどのぉ……。」
「お母さまー!」
「「かあさーん!」」
ふと、
「お母さま、一緒にケーキ食べましょう!」
「チキンもあるっすよ!」
「このフライドポテト美味しいっす!!」
目をキラキラとさせて、鼻先や頬にクリームをつけて……すっかり美人になったのに、まだまだ子供っぽい
「ほっほっほっ……こりゃ『家族』ではないことを聞いたのは失敗じゃったの。」
「ふふっ、ええ……家族は隣人ではなく、身内ですから。」
「ほーっほっほっ、では良いクリスマスを!」
そう言い残し、サンタの姿は見えなくなる。
……さて
「もう、アナタたちちょっと急いで食べ過ぎよ?そんなに焦らなくっても大丈夫だって。」
「「「はーい!」」」
私も、このパーティを楽しむことにしよう。
~~~~~
パーティーもほぼ終盤、ぽつりぽつりと部屋に帰る子たちも居れば、パーティ会場で大の字に寝てしまう子たちも数人……ブラウもさすがに疲れたのか、ネペタちゃんを抱えながらソファーで仲良く眠ってしまってる。
片付けは明日に回すとしても……随分と散らかり放題だ。
あ、そう言えば
コホン、ともかくパーティも終わり残るは散らかり放題の大ホール。そんな場所で私は、レミリアお嬢様と静かに飲み物を飲んでいた。
「フゥ……お疲れ様、マリア。パーティ、大成功だったわね。」
レミリアお嬢様はそう言いながら、ご自身の膝を枕にして眠るフランお嬢様の頭を撫で続けておられた。
その光景を微笑ましいと思いながら、私はレミリアお嬢様の言葉を返す。
「はい、みんな満足したようです。後は、サンタクロースが設置していったプレゼント次第ですね。」
「なに、いい子の元に必ずプレゼントを届けるような御仁よ?間違いなんてないわよ。」
クリスマスパーティであったことをぽつぽつと話す私たち……。
ときどき、フランお嬢様が寝返りをうったり、夢の中でも甘えているのかレミリアお嬢様にすり寄ったりと微笑ましいハプニングはあったものの。それでも、私とレミリアお嬢様の語らいももうすぐ終わりそうだ。
「……そうだわ、マリア。」
「はい、何でしょうかレミリアお嬢様。」
「その……がっかりしないでほしいのだけれど、実はマリアへのプレゼント……作れなかったの。」
「へ?」
レミリアお嬢様いわく、サプライズで用意しようとしたプレゼント。
なんでも、気分的にたまたま一人でお散歩に出かけた時に拾ったとある宝石を使ったリボン止めをプレゼントしようとしたみたいだけれど……残念ながら、宝石や貴金属を加工する技術をレミリアお嬢様は持ち合わせていなかったので、作れなかったみたいだ。
「で、でもね!早めに完成して渡すから、だから……それまで待っててほしいなって。」
もじもじと恥じらいながらそうお伝えくださるレミリアお嬢様。
今までもレミリアお嬢様からプレゼントをもらったことは何度かある。今までは、作った時も間に合わせていたレミリアお嬢様が珍しいと思いつつも、私は頷いた。
「ええ、いつまでもお待ちしております。レミリアお嬢様のプレゼント、楽しみにしておりますね?」
「っ!うん、楽しみにして置いて!とびっきりのプレゼントを作ってあげるから!」
そう言い、大輪の花のような笑顔を咲かせるレミリアお嬢様。
クリスマスパーティーは、そうして……温かな雰囲気のまま、ゆっくりと終わりを告げたのであった。
=====
翌日
=====
「ねえねえ、私、プレゼントでずっとほしかった絵本が置いてあったの!」
「いいなー!でも、私もプレゼントあったよ!ほら、綺麗なガラス玉!!」
「きれー!私は、かわいいお洋服貰ったのー!みてみてー!!」
きゃっきゃっと、いい子にしていた妖精メイドたちがプレゼントを見せ合って喜んでいる。
対して……
「せ、石炭なんてヘスティーナさん以外に使わないっすよ……」
「どう、ヘスティーナさん……使えそう?」
「この石炭、質もいいのが腹立つな……。こりゃ、新しくもらえたカナヅチの振るい甲斐があるってもんよ。」
”わるい子”は、プレゼントボックスに石炭が山のように入っていて……それがそれなりの人数いた訳だから、地下の倉庫の一角に石炭の山が積まれたのであった。
と言うわけで、
色々詰め込み過ぎで話がとっ散らかってるかもしれませんが、クリスマスという事で許してください!